彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

④秋田・青森ひとり旅2024-2025【男鹿・ナマハゲのお勉強編】

本日の終着地は秋田県男鹿市。秋田駅から出てる電車の本数が1時間に1本くらいと意外にも少なくてビックリ!食いしん坊のわたしは鶴形駅から秋田駅への電車の中で、今晩のごはんについて頭をめぐらしていました。

CONTENTS

秋田ハタハタ事情

男鹿駅周辺には飲食店が少なく、年末だし食事にありつけるかとても心配・・・。それなら秋田駅周辺の居酒屋で男鹿発祥である「しょっつる鍋」(魚醤・塩魚汁の出汁にハタハタを入れた鍋料理)でもいただきながら地酒でもかっこみたい。最初はそんな風に思っていました。でも、今朝十文字駅からご一緒したおばあさまから、昔は大漁すぎてもらうのが普通だったハタハタが不漁続きで今では高級魚!特に今年は不漁で、北海道で獲れたハタハタを使ったりしているらしいということを知ったのである。

(どうせなら秋田産のハタハタで食べたいな・・・)

気が変わって秋田駅でお弁当でも買い込みさっさと男鹿入りすることにしました。

男鹿市へGO!

秋田駅に着いたら急いでごはんを買ってコインロッカーの荷物を回収し、男鹿行きの電車に飛び込むのだ!イメトレしながら秋田駅へ到着し改札に向かうと、なんと清算待ちの長蛇の列が待ち構えていたのである・・・。

どうやら大雪の影響でチケットの払い戻し手続きなどのなんやかんやでこんな事態になっているらしい・・・(オーマイガー)。鶴形駅では切符を購入できなかったら、外に出るには必ずこの列に並ばねばなりません。

「あぁっ、わたしの華麗なる計画が・・・!!!」

ハラハラしながら20分ほど待ってなんとか改札を抜けるも夕ご飯を買い込む時間はない!大急ぎでコインロッカーの荷物を回収して男鹿行きの電車に乗り込むのであった・・・。

男鹿といえば「ナマハゲ」

まだ17時半頃ではあるにも関わらず、男鹿駅に着く頃にはすっかり真っ暗。

男鹿駅。待合室にもナマハゲさま

まず楽天家のわたくしは男鹿駅に着いたその足で、実は狙っていた居酒屋へと足を運ぶことにしました。もしかしたらお目当ての「しょっつる鍋」にありつけるのでは・・・?期待に胸を膨らませながら、歩きにくい半分溶けた凸凹雪道を重いキャリーケースをずるずる引きずりながら歩きます・・・(必死の形相)。やっとのことで居酒屋へと到着。雪もちらちらと降っていたのでちょっとした濡れ雑巾になりながら中に入るとたくさんの人・人・人・・・!!!

たくさんのお客さんで賑わっていた居酒屋

待機している若い店員たちはわたしの姿を見てもちっとも寄ってくる気配がない・・・(え?わたし透明人間・・・?それとも濡れ雑巾だから・・・??)。でもそんなことではめげない!「しょっつる鍋」食べたい!!!(ちなみにメニューにあるかどうかもわからない)とりあえず駆け寄って聞いてみると今日は予約でいっぱいとのこと・・・まぁね、そんな気はしてた・・・。しょんぼりしながらひとまず宿へと向かうことにします・・・。

雪道でキャリーケースを運ぶのはなかなかの重労働であることを身をもって知る

宿「ひるね」にチェックイン

男鹿、何気に若い人たちが起業していて、洒落たお店が色々とあるもよう。本日宿泊する宿「ひるね」もそのひとつ。

すぐ近くにあるクラフトサケ醸造所稲とアガベが運営するスタッフの常駐していないお宿。スマホや宿に設置されているタッチパネルでチェックイン、アウトを自分自身で行ういまどきスタイルです。

翌朝撮影した「稲とアガベ」。今回は時間の都合で行くことができず

敷地内の3棟のうち2棟は1棟貸しで、今回わたしが宿泊したのはゲストハウス棟の個室。ゆっくりしたかったのよー。

クイーンベッド!

しかし宿には着いたがメシはない。やっぱり秋田駅周辺で食べてくればよかったな・・・そんな風に思っても後の祭り。身軽になったし!はりきって食事の調達へと出掛けましょう!!

ドジャース男鹿店

雪が降り続く中、10分ちょっと歩いてたどり着いたのはドジャース男鹿店。秋田県内で数店舗展開しているご当地スーパーです。

疲労困憊のわたしにはちょっと遠かったね・・・

宿のキッチンで料理できないこともなかったけど、時間も時間なので惣菜コーナーに一直線。居酒屋も捨て難いけど、ご当地スーパーの惣菜も大好物なのだ。しかし閉店1時間前だったからか惣菜コーナーはスカスカ・・・。仕方ないのでちっともご当地色のない食べ物をいくつか購入してズコズコと宿へ・・・(あれ?なんか旅の雲ゆきあやしい?? )。

すると玄関には脱ぎ散らかした靴が2足。狭いキッチンでは若いカップルが楽しそうに料理しているではないか・・・。いや、それは別にいいんだよ(靴は揃えろと心の中の姑が怒っているがな)。ただ、残念なことにダイニングには大きなテーブル1つと椅子2脚しかなかったのだ・・・(絶望)。

あえて密にならないように対策?

肩身を狭くしながらキッチンの電気ポットでお湯だけ沸かせてもらい、カップラーメンにお湯を注ぎ、泣く泣く部屋へと引き篭もるのであった・・・。 実はこのカップル、「お前さんたちの家なのかい・・・??」ってことを色々とやらかしてましてな。常駐しているスタッフがいない分、泊まる人のマナーがなっていないとやりたい放題だなぁ。何事もタイミングですねぇ。

切ない夕ごはん

実は旅から帰ってから気づいたのですが、前日に宿からメールで使用マニュアルが送られてきていたのです。確認してみるとなんと食は共用スペースのダイニングのみと書かれているではありませんか!申し訳ありません ・・・。これから泊まる人は気をつけましょうね・・・(言い訳すると、部屋にはマニュアルなかった気がするんだよね、たぶん ・・・あったらますますごめん)。

さて、色々と感じることはありましたが「カップヌードルまじ美味い・・・」なんてことを改めて思いながら、ふかふか広々のクイーンサイズのベッドに身を沈めるのでありました(ベッドはめちゃ寝心地よかった・・・)。 きっと明日は良いことあるよね ・・・?

男鹿での長い一日がはじまる

翌朝、7時には起きて早々と準備。外に出ると、雪は昨晩からだいぶ溶けていました。

センスのよいシックな壁色

バスに乗るために、再びキャリーケースを引きずりながら男鹿駅へと向かいます。

通りがけの建物(市役所かも)には「ナマハゲ」の看板

この日の一番の問題はキャリーケース問題。宿が無人だったので預けることもできず、男鹿駅にはコインロッカーもありません。駅内の観光案内所の営業時間(9時〜17時)内であれば預かってもらえるのですが、わたしがこれから乗ろうとしてるバスの時間は8時50分なのである・・・。

千羽鶴までナマハゲ!??

実はお土産こけしパラダイスな男鹿駅。駅内のあちこちで発見!一時期骨董市などでお土産こけしを集めるのが趣味だったので、めちゃくちゃツボでした。

2枚目は観光案内所のお土産こけし展示コーナー

そうこうしているうちにもうそろそろバスの出発時間。乗り場に向かおうとすると、観光案内所に人の気配が・・・!慌てて事情を話してオープン前だけど荷物預かってもらえることに!やったーーーーー!!!これから向かう場所でも預かってはもらえたけれど、ここで預かってもらった方が身軽に動けてめっちゃ助かる。ありがとうございます!!(実はちょっと期待してた)

受付にもお土産こけし

なまはげシャトルに乗って

今日はなんだか良いことありそう!!(単純)

予約してたちっこい乗り合いタクシーなまはげシャトルに飛び乗り出発です!!!

同乗者には外国人観光客の姿も

朝ごはんには木村屋(横手市)の「かまくらペルル」。 バターサンド?めちゃ美味しかった!可愛いし最高!!

民俗行事としてのナマハゲに会う方法

ところで今日は12月31日。つまりは大晦日。もうおわかりですよね・・・?わざわざこの日に男鹿を訪れた理由はただ一つ。「ホンモノ」のナマハゲ(いわゆる「観光ナマハゲ」ではなく大晦日の夜に訪れる民俗行事としてのナマハゲ)に会うためなのだ・・・!!!

実は事前に役所に電話で尋ねたところ、観光客には各集落のナマハゲの準備が行われる時間や場所等は教えられないという回答・・・(悲しみ)。ただ、その場で直で聞いてOKであれば見学できるという風に教えられ、もうこうなりゃ当日に突撃するっきゃないと男鹿行きを決めたのが旅の約2ヶ月前。その後、ありがたいことに秋田在住のフォロワーさまの協力もあり、確定ではないけれどもしかしたら一番会いたいナマハゲさまの追っかけをできるかもしれない!!その知らせが届いたのが東京から秋田への夜行バスの中というギリギリの状況でした(ハラハラドキドキ)。まだ会えるかわかんないけど行ってみればきっとなんとかなる!!!そう、わたしの根っこは楽天家なのだ。

なまはげ館

「ホンモノ」(なんていうのが正解なのか、むずかしい)のナマハゲに会う前に、まずはお勉強をせねばなるまい・・・。そう思って訪れたのは、男鹿駅から乗り合いタクシーで約20分。男鹿市は真山地区にあるなまはげ館でした。

なまはげ館

受付で「なまはげ館」とお隣の「男鹿真山伝承館」の共通券(1,000円)代を支払うと、まずは伝承館の開始時間を案内されます。伝承館ではここ真山地区の大晦日の夜に行われるナマハゲ行事を再現!なんと大晦日じゃなくても疑似体験できるのです。開始時間まで少し時間があったので先に「なまはげ館」を見学することにします。

百花繚乱!「なまはげ」勢ぞろい

民俗行事に興味のない人でも日本人なら誰でも知ってるんじゃないかってくらい超有名なナマハゲ。「泣く子はいねがー」と怖い顔した鬼が包丁を振り回して子供が大泣きする映像を見たことがある人も多いのではないでしょうか?

誰もが思い描く「なまはげ」の見本のような「なまはげ」

きっとこの姿が誰もが思い描く「なまはげ」像。・・・そんなあなたにこちらをお届け!!!

わたしには「チョベリバ〜!!」って言ってるヤマンバギャルにしか見えないんだ・・・

こんなにバリエーション豊かなの・・・!人間の想像力が爆発したかのような面の数々。こうしたらもっと怖いんじゃないか?って言いながらどんどんエスカレートしていった様子が目に浮かびます・・・。
迫力満点の面に目が行きがちだけど、中には木の素材を生かしたこんな素朴なものもあったりして・・・。笑ってるし、角というよりも耳みたいだし・・・。

実はこの子が一番好きだったりする。可愛い・・・

これらは男鹿市内各地で使用されていた「なまはげ面」たち。約60地区の面が展示されていて、その数は150を超えるという。興味深く眺めていると、あちこちで面が写真に挿げ替えられていることに気付きます。

こ、これは・・・!!!

今日が大晦日だからですね・・・!!???(興奮)

そう、今夜実際に使うから一時的に展示されていないのです・・・!!!(心の中で鼻血ぶしゃー!)

聞いたところによると、面は1月1日の午前中に各集落に取りに行き、夕方には再び設置設置されるとのことでした。 ここが保管場所でもあるんだね〜。

男鹿のナマハゲとは?

そもそもナマハゲとはなんぞ?という方のためにわたくしめの付け焼き刃の説明をば・・・。文字で説明されてもぜんぜん頭に入ってこないよ・・・!!!(わたしもそう)という方にはこちら(ピョーンと下に飛びます)にとても素晴らしい講座(無料動画)がありますのでどうぞご覧くださいませね。

ナマハゲは年の節目にやってきて人々の怠け心を諌め、無病息災、田畑の実り、山の幸や海の幸をもたらす来訪神。もともとは小正月(1月15日)の行事で、現在では12月31日の大晦日に行われています。2015年度時の調査では85の集落で行われていたようですが、2023年時には70近くに減っているもよう。2024年はどうだったのでしょうか・・・。

菅江真澄の描くナマハゲ

男鹿のナマハゲの一番古い記録は江戸時代の紀行家である菅江真澄による「雄鹿乃寒かぜ」。そこには現在と同じように包丁を持った鬼の姿をしたナマハゲや(左下にはひょっとこ面)、ナマハゲに餅を差し出す家の主人、衝立の後ろに隠れる母親と子供が描かれています。つまりこの時点で現在のナマハゲの形が確立されているということは、それ以前から行われていたということ!たかまるぅーーーっっっ!!

「なまはげ館」展示より。菅江真澄は東北に興味が出てきてから色んなところで出会います。その生き方は全旅人、フィールドワーカーの憧れ・・・?
ナマハゲの起源

ナマハゲの起源には「山の神説」、「修験者説」、「漢の武帝説」、はたまた「漂流異邦人説」など諸説ありますが、いずれも確証はなくてすべては謎。ただ、男鹿半島は古くから海との結びつきが強く、日本海を行き交う人々にとって航海の目印だった真山や本山は神の宿る場所であり、信仰の場として栄えて多くの修験者が生活していたそうです。ナマハゲはその真山・本山の神々の使者で、大晦日の夜に山から里に下りてくると言われています。

男鹿で実際に使用されていたと思われる「丸木舟」
「ナマハゲ」の語源は「ナモミ剥ぎ」

菅江真澄の紀行文では、ナマハゲのことを「ナモミハギ」と紹介しています。「ナモミ」(方言)とは冬に囲炉裏で長く暖をとっているとできる「火型(火斑)」のこと。怠け者にできるこの「ナモミ」を剥ぐから「ナモミハギ」。つまり、ナマハゲの持つ包丁はこの「ナモミ」を剥ぐためのものなのだ・・・!怖すぎる〜!!わたしが男鹿に住んでたら絶対ナモミだらけだしめちゃくちゃ剥がされて血みどろだし・・・!!!語源を知った瞬間、その様子をぶるぶる想像してしまいましたね・・・。

秋田をはじめ、全国に分布する来訪神

実はナマハゲに似た来訪神は、男鹿の地域だけでなく秋田県の海沿いをはじめ全国に分布。そのいくつかは「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコ無形文化遺産にも登録されています。以下はわたしが実際に見学させていただいた有名どころの来訪神たち。

甑島のトシドン(2017年)

悪石島のボゼ(2022年)

宮古島のパーントゥ(2024年)
まだブログに書けてないので、年末年始旅ブログを書き終えたらどうぞわたしの尻をたたいてくださいませ・・・

秋田県内だけでも、「ヤマハゲ」、「ナゴメハギ」、「ヤマハゲ」等、様々な名前で呼ばれています。ちなみに今わたしが秋田でめちゃくちゃ気になってる来訪神はこちら。

桟俵を使った面!(「なまはげ館」展示より)
特に三つ編みみたいなアンテナ生やしたチャイナ風味の右側の子がすきぃぃぃ!!!ほんとキャラ立ちしすぎだよ・・・

一番行きたい地区のは現在でも小正月に行われている行事らしく、調べてみるとむこう数年は平日開催でなかなか行けそうになくて悲しい。でもいつか必ず行く、行くんだからな・・・!!

なんて素晴らしきナマハゲ講座

ナマハゲ解説長すぎて読めないよ!ぜんぜん頭に入って来ないよ!!って方にはこちらの講座(無料動画)がとてもオススメです。

「神々と生きる町、秋田の民俗学入門~ナマハゲはどこから来るか~」

講師/齊藤 壽胤氏(秋田県民俗芸能協会会長)

旅の前にタイムリーに公開されていたので、こちらを見てから旅にのぞみました。ナマハゲに限らず秋田の色々な伝統行事を見ることができておもしろーい!!先ほどわたしが行きたいと言ってた地区の行事も紹介されています(さて、どれのことでしょう?)。

あなどるなかれ、男鹿真山伝承館

そろそろ伝承館でのナマハゲ再現が始まる時間。なまはげ館のお土産コーナーは最後のお楽しみにすることにして、お隣の伝承館へと急ぎます。

伝承館の建物はなんと築100年以上経っているという男鹿地方の民家を移築したものだから雰囲気満点・・・!!

