彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

④竹崎島正月ひとり旅2024【雨と猫と恵比寿の港町編】

CONTENTS

はじめてのモーニングコール

(何度も言うけど)スマホが壊れてアラームが使えないので、生まれて初めてお宿にモーニングコールをお願いすることに。翌日のお祭りは13時から。朝はちょっとのんびりしようかな・・・。そう思って8時にお願いしたのに、自然に目が覚めたのは予定より1時間早い7時でした。カーテンを開けるとまだほんのり暗く、空も海も鈍い青色。もしや雨の野郎、これから降る気満々だな・・・?

AM7:00

のろのろのろ。のんびり準備しながら朝ごはんのゼリー飲料をゴクリ。少しずつ外が明るくなってきました。まだ雨は降ってない・・・?お願いだから持ち堪えて・・・。

8:00

のろのろのろ。あれ?あっとう間にまた1時間過ぎてたよ・・・?(ちなみに部屋の電話が壊れていたようで、初のモーニングコール体験は不発に・・・残念)

9:00

さて、今日はどうへ行こう。頼れるのは「竹崎島ひょうたんめぐりMAP」と、旅の前にスケジュールやバスの時間等を書いた手書きメモ(いつもはスマホのメモに入れているのに今回は奇跡的に持っきていた)。無くさないようにしなければ・・・。厳重に折りたたんでポケットに入れます。

このマップに助けられました

のろのろのろ。あれ?そうこうしているうちに、さらに1時間過ぎてしまったよ???結局時間ぎりぎりまでゆっくりしてしまいました・・・。

慌ててチェックアウトをすませて外にでると、灰色の空からぽつり、ぽつりと雨粒が・・・。雨の竹崎島散策のはじまりはじまり〜。

赤岩島(あかいわさん)

竹崎港前には、木がこんもり茂った小さな一角があります。通称「あかいわさん」と呼ばれる「赤岩島」は、かつてこの場所が海だったことの証。

まるで鬼が作った盆栽といったような可愛らしさ

埋め立てられる前は、海中にある「あかいわさん」の穴をくぐって子供たちが遊んでいたそうです。素敵エピすぎて胸が締め付けられる・・・!「あかいわさん」に登れるらしいので行ってみることにします。

階段

坂と階段を登ってぐるりと曲がると、ボーボーの草と木々の隙間から碑石が顔を出していました。

荒々しき道

草を跨いで通り抜けると目の前に現れたのは「竹崎漁港修築記念碑」。

その前には毘沙門天さまと恵比寿さまがいらっしゃいます。左の毘沙門天さまは小さくてとても可愛らしいけれど、頭には蛇がとぐろぐるぐる。これは、より位の高い神様であることを表しているのだそう。

ニヒルな笑み

そして右側には立派な恵比寿さま・・・!!!

にっこり

とってもいいお顔をしていて思わずこちらも微笑んでしまいます。脇に抱えているぷっくりしたお魚も可愛らしい。首にはじゃらじゃらとお金のネックレスも!立派な福耳もお持ちでめちゃくちゃご利益ありそうです。

なんて福々しい

ちゃんとお正月に飾りつけたと思われる南天やみかん、お酒等もお供えされていて、町の人たちにとても大切にされていることがわかります。

キュンとしちゃう

朝から早速ときめいてしまいました。

雨の鹿山を登る

写真を撮るのに夢中になっていると、いつの間にか大粒の雨に・・・。

海を鴨が行進

波紋

本降りの雨の中、「あかいわさん」を降りて今度は昨日訪れた「竹崎カニ発祥の地」からも近い神社へ向かうことにします。地図を片手にてくてくてく。てっきり平地を行くのかと思ったら、どうやら坂の上にあるようです。

民家の塀からも恵比寿さまがこんにちはしてました。

坂の上から見下ろすと、港横の朽ちた建物の中に古そうな樽が転がっているのが見えます。

何が入っていたのだろう?

港を見下ろす

アスファルトで舗装された坂は途中まで。この先は荒れた道が続いているようです。

坂・・・というか、ちょっとした山???(鹿山というようです)あまり人がこないところなのか、道の真ん中で休んでいた大きな鷹(鷲?)がバサァっと羽を広げて飛び立つのが見ました。驚かしてごめんよ・・・。

鹿大明神(ジャミジンサン)

