昨晩の大雨はすっかり上がり、うっすらとした雲の奥には透明感のある青空が見えています。
CONTENTS
- 上ノ山観音(水岸山 観音寺)
- 上山城
- 加勢鳥(かせどり)とは
- 変身、そして舞う
- 加勢鳥を楽しむためのエトセトラ
- 前半戦ラスト
- 山形ワインカーヴでワイン三昧
- 千鳥足で加勢鳥を追う
- はじめてのかりんとう
- イケイケガールズとの運命の出会い
- やっぱり中華そばが好き
- 一柳履物店
- 山形市へ
上ノ山観音(水岸山 観音寺)
荷物を預けに観光案内所へと向かう途中、まずは昨晩歩いた時から気になっていた公衆浴場のすぐ近くのお寺さんへ。真っ先に目に飛び込んできたのは、お堂のてっぺんに鎮座している赤いふたつのお顔でした。一番上は般若は「悟り」、下の獅子は「守護」を意味しているんだとか。あちこちのお寺さんでよく見かける一休さん味のあるパネルもわたしに微笑みかけています。
堂内には龍の天井絵もありました。
敷地内にはこれまた強烈な存在感を放つ奪衣婆(だつえば)のお姿も・・・。一瞬ぎょっとするけど、頭にはお砂糖まぶしたみたいな雪が積もってて可愛い。
坂の上にあるお寺さんの階段を降りると、遠くで交通整理をするおいちゃんたちの姿が見えました。もしかして加勢鳥関係だったりするのかしら??
おいちゃんたちの隣にはコンビニあります。そう、わたしには重要な任務があったのだ。一縷の望みをかけて中へ・・・。
昨晩コードが切れて充電できなかったカメラが命を吹き返します。 一番の不安材料が解決してほっと一安心。コンビニさまさまです。
観光案内所に荷物を預け(有料)、身軽になって準備は万端!!
上山城
早速加勢鳥のスタート地点である上山城へと向かいましょう。
昨日から遠くでちらちら顔をだしていた丘の上のお城がだんだんと近づいてきました。
わたしと同じようにお城へと向かう人々や、誘導する関係者たちの姿、そして階段を登るとすでにたくさんの人、人、人・・・!わかってはいたけど出遅れたーーーーー!!!
もっと早く着いて物販等を冷やかす予定が、もはやのんびりしている時間はありません。急いで場所取りせねば!
どんな形でスタートするのかちっとも調べてなかったので、とりあえず加勢鳥に変身すると思われる人たちが並ぶ場所の真ん前を陣取ることにします。子供の頃、体育の授業のバスケではいつもボールを追いかけている人間でした(つまりは単純)。
階段の端っこには「ゲンダイ」と呼ばれる加勢鳥の抜け殻が ・・・。
加勢鳥変身前の老若男女たちが、羽織っていた防寒具を脱ぎ始めます。どうやらまずは神事が行われるようです。
人の壁に隠れてよく見えなかったけど、神主さんが御幣をふりふり。神事が終わると今度はこれから加勢鳥となって1日中街を練り歩くタフな参加者たちの自己紹介が始まります。上山市内の人たちだけではなく県外からも集まっているんだとか。今年は東京からの初参加者や外国の方も・・・!かみのやま温泉の加勢鳥は誰でも参加できる民俗行事なのですね。
加勢鳥(かせどり)とは
加勢鳥は、秋田のナマハゲ等とルーツを同じくする小正月の来訪神。五穀豊穣や無病息災、商売繁盛をもたらします。
実は加勢鳥と同じ名前や似た名前の行事は全国各地で行われていて、その代表的なものはユネスコ無形文化遺産のひとつでもある佐賀市の「見島のカセドリ」。宮城県登米市の「米川の水かぶり」はその名称は違えど、上山市のそれと姿が酷似していて、内容も似ている部分があるようです(見にいきたい・・・)。
上山市の加勢鳥は寛永年間に始まったとされ、明治時代に一旦廃止に。昭和34年に復活して昭和61年には保存会が発足。現在行われている加勢鳥の演舞やお囃子はその時保存会が創作したものだそうです。超絶寒い時期に冷水を浴びる加勢鳥は、そのあまりの厳しさから成り手不足に陥り「加勢鳥、閑古鳥」と揶揄された時期もあったとか・・・。
観光案内所で購入した冊子『小正月の来訪神「かせどり」』、加勢鳥城下地図、かみのやま観光マップに書かれている内容を要約させていただきました。
今のように県外や外国の方も加勢鳥になれる参加型民俗行事にすることで継続させていくのもひとつの道なんだろうなぁ。
変身、そして舞う
自己紹介が終わるとついに加勢鳥お着替えタイムの始まりです!男性諸君はほぼみなさんおっぱいをガムテープでガードしているのが面白かった(想像するだけで擦れて痛いよねぇ・・・)。
みなさま続々と加勢鳥へと変身していきます。
いよいよ舞いのスタートです!