素敵な時計もありました

中にはすでに多くの観光客の姿がありました。一日に何度も行われていますが、どんどん人が多くなるそうなので早い時間がオススメです。

最初にナマハゲについての簡単な説明を聞いてから大晦日の夜の再現がスタート。まずは「先立(さきだち)」と呼ばれる者が、ナマハゲが入っても良いか確認するためにやってきます。この時、家に不幸があったりするとナマハゲは入ることはできません。

左が家の主人。右が先立

OKが出たところで「ウ゛ォーーーッ」と野太い奇声をあげてナマハゲさまがご登場・・・!!!

ナマハゲさま、観光客が座ってる真後ろの障子をバーン!!!と開けて入ってきたりと超ノリノリ。カメラ構えてるとめちゃくちゃ近寄ってきてくれるしサービス精神も旺盛です(ありがてぇ)。その完成されたナマハゲパフォーマンスに感心してしまいました。

うひょーーー

ひと通り暴れたあとは、用意された立派なお膳の前に座って海の幸山の幸、お酒をいただくナマハゲさま。この間にナマハゲさまと主人の間ではおきまりの問答が繰り広げられます。ちなみにお酒は行く先々で振る舞われるので、最後はぐでんぐでんになるそうです。酔っ払ったナマハゲさま見たーーーい!!!

海の幸山の幸(もちろんこちらはフェイク)

ナマハゲさまはただ暴れたり問答するだけではありません。その所作にも色々と決まりがあって、面白いのが要所要所で四股を踏むこと。四股を踏むのは邪気を払うためで、まず最初は家に入った時に7回、次にお膳の前に座る前に5回、立ち上がる際に3回と決まっているのだって。おもしろーーーい!!!

7・5・3て数字になんか聞き覚えがあるなーと思ったら七五三?(子供の成長を祝う行事)この数字にどんな意味があるの?有識者教えてーーー!!!!!ちなみに四股を踏む動作については以前十五夜ソラヨイのブログに書きましたので興味のある方はどうぞ。

四股を踏むナマハゲ

そして最後のひと暴れをするナマハゲさまズ・・・!!!

きたきたきたーーー!!!

こちらの真山地区のナマハゲ面の特徴は角がないこと。一番古い形なのではないかと言われているんだって。

みんなわちゃわちゃ楽しそう

「来年もまた来るぞ!」

そう最後に言い残して去るナマハゲさま。

ナマハゲさまが去った後にはケデ(衣装)から落ちたたくさんの藁が・・・。これにはもちろん無病息災などの御利益が・・・!!

藁を拾う人々

約20分ほどのナマハゲ再現はあっという間!「ただの観光ナマハゲでしょ?」なんて侮るなかれ(いや、侮ってたのわたしでした、ごめんなさい)、めっちゃ楽しいから!!!ぜひ体験してみることをオススメします。

伝承館で再現される真山地区のナマハゲ問答の流れはこちらに詳しいので興味のある方はどうぞ。

最後は深々とお辞儀して送り出してくれました

真山神社

お次はちょっと歩いて真山神社へと向かいましょう!

すべーーーる気配むんむんの溶けた道路

おそるおそる歩いて数分の場所にある真山神社へと到着。ここでは毎年2月上旬、大晦日のナマハゲ行事と1月3日に真山神社で行われる神事「柴灯祭(さいとうさい)」を一度に見ることができる観光行事「なまはげ柴灯(せど)まつり」が行われることでも有名です(一度で二度美味しいやつだ)。

どうやら登山道にもなっているらしい。

「真山」と「本山」の位置関係がやっとわかった

門の両脇には江戸時代中期作という仁王像。

上部にはナマハゲが描かれた奉納絵馬も。昔の千社札を見るのも好き〜

刃物の奉納物も!

門を抜け、階段を登り、社務所を通り過ぎ、まずはお参りいたしましょう。

端正な階段

絵馬にもナマハゲ

さらに左奥へと続く石で積まれた階段があったので、おそるおそる雪に注意しながら登ってみることにします。


薬師堂

どうやらこちらは薬師堂のようです。ひとめ見るなり「好き!!!」となってしまった素朴な仏さまたち。仏像も天井絵もとても古そうです。

中央の薬師如来蔵は南北朝時代の作といわれています

そして小さな堂内の右下に目を向けるとこれまた年季の入った扁額が存在感をびしばし放っておりました。

武士?絵柄が特徴的。ちょっと恐いけどひきこまれる・・・

同じく「僕だよ!こっちだよ!!」と、訴えかけてきたのは愛くるしい角大師。

もちろん見逃さないゾ! 好っきゃで!!

「うれしいな、ここ、好きだな〜」なんて思いながら、まだまだ上へと続いている石段を見つめる・・・。うん、ここまでだな。

どうやらこの奥には五社殿があったようです。どのくらいで着いたのだろう・・・

石段を下っていると、一面真っ白な雪の敷地奥にある建物が目に入りました。どうやら「なまはげ柴灯まつり」の会場にもなっている敷地で、この建物は神楽殿のようでした。そん時は全然知らなくて遠くから写真だけ撮って後で確認してみると・・・

するどい牙・・・!!!

歓喜天堂にも行きたかったのですが一体どこに・・・。あの登らなかった石段の先にあったのかなぁ・・・。時間もあまりなかったので、社務所に戻ってお守り等を物色することにします。

やっぱり角大師さまをお迎え!

そしてもちろん・・・!!!

ひとりでも!ノリノリで!!撮ってもらうぞ!!!
巫女さんありがとう

社務所向かいには和船が展示されて、「何故ここに?奉納されたのかなぁ」と不思議に思って訊ねてみると、技術伝承のために作ってもらったのだって。実際に漁には使用されてはいないけれど、真山神社の宮司さんが実際に乗って進水式を行ったらしい。素晴らしい〜。

社務所に飾られていた進水式の様子

ちょっと心残りなのが「万体仏」を見る時間がなかったこと。だって「なまはげ館」から歩いて15分ほどかかるんだもの・・・(雪道だからきっともっとかかる)。昔は真山神社の境内にあったそうなのですが、明治時代に今の場所に移動したらしい。神仏分離ってやつなのかしらね、いやぁーね。そんなわけで「万体仏」もまたの機会に・・・。

忘れちゃいけない!なまはげ館・お土産コーナー

そして最後はおたのしみのナマハゲお土産コーナーだよ・・・!!

展示を見終わった最後にあるのがお土産コーナー。ナマハゲ面を初め、お菓子やTシャツ、様々なナマハゲグッズがずらーっと並んでいます。

『人形道祖神』の本を発見!

そして昭和感あふれるグッズも・・・!!!

たまらん

悩みに悩んでお買い上げしたものたち勢ぞろいの図。(一部、別の場所で購入したものとかもあるけど・・・)

真山神社でいただいた御朱印帳は「なまはげ柴灯まつり」デザインでこれまた購入不可避でしたね・・・

特に「なまはげ館」限定という「てぬぐい」がめちゃくちゃ可愛いくてオススメです!!!てぬぐいは何枚あってもいいんやで・・・(数えたことないけど我が家にはすごい数ある・・・)

泣く子はいねがー!

ナマハゲのお勉強をして(したつもりになって)、両手いっぱいにお土産を買い込みほくほく!!!再び乗り合いタクシーに乗り込み、さらなるナマハゲを求めて街中へと戻るのでありました。

ワクワクするあまり帰りのタクシーで窓に「なまはげ」と書いてしまうの巻

■参考文献・サイト

「男鹿のナマハゲ」パンフレット(男鹿市発行)

「真山神社」パンフレット

なまはげ館|出かけませんか?なまはげに出会う旅へ

「神々と生きる町、秋田の民俗学入門〜ナマハゲはどこから来るか〜」(動画)

男鹿のナマハゲの今

実施地区の減少続く男鹿のナマハゲ 受け入れ望まぬ家増加 続く模索 [秋田県]:朝日新聞デジタル

⑤秋田・青森ひとり旅2024-2025へとつづく▼▼▼

③秋田・青森ひとり旅2024-2025【鶴形・ショウキサマ編】

十文字駅のホームで電車を待っていると、可愛らしいおばあさまに声を掛けられました。

雪と青空がまぶしい

CONTENTS

おばあさまと束の間の電車おしゃべり旅

十文字から少し離れた増田にお住まいというおばあさま。これから1人で東京の娘さん夫婦のとこまで遊びに行くという。ただ、昨日の豪雪の影響で新幹線が運行するかは経由地である大曲駅まで行ってみないとかわからないらしく、運行しなかったら蜻蛉返りという状況・・・。不安になって、同じくわたしも東京に向かうのではないかと声を掛けたようでした。残念ながらわたしが向かうのは大曲駅よりもっと先の秋田駅。

わたしの切符

自然な流れで一緒に電車に乗り込み隣同士の席に・・・。おばあさまとの束の間の電車旅のはじまりです。

車窓からは一面真っ白の雪景色。充分積もっているように見えるけれど、豪雪地帯の増田に住むおばあさまにとったらまだまだ序の口らしい(ずっとお喋りしてたから写真撮りそびれちゃった!)。増田には以前少しだけ訪れたことがあり、とっても素敵な街並みで感激した場所でもありました。
その時の記事はこちら▼▼▼

増田のこと、おばあさまが働いていた時のこと、秋田名産の林檎のこと、わたしがこれから向かう旅先の美味しいご飯のことなどなど。色々と話していたらいつの間にか大曲駅!

「あっという間に着いたわ〜」とおばあさま。

「きっと大丈夫!新幹線動きます!!!」

そんな風にエールを送ってにこやかにお別れ。わたしもお喋り楽しかったけど、おばあさまの不安な気持ちが少しでも楽になったのなら嬉しいな。そして無事に東京の娘さんのところに行けたと信じてます・・・!

雪がうっすら積もった山と川に映る青空がとても綺麗。横手から大曲を抜け、内陸から日本海側に向かうに連れて、少しずつ雪が少なくなってきました。

車窓からの風景

雪の降る時期はだいたい曇り空で青空になるのはめずらしいのだと、先ほどのおばあさまが教えてくれました。そうか、日照時間が少ないから肌が白くて「秋田美人」って言葉も生まれるのだね(生まれも育ちも南九州のわたしは小さい頃からソバカスの民)。旅することで初めて納得したのでした。

ふたたびひとり旅。秋田駅から鶴形駅へ

車窓からの美しい景色を眺めながら秋田駅に到着。

秋田犬とナマハゲさまがお出迎え

まずはコンロッカーに荷物を放り込む!

身軽になってまずはトイレに向かったら「カメラがない・・・!!!」
急いで戻るとコインロッカーの上に置いたままでしたね・・・見つかってよかった・・・

再び電車に飛び乗り、秋田市よりもさらに北の能代市鶴形へ。

鶴形駅

鶴形のショウキサマ

なぜまた秋田駅に戻るのにここまでやってきたのかというと、またもや人形道祖神さまに会うためでございます・・・!ほんとは別の地区を見に行く予定だったのだけど、なんと予定にしてたバスが平日しか運行してないことが発覚。どうしたものかと人形道祖神めぐりのバイブル『村を守る不思議な神様〜 あきた人形道祖神めぐり〜』をパラパラとめくっていて目に止まったのが鶴形のショウキサマでした。

三冊とも超絶オススメです!

湯沢では「カシマサマ(鹿島様)」と呼ばれていたけれど、こちらでの名は「ショウキサマ(鍾馗様)」。鍾馗様は中国では厄除けの神様とされているらしい。他にも「ニオウサマ(仁王様)」など、同じ“人形道祖神”でもその呼び方は地域によって様々。名前は違えど疫病などの災いが入ってこないように集落の境や神社にお祀りされるのは同じであります。

歩いていたら素敵な標語が掲げられていた

なんとここ鶴形ではショウキサマが6ヶ所も祀られているというではありませんか。一度でそんなに拝めるなんて最高すぎる ・・・!ただし、鶴形駅から秋田駅までの電車は1〜2時間に1本・・・つまり1本逃すだけで大惨事なのである。ちょっと不安だけど次の電車まで2時間はあるし、比較的せまい範囲で祀られてるから大丈夫??移動含めて1箇所20分×6ヶ所でマッハで周ればいけそうな気がするね・・・!??マップアプリにおおよその位置を落とし込み、準備万端で臨みます!!!

鶴形そば

マップアプリを頼りに雪道を歩いていると、「鶴形そば」と書かれた幟がはためいているのが目に止まりました。 お昼の時間もとっくに過ぎていたから食べたい!けれどもちろんそんな時間はありません。それに飲食店じゃなくて、年越しそばの販売をしてただけかも。時間があまったらまたあとで来てみようと通り過ぎることに。 (えぇ、ご想像通り時間がなくて行けませんでした!)

ちなみにこのあとすぐに溝にズボッと落ちてアワアワしたため写真はありません・・・。雪道トラップおそろしや・・・。

これはわたしの落ちた穴じゃなくて、おなじ鶴形で見かけた誰かがズボッとした穴?

駅前のショウキサマ(女)

まず最初に目指したのは駅前のショウキサマ。踏切を通り過ぎ、こっちであってるのかな・・・?不安になりながら歩みを進めます。

昨日吹雪いている中歩いた湯沢市よりも歩きにくいのは、道路が溶けていて滑りやすくなってるから。除雪されず誰もまだ歩いていない積もりたての雪の方が歩きやすいということを雪旅2日目にして知る。人間は日々学んでゆくのです。

どんどん歩いていくと・・・

・・・あ!!!

小さなトンネルの前でグッとこちらを睨みつけるショウキサマがいらっしゃいました。

ソバージュ気味の黒髪の隙間から覗く鋭い目

おもしろいのがお顔が木の根っこで作られているということ・・・!!!鋭い根っこを角にみたてているのです。こんなに凛々しいお姿だけどこちらのショウキサマは女性。両手はパイプが剥き出しなのは、おそらく藁が取れてしまったのだろうなぁ・・・。
は!のんびりしてはいられません・・・!!まだ1ヶ所目。お次に目指すのは上のショウキサマ・・・っ。

上のショウキサマ(男)

めちゃくちゃ滑りそうな下り坂を歩く時は先人の足跡に頼るのだ!どうやら真ん中の雪がまだ残っているところを歩くのが正解のようです。(道の真ん中を歩くという背徳感がありますが)勉強になる・・・。

なんとか滑らずにクリア!

今度は坂を登っていきます。

登って登って登って・・・いつの間にかマップアプリに登録してるショウキサマを通り過ぎてるよ・・・!!!

全然ありそうな気配がない

どこにいらっしゃるのだろう・・・2ヶ所目にして早くも壁にぶち当たる。とりあえずUターンするしかない・・・。
・・・ん???

右!右端・・・!!!

いたぁーーーーーーー!!!!!

先述した人形道祖神の本では「パンクバンド」と形容されていましたがなるほど。鋲でお顔を装飾しているようにもみえてなかなかパンキッシュなお姿です。さらにわたしはお顔の捩れ具合がどうにも「しりあがり寿」さんの絵に見えてしまって・・・。

でもなんで気づかなかったんだろう・・・。と思ったら、どうやら隣の建物に隠れていたもよう・・・!

みんなは見逃さないようにね

よし、お次は3ヶ所目だ・・・!

中分のショウキサマ(女)

今のところ時間配分はいい感じ。このまま順調に進めばすべてのショウキサマを拝めそうだわ・・・!!

またいい標語を見つけてしまった

そう思いながら歩いていると・・・

「羽州街道」の案内板

一体どこ!どこなのぉぉぉーーー!!!!!

道を行ったり来たりしてもぜんぜん分からないから近くで雪かきをしていたおじさまにヘルプミー!!!

