彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

⑦秋田・青森ひとり旅2024-2025【男鹿・森長旅館編】

ナマハゲの余韻冷めやらぬまま、Fさまの車で本日のお宿森長旅館さんへと送り届けてもらいます。何から何までありがたや・・・。

風がとっても強くて、正門上部に取り付けられた正月飾りが斜めになっていた

CONTENTS

2024年12月にプレオープン!森長旅館

森長(もりちょう)旅館は昭和9(1934)年に建てられた洋風の木造旅館。当時の船川地区は、港湾の貿易関係や漁業関係で大変な賑わいだったようです。残念ながら2006年に閉業。その後も建物は残っていて、本館、離れ、土蔵の3つが国登録有形文化財に指定されています。

その森長旅館が再オープンするという情報を聞きつけたのが旅目前の11月初めのネットニュース。そこには12月にプレオープン予定でクラファンを行うことや、大晦日にはナマハゲが来ることなどが書かれていました。

なんてタイムリーなのだ!これは運命に違いない・・・!!

いつもの思い込みですぐに情報収集に取り掛かり、まずはクラファンに参加。宿泊できるか危うしだったのですが、どうにかすっぽんパワーで大晦日の宿泊まで取り付けたのでした(対応してくださった方々ありがとうございます)。

つい先日届いたクラファン返礼品の手拭いとステッカー。旅館のテーマカラーのオレンジとグレーのカラーリングが可愛い

栄町のナマハゲ面

旅館に戻ってくると、床にはナマハゲさまが訪れた痕跡が・・・!!森長旅館の建つ栄町では現在ナマハゲ行事は行われていないのですが、旅館にも大晦日の18時頃お隣の元浜町からナマハゲさまがやってくると聞いていました。しかし芦沢のナマハゲと時間が被ってて芦沢に全振りすることに。ほんとは森長旅館にも行きたくてわたしの体は引き裂かれそうになったよ・・・?

ご利益のあるナマハゲさまの衣装ケデからこぼれ落ちた藁

てっきりお隣の元浜町のナマハゲ面でナマハゲさまが現れるのかと思っていたら、なーんと今はなき栄町のナマハゲ行事で使用されていたナマハゲ面をつけて行われたとのこと!チェックインした時にはなかった(たぶん)その面が、玄関にすっぽりおさまっていました。

栄町のナマハゲ面。帰ってきた時にはぜんぜん気づかなかったよー

なんて素晴らしい試みなのだ・・・!心底感心してしまいました。

年越しそばとお惣菜で最高のディナー

旅館に戻ってきた頃にはすでに21時。あと2時間で新年です。ラウンジでは他の宿泊客が大晦日の夜をのんびり過ごしていました。

ラウンジ

お水や電子レンジ、アメニティ類が揃っててありがたい

すると宿のスタッフが年越しそばを勧めてくれます。嬉しすぎるーーーー!!!21時まで年越しそばの振る舞いがあることは聞いていたのですが、ちょうど終わる時間に着いたので食べられないと思っていたよ!

ずるずるっとあったかいお蕎麦をすすります。振る舞いなのに思ったよりも量が多くて具もたっぷり食べ応えがあるし、比内地鶏の出汁が効いててめっっっちゃくちゃ美味しい!!!雪と雷の男鹿の夜をナマハゲと共に徘徊していた体に染み染み染み渡るぅぅぅ・・・。

大晦日の夜に年越しそばを食べたのなんて何年振りだろう?

しかしこれだけではありません。わたしにはお昼間に買ってきたグルメストアフクシマさんのお惣菜があるのだ・・・!!

2024年最後の夜を締めくくる最高のディナーだぜ。色々美味しかったんだけど、特に感動したのがローストビーフ。めっっっちゃくちゃ美味しかった・・・。

(左手前から時計回りに)ハンバーグ、ふくちゃんステーキ、キャロットラペ、ローストビーフ、フクシマのコロッケ、紅ずわいカニクリームコロッケ

ドミトリーを独り占め

そうこうしているうちにあっという間に23時。2025年も目前です・・・!しかしお腹いっぱいで全部食べきれない。明日の朝食用にいくつか残して部屋へと戻ることにします。

今回は幸運なことに、他の宿泊客は個室だったのでドミトリーはわたしだけ。この広い空間を独り占めです・・・!!!