あ、あれ ・・・?着替え終わった加勢鳥たちがトコトコ歩いて広場の方にいっちゃうよ ・・・??一番前を陣取っていたつもりがあっという間に米粒サイズに(言い過ぎ)。
でも、結果これがとてもよかった!!!
「カッカッカーのカッカッカー ごーこくほーじょー(五穀豊穣) ひのよーじん(火の用心)♪」
遠くでは歌とお囃子に合わせて輪になった加勢鳥たちがリズムよく飛び跳ねています。
舞い踊る加勢鳥と、透き通るような青空、うっすらと雪が積もる山、見渡せる街並み、そしてこの瞬間をたのしむ人々の姿・・・。その光景に胸がいっぱいになってしまいました。
上山城での舞いが終わると加勢鳥たちは2手に分かれ、時には車で移動しながら1日かけて上山市内を練り歩き、舞い踊ります。そう、まだまだはじまったばかり。今からおっかけスタートです!!
慌てて追いかけると・・・
加勢鳥のドン、現る・・・!!!
間違いなく加勢鳥界の重人でしょ!かっこよ過ぎて正直加勢鳥より目を奪われてしまいました・・・。
加勢鳥を楽しむためのエトセトラ
祝い水をかける
再び舞いが始まります。
「カッカッカーのカッカッカー ごーこくほーじょー ひのよーじん♪」
ゆく先々に大量の水が用意されています。
この水を加勢鳥に向かってみんな容赦なくかける!!かける!!!
これは「祝い水」。江戸時代の大火の際に火の鳥が舞うように見えたことから、鳥に水をかける加勢鳥には火伏せの意味が込められているそうです。
手拭いやタオルを巻く
昨日から何度も往復している気がする湯町地区の共同温泉前へとたどり着きます。
加勢鳥の頭のてっぺんにちらほらと巻かれている布。最初はなかったような・・・??
実はこのタオルは道ゆく人々が巻いたもの。ケンダイの頭部に新しい手拭いやタオルを巻いて、一年の家内安全、商売繁盛、火の用心、五穀豊穣を願うのだそうです。
藁のご利益
加勢鳥のケンダイから抜け落ちた藁は縁起物。道に落ちた藁をみんな喜んで拾っていきます。(ただし、加勢鳥の体から直接抜き取るのはNG!)その藁で女児の髪を結うと、黒髪の豊かな美人になると言われているそうです。
練り練り歩いてお次に辿り着いたのはなんと!今朝まで滞在してたふぢ金旅館さんの前・・・!!ルートマップで近くを通るとは思っていたけど、まさかこんなまん前だったとは・・・(焦ってうまく写真撮れなかったよね・・・涙)。
反撃する加勢鳥
加勢鳥はただ大人しく水をかけられているだけではありません。
反撃とばかりに、体をぶるぶるっと震わせて水飛沫を浴びせかけてきます。
そのやりとりがめちゃくちゃカワイイ&タノシイ・・・!!!
水を夢中でかけてた男の子もつい楽しくなっちゃって、最後は自分でバケツかぶっちゃった・・・!!!
街中に散りばめられた加勢鳥
練り歩く加勢鳥を追っかけていると、こんなとこにも加勢鳥を発見!きっと他にもあちこちに加勢鳥モチーフがあると思われる。もっと出会いたかったなー。
加勢鳥の休憩所では、甘酒のふるまいもありました。あったまるぅーーー!!
一息ついたらまた出発よーーー!
「カッカッカーのカッカッカー ごーこくほーじょー ひのよーじん♪」
かみのやま温泉のアーケード前でぐるぐると舞い踊ります。
そして・・・ついにそのチャンスがやってきた!!!
たのしかったーーーーー!!!
前半戦ラスト
前半戦の終着地である「かみのやま温泉駅」に到着。ここで2手に分かれていた加勢鳥が合流して盛大に「カッカッカーのカッカッカー♪」。
数時間水を浴びながら踊り切った加勢鳥さまたち。濡れたケンダイと雪草履を脱いで、後半戦に向けてお昼休憩にイン!
横にはニュー・ケンダイが控えておりました。
山形ワインカーヴでワイン三昧
わたしもちょっと小休憩。かみのやま温泉観光案内所内にある山形ワインカーヴへと参ります。
こちらは山形県内産のワインを呑んだり購入できる素敵スポット。山形県が日本ワインの産地として有名であることを初めて知りました。中でも上山市にはトップクラスのワイナリーや高品質な葡萄をする農家があるんだとか。
ちょうど連休中は「ワイン冬祭り」が行われていました。
いつもなのか今回だけなのかはからないけれどお得なチケット制。
メニューにはいろんなワインがあって悩むーーー。
おつまみは第一印象から決めていました!