迷ってた時の道

どうやら奥州街道の道標の案内板を直進して橋を渡った突き当たりから登る道があるらしい。マップアプリには道が載っていない坂道がこんなところに・・・!!!つまりこの道が江戸時代に整備された青森へと続く「奥州街道」なのでありました。

ガードレールが続いている道が「奥州街道」

あってるか不安で何度も何度も道を確認していると、なんと雪かきのおじさまが案内してくれるというではないか・・・!ありがたやーーーー!!!

おいちゃんの後ろをついていく

結構な雪の坂道で、道の先には獣や鳥の足跡しかありません。聞いた話だとカモシカもいるらしい。色々と質問してみるのですが、方言が強くてわたしにはなかなか聞き取れず・・・。せつない。

ぜーぜー息はあがってしまったけれど、ほんの数分の距離。大きな欅の木がそびえ立つ少しひらけた場所に出ました。そしてその木の根本に鮮やかに鎮座するショウキサマ。この光景が目に飛び込んできた時の興奮は忘れられません・・・。

キリッとした凛々しいお顔

勇ましいお姿ですが、お顔には女性っぽさが感じられてどちらかというと妖艶・・・。真っ赤な口紅を塗った昭和の歌手のような、どこかあだっぽい雰囲気を感じます。お顔は杉の木なんじゃないかとのことでした。最初なんて言ってるのか聞き取れなくて、雪の上に「すぎ」と書いてくれたんだけど、まるで「すき」と告白されているみたいで密かにちょっと面白かったです。

妖怪人間ベムの「ベラ」味もある

こちらのショウキサマもどうやら両手が取れてしまったらしい。作った方はもう亡くなってしまい、藁を編める人もいないんだとか・・・。今後はどうなるのでしょうか・・・。

ショウキサマの先には奥州街道が続いています。昔はこんな道を通って移動していたんだなぁ・・・。熊も出るのかな・・・聞きそびれちゃった(一番大事なのに!)。

菅江真澄もこの道を歩いたのだろうか

一緒に道を戻りながら残り3ヶ所のショウキサマの大体の場所も教えてくれて、とっても親切なおじさまでした。ありがとうございます!ひとりでは絶対たどり着けなかったです・・・!!!

やさしさが沁みる

うしろ姿を見送ってから・・・再びショウキサマの元に戻ったのは秘密です・・・!!!

雪がビュービュー吹雪いてきて大変じゃった

えーっと、こちらのショウキサマに会うために道に迷って、雪の坂道往復して・・・はい!予定より大幅に時間オーバーですね!!!

大慌てで次なるショウキサマへ早歩きで向かいます。

横町のショウキサマ(男)

駆け足で神社の前を通り過ぎ、坂の途中にいらっしゃるショウキサマにたどり着く。あぁ、道がわかりやすくて!よかった!!

ピンクやグリーン、イエローのカラフルな紐。オシャレしてるみたいね!

超特急で写真を撮って、あぁぁぁどうしよう!ほんとに時間がなぁーーーーーい!!!この先を登ったとこにもいるらしいけど無理!どっちに行こうか迷って同じ場所を行ったり来たり(我ながら漫画みたいだ)。それだけで数十秒のロス!やっと心を決めて、Uターンしてあと1箇所だけ見に行こう決意する。がんばれわたし・・・!!!

飛行機みたいな鳥の足跡を撮ってる場合じゃないよ!でも可愛かったんだもの!

するとショウキサマと同じくらい見たかった看板を発見!!!やったーーーーーっ

「なげたらあカン‼︎鍾馗さまが見てる」

この先に「下のショウキサマ(男)」がいるはずなんだけど・・・、あともうちょっとなのに・・・嗚呼、無理。ほんとに無理。滑らなかったことがマジ奇跡なくらいのスーパー早足で鶴形駅へとUターンするのであった・・・。

電車を逃す恐怖よりもキリスト看板を撮る欲求の方が勝つ

何度も滑りそうになりながら時間前に着いてギリギリセーフ!と思ったら、時間になっても電車がこない。こない。な・・・ぜ・・・。なんと時間を間違えててあと数分は大丈夫だったみたい・・・。目と鼻の先のショウキサマを泣く泣くあきらめて猛ダッシュした意味とは・・・。ガックリと肩を落とし、ひとりホームで電車を待つのであった・・・。

鶴形のショウキサマ巡りMAP

楽勝かと思われた鶴形のショウキサマの制覇は叶わず、今回は6体中4体という悔しい結果となってしまいました。ぼくも!わたしも!!鶴形のショウキサマに会ってみたい!!!・・・そんな同志のためにマップを作りましたのでよかったら参考にしてくださいませ。(「中分のショウキサマ」への道はマップに載っていないので、道の入口にもマーカーをつけています)

今回拝むことができなかった2体のショウキサマはまたの機会に・・・。後ろ髪をひかれながら秋田駅へと戻る電車に飛び乗るのでありました。

④秋田・青森ひとり旅2024-2025へつづく▼▼▼

②秋田・青森ひとり旅2024-2025【横手・建築と菓子とハードサイダー編】

吹雪いているし、寝不足で体力も限界・・・いや、ぜんぜん限界ではないな・・・まだまだいけるっしょ!!(だってまだ15時前だよっ)

そう自分に喝を入れ、宿に向かいたい気持ちを抑えて向かったのは今朝の夜行バスが到着した横手駅でした。

横手市のマンホールチェック!お城とカマクラだ〜

CONTENTS

雪道を歩く、歩く

やっぱりここでも歩きます。

可愛らしい教会

ここでも柿×雪。たまらんね

矢印みたいなアンテナも可愛い

雪も降り続き足場も悪いので街をのんびり散策する余裕はなく、ある場所を目指してひたすら雪道を歩きます。

見るからに滑りそうな坂・・・!

もう滑りたくない・・・!!滑らなそうな場所を見極めながら恐る恐る進みます。あともう少し・・・もう少し・・・

着いた・・・!!!

旧新日館

明治35(1902)年に横手に赴任してきたアメリカ人の英語教師の住居として建てられた旧新日館。駅から雪道歩いて向かうのなかなか大変でございました・・・。

建物正面のまるで日の出のようなステンドグラスが印象的で、実際にこの目で見てみたかったのです。個人所有で現在も所有者が住んでいるため、開館日は週1という見学するにはなかなかの難関っぷり。開館していないのはわかっていたけれど、せめてその外観だけは拝みたい・・・そんな気持ちで足を踏み入れると・・・

み、見えない・・・!!!

半透明の壁で厳重に囲われているよーーーー!!!

住人が雪かきしに外に出てきました。

とんがり笠かわいい

聞いてみると冬の期間はこのように囲っているらしい・・・。しょんぼり。

間違いなく好きな建物だ

細部の美しさを確認し、その場を後にするのであった・・・。

また歩いて・・・帰るぞ・・・

源平(旧源平旅館)

まだ16時過ぎにも関わらず、あたりは少しずつ暗くなってきました。福岡よりも日がくれるのが確実に早い。

もうひとつ見たい建築がありました。現在はウェディング事業を展開してる元旅館の源平。旅館時代は皇族や著名人が宿泊した格調高いお宿だったようです。

明治時代に創業した旅館(本館)は隣の土蔵を残し大正15年の火事により焼失。現在の本館は新築で再建された大正15年時のものです。

 もろわたし好みの大正ロマンな外観でうっとり・・・

中を見てみたい・・!!!でもウェディング・・・縁がありませんわね・・・。旅館時代に利用してみたかったです(泊まれない金額だったかもだけど)。

でも大丈夫!レストランも併設されていて、ランチのアラカルトでは庶民のわたくしでも手が出せるお値段。そちらでぜひ利用してみたいものです。

そしてさっきからずっと気になってたのが・・・

ご当地菓子屋さんめぐり

かわいくて美味しい「木村屋」

源平さんの向かいに建っている木村屋さん!たまたま見かけた菓子屋さんだけど、見るからに昔からこの地で営業していると思われる趣のあるお店。これは入らずにはおられません・・・っ

和菓子屋や洋菓子、たくさん種類があって迷う・・・!でも一番最初に気になったのがこちらのめちゃんこ可愛い「かまくら」のお菓子。漫画家で江戸風俗研究家だった宮尾しげをさんという方のイラストらしい。可愛い可愛い可愛すぎるよーーー!!

レトロかわいい!!!

横手はどうやら「かまくら」が有名らしい。そういえばマンホールにも「かまくら」が描かれていたものね。 水神様を祀る小正月の行事であることも初めて知りました。

店員さんにおすすめなどを聞いて、 かまくらモチーフの菓子の他にも柿羊羹、栗を使った和菓子などを単品でいくつか購入。嗚呼、旅の道中で食べるのがたのしみよ・・・!!

後日調べてみると明治35年創業という歴史あるお店でした。HPにその歴史や古写真も載ってて面白かったのでぜひ。ネットショップもあるよ!

こちらは旅から帰ってきてから食べた「かまくらもなか」。めっちゃ小豆だったけど美味しく食べれた!餅入りなのがうれしかったです

昆虫パラダイス!小松屋

そしてあともう一軒。こちらは前もって下調べして行きたいと思っていた小松屋さん。こちらのお店も大正5年創業という歴史のあるお店です。

なんで行きたかったのかというと・・・

(苦手な方は閲覧注意)

カラフルな幼虫・・・!!!

虫!虫である・・・!!!

お店の方に聞いてみると、横手で昆虫展というものがあり、昆虫のお菓子が作れないかとの依頼で作ったのがきっかけらしい。

こちらのお店もネットショップがあったので載せておきますね。虫好きのお子さんにいかがでしょうか。

虫のお菓子の他にも昔からあるという和菓子も購入。新しい変わり種にも興味あるけどやっぱり一番興味あるのは昔から長く愛されている菓子なのだ。

そしてこちらが横手でお持ち帰りしてきた和菓子洋菓子勢ぞろいの図である。

昆虫チョコのお店ではこんなレトロ可愛いナプキンで包んだフォークもつけてくれたよ。喫茶もやってる(た)の!?気になります・・・。

幼虫チョコはサクサクなフレーク食感のチョコで美味しかった!

すっかり日も暮れて暗くなった17時過ぎ。ご当地菓子を両手にかかえ、ほくほくご満悦で本日のお宿のある十文字駅へと電車は走り出すのであった。

再訪 CAMOSHIBA

CAMOSHIBAへと再び戻ってきました。

宿の通りには街灯が連なりとてもいい雰囲気

前回訪問時の記事はこちらをごらんください▼▼▼

併設のBARのカウンターでチェックインして別棟2階の部屋へ。今回はドミトリーではなく奮発して個室にしてしまったよ・・・!

今回宿泊するにあたり久しぶりにサイトにアクセスしてみたら、前回はなかったサウナ付の一棟貸のお宿や、前回宿泊した時点ではサポーターを募集していたハードサイダーの醸造所も2023年に完成していて、約2年半の時が過ぎたことをしみじみと実感・・・。

「OK,ADAM」でハードサイダーを愉しむ夜

宿近くにあるその醸造所の名前はOK,ADAM(どうやら一棟貸のお宿MUSIRO STAY&SAUNAもここらしい)。2020年に立ち上げたハードサイダーのブランド名でもあります。アダムとイブの「アダム」だね。かっこいい名前だ!ハードサイダーとは林檎を主原料にして作られる発泡酒のこと。青森が有名だけれど、横手市は秋田県内最大の林檎の産地(ということをこの時初めて知りました。申し訳ない・・・)。

ハードサイダー飲み比べ

行きたいと思ってたけど、年末だし開いてないかなーと思っていたら、なんとこんなチケットをチェックイン時に渡されました。

素晴らしきチケット

こ、これは・・・!!!なんとOK,ADAMのハードサイダーを無料で試飲できる魔法のチケット・・・!!!!!宿泊者特典にこんなものがあるなんて嬉し過ぎる・・・。部屋でくつろいでなんかいられません。大よろこびで宿を飛び出します。

「試飲!させてください・・・!!!」

・・・どれも味が違う!!!(当たり前だ)

4種類のハードサイダー

この時試飲できたのは♯1、♯2、♯4、♯5 の4種類でした。爽やかだったり、ちょっと苦味があったり、甘酸っぱかったり(味音痴だから違ってたらごめんやで)。どれかがお気に入りだったのだけど忘れちゃった・・・

メニュー表

これらのハードサイダーは店の奥にある醸造所で作られているのです。

ガラス越しに醸造所を見ながら呑むのも大変乙なものである

OK,ADAMでは横手産の林檎を主原料に、旬のフルーツ、ホップなどを自由に組み合わせて作っているのだとか。この時は横手で一人しか作っていないというさくらんぼの「タイガー錦」を使ったハードサイダーが新商品として販売されていました。

ちょうどその生産者のおいちゃんがお店にやってきて、このお酒を持って帰るシーンにも遭遇。正月はこのお酒で乾杯するらしい。ただそのやり取りを見てただけだけど、すっごいいいとこ見れた・・・心の中でジーンとするのであった。

お店の方にラベルのイラストが素敵と話すと、横手の若い画家に描いてもらったものという。こんな素敵な絵を描く方がいるんだなぁーと思っていたら、さっきOK,ADAMのネットショップを見て初めて気付く。なんと!前々から素敵と思ってた永沢碧衣さんの絵ではないか・・・!!!吃驚 ・・・そりゃわたしのアンテナにひっかかるはずだ・・・。

こちらの商品は試飲はしておらず、めちゃくちゃ気になるけど旅の初日にこれを買って帰れないし、残念だけど飲めないな・・・。なんて思ったらCAMOSHIBAでグラスで飲めるというではありませんか・・・!!わーい、やったーーーーー!!!

発酵バル CAMOSHIBA

小躍りしながら宿のBARヘ。

旅好きが喜びそうな個性的な本棚

ハードサイダーをはじめ色々なお酒が楽しめます

もちろん真っ先にさくらんぼのハードサイダー「Nyx(ニュクス)」を注文します。

先ほど飲んだ林檎オンリーのハードサイダーとはまた違ったさくらんぼの爽やかさ!まるでルビーのような鮮やかな液体もとても美しくて飲み終わるのがもったいない・・・(秒でなくなったけどな)。

ちなみにOK,ADAMのお酒、一時期福岡でも取り扱いがあったけど(知ってるお店だった)、現在では飲めるところはないらしい。どっかでお取り扱いしてほしいよ〜。ネット販売もしてるけど送料が高いんだよぅ・・・。

夕食は夜定食を頼みたかったけど、翌日の朝食が似た感じになるかもとのことでピザを注文。麹を使ってるピザだったかな??甘くて美味しいけど足りない・・・。

やっぱりワイには米じゃ!米がないと食べた気がしないんじゃ!!なんて思いながらピザの後におむすびを食べるというよくわかんない頼み方をしてしまいましたね・・・・。

でもやっぱり足りない・・・。定食かカレーにすればよかったかな・・・。なんて思いながら早々に部屋に退散。前回の訪問時はGWでBARもたくさんの人で賑わっていて一期一会の交流が楽しかったけれど、年末だからか今回はわたし以外のお客もおらず。もしくはお酒を飲む人たちにとってはまだ早い時間帯だったのかな。

2度目の訪問でしたがスタッフは初めて会う方ばかりで、「再訪」というような懐かしむものではなく、時が流れると変わってしまうものもあるのだな・・・(良い悪いではなく)と、ちょっとしんみりした気持ちに・・・。でも、ハードサイダーの醸造所に行けたのはとてもよかった!!!

ちょっとしょぼくれつつも、まだまだ旅は始まったばかり。ちゃんと睡眠をとって、体を崩すことなく旅を最後まで遂行せねばならぬのです。寝不足を解消すべく、おとなしくこの日は早々に眠りにつくのでありました。

朝食

朝。雪は降り止んでいました。

朝食をいただきに再びBARへ。

BARのすみっこを選んで、The 日本の朝食。おいしいーーーーー!!!

