彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

⑤初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024【小田原・日乃出旅館編】

本日のお宿の最寄駅についたのは19時半過ぎ。改札を出るとおっきな提灯が真っ先に目に飛び込んできました。

小田原提灯がお出迎え

CONTENTS

小田原市にイン!

そう、訪れたのは小田原市。出迎えてくれた小田原提灯は、江戸時代中期に考案され流行した折りたたみ式の提灯。箱根越えをする旅人に重宝されたそうです。

日乃出旅館

小田原駅の喧騒をくぐり抜け、歩いて5分ほどでたどり着いたのは大正初期創業の日乃出旅館さん。とてもひっそりとした通りにありました。旅館の背後には月が浮かび、建物をより魅力的に輝かせています。

美しい

そして玄関には・・・

こ、これは!

狼・・・!!!

わたしがここ数年じわじわと気になっている狼信仰。東日本では「お犬さま」などと呼ばれ、信仰が盛んだったようです。そんな初めましてのお犬さまのお札が貼られていたのでもうこの時点で気分は最高潮・・・!(わたしはいつか狼を巡る旅に出る)

玄関

ワクワクしながら中へ入ると、旅館のご主人が出迎えてくれました。

床の豆タイルもかわいい。蚊取り線香も落ち着く〜

玄関を入ってすぐの所に神棚のある一角。先代のお母さまがとても熱心だったようで、様々な神様を祀っているとのことでした。玄関のお犬さまにも納得です。

ここにも小田原提灯。部屋ごとにあるそうです

さっそく部屋に案内してもらいます。

部屋の前から玄関を見たところ

部屋

本日のお部屋は二間続きのこちら。

粋で雅びな意匠

チェックインの手続きをしながらお喋りなご主人とちょっとだけ雑談。話していてなんだかとても気持ちがいいご主人でした。何十軒もあった旅館も、今ではここだけに。雰囲気のある旅館は映画の撮影にもひっぱりだこなんだとか。昔は料理も出していたそうですが今は素泊まりのみ。四代目というご主人がひとりできりもりしているそうです。

夜ごはん

チェックインをすませた後は、ちょっと遅めの夜ごはんを食べに外へと繰り出します。

初夏だけどクリスマスみたいなイルミ

地元の昔ながらのラーメン屋さんや居酒屋に行きたかったんだけど、残念ながらお目当ての場所がお休みで、夜も遅いので目についた今どきな餃子屋さんへ。

シナチク頼んだらボリューミーでビックリ!ひたすらシナチクしてました

にゅうめんと餃子もぐもぐ

日乃出旅館を味わい尽くす

さささーっと食べ終えて再び日乃出旅館へ。お風呂に入って明日のための早く眠るんだー。

 お風呂場へと向かう通路もとてもよき

左の飾り窓の向こう側がお風呂場です。

信楽焼の湯船で疲れを癒やす

木枠の扉も豆タイルもかわいい〜!!!

あちこちにちりばめられている豆タイルにキュン

そして奥にある湯船は信楽焼の特注品とのこと。一般的な湯船なら数万円でできるのに、計算違いでめっっっちゃくちゃお金かかったらしい笑(どのくらいかかったかは実際に泊まってご主人に聞いてみて)

お高級な湯船につかって大金持ちになった気分・・・?

洗面所

お風呂場とトイレのすぐ近くには大きめの洗面所もあります。翌朝撮った写真です。

モスグリーンの壁色も素敵

お手洗い

トイレは細長い作りで出入り口が2ヶ所あるのが特徴的。建物の奥にある小さめのお部屋側からも入れるように工夫がされているようです。撮った時間帯バラバラですが・・・。

奥の扉はトイレの外に繋がっている

暗かったので、小さなお部屋側の探検はまた翌朝またゆっくりと・・・。

朝の旅館探検

ワンワンワン!お犬の声と誰かと会話している声で目が覚めます。部屋の窓を開けると夜には気づかなかった小さなお庭がありました。

風鈴がぶら下がっていた

後で聞いたところによると、どうやら朝のお散歩中に旅館に寄ってお喋りしていく方がいるらしい。お犬にあげる餌もちゃんと準備しているんだって。他にも毎日お喋りしに来る人がいるんだとか。数年前に足を悪くされたそうで、玄関の車椅子に座って外をのんびり眺めてるんだろうなぁ。そんな穏やかな日常が頭に浮かびました。