まず最初に選んだのは、赤ワインと干し柿とクリームチーズとナッツが巻き巻きされた「紅干し柿ロール」。どれもおいしいーーー!!ていうか干し柿ロールが脳天貫くくらい美味しすぎるーーー!!!
そして2杯目もやっぱり赤ワイン。最近わたしは赤ワインに目覚めてしまったのだ。
ラスト3杯目もやっぱり赤ワイン(チケット足りなくてまんまと買い足しちゃったよね・・・)。
3種類飲み比べてみたところ、一番高いのが・・・一番美味しかったんですよ・・・ ・・(ゴクリ)。 ボトルでは高くて買えないけれど、こうやってグラスでお手頃価格で飲めるのはとてもよいね。
ちなみに小さな店内のワインセラーにはずらーっとワインが並んでいて、店員さんと相談しながらまんまと3本も買ってしまったよ・・・。観光案内所内にあるから、朝に預けた荷物と一緒に預けられてとても便利!安心して何百本でも買えるね!!
千鳥足で加勢鳥を追う
3杯飲み終わる頃にはちょっとほろ酔いでいい気分。千鳥足で加勢鳥おっかけ再開です!
午後の部はルートマップの端っこにちょろっと時間と場所が書かれているくらい。今からの時間帯は消防署→警察署→ヤマザワ(スーパー)の流れらしい。地元の人ならすぐわかるんだろうけど、はっきりとした場所がわからないなぁー。とりあえず警察署に狙いを定め、Googleマップに案内してもらうことにします。
到着すると、あたりには同じく加勢鳥待ちと思われる人の姿がちらほら。どうやらまだ加勢鳥は来てないみたい・・・?
・・・近くでお囃子の音が聞こえる!!!
音のする方に目を凝らすと、消防署らしき建物が・・・!!警察署で待機するつもりがいてもたってもいられず消防署に向かってダーーーッシュ!!!
到着した途端っ!
しゅーりょぉぉぉーーー!!!!!
火伏せの意味もある加勢鳥。今更だけど、消防署で舞うのはとても意味があったよね・・・。なんで最初からここに待機していなかったのだ・・・ばかばかばか・・・。
うなだれながら加勢鳥の金魚のフンと化して後ろをとぼとぼ歩いていると・・・
「あれ?お客さん??」
声をかけられ振り向くと、なんと昨晩一杯やった焼き鳥屋さんのお姉さんの姿が!どうやら加勢鳥の関係者だったようです。福岡から加勢鳥を見にきたことを伝えると驚いていました。
思わぬ再会に喜びながら警察署の前を通り過ぎると・・・
あれ!?すでに加勢鳥が舞っているーーーーー!!!
消防署から歩いてきた加勢鳥たちは、素知らぬ顔で警察署の前を通り過ぎていきます。なんと別チームの加勢鳥担当だったのですね・・・。
慌てて警察署に向かうと・・・
次の場所に急ぐも・・・
こうしてわたしの戦いは不完全燃焼のまま終わりを迎えるのであった・・・。
この後も別の場所で加勢鳥は舞い続けるのだけれど、徒歩で追いかけるのは無理な距離。来年以降加勢鳥におっかける予定の人にわたしから言えることは「二手に別れる加勢鳥の動きを読んで動くべし!」でございます。
グッドラックだよ ・・・。
はじめてのかりんとう
気持ちを切り替え、まずはお土産を買いに大國屋さんへ。かみのやま温泉はかりんとうが有名らしい。しかも思ってたのとちがってひとつひとつがおっきい!いっぽんで得られる満足感がすごいです。
お土産も購入してほっと一安心です。
イケイケガールズとの運命の出会い
今朝からちゃんとしたご飯を食べてないから、遅めのお昼ごはんをいただこうと、目的のお店に向かって歩いていると、ふと窓からたくさんの視線を感じました。
そこにはたくさんのお人形が並んでいます。何を隠そうわたしは昔ながらの土人形が大好きなのです(土人形に限らず張り子やお土産こけし等の郷土玩具全般が好き)。旅先の郷土玩具の工房や骨董市等で、いろんな子たちを我が家にお迎えしてきました。
可愛い人形たちをしつこく撮っていたら、何やら中から人の気配が・・・。着物姿の女性が中から出てきて声をかられます。どうやら古いお人形や昔着物、古布等を売っているお店のよう。その名も渡邉渡商店さん。
渡邉渡商店
屋号にもなっている旦那さまの渡邉渡さんは人形作家とのこと。この日はその奥様がお店番をしてました。 どうやら加勢鳥に合わせてこちらのギャラリーで数日間出店していたようで、普段は山形市内にお店があるみたい・・・?(詳しくは渡邉渡商店さんのInstagramやFacebookをチェックしてね!)