やっぱりここは定食を食べるのがオススメ。似通ったメニューになったとしても、昨晩もそうすればよかったなぁと思いました。あとカレーも食べたい!!

甘酒も美味しかった

食後には共用スペースでお湯を沸かして水筒にじょぼじょぼ。そう、今回の雪旅では体の中からあっためよう作戦で、小さい水筒を持ってきていたのです(荷物になるけど持ってきて正解)。

すべて準備は整いました。旅の2日目、行ってまいります・・・!!!

早朝の氷柱アートすごかった

昨日よりも増えてる何者かの足跡・・・!!!

ちょっとしたスケートリンクな道路にひやひや

滑ることを恐れながらゆっくり、ゆっくり十文字駅へ。宿泊するために来るばかりで、十文字周辺をほとんど散策できていないので、3度目の訪問時こそはゆっくりこの地を散策してみたいと思います。そしてハードサイダーをもっと愉しみたいな!

十文字駅

③秋田・青森ひとり旅2024-2025へつづく▼▼▼

①秋田・青森ひとり旅2024-2025【湯沢・再訪のカシマサマ編】

ついにこの日がやってきた。

2024年12月28日。旅のはじまりはゆるゆるのんびりと。お昼ごはんを作って、お風呂に入って身を清め、準備はすべて整った!何ヶ月も前から準備を進めていた旅がついに始まるのです・・・!!

CONTENTS

出発の時

まず向かったのは福岡空港。年末ということもあり、たくさんの人でひしめき合っていました。

うれしそうに飛行場を眺める男の子

陽が沈んだ頃に飛行機は空へ。

夕暮れの飛行場

飛行機が飛び立つ頃には日も暮れ、下界には街の明かりや車のライトが行き交う光の動脈。雲を抜けると現れたのは雲の上の美しい夕暮れでした。

窓側が羨ましい

羽田空港に着く頃にはすっかり夜。夜行バスの乗り場である新宿へと向かいます。ほぼ初めてのがっつり東北の雪旅。数ヶ月前から入念に準備を進めてきました。何を隠そう私はモンベルのメリノウール信者。モンベルのインナー着てたらなんとかなる!精神のもと、全身メリノウール(一番ハイスペック)でキメていました。その上に薄いウールのタートルネック、薄めのセーターを重ね着。今回のために新調した雪旅用のコートをまとって防寒バッチリ!と思ったら・・・

あれはレインボーブリッジですか!?(おのぼりさん)

暑い!暑すぎる・・・!!!

どうやらやりすぎてしまったようです・・・。 この日の東京の気温7℃。室内や電車の中はもちろん暖房がきいてるし汗がだくだく。コートや重ね着していたセーターまで脱ぐことに・・・。でもこれ以上は脱げないよ!脱いだら全身メリノウールのモジモジくんみたいになっちゃうよ!!(昭和)

バスタ新宿〜夜行バスで東北へGO!〜

毎度のことながら東京迷宮にしっかりと迷いながらやっとのことでバスタ新宿へと到着。こわい、都会こわいよ ・・・。

たくさんの人、人、人・・・!!!

予定よりも早めに着いたはよいけれど、人の多さに酔いそうになったので下の階で待つことにします。

椅子に座っていると、またひとり、またひとりと去っていく。みなさまどこにゆくのかしら。帰省なのか、旅なのか・・・。楽しもうね!

そしてついにわたしの番。キラキラ号で!いってきます!!

目が覚めると、雪

わたくし、ふかふかのお布団じゃないと眠れないの!無理なの!!というわけで、夜行バスで絶望的に眠れないまま・・・朝の7時前。ついに秋田県の横手駅へと到着です。

外に出ると昨日までいた世界とはガラリと変わっていました。

360度真っ白な世界・・・!!!

夜行バスで横手駅を訪れるのは今回で2度目で約2年半前のGW。同じ場所なのに、その時とはまったく違う景色が目の前に広がっていたのです。

2022年GWの旅の様子はこちらから▼▼▼

雪だ!雪だ雪だ!!

寝不足であることをすっかり忘れ、降り積もる真っ白な雪に飛び込んでしまいました。

ずぼ!ずぼ!

横手駅〜十文字駅〜岩崎

昨晩新宿で買い込んでいたおむすびで腹ごしらえ。

ゆかりごはんは正義

ホームでは色んな柄の足跡がペタペタ。かわいいね!

今回の旅は、わたしにしては珍しく「再訪」もテーマ。まずは電車で10分ほどの十文字駅へと向かいます。

十文字駅

この看板もなつかしい

マンホールにも乙女チックな「さくらんぼと白鳥」

前回の旅でも泊まった十文字駅近くのCAMOSHIBAへ。

お久しぶりです

荷物を預け、身軽になって散策開始です。

何者かの足跡発見!

歩いていてビックリしたのが道路に噴水のように水が放射されていたこと。湯気が出てたから最初お湯かと思ったけれどお水らしい。寒くて湯気が出ちゃうんだね!こんな風に雪が積もらないように雪国では工夫されているんだなぁ・・・。GWの旅では見ることができなかった光景にワクワク。

足元見ないで写真撮ってたら足が濡れちゃいましたね・・・気をつけようね・・・

雪が年に数回降るか降らないかの九州に住んでる自分には見るものすべてが新鮮で!雪が降り積もる木々や、街灯の灯りの美しさに心を奪われます。

見ているだけで温まる灯り

駅前から路線バスを待っている間も雪が降るし屋根もない。そもそもほんとにバスが来るのだろうか。初めての年末の雪旅に不安がよぎります・・。

待っている間に除雪車がやってきた!初めて見るその姿にもテンションあがるくらい雪旅初心者です

心配してたバスがやってきてホッとひと安心。

ローカルバスの椅子のモケットや整理券のデザインもうまみポイント

10分ほど揺られて下車したのは岩崎。

雪の道をざくざく踏みしめながら歩くのも新鮮でそれだけで楽しい!

雪が降っていてもいつも元気な飛び出し坊や。

雪景色には眩しい赤

いい感じのおまんじゅう屋さん発見!

岩崎まんじゅう

すーーーーっごく気になって入りたかったけど、交通手段が限られている地域では散策も時間との戦い。時間があったら後で寄ろうとひとまず通り過ぎることに・・・。

氷柱にもトキメキ

マップアプリを頼りに歩いていると、あたりが真っ白過ぎてどっちにいったら目的地に辿り着けるのかちっともわからない・・・。雪かきしている男性に道を教えてもらうも、記憶力皆無のわたくし。どうやら教えてもらった道ではなくショートカットして除雪されていない道なき道をゆく!ずぼっ、ずぼっ。雪は履いてるスノーブーツよりも上の位置で足は雪まみれ・・・。でも!もう止められないんだ!!!

やっと参道と思われる道に出ました。やってきたのは岩崎八幡神社。雪対策なのか、灯籠や狛犬もブルーシートにくるまっています。

狛犬さまのお顔みたかったな

まずは本殿でお参りして、さらに左奥へと向かいます。わたしよりも少し前に歩いた人の足跡が残ってる。道なき道をゆくのは怖いし大変だけど、足跡があるのはありがたい!

この足跡をたどればよいのだ

再訪、岩崎のカシマサマ

お久しぶりです・・・。また、あなた様に会いにきました。

こちらも雪の重さに耐えさせるためなのか、屋根の真ん中に棒が一本立っていました

2度目ましてのカシマサマ。カシマサマ(人形道祖神)とはなんぞ・・・?という方は、前回のブログを参照していただくとして・・・。

そのたくましいそのお姿は変わらず(ちなみにこの方は女神さま)。雪化粧でその体の繊細な模様がより際立って美しい・・・。前お会いした時とはまた違った印象を受けました。

こんな繊細な装飾だったのか

岩崎のカシマサマへの「再訪」。初夏のお姿とはまた違う雪のお姿を拝みたかったのだ。前回は新緑と夕暮れのカシマサマ、今回は雪の森のカシマサマ。またお会いできて嬉しい・・・。

(上)2024年12月29日 (下)2022年5月3日
今回もセルフタイマーで自撮り。同じポーズで撮れてご満悦である

・・・と、しみじみしてる場合ではございません!急げ急げ、電車一本逃すだけで大惨事なのだ・・・!!!

建物内にいらっしゃるカシマサマにもちょっとだけご挨拶

自分がつけた足跡を再び踏みしめて戻ります

雪はぜんぜん降り止まず、どんどん積もっていきます。そしてこんなに降ってるのにみんな雪かきしてる・・・!いや、「降ってるから雪かきしてる」が正しいのか・・・。

一分一秒を争うくらい時間がない。駅まではここから20分以上歩かねばならぬのです・・・(雪道だからもっとかかるかも!)。もちろんさっきのまんじゅう屋さんにも行けず。素敵な古い建物もちらほらとあったのでゆっくり散策したかった・・・。また次回のお楽しみにしたいと思います。

急げ急げ!と思いつつも、写真を撮りたいシーンがあちこちに現れて欲求を抑えられない・・・!!

雪と柿。好きなシチュエーションということに気付いた

急いでいたらすってんころりん!おめでとうございます。雪国初すべりでございます。

ボゼ、雪に埋もれるの図

下湯沢駅に着いた!実は今の時点で時間はまだ10時にもなってません。朝が早いとこんなにも時間があるのね!まだまだ今日という一日を楽しめます。

カッチカチに凍りついた電車がホームにやってきます。

ドアが開いても雪の壁がそそり立っていて、それを足でかち割って入るという貴重な体験をさせていただきました(はしたなくてごめんなさい)。

再訪、御返事のカシマサマ

お次に降り立ったのは横堀駅。

ますます雪は絶好調!

御返事のカシマサマに会いに行くぞ!マップアプリで徒歩35分って出てるけどめげないぞ!!

歩く、歩く、歩く、歩く・・・・

前回もおそらく歩いた道。記憶のある街並みや看板を懐かしみながら歩き進めると、こんな道歩いたっけ・・・??というような真っ白な道が現れ、ひたすらまっすぐ歩き進める(ホワイトアウト状態)。まるで遭難しているような気分だよ・・・

めっちゃ吹雪!吹雪いてる!!まっしろな世界をひとり、あるく

再び人里が現れました。(あ、この感じ、きっともうすぐだわ・・・)そう思うと、ついに彼の方の姿が・・・

受難に耐えているかのような神々しきお姿

嗚呼、わたしの大好きな御返事のカシマサマ。前回の旅で一番最初にお会いした時のインパクトがものすごくて・・・!毎年作り替えられるため、わたしがお会いしたカシマサマとはお顔も違う。今年のカシマサマはキリッとしていて、お侍のような・・・もしくは歌舞伎の見得をきっている姿を彷彿とさせます。

左目にまるで雪の涙を浮かべているお姿が憂いがあってかっこよく見えました

大事な部分は雪で埋もれていて拝むことができず無念・・・

こんな吹雪の中のカシマサマは今じゃないと撮ることができない!歩いてここまでたどりつくのはほんと大変だけどきてよかったー。通り過ぎる車の中からちょっと半笑い気味に見られるのはちょっと恥ずかしかったけれど・・・(被害妄想でしょうか)。

だがしかし、この雪の中を再び歩いて戻らねばならぬのですぞ・・・!!!

再訪、珈琲焙煎工房バルーガ

暖をとりにまっさに向かったのは、前回もカシマサマ帰りに訪れて大好きだったバルーガさん。体中に積もった雪を払いながら中へ。岩崎のカシマサマの時からもうスノーブーツには雪が入り込みびじょびしょ。これは盲点でございました。旅はまだ始まったばかり。臭く・・・ならないことを願う・・・。

雪国のバンガローみたいな暖かい雰囲気

人見知りなもので自分から前に来たことがあることをどのタイミングで伝えようかなーと迷いながらランチをいただきます。

パン!美味しい!!ウィンナーも!美味しい!!!(美味しさをカタコトでしか表現できない)想像以上に美味しくてびっくりしてしまいました。

珈琲ゼリーは見た目も可愛らしい

食事も終わる頃に店員さんに話しかけられ、「今でしょ・・!!!」とばかりに数年前に人形道祖神を見に来てお店にも寄らせてもらったことを伝えると覚えてくれて再訪を喜んでもらえてわたしも嬉しいーーー!!

ちょうどわたしが今回泊まる宿の近くにあるという十文字駅近くの珈琲屋さんがお客さまとしていらっしゃって、カシマサマや南部藩について等、色々と興味深い話を聞かせていただいたことも良い思い出。次はこちらのお店にも伺いたいな。

お話していたらあっという間にタイムリミット。まだ2度めの訪問ですが常連認定されたので、また必ずや訪れたいと思います。ありがとうございました!!

大雪の中でお見送り。ありがたや!

ちなみに前にも珈琲豆買って帰ったんだけどとっても美味しかったんだよね。浅煎りはないとのことだったので、今回も酸味があってフルーティーなものを選んでいただきました。旅から戻ってきて飲んだらまさにわたし好みの味で嬉し。大切に飲みたいと思います。

はじめまして、道の駅のカシマサマ

電車に乗る前に、あと1箇所行きたいところがあるのです。急げ急げ!雪の中をかけぬけます。「道の駅おがち」の近くにあるというカシマサマ。前回その存在をうっかり見逃してしまったのです。

でも、やっぱり雪で!思うように場所がわからない・・・!!行ったり来たりしながらやっと発見・・・!!!

なんとなくシルエットが見える!

でも!でもでも!!周りに雪がバリケードのように降り積もっていてこれ以上近づけないっ。どうやってあそこまで行けるのかわからないーーーーー!!!!!目の前にあるのにどうやっても食べることができない人参を追いかけている馬の気分・・・。せめて脛まで隠すくらいのロングブーツだったら道なき道をズボズボ歩いて行けたのだけど、今回のわたしの装備では無理でした。雪、おそるべし。今回の雪旅でたくさん学べるような気がしています・・・。遠くから眺めるだけで道の駅のカシマサマとの初対面は終了。大人しく駅へと向かいましょう。

こちらでも岩崎と同じくあちこちで雪かきをしていました。うーん、ほんと大変だ・・・。

ピーンと触覚みたいで可愛いなぁと思ってたワイパー。寝かせたままだと凍ってしまうらしい。なるほど!

旅のはじまりは「再訪」がメインのカシマサマ巡り。初夏の姿とはぜんぜん違うそのお姿を拝むことができて感無量。次は毎年7月中旬に御返事のカシマサマを作り替えるお祭りの時に行きたいな。3度目の訪問を楽しみにしたいと思います。

駅でも雪かき。ご苦労さまです!

