彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

秋田青森ひとり旅2022【秋田・阿仁マタギ編】⑦

松葉駅から電車に乗り込み、最後に長い長ぁーーーーーいトンネルを抜けて(今までのわたしの人生史上一番長かった!)阿仁マタギ駅へと到着。もう5月だというのにまだあたりには雪が残っていました。

「マタギ」とは、単なる猟師(ハンター)とは異なり、古来から独自の宗教観や儀式などを執り行ないながら猟をする狩猟集団のこと。今回訪れた阿仁地域(打当、比立内、根子などの集落)は、全国でも有名な「阿仁マタギ」の里として知られています。

駅では寡黙なマタギがお出迎え

CONTENTS

マタギの湯

駅に着くと、予約していたマタギの湯の送迎バスが待っていました。立ち寄り湯で一人での利用だからちと心苦しかった汗

車窓からの風景・・・

車で数分のところに温泉の宿泊施設のマタギの湯があります。

カオスなロビー

左の剥製は、近くの熊牧場(休園中)にいたヒグマらしい(film)

さっそく温泉へと向かいます。いつものごとく時間がなかったのでマッハで入ってマッハで出ようとしたら、どうやら露天風呂もあるらしい。大浴場から外に出てみるとなんと!熊がいるではありませんか〜!!!あ、もちろん本物ではなく熊の湯口。ちょっと嬉しかったです。

写真はないので、代わりに日奈久温泉のめんこい熊の湯口を載せとくねっ。正直こちらの熊の方が数百倍可愛かったよ(ぼそっ)

嗚呼、何度見てもかわいい

マタギ資料館

お湯から上がって体はぽかぽか!マタギ資料館へと向かいます。マタギの湯の受付で料金を支払い、屋内から通路でつながる別館の資料館にいくシステム。おそらく昔はもっと観光客が来ていて、人も常駐していたんだろうね。

マタギ資料館外観。今は入口からは入れません

展示は撮影禁止でした

剥製やマタギに関する資料が色々と展示されていました。思ったよりもたくさん人がいて(宿泊客?)、熱心に展示を見ている若い方もちらほら。今狩猟ブームだからなのかな?

マタギ小屋

マタギの湯の入口あたりには、マタギ小屋(マタギが狩猟を行う際のベースキャンプとして使用する簡易的な小屋)が再現されていました。

熊ー!!!

滞在時間は約1時間30分ほど。再び送迎バスで駅まで送ってもらいます。

電車がくるまでの待ち時間で、気になっていたあいつらを撮って撮って撮りまくるぞ・・・!!!

阿仁マタギ駅前 人形劇場

ひそかに駅に着いた時から気になりまくっていたカカシ的人形劇場〜!!!

この光景が見えた瞬間「うは!」ってなった笑

もちろんマタギもいるし、ナマハゲ的なものも

駅前の建物には打ち捨てられたかのような哀しき人形たちの姿が・・・。

こわいよ笑

(実はマタギの湯より、こっちの方がテンション上がったのは秘密)

道の駅 あに・マタギの里

人形劇場を撮り終えた頃にちょうど電車が到着。

マタギの兄貴にも別れを告げます

電車のフロントからの景色はまた格別

阿仁マタギ駅から2駅の比立内駅(無人駅)で下車します。

あちこちで見かける木彫りアート

時間は17時前。閉店前の道の駅 あに・マタギの里にすべり込み〜!

道の駅大好き!

残念ながら時間も時間だったので閑散としており、商品も品薄でした・・・。

ふつーに熊肉も売られているんだね!

山菜買って帰りたかった。タラの芽大好き!

何気に一番気になったのが、こちらのなかなかニッチな山菜Tシャツ。

ちょっとほしいかも?

調べてみると秋田ではなく新潟の会社が製作しているもののようでした。新潟旅行したときにあったら買おうかな笑

山ブドウソフト食べたかったけど、飲食スペースはすでに店じまいしてた・・・

残念ながら何の収穫も得られぬまま、本日のお宿へと向かうことに・・・。

足元にかわいい熊がいた

精肉店には熊だけでなくエゾ鹿肉や馬肉も〜

マタギの宿、松橋旅館

こちらが本日宿泊する松橋旅館

玄関前には山菜が!それだけでテンションがあがるお手軽なわたくし。

くるくるしててかわいい

旅館は130年以上前の建物で、リフォームされてはいましたが随所に往時の面影が残っていました。宿泊料金は1泊2食付きで9,000円。ひとりで宿泊できるのもありがたい!

そしてなにより宿のご主人は、15代目の現役の

MA・TA・GI・・・!!!(興奮)

先代は本にも書かれたことがある有名なマタギだったらしい。ちと読んでみたい。

夕食

まずはゆっくりお風呂に入って一日の疲れを取り(温泉入ったばかりだけど)、その後はすぐに夕食タイム。朝におむすび一個とカロリーメイトしか食べてなかったのでもうへろへろよー!

山菜パラダイス!!! な、食卓でした。

ご主人が「これは○○、これは○○」と山菜の名前を色々と教えてくれるのですが、どれもこれも初めて聞く言葉すぎてちっとも覚えられない〜。ただの草と思うなかれ(誰も思ってないし、失礼だし)、それぞれ色んなお味がしてとても美味しかったー!!!

特にこのおもしろい姿をした山菜がネバネバしていて大好きだった!