新築の家にお邪魔した時ような木の匂いが落ち着く

一人分のベッドスペースと、ちょっとした荷物が置ける空間がある程度ですが、のびのび過ごすことができました。

別の部屋の写真を例に。場所によってスペースのサイズは様々

ベッドの上にはタオル、パジャマ、 ナマハゲモチーフと思われるサウナハットまで!(可愛い!!)

オレンジの角が生えたサウナハット

普通の旅館にはないであろうアイテム「サウナハット」。そう、ここ森長旅館はサウナに力を入れている旅館なのでございます。今回の旅で最初に訪れた秋田県横手市にもCAMOSHIBA運営のサウナのお宿があったけれど、寒い場所にはサウナのお宿が多いのだろうか?フィンランドといえばサウナだもんね。

本館と敷地内にある蔵の2箇所にサウナがあって、温泉と同じように夜と朝で女性用と男性用が入れ替わるシステム。サウナ好きには贅沢なつくり。そのかわり大浴場はなくて、シャワーのみとなっております。

実はわたくし、サウナに入ると息ができなくなるの ・・・(せっかくのサウナ推しの旅館なのにごめんやで・・・)。そんなわけで、今回は中の見学だけさせてもらうことに。

なもみサウナ・本館

シャワーを浴びるついでに、まずは本館の女性用サウナへ。その名も「なもみサウナ」。わたしのブログを読んでくださってる方ならその意味はもうご存知ですね?そう、ナマハゲが剥ぐあの「なもみ」です。わからなかった人は追試だ!

入口にかかる暖簾にもナマハゲモチーフ

旅館で使用されていたと思われる家具が使用された脱衣所

めずらしい木桶の水風呂

サウナ室

蔵のサウナにも行きたいけれど、今はまだ男性用。入ると痴女になってしまうので翌朝見学するとして、もう朝から動きっぱなしでくたくただよ!時計の針は夜中の1時。あれ?もう2025年になってるじゃん・・・。でもこの時は朦朧としていてまったくそんなことに気づかず、いっときも早く布団に滑り込むことしか考えていないのであった。

朝の旅館探索

夜中の1時に寝たはずなのに、なぜか6時過ぎに目が覚めてしまったよ?(昨晩のナマハゲおっかけの興奮が原因か??)眠れぬまま寝返りを打ち続け、時間を無駄にするのももったいない。力をふりしぼって朝の旅館散策いってみよーっ!

なもみサウナ・蔵

すでに男性用だった蔵のサウナの暖簾は女性用に入れ替わっていました。

ラウンジ側から見た蔵の「なもみサウナ」。庭は美術家の藤浩志さんが企画協力しているそう

雪が降り積もる飛び石に足跡をつけることに喜びを感じながら蔵へと向かいます。

蔵へと続く中庭へ出る扉

金具の模様が可愛い

ルンルンで足跡をつける

まるでアコーディオンのような蛇腹の重厚な扉

扉横の隅には昔の金庫も置かれています。

1階がサウナとシャワー室で、2階が脱衣所になっているようです。

脱衣所

2階には休憩できるスペースもあって、のんびりサウナを楽しむことができそう。(サウナに入ったことがほぼないのですべては想像)

1階のサウナはこんな感じ。本館よりも広々としていて、シャワー室もたくさんありました。

蔵サウナに入った気分になって、本館へと戻りましょう。

外から見るとモルタル仕上げのモダンな洋館だけど、中はこれまた素敵な木造建築!

本館

続いて本館の散策です。

2階へと続く階段

2階を登った先には客室へと続く通路と、さらに上には思い思いの時間を過ごすことができるミニラウンジがあります。

落ち着くこじんまりとしたスペース

2階の窓から庭園と自分がつけた足跡を眺める

おそらくまだ他の宿泊客は眠っている時間帯。うるさくないようにそろーりそろーり探索です。

可愛らしい持ち送り

こちら側の庭には蛙が住んでるらしい。1階のラウンジの名前はその蛙の名前とのことだったけど忘れちゃった!