昨晩暗くて探検できなかったお部屋へ。お風呂場のある通路を先に進みます。

朝の光に照らされて昨晩とはまったく違う雰囲気に

小さな玄関もありました。

ここにも豆タイル

奥にあるのは小さなお部屋。やっぱりわたしの泊まったお部屋が広々としてて居心地がよい。

トイレの前もう一つの出入り口の横にも小さな洗面所がありました。

左の扉がトイレに繋がっています

表情豊かな古い照明たち

旅館内のあちこちを照らす表情豊かな古い照明たちにも胸がときめきました。大正っぽい雰囲気のものからもっと時代が下った昭和っぽいものまで。創業当時のまま使われているものもあるんだろうなぁ。

時代を感じさせる照明たち(一部)

このチューリップ(それとも他のお花?)の照明なんかまさしく大正ロマン・・・!!!

一番大好きでした・・・

日乃出旅館でいちばん贅沢なお部屋

そしてそして・・・最後に案内されたのがこちらのお部屋。

・・・!!!

め、めちゃくちゃ素敵やないかぁーーーーーい!!!

最初こちらのお部屋に案内しようかと思ったのだって。あぁ、そうしてほしかった!泊まりたかったよぉーーー。基本的に宿に泊まる時は指定せずにお任せするんだけど、この時ばかりは確認すればよかったと思いましたね・・・。

日乃出旅館の由来

窓からは祠や石像が祀られたお庭を眺めることができます。

椅子に座ってのんびに眺めたかったね・・・

ん?んんん???

!!!!!

なんか!いる!!なんか!いるぅーーーーー!!!
なんだかニヤついたお顔の上に同じ顔した熊みたいなのがいるよ!か、かわいい・・・。朝っぱらからトキメキ最高潮です。(お顔がちょっと欠けてるけども)

ご主人に聞いてみると、熊じゃなくて馬頭観音像とのこと。まさかのお馬だったのかー。なんと、先代の母親が馬主(!)だったから馬頭観音をお祀りしていたんだって。しかもその馬の名は「日乃出号」。そう、旅館の名前の由来がここに・・・!!!おもしろーーーい!!!

「そうなんだよ、色々(歴史が)あるんだよ〜」

なんてご主人がおっしゃってて、この他にもザクザク面白い話が聞けそうな気がしたね・・・。しかし残念ながらその時間はない。お暇する時間のギリギリまで見学させてもらって、旅館を後にすることにします。

でも、次々に気になるものが出てきてなかなか外にでれない・・・!

可愛いのがぶら下がってる!古くからこの辺りに伝わる習俗なのかと思ったら、近所の人が作った飾りなんだって

おそらく150年は経っているだろうという鎌倉彫りのたばこ入れも見せてくれました。

今は爪楊枝が入っています

別れの時

日乃出旅館さん、長い時を経てきているはずなのに全体的にとっても綺麗。2016年のリニューアルオープンの際に補修がされているようですが、それ以前から大切に守られてきたことを感じさせます。粋すぎず、華美すぎず、ちょうどいい塩梅の美しい旅館でした。

そしておじいさんがとても好きだった。帰ることを伝えると、「寂しいなぁー、また来てよ」って。そんなこと言われたら・・・!行くしかないじゃん ・・・っ!!!

小田原観光もまったく出来なかったので(そう、これからまた別の場所に移動するのだ)、またぜひ泊まりに行きたいと思います。その時にはもっと昔の旅館の話しや、おじいさんの若い頃の話を聞いてみたいなぁ。そして次こそはおっきな部屋で!たのしみにしてます・・・!!!

【参考にしたサイト】

”新生”日乃出旅館 ここにある「日本美」を海外へ | 小田原・箱根・湯河原・真鶴 | タウンニュース

⑥初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024につづく▼▼▼