②秋田・青森ひとり旅2024-2025へつづく▼▼▼

【03】鹿児島GW帰省旅2024・桜島大正大噴火編

今回の旅は故郷鹿児島の象徴ともいえる火山、“桜島”のことを知りたくて始まった旅。今日も今日とて窓から桜島を眺めながらバスにゆられて進みます。

CONTENTS

桜島大正大噴火とは

桜島は約26,000年前の誕生以来、17回の“大噴火”を繰り返してきたそうです。一番近い時代の大噴火は大正3(1914)年1月12日午前10時過ぎから始まった大正大噴火噴火が収束するまで1年数ヶ月もかかったといいます。

垂水市牛根麓地区から撮影された大正大噴火時の桜島(解説板より)

最初、私は前触れもなく突然噴火が起きて人々が逃げ惑ったのかと思っていたのですが、大正大噴火の起きる前年から南九州では地震や噴火、地盤の隆起などの異変が起こっていたそうです。1、2ヶ月前からは井戸水の水位の変化等、数日前からは地震も頻発し、噴火2時間前には桜島の一部から白煙が上昇。これらの異変に不安を感じた島民は、現在の鹿児島地方気象台である測候所に問い合わせますが、「避難の必要はない」との返答。各集落で自主的に避難を始めたものの、測候所の言葉を信じて残った者は噴火後の避難となり、島民の人的被害は30名にのぼることに・・・。うち20名は噴火による直接的な被害ではなく、溺死で亡くなったといいます。避難するための船が足りず、地震や激しい降灰の中でパニックになり、避難しようと1月の極寒の海に飛び込み溺死した人も多かったようです ・・・。つらい。

昨日海潟の海岸から見た桜島。大正大噴火時はもちろん海潟にも被害がおよびました。桜島から海潟を経由して垂水方面に避難する人たちも多かったようです

大正大噴火により桜島の5つの集落は溶岩に埋め尽くされ、そのほかの集落の多くは火山灰に埋没、あるいは火砕流で消失。噴火開始から約8時間後の午後6時半には、桜島と鹿児島市間の錦江湾を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、桜島以外の地域もあわせると噴火による死傷者は171名にのぼりました。新年が始まったばかりで正月気分もまだ完全に抜け切っていない人々の身に容赦なく襲いかかる自然災害。今年の元旦に起きた能登半島地震をいやおうなく思い出してしまいますね・・・。

鹿児島市内にも裏側に大正大噴火の様子が記された「桜島爆発記念碑」があります(2022年撮影)

地震を予知するのは難しいけれど、噴火には予兆があるということを知れたのは良かった。あと、他人の言うことを鵜呑みにせず、自分自身でもちゃんと考えて判断し、行動することがいかに大事かということも痛感。自然災害に限らず、人災や、日常生活においての些細なことでも通じることだよなぁ・・・。そんなことを今回噴火について調べていて感じました。常にぼんやりしがちなので、自分の「あたま」でちゃんと考えるようにしたいね・・・。あ、脱線しました ・・・。戻ります。

牛根麓稲荷神社の埋没鳥居

まず最初に向かったのは、この大正大噴火によって埋まってしまった「埋没鳥居」。「埋没鳥居」というと桜島内にあるものが有名なのですが、実は大正大噴火によって埋没したもうひとつの鳥居が大隅半島の垂水市にひっそりと存在しているのです。

バスを降りて鮮やかな赤い花に導かれながら奥へと進んでいきます。

数軒の民家を抜けて、鬱蒼とした森に囲まれた場所に辿り着きました。

ずいぶん前に遊歩道として整備され、そのまま放置されたかのような寂しい階段を登ってきます。

地面から少しだけ顔をだした鳥居が目の前に現れました。

真ん中はまるで最初からそうだったかのように、端正な形でスライドしています

牛根神社帳によると、「鳥居石高一丈一尺五寸」(約3.7m)あるらしい。大正大噴火の降灰によって埋没し、現在は約1.45mまで掘り出した鳥居が現存するのみ。ここら辺一体は灰に沈んでしまったのですね・・・。

さらに階段を登っていくと小さな祠がありました。お参りは大事です。

一瞬曇り空に光が差してとても綺麗でした

埋没鳥居より少し手前には、桜島を遠望できる空間もありました。

ては、これからあそこへ・・・

歩いて向かいますぞ!!!

こっから「ピョーン!」て飛んでいけないかな?

歩いて桜島に行こうとしたことを後悔するの巻

さっきまでいたちょっとした森から里に降り立ち、桜島を目指して歩き始めます。Googleマップで時間を確認すると「約2時間」。いけるっしょ!やれるっしょ!!自分を鼓舞しながら歩きます。

桜島へ近づいていることを実感させる電光掲示板にも胸ときめきです。

森の上からも見えていた白い牛根大橋を渡っていきます。見渡すと海にぽつりぽつりと浮かぶ小さな船と、味わい深い建物と煙突の印象的な景色が広がっていました。

不思議な魅力

こっから鹿児島市に突入です・・・!!!

噴火によって地形が変わった「桜島口」

橋を渡ると、道路の端にゴツゴツとした岩が並べられている不思議な光景が見えてきました。

ちょっと異様な光景

ここ一帯は「桜島口」と呼ばれる場所。

なんと桜島は大正大噴火によって流れ出した溶岩によって大隅半島と繋がった“元”島なのでございます!そう、ここは噴火が起こる前、幅300〜400m、深さ70〜80mの瀬戸海峡だったのです。噴火後の約2週間ほどで溶岩により埋めたてられ、大隅半島と陸続きになったのだといいます。そんな自然の神秘が凝縮した場所に私は今立っているのだ・・・!わなわなぶるぶる・・・(ということを、その場じゃなくて今初めて知りました!!)

溶岩に埋め立てられた直後のこのあたりの写真。右側はゴツゴツとした桜島の溶岩、左側は大隅半島。解説板より

桜島を歩く歩く歩く

ついに桜島に足を踏み入れた!やったーーーー!!!

とはまだまだなりませぬ!目的地はまだまだ着かない、着かないよーーーーー!!!!!

なんで歩こうなんて思ったんだろう・・・

赤と緑の葉っぱが不思議

歩いても歩いても・・・ぜんぜん着かない・・・!!!重い荷物を持ってほぼ何もない道路を歩くのは、根性なしのわたしには1時間が限界だよ・・・。

歩きなので、降ってきても避けられませんよ?

車やロードバイクで走っていく人たちを多く見かけたけど・・・歩いている人は・・・わたしだけでしたね・・・。

あ!なんか見えてきた!!!

桜島火山展望台

とうの昔に潰れてるっぽいね・・・?(でも好きな感じよ)

「桜島火山展望台」というだけあって、桜島のもくもく感がよく見える・・・!!(あ、でももしかしたらもう少し歩いたとこから撮ったかも )

歩いて歩いて歩いて向かった先は・・・

塩屋ヶ元 退避舎・避難港

桜島には噴火の際に避難するシェルターや、避難港があちこちに設置されているのです。建物には「8」の数字が書かれています。

シェルターを通り過ぎると海面に鮮やかな緑を映した港が見えてきます。

この辺りの地区の人は、ここから避難するのね。住民は噴火の際の訓練や、学校では火山島独自の授業があったりするのでしょうか

港で休憩がてら青空ごはんするつもりが、関係者以外立ち入り禁止になっていてがっくし・・・。わいの足はもう限界をとっくに過ぎているんじゃよ・・・。

おじいさんと、古いお墓と、白い猫

仕方ないので桜島での本命だったもうひとつの埋没鳥居へと向かっていると、車で休んでるおじいさんに話しかけられました。みたところ80〜90歳くらい?ちょっと心配になるくらい。

「何しにきたの?」とおじいさん。避難港や埋没鳥居を見にきたことを伝えると、「この辺りはみんな通りすぎていくけど、昭和の噴火の土石流でできてるんだよ」と教えてくれました。

大正大噴火についてはぼんやり知っていたのだけど、昭和の噴火についてはよく知らず、その時はいまいちピンとこなくて何にも質問が思い浮かばず・・・。もしかしたら当時の昭和の噴火を経験している方だったのだろうか?貴重な話を聞けたかもしれないのに・・・!頭の回転が遅いので、こうやって事前に調べないことでチャンスを取りこぼしていくことが多い。嗚呼、もっと会話が上手な人間になりたいな・・・。

白猫さんたちにも会いました

おじいさんと別れて再び埋没鳥居に向かっていると、草がぼーぼーの空間にとても古い墓石が不揃いに並ぶ光景に引き寄せられます。気軽に踏み入れてはいけない雰囲気に息を呑む・・・。敷地の外から眺めるだけに留めたのだけれど、明治、大正の文字が見て取れます。もしかしたらもっと古いものもあったかもしれません。

古い墓石。このあたりも噴火の被害を受けているのだろうなぁ

そこに先ほど出会った1匹の白猫がとことこやってきて、お供えの器に溜まった水を飲んでいる。なんて胸が締め付けられる光景。最後はわたしを睨んでいたよ。キュン!

ふいに訪れる大好きな光景との出会い。やっぱりそんな瞬間にこそ、大好きな写真が撮れるのだ。

黒神埋没鳥居

素敵な空間に出会えたことにドキドキしながら、歩いて数分の埋没鳥居へ。

やっと本命の場所に着いた!着いたぞ!!うぉぉぉーーーーー(喜びのあまり叫ぶ)。腹五社神社内にある黒髪埋没鳥居です。

埋没鳥居の天狗の葉っぱ添え

埋没鳥居横で根を張るアコウの木にも釘付けに。火山で埋没した鳥居と、噴火を生き延びたアコウの木。時の流れと、生命力を強く感じる場所でした。

アコウの木は母校の小学校にも立派なものがたっていたので、私にとっては特別な木

鳥居があるということは、もちろん奥には拝殿があります。ちゃんとお参りしましょうね。

大正大噴火で御神体の一部は燃えたものの、無事であったものについては現在もそのまま祀られているそうです

こちらの埋没鳥居、GWということもあってかめっっっっっっちゃくちゃ観光客が多い!多い!多過ぎて!!なかなかうまいこと写真が撮れず・・・。(垂水市の埋没鳥居では人っこひとり会わなかったのに・・・)ねばって人が少ない瞬間をぱしゃり。

女性が拝んでいた祠の中では松ぼっくりがお供えされていました

昭和噴火〜黒神ビュースポット〜

実は時間との戦い・・・!!帰りのバスの時間が刻一刻と迫っていたのであった。わたしはフェリーに乗って鹿児島市街地へと渡り、そこからさらに電車で数時間揺られて実家へと帰らねばならないのだ。

ゆっくり休む間もなく埋没鳥居からちょっと離れた黒神ビュースポットへと競歩で向かいます。

桜島を歩いていると、噴火の痕跡を感じるようなゴツゴツとした岩や若い木々をあちことで見かけました

やってきたのは避難壕。

暗号のような数字はなんだろう?

この避難壕は上に登れるようになっていて、ここからは昭和噴火によって溶岩が流れた「昭和火口」を眺めることができるビュースポットにもなっています。

実はいまいちよくわからなくて、なんにも写真撮ってませんでしたね・・・。この時いったい何を見てたんだろう・・・。なぞ。

ちなみに噴火している時はこんな景色が見れるそうです(解説板より)

さっき出会ったおじいさんが話していたのはこの昭和噴火のことだったのね。昭和21(1946)年3月に起きた噴火は、爆発の規模はあまり大きくなかったものの、溶岩の流出量は意外に多く、黒神地区は全滅、有村地区はその大半を失ったそうです。今いるのがまさにその場所。あぁ、このことを知った上で、おじいさんにもっと話聞きたかったなぁ・・・。

水色の部分が「昭和噴火」で溶岩に飲み込まれた範囲。他にも文明、安永、大正時代の噴火による溶岩も。噴火の度に地形が変わっていったんだろうな(解説板より)

ちゃんぽんチャレンジ!椿の里

歩いて行ける範囲での噴火の痕跡をまわり、再び埋没鳥居の近くに戻ります。よしよし、ちょっと時間に余裕がある。これならバスに間に合うわ!よかったーーーーー。

ふと、ちゃんぽんの幟に目が止まる。

そして、中から出てきたカップルの会話が耳に入ってきたのである。

「美味しかったねー」

おいしかったねーおいしかったねーおいしかったねーーー(リフレイン )

・・・未だ昼ごはんを食べてらおらず、疲労は最高潮。バスまであと40分しかないけど・・・よし、

レッツ!ちゃんぽんチャレンジだ!!

お店にはいってドキドキしながらちゃんぽんを注文。はやく料理してほしいけどこっちの都合なのでなんにも言わずにただひたすら神に祈る・・・。どうか!間に合ってちょーだい!!!

鹿児島市ではお馴染みの大根のおつけものをポリポリ食べながら祈る

あぁっ、あと10分ほどでバスが出てしまう・・・っ(ハラハラドキドキ)というところでついにちゃんぽん様のご登場・・・!!

え、なんかおもてたんと違う!!(いい意味で )めちゃくちゃ美味しそう!!!

そして!なんと!ありがたいことに!人肌!!!!!熱々だったらもうぜったいにバスに乗るのは無理だったよ・・・っっっ。

これならいける・・・!!!(確信)

ぱくり。う、うまい!!まじでうまい!!!野菜がたっぷりなのも女子的にうれしい。味が沁みた分厚いお肉も最高。超特急でかっこみ約7分ほどで完食!おら頑張った。スープを全部飲めなかったことだけが心残りよ・・・。そして店主とゆっくりお話しできなかったことも。せっかく話しかけてくれたのにーーー。

「バスの時間があって!でもめちゃくちゃほんとに美味しかったです!!」

別れ際に店内に響き渡るように大声で告白して、バス停に猛ダッシュ!!!(今思うとちょっと恥ずかしい )

なんとか間に合ったーーー!!!ちゃんぽんダッシュ、成功です!!!!!賭けだったけど、お店に入ってほんとよかったなぁ。

桜島のほんの一部しか観光できなかったのでまた行きたい

無事バスにも乗れて余裕しゃくしゃくでフェリー乗り場に到着すると、なんと!長蛇の列・・・!!!ご、ごーるでんうぃーく・・・まじか・・・・・。出航時間が過ぎてるのにフェリーに乗り込めなくて超焦った!焦ったけど!!なんとか乗り込み出発っ。

フェリーに乗ったらアイス食べたい人間なのですが、ぐるぐる歩いて探しまわったけれど自販機が見つからない・・・。ないの?それとも見つけらなかっただけ・・・!?アイス食べた過ぎて気が狂いそうだったけど、ビタミンC摂取してなんとか気持ちを落ち着かせました・・・。

地元の友人曰く、行きの時に桜島についてから道の駅でみかんソフトクリームを食べるのかセオリーらしい。次はぜひともそのコースでゆきたい!まだまだぜんぜん桜島を見れていないので、また行きたいと思います。

願わくば、もう大噴火は起こらないでほしいね・・・。それは人間に息をするなと言っていることに等しいことなのかもしれないけれど

さて、その後は予定通りの電車にもなんとか間に合って無事帰省することができました。よかったー!

最後に

今年のブログは偶然なのか、必然なのか。火山で始まり、火山で終わるのでした。

今年の1本目。2024年1月2日に一泊二日の弾丸で訪れた火山島「竹崎島」での旅のはなし▼▼▼

ひそかに来年、一番行きたい場所も火山の島なのだ。行けるかな、行きたいな。行く、行くぞ・・・!!!(ことだまっ)

それではみなさま、今年もわたしの好き勝手な旅劇場にお越しいただきありがとうございました。良い年をお迎えください。来年もどうぞ、どうぞよろしくお願いいたします。

おまけ

帰省時に父親に連れていってもらった場所の写真をランダムに・・・。

帰りの新幹線の中では池田パンの「ジェットパン」と、海潟のキヌサヤ最中を食べて最高の〆!!!

【2024年・完】

参考文献・サイト

報告書(1914 桜島噴火) : 防災情報のページ - 内閣府

桜島の大正大噴火 - Wikipedia

30 桜島口 - みんなの桜島

照国神社近くに建つ「桜島爆発記念碑」: 鹿児島ぶら歩き

腹五社神社 - Wikipedia

【02】鹿児島GW帰省旅2024・垂水市海潟編

バスを乗り継ぎ垂水市海潟(かいがた)へと向かいます。バスでの移動中、窓からずっと桜島が見えているのが印象的でとても好きでした。

桜島に向かって走る!

CONTENTS

「海潟」でバスを降りると、道の片隅には真っ赤な躑躅が咲いていました。

宿にチェックインする前に真っ先に向かったのは・・・

閉店になる前に急げーーー!!!

内田菓子店の「キヌサヤ最中」

バス停から歩いて数分の「内田菓子店」。

お目当てはもちろん・・・

キヌサヤ最中だ!!!

巷ではあんこ嫌いで有名なわたくしですが、少しずつ大丈夫になってきている今日この頃。子供の頃も黒々とした小豆ではなく、白あんなら食べれたのだ(大人になるにつれて「餡子」という思い込みで食べられなくなった)。

包装紙のイラストからして可愛いーーー!!!

この「キヌサヤ最中」なら可愛さ故、食べれる気がする・・・!餡子を食べたくないという気持ちよりも、「可愛いご当地最中」を食べたいという気持ちの方が勝ったのである。それに餡子好きの母親へのお土産にちょうど良いと思ったのだ。箱詰めも出来たけれど家族へのお土産だし、バラでキヌサヤ最中を10個購入。お店のおばあちゃんがレトロな包装紙で包んでくれます。

これを壊れないように優しく包んで持って帰るのがわたしの使命よ・・・!!

