彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

①竹崎島正月ひとり旅2024【竹崎カニを求めて三千里編】

2023年12月の暮れ。仕事もなんとか納まり(ほんとは納まってなかったけれど)、実家にも帰らないし、あとは大掃除して寝正月するだけ・・・そう思っていました。

「あと数日で今年も終わりか・・・さみしい年末年始だな・・・」

そんな風に思っていたかはよく覚えておりませんが、何の予感もないまま突然の閃き!光の速さで旅程を組み立て、2024年1月2日の朝、電車に飛び乗っているわたしがいたのです・・・。

2024年1月2日の朝の空

CONTENST

福岡から佐賀へ

まず目指すのは佐賀県鹿島市。琥珀色のはちみつゆずを胃袋に流し入れ、朝日を眺めながら電車でぽかぽかゆらゆら。

あったまる〜

途中で電車を乗り換えて・・・

窓をぼーっと眺めていると・・・

!!!?

き、気球ーーーーー!??!?

まさかの光景にビックリ

そういえば佐賀にはバルーンフェスタという国際的なバルーンの競技イベントがあるんだよね。正月だからバルーン飛ばしていたのかなー。見れると思ってなかったからとっても嬉しい!幸先の良いスタートです。

肥前鹿島駅でバスに乗り換える

車窓からの景色を楽しんでいたらあっという間に佐賀県鹿島市の肥前鹿島駅へと到着。

駅舎の前には真っ赤なレトロな車が止まっていた

ここからバスに乗り換えます。はじめて訪れる場所での乗り換えはドキドキ。駅前にバスターミナルがあるはずなんだけど・・・ない???

どうやら右側の工事中の建物がバスターミナルだったもよう・・・。その横にちっちゃな待合所ができていました。

コカコーラ柄の座布団がイカス!

待合所前にはバスの案内のおっちゃんがいてくれたので(正月だから?)、ちっとも迷わずにバスに乗ることができました。

有名な祐徳稲荷神社に初詣に行くのかな?って人たちの姿もちらほら。

青空の有明海をゆく

バスの車窓からは見渡す限りの青い空と海!有明海を眺めながらバスは進んでいきます。なんていいお天気なのだー。

美しい

目の前には干潟ならではな光景が広がっていました。

遠目に並んでいる支柱は海苔を養殖するためのもの。舟も浮かんでいます

もう少しすると海に浮かぶ海中鳥居というふぉとじぇにっくスポットがあるらしいのですが、バスの中からではよくわからず・・・。

このあたりだったのかしら・・・

佐賀県太良(たら)町

降り立ったのは太良町の「亀の浦入口」。

実は目的地はもう少し先なのになぜここで降りたのかというと・・・

この方に!会いたかったからだよ・・・!!!

好き好き好き

あぁ、たまらん・・・たまらんぞ・・・。

こちらは宇宙服・・・ではなく、ヘルメット式の潜水服。土木港湾工事を請負う会社の川武潜水興業さんの前にドデーンと鎮座しています。

「もぐり発祥の地」と看板に大きく書かれているように、太良町は「もぐり」と呼ばれるヘルメット式の潜水服を用いた漁で栄えた街。太良町ではタイラギ(貝)漁が行われていたようです。潜水技術は大正時代に韓国から伝わり、太良町から隣の長崎県や福岡県に広がったといわれているそうです。

太良町町勢要覧 18/48より

ヘルメット式潜水の歴史

潜水の歴史について知りたくなってきたのでちょっと調べてみることに・・・。

古来から世界中で行われてきた「素潜り」の歴史に潜水器らしきものが生まれたのは17世紀のこと。1837年には現在でも使われている「ヘルメット式潜水器」の原型がイギリスのシーべによって開発されます。なんと構造はその頃からほとんど変わっていないそうです。

1873 年 2 月 8 日号の「The Illustrated London News」より。おそらく沈没事故で遺体を引き上げる作業をするダイバーを描いたものとのこと(Wikipediaより)

日本では1857(安政4)年に初めてヘルメット潜水器が導入され、1872(明治5)年には海軍工作局において製造が開始。民間でも同年には増田万吉氏がオランダからイギリス製のヘルメット潜水器を輸入し製造にも着手し、本格的な潜水の時代がスタートすることになります。

 潜水について | 一般社団法人 日本潜水協会 より

太良町は「もぐり発祥の地」?

