愛くるしい秋田犬に別れを告げて、大館駅へと急ぎます。
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秋田脱出大作戦
本来の計画では昨晩のきりたんぽ鍋パーティーの後、大館駅から青森の大鰐温泉に移動して、今日は弘前に向かう予定でした。でも朝になっても青森行きの電車は運休。やはり階段さんに伝授されたあのルートで行くしかない!
まずは秋田の東能代駅まで行き五能線に乗り換え、日本海側を走って五所川原駅へ。そこからバスと電車を乗り継ぎ弘前入りするという作戦です(昨日の台湾女子にも教えてあげたい・・・)。
これで万事オッケーだったはずが、東能代駅に降り立つと・・・。
「五能線 深浦〜弘前 昼頃まで見合わせ」ですって・・・!??
弘前どころか五所川原駅にすらたどり着けないというまさかの事態。昨晩検索した時には大丈夫だったのに・・・。昼頃まで見合わせというのもあやしいし、このままだとオーメンの暗示が現実のものとなってしまう ・・・!!(しつこいな)
大慌てで駅員さんに確認すると、なんと深浦駅から代行バスが出るらしい!え?ほんとに??それならよかったーーー!ちょっと安心して電車に乗り込みます。
わたしひとりだけを乗せて出発した電車。車掌さんも行き先を心配して話しかけてくれます。深浦で代行バスが出ると聞いたことを話すも、車窓さんは「え?ほんとに?」というリアクション ・・・。なんだか心配になってきた・・・。
けど・・・車窓からの風景が!めちゃくちゃイイ・・・!!!!!
この移動中にも熟練の限界旅人である階段さんからのサポートが入り、もし代行バスが出てなかったとしても深浦から路線バスで鯵ヶ沢まで行って弘前行きに乗り換えるという神ルートを伝授されたので(瞬時に旅程を組み立てられるその頭脳ください)、あとは流れに身を任せるのみです。
荒れ狂う海と青空と深浦
JRでたどりつける最終地点、深浦駅へと到着。ひとまず青森県に入ることはできた! 時計の針はまだ午前9時を過ぎたばかりです。
わかってはいたけれど、電光掲示板にははっきりと「運休」の2文字。深浦駅の駅員さんに聞いてみても、やっぱり代行バスの話は聞いていないらしい。うーん、わたしの聞き間違いだったのかな・・・。
ひとまず外の様子を見に駅前に広がる海岸へ向かってみると、凍るように冷たい強風と雪!目の前にはさっき電車の中でみた荒れ狂う日本海の波飛沫・・・!!!もしかしてもしかしなくても今回イチめちゃくちゃ寒い・・・!!!!!
こんな悪天候なのに、テトラポットにはたくさんの鳥たち。空から海へ、海から空へとびゅんびゅん旋回しています。
長時間この場所にいたら凍りついてしまうよ・・・。ぶるぶる震えながら早々に駅舎の中へと避難・・・。
でも・・・あれ?急に晴れ間が・・・???
再びさっきの海岸に戻ってみると、鮮やかすぎる真っ青の海と空・・・!美しいーーー!!!あんなに吹雪いて灰色の海だったのに、ほんの10分ほどの間にこんなにお天気が変わるとは・・・。
いただきものの朝ごはんと昼ごはん
鯵ヶ沢行きのバスが来るのは12時過ぎ。まだまだたっぷり時間がある・・・!のんびりゆっくり遅めの朝ごはん兼、早めのお昼ごはんをいただきましょう。
本日の献立は、八幡平での夜明け前の舞の時にいただいた「おむすび」と「いぶりがっこ」とお茶、そして毎度お馴染みいただきものの蜜柑です!
八幡平でいただいた時は、「食べるタイミングないなぁ・・・」なんて思ってたけど、まさかこんなに感謝して食べる時がくるなんて・・・!!むしろもっと「いぶりがっこ」もらっておけばよかったとちょっぴり悔やみましたね・・・。
深浦散策
のんびりごはん食べてもまだまだ時間がある・・・!
つい数時間前までは深浦に来るなんて1ミクロも思ってなかったわたくし(深浦という地名自体初めて知った)。もちろんここがどんな場所であるかまったくわかりません。
駅舎内の看板にはこのように書かれていました。
深浦の地名は海から深く入った入江に由来し、(中略)北海道松前半島と秋田男鹿半島の中間にあり北前船の風待ち湊として、また津軽藩の御用湊として大変栄えました。当時の繁栄を物語る品々が、北前の館や数々の寺宝が伝わる円覚寺に残されています。
ここに出てくる円覚寺というのは、なんとあの坂上田村麻呂が平安時代に建立したといわれていて、ご本尊の十一面観音像は聖徳太子の作と伝えられているらしい・・・!教科書に出てくる有名人じゃんっ。すごすぎるーーー!!!(我ながらアホっぽい感想)
どうやら駅からちょっと離れた場所に見所スポットがあるもよう。円覚寺には行けないけれど、歩いて15分くらいのところに太宰治に関係する建物があるらしい。せっかくだからひとまずそこを目指して深浦散策、行ってきます!


どこか時が止まったかのような通り・・・。昭和のかけらをかき集めながら歩いていると、太宰治ゆかりの建物が見えてきました。
太宰の宿 ふかうら文学館
太宰治が宿泊し、小説『津軽』にも登場するという旧秋田屋旅館を改装した「太宰の宿 ふかうら文学館」です。太宰治をはじめ、深浦に縁の深い文人たちの資料を展示している文学館のようです。
そういえば数年前に初めて秋田と青森をひとり旅した時、五所川原市にある太宰治の生家「斜陽館」の存在を知ったのだった。斜陽館も気になるけれど、こちらの旧旅館もとっても素敵な外観!太宰治が泊まった部屋は、当時の雰囲気をそのまま再現しているそうです。
はい、うすうす予感していた通り・・・お休み!まだ三が日だから仕方ないですね・・・。
さて、これからどうしよう・・・。
この先にもまだちょっと何かありそうだけど、そこまで行ってたらバスの時間ギリギリになって慌てそうな気もする(いつもそんなパターン)。それに太陽の光で少しづつ溶けだした雪道を走る勇気はありません・・・。おとなしくUターンしましょうね。
救いの代行バス現る・・・!!!