ストアーほりのうち

無事にお目当ての最中をゲットし一安心。荷物が重すぎるし歩きすぎて足もすでに壊れていたので、夜ごはん買ってお宿でゆっくりすることにします。重い足を引きずりながらUターン!先ほど降りたバス停のすぐ近くにある「ストアーほりのうち」へ。

こちらはどうやら唐揚げが有名らしい。ごはんは売り切れてしまったとのこと(白米大好き!白米食べるためにおかず食べてる説)。仕方ないので揚げたての唐揚げとピーナツ豆腐を購入して、明日の朝ご飯用にパンもいくつかみつくろう。疲れを取るためにオレンジジュースもね。

トンビ襲来・・・!青空弁当の危機

宿で食べるつもりだったけど、まだ明るい空と揚げたての唐揚げの匂いを嗅いでいたらすっかり気が変わっていました。せっかくだから海に浮かぶ桜島を愛でながら、揚げたての唐揚げを食べてしまおう・・・!!海沿いをうろうろしてちょうど良い場所を見つけます。

満潮時にはこの場所も海に沈んでしまうのだろう

本日の夕ごはんはこちらです!!!

財宝と書かれている水は、ここ、垂水市の温泉水。実はわたしが働いている会社ではこの水を毎月注文して日常的に飲んでいるのだ。垂水市の水とは知らなかったのでビックリ

封を開けて・・・いただきまぁーーーーーす!!!

・・・あれ?お箸が入ってない・・・。あれ?あれ??唐揚げから目を離してごそごそビニール袋の中を漁っていると・・・

ビュン!!!!!

な、ななななんと!唐揚げの入っている皿めがけて突進するトンビ!!!宙へとダイブする唐揚げたち・・・!!!!!

悲しみの惨劇が繰り広げられるのであった・・・。

落ちた唐揚げを回収しようと上空を旋回するトンビたち

「3秒ルール」のもとに、一個だけささっと拾い上げてぱくりっ(秘密だよ!)動揺しすぎて味はちっともわからなかったよ・・・。唐揚げは全滅だけど、ピーナツ豆腐は無事。箸はないけど!でも大丈夫、吸えばいいんだよ・・・!!そんなわけで、見苦しい姿でちゅーちゅー吸いながら食べるのであった。海潟では夕闇時の海辺に妖怪「ピーナッツ豆腐吸い」が現れるそうな・・・。

ピーナッツ豆腐!美味しかった!!!でもこのままだと夜にぜったいお腹空いちゃう・・・。小腹が空いた時用にちょっと多めに買っていたパンの中から、池田パン(鹿児島といえば)の焼きそばパン選び、胃袋を落ち着かせるのであった。

安定の焼きそばパン。うまうま

海潟温泉

海潟は昭和初期に開湯した小さな温泉地。戦後しばらくは指宿や霧島と並ぶ温泉地として発展したそうですが、市が漁業に力を入れたために衰退。その名残は今でも点在する宿からほんのり感じることができます。桜島が望める海沿いの温泉宿はGWということもあり予約でいっぱい!残念ながら温泉ではない民宿に宿泊することに。でも、せっかくだから温泉に入りたい・・・。

よし、もうこのまま温泉へ行ってしまおう・・・!!近くの共同浴場へと向かうことにします。

豆電球が愛しい看板発見

江之島温泉共同浴場

惹かれるように奥へと続く細道を歩いていくと、 小さな空間に建物がふたつ並んでいました。

めちゃくちゃいい!!とてもいい!!!

その佇まいからきっと素晴らしい温泉に違いないという直感がピーン!そしてその筋の人たちに有名な温泉に違いないと確信・・・(後で調べてみたらやっぱりそうでした)。

この一角もよき

右側が温泉の建物で、左側の建物でお金を箱に払って入るシステム。ロッカーはないので、貴重品がある場合はこちらで人を呼んで預かってもらいましょう。

いざ、温泉へ・・・!!!

セメント(?)の立体文字もよき

想像を遥かに超えて ・・・最高によかった・・・。

穴の空いたパイプの両側から弧を描き湯船に向かって勢いよく流れ落ちるお湯も、可愛らしい豆タイルも、木造の壁の雰囲気も空間のすべてがたまらんかった・・・。泉質も素晴らしい!ぬるぬる最高。テイエム牧場温泉と同じくご近所さんたちの憩いの場になってるのも素敵。人が途切れず(それどころかますます増えて)写真は撮れず・・・。でもそのおかげでより一層その時のときめきが胸に強く刻まれたのでした。

脱衣所に飾られていたオールド上海風味な石鹸のポスターのみパシャリ

また行きたい温泉が同じ日にふたつもできるなんて・・・! それもまったく趣の違う温泉。大隅半島おそるべし。自信をもってお勧めできる温泉なので、皆さまもぜひハシゴしてくださいな。

きた道とは反対側の細道もとてもよい

こまどり荘

本日宿泊するのは夕闇にのみこまれゆく「こまどり荘」。なにがいいって、その名前がイイ・・・!

遠くに「こまどり荘」の文字が輝く

宿では女将さんが出迎えてくれました。チェックインをすませるとお風呂のことを聞かれたのでつい、先ほど入った江之島温泉が素晴らしかったことを興奮ぎみに女将さんに伝えるのであった。

昭和レトロな玄関。水槽がいいアクセントになってます

こまどり荘はおそらくリフォームされてて、まるで親戚のお家におじゃましているようなお宿。あちこちに置かれてる昭和な人形がたまらなかったし、部屋にまるで聖書のように置かれているゴルゴもよかったです。

あちこちに昭和のカケラ

 現代の聖書かもしれない「ゴルゴ」

トイレも綺麗だったし(お風呂は見てない)、3,500円で寝泊まりできるのだからじゅーぶん!男性の宿泊客もいたのに鍵は渡されなかったのでちょっとドキドキしたけども(中からはかけれる。たぶん言ったら鍵をもらえたのかも)。

「キヌサヤ最中」実食〜餡子ぎらいの最中デビュー〜

海で夕食を食べて温泉から上がったあとの甘いものはマスト。そう、わたしにはキヌサヤ最中があるのだ・・・!ついに「可愛い最中」デビューです。

ここ垂水市は、キヌサヤエンドウとインゲンの栽培で全国の知られているそうです。そのキヌサヤエンドウの形を模した最中が名物で、鹿児島市内や他の市町村から買い求めにくる人もいるんだとか。

では、早速中身を拝見・・・。

か、かかかかかかわいいーーー!!!

生まれて初めて食す最中の一番目がこれって!最高すぎるのでは・・・!??

勇気を出して・・・ぱくり!!!

み、緑ぃぃぃーーーー!!!

まるでエイリアンの血のような・・・!鮮やかな緑です・・・!!!

餡子ぎらいだけどお味も大丈夫!ふつーに食べれる!!(わたしにとっての褒め言葉)後日、実家に帰った時に母親に残り全部お土産として渡したら「美味しい」とたいそう喜んでました。よかった!

なんと重ね合わさった最中を剥がすと中にはお豆が3粒お行儀よく並んでいるらしい(ネット上で見た)。あぁ、この目で確認したかった・・・!!

キヌサヤ最中を包んでいた包装紙のイラストももちろん可愛いし、それらを包んでいた包装紙もめちゃレトロで可愛い。 「内田あめ」「海潟しぐれ」「江ノ島せんべい」「ホタルしぐれ」などなど気になるものばかり・・・。

もう作られていないものがほとんどらしいけど、海潟が映画「ホタル」のロケ地になったことがきっかけに作られたという 「ホタルしぐれ」は今でも販売中。写真で見たらちゃんと蛍の形してた!

さて、全国各地にはその土地の名物を最中にして販売してたりする(例えばサザエやロケットやカブトガニなど)。おそらく新たに開発されるものより昔から販売しているものが多く、その形や包装紙も個性があってレトロで可愛い。わたしは地元の老舗菓子店にある昭和な最中に心惹かれるのだなぁ。というわけで、これからも全国各地の可愛いご当地最中を求めて旅したいと思います。そしていつか餡子を克服して、自信をもって「好き」と言える自分になるんだからな・・・!!

出発の朝

翌朝、宿のご夫婦と昭和レトロなお猫に見送られて出発です。

我が家にもこのシリーズの小さい子がいるけど、藍色タイプは初めてみた。ハンガリーっぽい!いろんな種類があるんだね

さよなら、海潟。また会う日まで・・・。 

「海潟(かいがた)」。好きな響き

■参考サイト

内田菓子店 | 垂水市観光協会

海潟・江ノ島

海潟温泉 - Wikipedia

【03】鹿児島GW帰省旅2024へつづく▼▼▼

⑧初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024【鎌倉・前編】

旅の執着地点は鎌倉。

鎌倉駅

本日宿泊するお宿へ・・・。

CONTENTS

ホテルニューカマクラ

駅からとことこ歩いて数分・・・(なのに方向音痴だから迷ってしまったよね!!!)

ここの道好き。「素泊り受付→」の文字もたまらぬ。

Hotel New Kamakuraでございます!

敷地の入り口に掲げられた印象的なフォント

今回宿泊するのはもちろん戦前に「山縣(やまがた)ホテル」として営業していたという大正13(1924)年に建てられた本館。

左の建物が本館(木に隠れてるけど・・・)で、右が2001年に新築された別館

駐車場にある小さな小屋?で受付を済ませ、本館へと案内していただきます。まだ若そうな青年でしたがとっても親切でした。電話で予約する時に対応してくれたおばさまも親しみやすくてとっても感じがよかった。そんなスタッフたちが働くホテルはとても柔らかくて居心地のいい空気が流れていました。

本館ではたぬがお出迎え

大正時代に「山縣ホテル」として営業を開始する以前、この敷地内には料亭・貸別荘の「平野屋」がありました。避暑に訪れた芥川龍之介と歌人の岡本かの子の出会いの場所としても知られています。

駐車場の看板

平野屋は大正12(1923)年の関東大震災で倒壊。その翌年に誕生したのが鎌倉初の洋風ホテル「山縣ホテル」でした。現オーナー一族が買い取ったのが昭和の初めで、戦後は米軍に接収されたり、松竹映画関係者の宿、社員寮、カフェとして営業した時期もあったそうな。

本館1階「松の間」

様々な変遷を辿り現在に至るホテルニューカマクラ。1階には、よりクラシックな雰囲気を感じられて人気という部屋「御成」や、寄木細工風の床が美しい共用スペースの「松の間」等があります。

美しい床

当時の雰囲気を保ちつつ改修している印象。本館には部屋にトイレや浴室がなくて共用なので、それはちょっと・・・という方は新築の別館に泊まることをおすすめします。別館も侮るなかれ。戦前の大地震で倒壊した平野屋の茶室にあったという唐傘が照明に使用されているそうです。気になる〜! お値段はクラシックなしつらえとは対照的に、比較的お手頃価格。部屋等によって価格帯が違っているので、公式サイトでご確認を。

本館2階

では早速わたしが泊まるお部屋のある2階へと向かいましょう。

 玄関正面にある魅惑的な階段

ちなみに宿泊客のチェックイン前なら他のお部屋も見学することができます。そんなゆるさもありがたや〜(1階の御成はすでに宿泊者がいて見学できなかったのが残念!この日はたまたまなのか、宿泊客は私の他は外国の方ばかりでした)。

「さくら」のお部屋素敵だった。春には実際に窓から桜を見ることができるらしい

雰囲気のある通路

「TVチャンピオン」のリフォーム王選手権で優勝したという「北紀行」

古風な畳の間「天空」。湯呑みが入っているであろう木箱が素敵・・・

そしてこちらがわたしのお部屋。2階角部屋の「雪の下」です。部屋のプレートを照らす照明も素敵〜。

シックな内装の「雪の下」

鎌倉の夜

さぁて、真っ暗になる前に鎌倉の街へと繰り出しましょう。どうしても行きたい場所が1箇所あったので、そこを目指しててくてく歩きます。

素敵な建物発見!

夕闇の中で見る六地蔵にドキドキしたり・・・

事故が多い場所なのかしら

THE BANK

威風堂々としたTHE BANKへ・・・!!!その名の通り、元々は1927(昭和2)年に鎌倉銀行・由比ガ浜出張所として建てられた建物で、現在はバーとして営業しています。

しびれる佇まい

堅牢な灰色の外観と、窓からこぼれおちる橙色の暖かな光。その灯りに誘われるように中へ・・・。

硝子の欠片を繋ぎ合わせたような扉にもウットリ

1階・Bar

暗い!とても暗い・・・!!!けどまたそれがいい・・・。

照明もオシャレ!

なんてムード溢れる大人の空間なのでしょう。心は万年ヒヨッコのわたしは内心ぷるぷる・・・。

当時のままの天使のレリーフ(暗くてざらざらごめん・・・)

大理石のカウンターや木の手すり、まるっこい革の椅子も素敵

パッションフルーツを使ったお酒と燻製チーズのおつまみ。お通しのドライフルーツ、ナッツも美味しかった!!カウンターではお店のスタッフが常連さんとお話しして、ほっといてくれるのが私にはよかったかも?ゆっくりこの空間を味わうことができました。

2階・THE BLANK(イベントスペース)

普段は公開されていないというイベントスペースの2階を見てみたくて、購入するつもりもないのに(ひどい)器展のやっている2階へ・・・。失礼ながら初めて知った吉田直嗣さんの器。パッションフルーツのお酒にも吉田さんの作品が使用されていました。

目の前に広がる白と黒の世界。買うつもりなかったんだけど・・・お店の人がとても感じが良くて、ひとつ気になったカップがあったので購入してしまいました。旅マジック!「初めての吉田さんですか?」と言われたのが面白かったです。

はい、これが私のファースト吉田さんです

吉田さんは白磁のお師匠さんのもとで修行していて、ほとんどの人は白磁の道へ進むらしいのだけれど、吉田さんは独自の作品を作っているのだって。黒は鉄釉とのこと。たぶん、白磁だけだったら私は惹かれていなかった。鉄釉、好き。

いただいた冊子の吉田さんのエッセイも良かった。ネットで見つけたインタビューも面白かったので載せておきます。

苦しいものからは逃げてもいい。明確に感じる嫌なことや違和感を“選ばない”ことで、自分だけの「好き」の輪郭がはっきりする。それはうつわのかたちにも、わたしたちの生き方にも当てはまる。(上記の記事より抜粋)

心に正直になるべく余計なものを削ぎ落として、シンプルに「好き」を極めていきたいものですね・・・。

ちなみに購入したカップはコーヒーやワインを飲むのにめちゃくた愛用しています。縁が欠けやすいから気をつけるように言われてたのに、愛用しすぎてうっかり欠けちゃったので、金継ぎで直したいな・・・。金継ぎ映えると思う。

さて、2階の写真も撮らせてもらったんだけど、商品はネットにアップするのはNGだったので、雰囲気のある柱時計だけ載せておきます。

柱時計

外に出る頃にはすっかり暗くなり、THE BANKのうしろには月が昇っていました。

夜の姿もいいね

再びホテルニューカマクラへ

夜はライトアップされていて雰囲気マシマシ・・・!

本館上も看板もライトアップ!

ロビー天井のロマンティックな装飾

夜ごはんはTHE BANKのおつまみだけ・・・じゃもちろん我慢できない!箱根のピコットで買ってきた潰れたパン・・・いただきます・・・・・。(潰れても!惜しかったよ!!)

今回の旅で大好きになったピコット。美味しい

翌朝、窓を開けると雨が降っていました。

目の前には鎌倉駅のホーム

旅の最終日。どしゃ降りの鎌倉観光へ出かけましょう。

鍵はこちらへ

参考文献・サイト

大正ロマンの香り漂う老舗、「ホテルニューカマクラ」ってどんなところ? - [はまれぽ.com] 横浜 川崎 湘南 神奈川県の地域情報サイト

「鎌倉にこんな穴場が!」大正ロマン感がすごい、4,000円台~のホテルは女子一人旅にぴったり

旧鎌倉銀行ビルに復活、伝説のバー THE BANK(前編) | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]

地元の住人が受け継ぐバー、憧れの「ころあい」 THE BANK(後編) | 朝日新聞デジタルマガジン&[and]

⑨初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024(完結)へつづく▼▼▼

⑥初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024【箱根編】

CONTENTS

ロマンスカーに乗って

小田原駅から箱根にGO!