日本では明治時代にはすでにヘルメット式の潜水が行われていて、太良町では大正時代に韓国から潜水技術が伝わったということなので、別ルートから入ってきたということなのかな・・・?そういった意味では「もぐり発祥」のフレーズは・・・間違ってない!??

たぬきが隣にいるのもいいね・・・

まぁ、実際はどこが発祥かなんてどうでもよくて、わたしはこのフォルムが最高に好き!!ってことなのだ。

中身は新聞紙

ちなみに現在ではタイラギの不作によりもう10年以上も休漁しているそうです。土木港湾工事を行う川武潜水興業さんも、タイラギ漁師に雇用の場を作るために作られた会社とのことでした。

冬の朝、太良町の漁港から船が一斉に海に出る光景は、有明海の冬の風物詩だったそう。その光景、見てみたかったな・・・。

「諫早湾干拓問題」という複雑な問題もあるらしく・・・ちょっと暗い気持ちになっちゃった。

現場から2016参院選(6) 有明海再生、タイラギが戻る日まで|【西日本新聞me】

哀愁ただよう後ろ姿

太良町の沖合にタイラギの稚貝を移植し、資源を回復させようとしているそうなので、その活動がうまくいって再びタイラギ漁が復活する日がきますように。太良町でタイラギをもりもり食べれる日を願っているよ!

南部もぐり

さて、今回「潜水 もぐり」のワードで検索してたら、真っ先に出てきたのは「南部もぐり」でした。あのクドカンの朝ドラ「あまちゃん」で一躍有名になったそうですが、大好きで毎回見てたはずなのに、ちっとも覚えてないのなんでだ・・・!??

しかもモデルになった岩手県洋野町の種市高校では、現在でもヘルメット式潜水服を使用した実習が行われているとのこと!あまちゃんでもアキの初恋の種市先輩が実習していたらしい・・・(もちろん覚えてない・・・)。嗚呼、また見返したくなってきた!

以下のページに、実際に高校でヘルメット式潜水服を着て南部もぐり体験している記事があって面白かったのでぜひ!総重量65キロというのにもびっくり〜。わたしも体験してみたいな・・・▼▼▼

記事によると、現在では装着が簡単なスキューバ式やマスク式が主流になっていて、ヘルメット式で潜水できる人は減っているそうです。国内でヘルメット式の潜水服を作れる職人も少ないそうで・・・。そんなこんなで南部もぐりについても興味津々々々!になってきたので、いつか三陸海岸沿いを旅してみたいな!

潜水士というお仕事

ヘルメット式潜水服の見た目のおもしろさに興味があったのですが、潜水士というお仕事が漁だけでなく、土木作業や救助や沈没船の引き上げ等のサルベージ、海洋調査等さまざまな仕事をしているということも知りました。太良町の川武潜水興業さんも東日本大震災の時には行方不明者の捜索にあたったらしい。

ブログを書くことで知らなかったことを知る機会ができるので、始めてよかったなーと思うことのひとつです。

竹崎カニを求めて三千里

ところで、川武潜水興業さんの建物の上に人が立っていることにお気づきでしょうか・・・。

両手に持っているのは・・・

カニぃぃぃーーー!!!

竹崎カニです!太良町竹崎島近海で獲れる菱形の甲羅を持つワタリガニの一種。そう、わたしはこれからカニを食べるために歩いて歩いて歩きまくるのだ・・・!!!(大袈裟に言ってますがほんとは30分くらいです)

ちなみにこの絵の両手のカニは以前はタイラギだったそうです。それを知ってからみると泣けてくるね・・・

夜と朝と昼ごはんを買う

と、その前に近くのスーパーで夜と朝と昼ごはんを買わねばなりません。なぜなら本日宿泊する竹崎島内の旅館では素泊まりだから・・・(そして正月だし近くに食料買えるようなお店や飲食店がなさそうだった)。

もちろん旅館ではカニ料理を提供していますが、いかんせんわたしはひとり旅。食事付きを選ぶことができなかったのでございます・・・(かなしい)。贅沢カニ旅館めし食べたかったよーーーー!!!

そんなわけで、明日を生きるためにまずは食料の調達です。

Aコープ おおうら

正月に営業しているか不安だったのですが、年末に連絡してぬかりなく確認済。ここが閉まっていたら家からお弁当や食材を持って行く予定でした(カニカマ弁当にしようかと真剣に考えていた)。

せっかくだからご当地っぽいの食べたいなーと物色していると・・・

「かに御前」発見!!!