懐かしい黒電話。箱には「牛  貳(2)個」の文字。何が入ってたんだろう?

登ってきた階段とはまた別の階段を降りていくと、 目の前には先ほど上から眺めた蛙が住むという小さな庭。

年月を経た美しい飴色の階段

手すりはちょうど指が届くところが窪んでいて握りやすい

階段下の空いた空間には昔旅館で使用されていた傘が置かれています。

「森長旅館」が右から左に向かって書かれています。時代を感じる・・・

他にも、各部屋の呼び出しベルのような謎の機械、玄関前には何かを引っ掛ける用の金具、模様の入ったレトロなガラスなど、当時のものと思われるものがそのまま残されていて、そのひとつひとつに胸がときめきます。

美しい模様のガラス

朝食

1時間ほどの朝の旅館散策はこれにて終了。どんどん外が明るくなってきます。やさしい光をあびた雪化粧の庭を眺めながら、優雅に朝食をいただきましょう。

昨日の食べ残しのお惣菜。蜜柑は昨日のFさまからのいただきもの

フクシマのコロッケをパクリ。めちゃくちゃ美味しすぎて驚愕!!!一日経ってるのに!冷めてるのに!こんなに美味しいってどゆこと!??どうやら大正7年の創業当時から作り続けている昔懐かしいコロッケらしい。

グルメストアフクシマさんのブログが面白かったので興味のある方はどうぞ。また男鹿を遠ずれた際には、揚げたてのコロッケも食べるんだ!!

日本で最も歴史のあるコロッケ!?フクシマのコロッケ - グルメストアフクシマのブログ

ドミトリーに戻って荷造りをしてラウンジに戻ると、 親戚一同で泊まっていたと思われる宿泊客がおせちを食べながら談笑していました。とてもいいお正月の光景。穏やかな気持ちになりました。

チェックアウト

ほんとはもっと早く動き出す予定だったけど、たっぷりゆっくり滞在して10時にチェックアウト。

君たち、こんなところにもいたのだね?

玄関には鏡餅

さようなら。今度は動いているナマハゲさまたちに会いに行けるといいな。

またね

外観

最後の見納めに外観をたっぷりと。

板チョコみたいなドア

石柱の照明の模様がもうたまらん

青空なのに急に雪が降ったりして、昨日に引き続き今朝はまだ不安定なお天気のよう。

数分間でこんなに様変わり

昨晩の最高のナマハゲの余韻はしっかりと残ったまま、次なる場所に向かうために男鹿駅へ。2025年の旅、スタートです!!

男鹿駅前の鬼と郵便局の車。年賀状を運んでいるのかな?

最後に

わたしが宿泊したのは大晦日。正直お値段も平日よりもだいぶお高くて、ドミトリーでも決して安くなかったのですが、泊まって良かったと心底思いました(今回を逃したらいつ泊まれるかわからなかったので頑張った!)。建物の素晴らしさはもちろんのこと、スタッフのホスピタリティや、さまざまな部分でデザイン的にもこだわっていて、(見れなかったけど)ナマハゲ体験もできて、年越しそばも味わえて、ある意味大部屋とも言えるドミトリーを独り占め ・ ・ ・!サウナには入れなかったけど、帰る頃には「森長旅館最高!!!」となっていました。

繁忙期以外はお手頃なドミトリーや、個室もさまざまなタイプがあって、3月まで料金もプレオープン価格でお安くなっているそうなので「泊まるな今でしょ!」なのであります。宿泊だけでなくサウナの日帰りも始まったようなので、サウナ好きの方にもオススメ!(まるでまわし者のよう)

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とても居心地のいい男鹿での滞在となりました。ありがとうございました!!!

my うき子@ラウンジ

■参考文献・サイト

森長旅館のパンフレット

国指定文化財等データベース

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