昆布で味付けしてて、そもそも昆布も大好きだから最高のコラボ!

調べてみるとどうやらみずの実というらしい。また食べたいなー!今回は山菜尽くしでしたが、秋はキノコ尽くしになるとのこと。それもいいねぇー。

お魚のお腹にはおっきた卵がみっちりと詰まっていてこれまた美味しかった!

マタギの宿らしくエゾシカさまも〜〜〜!!!

北海道の知り合いが送ってくれたものとのこと

熊鍋も年中食べることができるとのことなので、宿泊される方は予約する際にぜひ尋ねてみてね。でもやっぱりひとりの場合は難しいらしい・・・。去年行った日光の猟師のお宿でもひとり熊鍋は無理だったもんね。

山菜が多かったので、最初はお腹空いちゃうかも・・・なーんて心配したけど、最後にはお腹パンパンになっていました。

玄関・囲炉裏部屋

よし!腹いっぱいになったことだし、今から館内の写真撮りまくるぞ〜!!!(迷惑なやつ)

旅館にはマタギの宿らしく、剥製や熊の絨毯、マタギの狩猟道具等も展示されていました。なんと、阿仁マタギの狩猟道具は国指定有形民俗文化財に指定されているそうです。

マタギの狩猟道具

こちらは囲炉裏部屋。

剥製がいる宿に泊まることが多い今日この頃

写真を撮り続けていたら、あっという間に食事の片付けを終えたご主人がちょっぴりお相手してくれました。ありがたやー!

2階の大広間

建物に興味があることを伝えると、2階の部屋に案内してくれました。こちらには明治時代の秋田出身の画家である寺崎廣業による襖絵が残っています(有名な方らしい)。

こちらは朝の明るい時に撮ったもの

19歳の時に宿泊した際に描いたもので、片面はお馬の絵、もう片面には梅の花が。

お馬かわいかった!

他にもこんな絵も。龍と仙人??

天井には見事な放射状の唐傘天井もありました。

ここで眠ったら目がぐるぐる回りそうだー

不思議な模様の木材も

この場所になぜ旅館があるのか不思議に思って尋ねてみると、行商の人たちが山を越える前に一息つく場所としてできたとのことでした。なるほど!電車で阿仁マタギへと向かう途中に今までの人生で経験したことのないほどのながぁーーーーーーい直線のトンネル(全長5,697mの秋田県最長トンネルとのこと!)を経験したばかりだったので、その理由を身をもって感じることができました。トンネルですらあんなに長いのに、その山を越えるだなんて・・・(絶句)。

マタギについて

もちろん建物のことだけじゃなく、マタギについても話を聞いたよ!マタギ独自の決まり事や風習に興味があると伝えると、モロビ(アオモリトドマツ)という植物を見せてくれました。

猟に出る時(毎回ではないみたい)、モロビに火をつけ煙を体に巻き付けて身を清めるらしい。正月にも家族みんなでこれを行っているそうです。実際に火をつけてくれました!

いいにほひ

現在マタギは高齢化が進み、若い人はわずか3人ほど。各集落ごとに狩猟に出ていたのが、人数が足りないので別の集落のマタギと一緒に狩猟しているそうです。

旅館の跡継ぎはいるのかしら・・・?と勝手に心配してたら、20代の息子さんがやる気を出していて狩猟免許も取ったとのこと。ひとまず安泰のよう。ちょっとほっとしました。

もっとマタギのあれこれを聞けばよかったのだけど、実はあまりお話を聞くことを想定していなかったので咄嗟に質問が浮かばず・・・。マタギについて勉強不足な自分にビンタ!でも、マタギの儀式にほんの少し触れることができてとても嬉しかったです。

ちなみに今回の旅で熊が怖くて熊よけスプレーまで用意したということを話したら、今日近くの林道で熊が出たという連絡をもらったという話が・・・!やっぱいるじゃん!熊近くにいるんじゃん・・・!!!

ご主人とのささやかな交流に満足して部屋へと戻り、この日も思い出を反芻する時間もなく、翌日に備えて早々に就寝するのでありました。

宿泊した部屋の写真を撮り忘れたので、かわりに部屋に備え付けられていたこちらを・・・。

ちょっと面白かった「カメムシ封印用」ガムテ

朝食

この日も早朝の5時半に起床。準備をすませ、朝食をいただきます。

鍋の中身は湯豆腐

電車の時間に合わせて、6時30分に朝ごはんを出してくれました。早い時間から支度していただき感謝。炊きたてのほかほかご飯もとても美味しかったよ!

阿仁観光

ありがたいことに車で駅まで送ってくれることに。そしてなんと!少し時間があったので、車でくるりと周囲を案内してくださいました!!(早起きは三文の徳ってやつね!)「あれは食べれる、これも食べれる・・・」と、道に生えている山菜を説明してくれたり、「あそこの栗の木に熊が食べに来ていた」とか(そのままほおっておくらしい)、なかなか日常では聞けないお話がとてもおもしろかったです。

小さな滝も見れたよー!

徒歩だったら見ることができなかった場所に案内してもらえてとっても嬉しかったです!また泊まりにいきたなー。今度はぜひ熊鍋を食べに・・・!!誰か一緒にいってやー!!!

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2 film:KONICA AUTOREX

秋田青森ひとり旅2022⑦につづく▶︎▶︎▶︎