余裕をもって11時半過ぎに到着すると、さっきまでわたし一人だったのに、駅にはなぜか人がわらわら。不思議に思っていると、バスが!バスがやってきたよ・・・!!!
え?え?この人たちはツアー客か何か???待ってる人に聞いてみると、なんと代行バスというではないか・・・!つまりわたしも乗っていいやつーーー!!!弘前にも止まるって!神がかり的なベストタイミングで戻ってきてよかった・・・!!
どうやらこの方たちは特急の「リゾートしらがみ」に乗ってやってきた人たち。それに合わせて代行バスが手配されたというわけか。今朝、東能代駅で聞いたのはこのバスのことだったのね。でもなんで現場の駅員さんたちには情報が届いていないのよぉぉぉ。誰よりも早く駅にいたのにあやうく乗りそびれるとこでした。目の前を走り去るバスを想像するとぞっとするね・・・(ちょっと面白いけど)。
バスは主要駅を経由し、最終的に青森駅まで向かうもよう。弘前には2時間くらいで着くらしい。もう乗り継ぎの心配をしないでのんびり揺られているだけでいいのです!よかったーーー。
正午前、深浦駅を出発です!!
バスでの移動中も車窓からは葛飾北斎の絵のような波飛沫。 まるで海の中を走っているみたいだ・・・!!!
日本海からどんどん離れ、あっという間に360度真っ白な世界に・・・。
まずは初めましての鯵ヶ沢駅で停車です。まさか今回の旅で降り立つことになるなんてね。そして再びバスは走り出します。
スピードを落として走る除雪車の後ろをゆっくり走るのも初めての体験!
お次は五所川原駅。最初は大館駅からここまで電車で向かう予定でした。
トイレ休憩の時間を使って、ちょっとだけキョロキョロ&ウロウロ。なんか見覚えあるなーって思ったら、前回の秋田青森旅の時にここに来たことあるじゃん!
そうそう、この五所川原駅から在来線の津軽鉄道に乗り換えて鬼コに会いに行ったのだった・・・。その沿線沿いに太宰治の「斜陽館」もあるのです。
あぁ、また乗りたい。とってもいい雰囲気で大好きだった。近いうちに、がっつり津軽旅したいな!
前回の津軽鉄道の旅はこちらからどうぞ▼▼▼
白い綿の林檎畑
そしてお次はついに弘前です。前回の旅でわたしが弘前で感動したことのひとつは車窓から見える一面の林檎畑。GWだったあの時は、白い花を可憐に咲かせていました。
めちゃくちゃ素敵な風景なのに、電車の中ではこの林檎畑の風景が当たり前すぎてスマホを眺めている地元民。でも、きっとわたしが旅人だからこの風景をこんなにも美しく感じることができるんだろうなぁ…。そんな風に思った旅の思い出。
あの時は白い花を咲かせていた林檎畑は、今はふわふわ白い綿のような雪をまとっています。その姿もとても美しくて・・・胸が締め付けられる・・・。やっぱりわたしは弘前の林檎畑の風景が大好きだ。
きっともう弘前駅は近いはずだけど、渋滞していて街の中心になかなか近づけない・・・。当初は2時間くらいという話でしたが、雪の影響ですでに3時間が経とうとしていました。
連日の弘前行きの電車ストップに「もっと根性出して!頑張ってよ!!」なんて思ってたけど、うん、ごめん・・・。こんなにひどいとは思ってなかったんだ・・・。
15時過ぎにやっとのことで弘前駅に到着・・・!朝5時に起きて大館を出発してから10時間経過。でもね、実はここが最終時点じゃないんだ・・・。こっからもういっこ乗り換えが待っているのだーーーーー!!!
急げ急げ!急いだらバスに間に合いそう!!!
バス停向かおうとするけど除雪された雪の壁で地形が変わっていて(?)、どうやってそこにたどり着けるのかわからない・・・っ。
焦って思考回路は混乱状態!走って向かった先が間違っていて慌ててUターンしようとしたら久しぶりのすってんころりん!あぁっ、雪旅の最中に歩くコツつかんだと思ってたのに!滑るのは横手で卒業したと思ってたのに・・・!!
体中のあちこちを打ち付けながら、どうにかこうにか目的のバス停に到着・・・。その場にいたバス会社の人に確認すると、なんとバス遅れてるって・・・。そっか、慌て損、滑り損だったか・・・・・。
同じくバス待ちしている男の子がちろちろ見てくるので「なんぞ?」と、思わず話しかけたら、なんとわたしがこれから行こうとしている地区に住んでる少年でした。ちょっと変わった男の子で面白かった!薄着でガタガタ震えながら寒い寒い言ってて、聞いたら1時間くらいここで待ってるって話だった。そら寒いわ。待ってる間にオススメの和菓子屋さんや、ご飯屋さん教えてもらったよ!
少年と話していたら待ちに待ったバスが到着。2024年の年末に秋田から始まった旅は、いよいよ終着地に向かって走り出します。最後は思い出のあの地へ。そう、今回は「再訪」の旅でもあるのです。
⑬秋田・青森ひとり旅2024-2025につづく▼▼▼