特急ロマンスカー、赤くてまるっこくて可愛い〜!!

緑にかこまれた車窓からの風景が美しい。鉄子じゃないけどスイッチバックにもあがる〜!電車で箱根に行くのとても良いね。

胸をトキめかせていたら、あっという間に紫陽花の咲く箱根駅に到着。

箱根

初めまして箱根。歩いて街中へと向かいましょう。

箱根の街を見続けてきたであろう写真館を発見。

建物にはSInce 1878の文字

ショーウィンドウには見覚えのある顔が・・・。

ジョンレノンにオノヨーコにチャップリン!山口さんは知らない・・・と思って調べてみたら富士屋ホテルの経営者だった!

わたしの箱根のイメージはまんまこの写真の通り、ジョンレノンにオノヨーコ。そして富士屋ホテルです。予定ではもっと早く出発して富士屋ホテルの贅沢モーニングを食し、館内を見学したいなぁと思ってました。だって!泊まれないから!!貧民には無理だから・・・!!!

でも、小田原で泊まった旅館がとっても好きだったので、それだけでもう満足してしまったのだ。

案内の看板を発見

でも、せっかくなので富士屋ホテルの外観をちょろっと見学しましょうね。

朱色の太鼓橋に百合がだらり

立ち寄り湯を予約

そしてわたしは重大な任務に取り掛かる。立ち寄り湯の予約!だっ・・・!!どーしても入りたい温泉があったのだ。電話をかけると、明るい声の女将さんが出ました。ちょうど誰も入っていないとのこと。やったー!今から行きます!!

3つあるお風呂のうち、《岩風呂》を抑えておくと言われたので、「湯船の・・・タイルの・・・(しどろもどろ)」そう焦りながら言うと、「とーっても!とっても変わったお風呂!!」ってもう超ご機嫌な感じで話す女将さん。私もつい「それそれー!それですー!!!」ってテンション高めで答えてました(照)

月廼屋旅館

そんなわけで富士屋ホテルを通り過ぎ、少し坂を登ったところに現れたのは月廼屋(つきのや)旅館さん。

玄関先には名前入りの灰皿。素敵!

玄関。右の穴は意味ありげだね・・・?(わたしの心が邪だから??)

さっきの女将さんとのやりとりを思い出してニヤニヤ&ウキウキしながら人を呼ぶと、女将さんではなく男性が出てきました。わたしのカメラを見るなり「お風呂場の撮影禁止!」とキツく何度も言われてビックリ!撮る気満々で来たのにまさかの撮影禁止とはーーーー!!!SNSで出回っている写真をよく見ていたので、てっきり撮影OKだと思っていたよ・・・。「無断でアップされてる」って言ってたけど、最近NGになったのか、それとも対応してくれる人によって違うのか??真相はわかりませんが、とりあえず私はその男性に何度も何度も注意され、「写真は撮りません!お約束します!!」とこっちも何度も答えてました。カメラはもちろんスマホも浴室に持ち込むのはダメとのこと。50分の貸切だけど、時間の確認もできないのかー。き、厳しいね・・・。

金精風呂

でも!浴室以外は写真OKって言われたから・・・!!よかったーーーーー。

雰囲気を感じとってもらえたでしょうか?

箱根金精大明神。教祖。気になるワード・・・。

教祖さま!私を奉賛会員に入れてください・・・!!!

この扉の向こう側にはとっても魅力的な湯船が待ち構えているのだ。あぁ、ネットにはアップしないからせめて自分の中だけの思い出として写真撮らせてほしい・・・。大好きな温泉だったから・・・。

仕方ないので記憶に刻みつけるしかない・・・!湯船に浸かって一通りお湯を楽しんだ後、温泉から上がって仁王立ちでじっと見つめる。

鮮やかなコバルトブルーの背景に浮かび上がる豆タイルで陰影まで繊細に描かれたふくよかな女体。いやらしい雰囲気はまったくなく、陽気で明るいオープンな雰囲気。その周りの岩には大小様々な凸と凹。

聞いたそばから話を忘れていくのが特技。記憶力皆無のわたくしです。無理!無理です!!5分ほど頑張ったところで、ハッと気付く。わたしは紙とペンを持っているではないかーーー!!!

そんなわけで、急遽真っ裸のスケッチ大会の始まりです。真っ裸で真っ裸の浴槽の絵を描く。なんてシュールなのだ。貸切時間50分の貴重な10分を使ってついに完成・・・!!!難しかった!難しかったけど、なんとかなった・・・!!?(気がする・・・っ)

へたっぴだけど!雰囲気はわかるよね!??

旅から帰ってきて仕上げたのがこちら。やればできる子・・・!!!

写真に残せなかったのは残念だけど、絵を描く喜びを味わえたので、これはこれで良かったと思うことにする。感じたことはすべて絵の中の解説にぶち込んだので興味のある方は読んでみてね。(ちなみにSNSやネットには写真が溢れているので検索してみて。たぶん、だいたい絵と合ってると思う!)

チェックアウト後の忙しい時間。色々と聞きたいこともあったけど、帰りは誰にも会えず。あの元気なおかみさんに会ってみたかったなー。機会があれば、今度は泊まってみたいです。

ベーカリー&スイーツ ピコット

箱根に行ったら絶対行きたかった温泉にも無事入れてハッピー!あとは腹ごしらえ。やっぱりミーハーだから「富士屋ホテル」の「富」くらいは味わいたい・・・。そんなわけでピコットです。こちらは富士屋ホテルのシェフの手によるパンやスイーツをお手頃価格でいただける庶民の味方!なのでございます!!

たくさん美味しそうなのが並んでいて迷う〜。とりあえずガレットとレモンパイ。お持ち帰りでカレーパンとクロワッサンとレーズンパンも購入したけど、リュックの中でペシャンコになっちゃった・・・(わたしあるある)。

ガレットめちゃ美味い!!!今までガレット食べても「ふーん」「おしゃれだね?」なんて斜に構えた感想しか持てなかったけど、これは美味しくて泣いちゃう・・・!!!もう一度食べたい。そう思うくらいとっても美味しかったです。使い捨てのフォークとナイフめちゃくちゃ食べにくかったけど・・・経費削減なのかな・・・。

サーモンとディルの何ちゃら

そしてもう見た目が可愛すぎるレモンパイ。これが食べたかったのーーーーー!!あぁ、ほんとかわいいなぁ。そしてもちろん美味しいなぁ。

ピコットでじゅうぶん満足!ピコットラブ!!になったのでした。

でもやっぱりいつかは泊まってみたいクラシックホテル。そんな日がいつかやってくるのだろうか・・・。人生に一度くらいは泊まってみたいって思うけど、やっぱりわたしが好きなのは小田原の日乃出旅館さんのような、まるでおじいちゃんのお家に泊まりしてる気分になるほっとするお宿のような気はしています。

⑦初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024につづく▼▼▼

⑤初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024【小田原・日乃出旅館編】

本日のお宿の最寄駅についたのは19時半過ぎ。改札を出るとおっきな提灯が真っ先に目に飛び込んできました。

小田原提灯がお出迎え

CONTENTS

小田原市にイン!

そう、訪れたのは小田原市。出迎えてくれた小田原提灯は、江戸時代中期に考案され流行した折りたたみ式の提灯。箱根越えをする旅人に重宝されたそうです。

日乃出旅館

小田原駅の喧騒をくぐり抜け、歩いて5分ほどでたどり着いたのは大正初期創業の日乃出旅館さん。とてもひっそりとした通りにありました。旅館の背後には月が浮かび、建物をより魅力的に輝かせています。

美しい

そして玄関には・・・

こ、これは!

狼・・・!!!

わたしがここ数年じわじわと気になっている狼信仰。東日本では「お犬さま」などと呼ばれ、信仰が盛んだったようです。そんな初めましてのお犬さまのお札が貼られていたのでもうこの時点で気分は最高潮・・・!(わたしはいつか狼を巡る旅に出る)

玄関

ワクワクしながら中へ入ると、旅館のご主人が出迎えてくれました。

床の豆タイルもかわいい。蚊取り線香も落ち着く〜

玄関を入ってすぐの所に神棚のある一角。先代のお母さまがとても熱心だったようで、様々な神様を祀っているとのことでした。玄関のお犬さまにも納得です。

ここにも小田原提灯。部屋ごとにあるそうです

さっそく部屋に案内してもらいます。

部屋の前から玄関を見たところ

部屋

本日のお部屋は二間続きのこちら。

粋で雅びな意匠

チェックインの手続きをしながらお喋りなご主人とちょっとだけ雑談。話していてなんだかとても気持ちがいいご主人でした。何十軒もあった旅館も、今ではここだけに。雰囲気のある旅館は映画の撮影にもひっぱりだこなんだとか。昔は料理も出していたそうですが今は素泊まりのみ。四代目というご主人がひとりできりもりしているそうです。

夜ごはん

チェックインをすませた後は、ちょっと遅めの夜ごはんを食べに外へと繰り出します。

初夏だけどクリスマスみたいなイルミ

地元の昔ながらのラーメン屋さんや居酒屋に行きたかったんだけど、残念ながらお目当ての場所がお休みで、夜も遅いので目についた今どきな餃子屋さんへ。

シナチク頼んだらボリューミーでビックリ!ひたすらシナチクしてました

にゅうめんと餃子もぐもぐ

日乃出旅館を味わい尽くす

さささーっと食べ終えて再び日乃出旅館へ。お風呂に入って明日のための早く眠るんだー。

 お風呂場へと向かう通路もとてもよき

左の飾り窓の向こう側がお風呂場です。

信楽焼の湯船で疲れを癒やす

木枠の扉も豆タイルもかわいい〜!!!

あちこちにちりばめられている豆タイルにキュン

そして奥にある湯船は信楽焼の特注品とのこと。一般的な湯船なら数万円でできるのに、計算違いでめっっっちゃくちゃお金かかったらしい笑(どのくらいかかったかは実際に泊まってご主人に聞いてみて)

お高級な湯船につかって大金持ちになった気分・・・?

洗面所

お風呂場とトイレのすぐ近くには大きめの洗面所もあります。翌朝撮った写真です。

モスグリーンの壁色も素敵

お手洗い

トイレは細長い作りで出入り口が2ヶ所あるのが特徴的。建物の奥にある小さめのお部屋側からも入れるように工夫がされているようです。撮った時間帯バラバラですが・・・。

奥の扉はトイレの外に繋がっている

暗かったので、小さなお部屋側の探検はまた翌朝またゆっくりと・・・。

朝の旅館探検

ワンワンワン!お犬の声と誰かと会話している声で目が覚めます。部屋の窓を開けると夜には気づかなかった小さなお庭がありました。

風鈴がぶら下がっていた

後で聞いたところによると、どうやら朝のお散歩中に旅館に寄ってお喋りしていく方がいるらしい。お犬にあげる餌もちゃんと準備しているんだって。他にも毎日お喋りしに来る人がいるんだとか。数年前に足を悪くされたそうで、玄関の車椅子に座って外をのんびり眺めてるんだろうなぁ。そんな穏やかな日常が頭に浮かびました。

昨晩暗くて探検できなかったお部屋へ。お風呂場のある通路を先に進みます。

朝の光に照らされて昨晩とはまったく違う雰囲気に

小さな玄関もありました。

ここにも豆タイル

奥にあるのは小さなお部屋。やっぱりわたしの泊まったお部屋が広々としてて居心地がよい。

トイレの前もう一つの出入り口の横にも小さな洗面所がありました。

左の扉がトイレに繋がっています

表情豊かな古い照明たち

旅館内のあちこちを照らす表情豊かな古い照明たちにも胸がときめきました。大正っぽい雰囲気のものからもっと時代が下った昭和っぽいものまで。創業当時のまま使われているものもあるんだろうなぁ。

時代を感じさせる照明たち(一部)

このチューリップ(それとも他のお花?)の照明なんかまさしく大正ロマン・・・!!!

一番大好きでした・・・

日乃出旅館でいちばん贅沢なお部屋

そしてそして・・・最後に案内されたのがこちらのお部屋。

・・・!!!

め、めちゃくちゃ素敵やないかぁーーーーーい!!!

最初こちらのお部屋に案内しようかと思ったのだって。あぁ、そうしてほしかった!泊まりたかったよぉーーー。基本的に宿に泊まる時は指定せずにお任せするんだけど、この時ばかりは確認すればよかったと思いましたね・・・。

日乃出旅館の由来

窓からは祠や石像が祀られたお庭を眺めることができます。

椅子に座ってのんびに眺めたかったね・・・

ん?んんん???

!!!!!

なんか!いる!!なんか!いるぅーーーーー!!!
なんだかニヤついたお顔の上に同じ顔した熊みたいなのがいるよ!か、かわいい・・・。朝っぱらからトキメキ最高潮です。(お顔がちょっと欠けてるけども)

ご主人に聞いてみると、熊じゃなくて馬頭観音像とのこと。まさかのお馬だったのかー。なんと、先代の母親が馬主(!)だったから馬頭観音をお祀りしていたんだって。しかもその馬の名は「日乃出号」。そう、旅館の名前の由来がここに・・・!!!おもしろーーーい!!!

「そうなんだよ、色々(歴史が)あるんだよ〜」

なんてご主人がおっしゃってて、この他にもザクザク面白い話が聞けそうな気がしたね・・・。しかし残念ながらその時間はない。お暇する時間のギリギリまで見学させてもらって、旅館を後にすることにします。

でも、次々に気になるものが出てきてなかなか外にでれない・・・!

可愛いのがぶら下がってる!古くからこの辺りに伝わる習俗なのかと思ったら、近所の人が作った飾りなんだって

おそらく150年は経っているだろうという鎌倉彫りのたばこ入れも見せてくれました。

今は爪楊枝が入っています

別れの時

日乃出旅館さん、長い時を経てきているはずなのに全体的にとっても綺麗。2016年のリニューアルオープンの際に補修がされているようですが、それ以前から大切に守られてきたことを感じさせます。粋すぎず、華美すぎず、ちょうどいい塩梅の美しい旅館でした。

そしておじいさんがとても好きだった。帰ることを伝えると、「寂しいなぁー、また来てよ」って。そんなこと言われたら・・・!行くしかないじゃん ・・・っ!!!

小田原観光もまったく出来なかったので(そう、これからまた別の場所に移動するのだ)、またぜひ泊まりに行きたいと思います。その時にはもっと昔の旅館の話しや、おじいさんの若い頃の話を聞いてみたいなぁ。そして次こそはおっきな部屋で!たのしみにしてます・・・!!!

【参考にしたサイト】

”新生”日乃出旅館 ここにある「日本美」を海外へ | 小田原・箱根・湯河原・真鶴 | タウンニュース

⑥初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024につづく▼▼▼

④初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024【ペリーとアロエとお狐の街、下田編】

朝はちょっぴり寝坊したので、のんびり出発することに。目指すは伊豆方面。横浜から始まった旅は、どんどん南へ・・・。

熱海駅へ向かう途中で買った柑橘入り杏仁豆腐で朝ごはん

向かった先はハトヤホテルな伊東?まぼろし博覧会??それとも熱川バナナワニ園???