ほどなくして小さなお社のある空間に出ました。鹿大明神を祀る鹿山神社です。

行基菩薩を案内した鹿の夫婦

地元ではジャミジンサンと親しまれる鹿大明神さまが祀られています。昨晩お祭りを見に行った竹崎観世音寺とも縁の深い神さまです。

奈良時代にお寺を創建した行基菩薩が肥後の国を通る途中、橋が怪しい光を放って人々を悩ませていました。行基菩薩は、霊木を橋桁(はしげた)に使っていることが原因だと気付き、この霊木を7つに切って有明海に流し、霊木の流れ着いた場所に観音像を刻み祀ることにします。行基菩薩が肥前の国に来ると、多良岳に住む2匹の夫婦鹿が現れて道案内を申し出て、竹崎島の「観音ほき」という場所に案内すると、そこには一本の霊木が流れ着き芳香を放っていました。行基菩薩はこの霊木で千手観音像を刻み、竹崎観世音寺の本尊仏としました。道案内をしたこの鹿夫婦はその後末永く子孫が栄え、現在は鹿大明神として鹿山神社で祀られています。(『太良町の文化財と祭と民俗芸能』より要約)

お社に入ってガラス戸の中を覗いてみると、古い神像さまが数体と可愛らしい2対の狛犬が祀られていました。

なんとなく写真を撮るのがはばかられ、可愛らしい狛犬の姿だけを収め、あとは記憶の中だけに留めることに(もうすっかり忘れちゃったけど・・・)。

右にも同じように愛くるしい狛犬がいたよ

そして鹿夫婦の話に出てくる霊木が流れ着いたという「観音ほき」の場所。マップにも書かれていたけれど、どうにも位置がよくわからず・・・。また次回行った時に突き止めたいと思います(いつになることやら)。

鹿山を降りましょう

猫の雨宿り

まだ島内全部を周れていないし、行きたい場所もいくつか残ってはいるのですが、この雨ではなかなか思うように動けません。もうマップは気にしないで、歩いていない道を気の向くままに散策することにしました。

曇り空に美しい群舞

猫もあちこちで雨宿りしています。

雨でやんなっちゃうね?

恵比寿さまの住む港町

そういえば竹崎観世音寺から石段を下ることはあっても、港から観世音寺に向かって登っていなかったな。そう思って、昨日すでに何度か歩いた石段へと向かってみると・・・。

!!!

なんて可愛らしい恵比寿さまと大黒さま・・・!!!

きゅんきゅん!

昨日まったく気付かなかったのは、この石段を歩いたのが真っ暗な夜でなおかつ上から降りてきたから。歩く方向や時間が違うとまったく違った景色が見えて、気付けなかった魅力を発見できる。何度も歩いてみるものですね。

さらに石段を登っていくと、民家の門柱にぴょっこり恵比寿さまが次々に現れます。

漁師の家だったりするのかな?竹崎島では個人で恵比寿さまを祀っている人が多いのでしょうか?

鮮やかな赤いおべべから顔を出すお魚

わたしが見た恵比寿さまはすべて海に顔を向けていたような気がします。やはりあえてそうやって置いているのでしょうね。

どの恵比寿さまもとってもいいお顔で、竹崎島の恵比寿さまが大好きになってしまいました。まだまだあちこちにいらっしゃる気がするので、また竹崎島の恵比寿さま巡りしたいなぁ!

竹崎城址展望台でランチ

ひょうたん島をすべて周れないままあっという間にお昼の時間。ランチの場所はあそこしかない!昨日の夕方も訪れた竹崎城址展望台へと向かいます。こんな雨だけど展望台へと登る家族の姿がありました。

子供の「ぎゃー!」という叫び声。なんだなんだと後に続くと、怖がって後退りする女の子の姿が・・・。

漁具資料館

!!!!!

あなたさまはぁーーー!!!

昨日太良町に着いた時、一番最初にご挨拶したヘルメット式潜水服さまではありませんか・・・!!!これに怖がっていたのねぇ。

しかしまさかこんなとこにもいらっしゃるとは・・・。展望台には漁具資料館が併設されていて、どうやら昨日来た時は時間が遅くてすでに閉館していたようです。

このような貝を潜水服で捕っていたのね

気になるお狐さまの写真も展示されていました。

平浜神社の野狐踊り

実はこの時すでに時間がなくてばったばた!漁具資料館もばったばたで写真だけ撮ってじっくり見れず・・・。急いでランチを食べてお祭りが行われる竹崎観世音寺へと向かうのであった・・・(いつもこのパターン)。

ピーナッツクリームは裏切らない

■参考サイト、資料

太良町の文化財と祭と民俗芸能

【使用カメラ】digital:SONY α7III +NOKTON classic 40mm F1.4、SIGMA 24mm F1.4、SIGMA dp3 quattro、film:CONTAX Aria Planar 50mm f1.4

⑤竹崎島正月ひとり旅2024【最終回】へつづく▼▼▼