普段はお店の人に声をかけられると引いてしまう人間なのですが(人見知りが過ぎましてな・・・)、気づけばそのまま中へと足を踏み入れていました。
アンティーク着物、土人形、極め付けはなんと奥さまと下の名前がほぼ一緒という偶然・・・。これは運命ですか。
このお店で何かお気に入りをお持ち帰りしたい。やっぱり一番最初に視線を感じた土人形たちが気になって、再び外に出てお顔を吟味吟味。昔の射的のお人形もあるようです。あと、お隣の米沢市からやってきたお人形ともいってたかなぁー(記憶力ゼロなのであやしい)。
うん、決めた!
時代はちょっと違うけど同じ系統のイケイケガールズたちをお嫁にいただくことにします。
嗚呼っ、めちゃくちゃ可愛すぎるーーーー!!!
なんでイケイケガールなのかというと、もうわたしには彼女たちがこんな風にしか見えなかったのです・・・。
もうね、めちゃくちゃ破格のお値段でびっくり!骨董市価格でした。山形でも骨董市があるのか聞いてみると、山形市内で毎月行われているようです。なんと取り仕切っているのがご主人とのことでした。東北の骨董市、いつか行ってみたいなー。地域色がでるよね、きっと。
そんなこんなでちょっとした出会いに喜びを感じつつお店を後にします。またいつか、会えるといいな。
やっぱり中華そばが好き
再びてくてくてく・・・。城下町ならではのいい感じの建物があちこちに建っています。
そしてやっと辿り着いたのは味処 清来軒。わたくし、ラーメンの中で一番好きなのは中華そばかもしれません(あ、でも坦々麺も捨てがたい。即席ラーメンでは、サッポロ一番みそラーメン、うまかっちゃん、たまに出前一丁が好き。はい、いらない情報ですね)。
外から差し込む柔らかい光。陽が落ちてきたことを感じさせ、昭和な水玉のグラスにもノスタルジー・・・。
毎度お馴染みの強欲っぷりを発揮し、大盛りを注文。
美味しいんだけど ・・・ぜんぜん、ぜんぜん減らないよ? さすが大盛り。お腹いっぱいになってきた・・・。
実は観光案内所に預けている荷物の引き取り時間が刻一刻と迫ってきていました。超焦って高速でかっ込む!!!腹はちきれながら、なんとかすべてを胃袋に収めることができました ・・・。
とってもご機嫌な店員のおばさまがいて、なんだかこっちまで楽しくなったし、昔からの常連と思しき家族がいたりして、とてもいい雰囲気のお店でした。美味しい中華そば、ご馳走様でした!
一柳履物店
お店を後にし観光案内所へと駆け足で向かっていると、かっこいい店構えの昔ながらの履き物屋さんがありました。すごく気になる・・・。
近づいてみると胸がドキュン!「流行」「もーど」「メルシーチェンの店」・・・。嗚呼、なんて魅力的なフォントと言葉の数々なのでせう・・・。
ショーウィンドウには、 もう何十年もこの場所にずっと置かれているかのような時代を感じさせる下駄の姿もありました。
改めて写真をまじまじと見ると、気になるものがちらほらある。店内にはもしかしたらもっと掘り出し物があったかもしれません。時間があれば寄りたかったなー。お店の人からもきっと面白い話がいろいろと聞けた気がします。
今回、加勢鳥のおっかけ以外、温泉街や街中の散策がほぼほぼ出来なかったことが心残り。もっと時間に余裕のある旅、したいね(毎回言ってる気がするよ)。
山形市へ
散策をぐっと堪えて走り抜けたおかげで、時間内になんとか観光案内所へと到着。無事荷物を受け取り、コーヒーをテイクアウトしてほっと一息つく時間もありました。
かみのやま温泉駅内の土産物屋さんでは「おしどり」のミルクケーキをたくさん買っちゃったよ。だってこんなに種類があるんだもの・・・!山形県内の会社なんだねぇ。子供の頃に食べたような気がして、とっても優しくて美味しくて懐かしい味がします。
いよいよ明日は旅のラストDAY。
初の山形旅の終着地点となる山形市へと電車は走り出したのでした。
【使用カメラ】digital:SONY α7III + NOKTON classic 35mm F1.4、SIGMA 24mm F1.4、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE3、film:Konica AUTOREX + HEXANON AR57mm F1.4
06.冬の山形ひとり旅2024(たぶん最終回)へとつづく▼▼▼