いいえ、ちがいます(でも、どれもいきたい)。

熱川駅では車窓から湯煙がもくもくと立ち上る景色が見えて、思わず降りたくなりました。熱川、いつかぜったい行く

一番最初に旅程を組み立てた時にはこれらの候補があがっていたのですが、とある大事な任務を遂行するために到着したのは伊豆急下田駅でした。

CONTENTS

伊豆急下田駅

ペリーが初めて来航(黒船来航)したのは現在の横須賀市。その後現在の横浜市で日米和親条約が結ばれ、さらに交渉の場を下田に場所を移し下田条約が結ばれたのでございます。もちろん知ったかぶり!義務教育で習ってるかもだけどすべて忘却の彼方。今回調べて初めて知りました。残念な我が脳みそです・・・。

駅前には黒船。今年で下田開港170周年なんですね

時計を見ると11時半前。お昼をとるのにちょうどいい時間です。下田の町をてくてくしながら、まずは喫茶店へと向かいましょう。

港町であることを感じさせるお宅にキュン

邪宗門

寄り道しながら到着したのは昭和41年に開店した邪宗門(じゃしゅうもん)。なまこ壁が印象的な建物は江戸末期の船大工の手によるもの。船底を逆さにした屋根の中央には竜骨(船底中央に伸びる木材)が貫いているそうです(訪れた時には船大工による建築とまったく知らなかったから確認できなかった・・・!無念)。

なまこ壁が印象的

「邪宗門」は、一人の魅力的なマジシャンが戦後間もなく吉祥寺にお店を構えたのが始まり。その人柄に心酔した常連たちが次々に同名のお店を構えていったそうです。様々な理由により閉店していき、現在残っているのは5店のみ。この下田の邪宗門もそのうちのひとつです。

以下の記事よりまとめました▼▼▼

レトロ喫茶「邪宗門」 語り継がれる物語 - 日本経済新聞

東京に邪宗門という喫茶店があることは知っていたけど、こんな魅力的な歴史があったとは・・・。

中に足を踏み入れると、木のぬくもりを感じる落ち着く空間が広がっていました。

命の水

店内は様々な古道具で飾られています。

かわいいネコのイラストも

船大工による建物らしく、船にまつわる道具もちらほら。

船のコンパス

トイレにはこんなプレートも

とりあえず喫茶メニューの中で一番食事っぽいハニーバター・トーストと珈琲を注文。他にも開店当時から変わらない味というクリームゼリー(メロンゼリーとバニラアイス!メロンゼリーというのがたまらないね・・・)や美味しそうなケーキが色々あってとてつもなく悩みました・・・。

そして運ばれてきたトーストには、蜂蜜にシナモン。そして極めつけのアイスクリーム・・・!朝から杏仁豆腐しか食べていない胃袋に染み染み染み込んでいきます・・・。

美味しくないわけがない

とても・・・とても居心地がよかったんですよ・・・・・。まだまだこの空間を味わいたくて、追加でチーズケーキも注文してしまいました。

美味しかった!けど時がたちすぎてどんな味だったかは忘れた・・・!

ゆっくり、のんびり・・・しているのには、実は理由があったのです。とある任務のために訪れた下田。それは人と会う約束をしていたからなのである。ご存知の通り人見知りのワタクシ。じわじわ・・・しわじわと緊張が高まっていく。

嗚呼、もうどこにも行きたくない・・・ここにじっとしていたい・・・。そんな強い思いにかられますが、夕方には下田を離れなければなりません。貴重な下田散策の時間を逃してはならない。心を決めて外に飛び出します。

邪宗門の近くにも立派ななまこ壁のお宅がありました

海を見つめるお狐さま

約束の時間まであと数時間。下田といえばペリー!ひとまずペリーに会いに行ってみよう・・・!!Googleマップが示す道とは違ったけれど、遠くに海が見えたので自然とそちらに足が向かってしまいます。そう、海育ちのわたしは海が大好きなのだ。

とっても好きな雰囲気の港。こういうなんてことない風景にキュンとするんだよなぁー。ふと、道路に顔を向けると鮮やかな赤が目の端に飛び込んできました。

お稲荷さんだ!

もうね、その風景に胸を鷲掴み!海と鳥居。住んでる人たちの生活の中にある小さな神社。・・・もう100点満点だよ!!!キュンキュンしながら中に入ると、てっきり恵比寿さまとか海に関係する神様かと思ったらお稲荷さん。

とてもとても小さな神社。旅の安全祈願と写真の撮影のお願いをとりつけます(一方的に)

しかも、大好き!大好きなお狐さんがいらっしゃったの!!!

昭和6年生まれのお狐さまでした。海を眺めている姿もツボ

こういう偶然の出会いにしあわせを感じるの・・・。それを求めているの・・・。さっきまでの緊張が嘘のよう。この子たちをみつけた瞬間、喜びと興奮で満たされてしまいました。そうか、体を動かしていた方が気が紛れるのか。知らない土地を散策するのたのしい・・・!!!

とっても好みのお狐さまに出会えて多幸感に満たされながら、寄り道しつつ再びペリーを目指します。

こんな風景も好き

1829年製の大砲!?

鬼百合が鮮やかに咲いていた

増殖するアロエとペリー

ついにペリーとご対面だ!

ペリー!

そして、アロエ・・・!!!!!

好き・・・

ペリーよりもこ化け物みたいなアロエ越しの海と山の景色に心を奪われてしまいました・・・。目の前の「寝姿山」(右手)や「下田富士」(左手)は、かつて火山の地下にあった「マグマの通り道」が地上に姿を表した「火山の根」だそうです(解説板より)。

下田の街と「火山の根」

火山、怖いけど、詳しくないけど、興味のある分野です・・・。

ペリーロードを歩く

近くにはペリーロードと呼ばれる通りがあって、川沿いには情緒ある建物が連なっています。この通りをペリーが下田条約締結の場である了仙寺まで、大砲をひく水兵約300人を先頭に軍楽隊の演奏とともに行進したといわれています。

ペリーロードで蜻蛉が休んでいたよ

青島理容室

ペリーロードから少し脇道にそれたところにある青島理容室。なんとあの三島由紀夫がここで髪を切ってもらったらしい。店先のガラス窓には三島由紀夫に関する記事やサイン色紙が飾られていました。

色紙には昭和44年8月2日の文字

ペリーロードの最終地点あたりには、明治時代の橋も残されています。わたしは小さな昔の石橋にときめいてしまうんだ・・・。

そしてここにも増殖するアロエが!

了仙寺

橋を渡った先にあるのがペリーが条約を締結しにやってきた了仙寺。そんな歴史あるすごいお寺さんな上に、本堂奥にはなんと古墳まであるという・・・。

 了仙寺横穴遺跡

ただものではない感で満ちあふれてる了仙寺を後にして、愛しいあの子をお迎えしに参ろうぞ。

愛くるしいキューピーに会えるお菓子店

訪れたのは雑賀屋(さかいや)さん。

入口の貼り紙からしてもうたまりません。

メジェドのメ・・・!??

好き!好き好き好き!!

江戸時代の終わり頃からのお店で、安政時代の看板が残っているらしいです。最初は明治時代に砂糖とかの卸業(?)を営んでいたとか。相変わらず記憶力&理解力がなくて聞いた側から忘れていくので間違ってたらごめんね・・・。

キューピーサブレの他にもたくさんの商品が並んでしました。可愛いし美味しそうだし、しかもどれも安い!!

「メジェドのメ」を撮り忘れた・・・!目の形をしたスパイスのきいたクッキーとのことでした。なんでこれをモチーフにしたのかとか色々聞いてみればよかったな・・・

なのに、なんでなんで少ししか買わなかったのーーー!!!毎回いく先々で控えめに買ってしまって後で後悔するのよね。買いすぎくらいがいいのかもしれない。これからはそうする!

キューピーサブレはめちゃくちゃ可愛くて美味しかった!

お土産と自分用に購入。飴は昔ながらの製法で作っているらしい。黒玉を人にあげたらとても美味しかったそうです。ニッキ飴はピリピリと刺激が強くて癖になる味でした

そして、ついにその時がやってきた・・・。

了仙寺、再び

向かった先はペリーロードの終着地点、明治時代の橋を抜けた先にある了仙寺。あれ?さっきも行ったじゃん!なんで戻ってきたの・・・??

瓦に刻まれた「磊」の家紋がおもしろい

それは!公開されていない秘仏コレクションの一部を拝見させていただくためなのである・・・!!!

了仙寺のご住職と会う約束を取り付けていたのでした。

『へんな仏像』

ことの始まりは数年前に購入した一冊の本でした。

『へんな仏像 由来も形も不思議な神仏たちの大図鑑!』 | 学研出版サイト

この本に載っていた「性神」にスポットをあてた数ページに釘付けになったのだった。中でも興味深く感じた像たちの所蔵先を確認すると「了仙寺秘仏コレクション」の文字が。いつか、いつか絶対見に行きたい・・・。そのように思って、だいたいの場所だけを記憶に刻みつけていたのです。そして今回、唐突に思いついた神奈川&静岡旅。了仙寺秘仏コレクションのことを思い出したのでした。

ネットであらためて調べてみると、以前は宝物館で展示されていたことは確認できるものの、MoBS黒船ミュージアムとして2016年にリニューアルされてからは情報がとんと出てこない。もしや公開されていないのでは・・・?よし、わからないなら問い合わせてみよう!それで公開されてなかったら諦めよう!そう思ってスッポンパワーで問い合わせたところやはり非公開・・・。だけど!なんと!!見せていただけるというではありませんか・・・!!!!!

今は研究者たちにのみ公開しているという秘仏クレクション。何者でもないわたしに見せても大丈夫なんですか・・・???不安で仕方ありません・・・。そんなこんなで旅立つ前からドキドキ。何か失礼があったらどうしよう。不安になりながら向かったのでした。

そしてついに到着した了仙寺。目の前に現れたのは・・・・

救急車と警察・・・!??

一体なにがあったの・・・???もう約束の時間だけど本堂に近寄れる雰囲気じゃない・・・。とりあえず敷地内の黒船ミュージアムで事情を尋ねることにします。

MoBS黒船ミュージアム

館内に入った目の前で出迎えてくれる巨大なペリーさんのお顔(ここのみ撮影OK)

どうやら観光客のひとりが昏倒してドクターヘリで運ばれていったらしい。幸運なことにすぐ近くに病院とヘリポートがあって、しかも倒れたその場にお医者様もいて応急処置もされたとか!そんなラッキーなことってある!?仏様のご加護だね。きっと、助かったはず・・・そうであることを願います。

そんなわけで、約束していたご住職は事情聴取があるとのことで、それが終わるまで待つことに。えーっと、わたしやっぱり何か憑いてるんですかね・・・??

とりあえず展示を見ながら待たせてもらえることになりました。これが小規模ながらめちゃくちゃ面白くて、地図の形が人で表されていたり、 ユーモアのある絵がたくさん!すべて黒船の絵に関するもので、約3000を超える収蔵品があるというからすごい。

ミュージアムショップでは団扇を購入。表はペリー、裏は黒船。自分へのお土産に

そしてついにお呼びがかかります。どうやら事情聴取が終わったようです。ドキドキドキ。ご住職とご対面です。

了仙寺秘仏コレクション

メールでやり取りしてはいましたが、かくかくじかじかと事情を説明し、全部で6体の像を拝見させてもらえました。 製作された年代は不明で、ざっくりとした時代くらいしかわからないらしい。それぞれの像が収められている箱も面白い形をしててとても興味深かった。撮影させてもらったものの掲載許可はとってないのでここに載せることはできません・・・。すべて先に載せた本に載っているものなので、興味のある方はぜひ。現在は絶版ですが中古で安く購入できるようです。

が、せっかくなので、へっぽこ絵師さろめり(わたし)に描いてもらいました!

厨子入り稲荷神。 思ったよりもうまく描けたのでは・・・?

収蔵品を見せてもらいながらお話を聞かせてもらったのですが、研究者から問い合わせが来たのは10年に2回ほどらしい(何者でもないわたしがそこに追加ということですね・・・)。大学等でぜんぶまとめて引き受けてくれるならありがたいとも。どなたか、ぜひお願いします!そしてどこかに展示、もしくはデータ化して公開するとか、本を出すとかしてほしい・・・。

ちなみに伊藤晴雨の地獄絵図も10枚収蔵しているらしいぞ。うぅ、見たすぎる・・・。先代が親交があったらしい。すごいなぁー。さすが歴史あるお寺だ。

そんなわけで、秘仏コレクションは現在はミュージアムでは非公開。実物を拝んでみたいという方は、ぜひ問い合わせてみてください。写真を使用する際には企画書を提出し、掲載許可が必要になります。誤解されることの多い対象なので、慎重になっておられるようです。祀っている人は真剣なのだから、秘宝館的なイロモロとして扱われることを危惧しているのでしょう。これらは役目を終えた信仰の対象。ここに保管されてる以上、そうでなければならない (確かに、信仰の対象であるなら今も人々のそばにあるべきだもんね)。だから資料として提供する。仏に仕えている身であるからこそ出てくる言葉だなと感じました。

わたしもいつかテーマにそった本を出す機会ができた時にはまた連絡させてもらおうと思います。その日まで写真は温存。いつか、いつか・・・。了仙寺さま、貴重な時間を割いていただき本当にありがとうございました!!!

重大な任務を無事終え、心は晴れやか・・・!心でスキップ踏みながら了仙寺を後にします。

近くにいい建物あった

ロロ黒船の黒船もなか

下田を去る前に、ロロ黒船へ。

可愛い名前ね

この地ならではな黒船もなかをゲットだぜ!!!

 その名も「開国キャラメル」

最近旅先で可愛い最中をゲットすることに燃えているワタクシです。そのおかげで生まれた時からの餡子ぎらいを克服できそうな予感・・・。苦手な餡子と大丈夫な餡子があることも判明しました。でも、今回は小豆ではなくてキャラメル味の最中!一か八かの挑戦しなくても美味しい最中にありつけることができて幸せです(お土産にオススメ)。

江戸時代から下田を見つめるお狐さま

あとは駅に向かうだけ。のんびり散策してたらちょうどいい時間になってそう。余裕しゃくしゃくで駅へと向かいます。

すると・・・

遠くに鳥居が見えます

またもや可愛いお稲荷さんを発見!!!

子持ち狛狐さま!

こちらは八重歯がキュルルン!アイドル狛狐さま

この子たちは昭和15年生まれのお狐さまでした。さらに奥に進むと・・・

だ、だだだだだだだ大好きじゃん・・・!!!

み、耳・・・!!!

特に蝉の抜け殻の耳飾りをつけたこの子が愛しすぎて・・・。首元にはダンゴムシもいるよ。ギュッと抱きしめたくなるくらい大好き。大好きよ・・・。

住吉稲荷神社の慶應元年(1865年)生まれの狛狐さまたち。なんでもこの神社は1854年の安政の大津波で一度流されているようで・・・。お狐さまたちは再建時からこの場所にいらっしゃるなかなかの古株のようでした。

『ペリー艦隊日本遠征記』(1856年発刊)に描かれた神社の絵がありました

最初に出会ったお狐さまに引き続き、こちらのお狐さまたちもとっても愛くるしくて、わたしの中で下田はお稲荷さんの街であると強烈に印象づけられたのでした(あとアロエも)。

Googleマップで検索してみると下田ではこの他にも狭い範囲にたくさんのお稲荷さんがあるみたい。お稲荷さんは商売繁盛の神さまというイメージがあるのだけれど、漁師町であったこのあたりでは豊漁祈願、海上安全のご利益で信仰を集めているそうです。九州では体感的に恵比寿さまが多い気がするので、恵比寿さまじゃなくてお稲荷さんなのがほんと不思議。地域によって流行った神様が違うのでしょうか。面白いです。

伊豆、さよならまたね

「いいね、いいね、可愛いよぉ〜」なんてなりながら夢中でお狐さまたちを撮ってたらいつの間にか電車の時間ギリギリに!!大急ぎで下田駅へダッシュ・・・!!!

なんとか間にあったーーーーー

ロロ黒船で買った爽やかゼリーで初夏を感じながら、今朝来た道をUターン!!! とっても短い伊豆滞在となったのでした。

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わたし、絶対に伊豆大好きだ。今回の訪問で強くそう感じたので、必ずや再び訪れよう。そう決意したのでした。

⑤初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024へとつづく▼▼▼