ここで獲れたカニと信じて購入するも、後日福岡の自宅に帰って最寄りのスーパーに行ったらまったく同じ弁当がありましたよね・・・。製造元を確認すると「熊本県」の文字が。もっと夢を見ていたかった・・・。

こちらは正真正銘太良町で作られたクジラベーコン。気になるけれど冷蔵だし食べきれないからぐっと我慢・・・ 。

かに御前弁当の他に、夜のデザート用のヨーグルト、朝ごはん用にゼリー飲料、お昼ご飯用のパンとカフェオレを購入してバッグに詰め詰め。

いよいよ竹崎カニを求めて出発です・・・!!!

竹崎かに 園

竹崎カニ求めて向かった先は竹崎かに 園さん。年末年始は稼ぎ時なのか、あちこちで見かけた牡蠣小屋も普通にオープンしていてとても賑わっているようでした。

しかし徒歩でなんとか行ける距離にカニ料理を提供しているお店があって本当によかったー!カニが有名な場所でカニ食べないで帰るのはもったいないもんね。旅ではその土地をあますところなく味わい尽くしたいのである。

1分と書かれていますがもちろん車でなら1分です

実はこの日は1月とは思えないほど日差しが強くてぽかぽか陽気。寒いと思って着込んでいたら、暑くて汗が吹き出すほどでした。

あ、もしかしてあそこに見えるのが・・・

建物に「かき焼」の文字。あそこに違いない

うん、まだまだ遠い・・・ね・・・・・・。日頃運動不足なのでもうすでに足は痛い。だが、カニ欲を満たすためにアスファルトの坂を踏みしめて一歩一歩進むのだ・・・。

若干げっそりしながら歩みを進め、ついに(ラブホ前の) 園さんへと到着!

すでに車がちらほら

到着したのは11時半前。お店に入れるかしら・・・ドキドキしながら足を踏み入れると立派な魚拓が飾られたテーブルに案内されて万々歳!!!

イカス!

竹崎カニ料理のコース等もあったのですが(もちろんお高い)、ひかえめに、でもちょっと贅沢に、かに飯とかに汁付きのお刺身定食に・・・!オプションとして各500円プラスでカニ汁は大盛りに、白飯をカニ飯に変更することができました(もちろん強欲なわたしはどっちもプラスしたぞ)。

お正月だし。年末年始は他に贅沢していないし。これくらい許されるでしょそうでしょ!?そう自分に言い聞かせながら、目の前に現れた嗚呼いとしき海の宝石たちよ・・・。

竹崎カニは夏から秋にかけては雄ガニ、冬は雌ガニ旬で一年中楽しめるらしい。つまり今は雌カニが旬!カニ汁の甲羅の中には身の他にオレンジ色の卵がみっちり詰まっておりました。

そしてカニ飯。

カニカニカニカニ言っておきながら今さらなのですが、実はわたしそこまでカニ好きじゃなかったり・・・(おい)。

「殻を剥いてくれたら食べてあげてもよくってよ?」

って王女さまスタイルです。そんなわけなので、今回のカニ料理にもそこまで感動しなかったのですが(ごめんなさい・・・)、

刺身がね!めちゃくちゃ新鮮で!おいしかっっっっっったの!!!!!

ぷりぷりこりこりとろけた〜

お口の中がしあわせになりました・・・。

いつか竹崎カニを味わい尽くしたい

でもやっぱり、旅館での贅沢カニ料理は食べてみたい!!!きっと今までのパッとしなかったカニ人生を見直すきっかけになりそうな気がするんだ・・・。食べるのは心底めんどくさいけど。やっぱきれいに剥いてほしいけど。

1匹丸ごと茹でる一般的な「茹でガニ」をはじめ、「焼きガニ」「カニ天」、「カニ刺し」、釜飯や雑炊、脱皮直後の甲羅が柔らかい竹崎カニを丸ごと揚げた「脱皮ガニの天ぷら」なる料理もあるらしいぞ・・・(よだれよだれ・・・)。

いつか誰かと再び竹崎カニを求めて太良町へとぜひとも参りたい・・・。そう心に誓うのであった。

観光パンフレット「佐賀県 太良町 Travel」より

ちなみにお店の入口にはたくさんのサイン色紙が飾られており、「星野源」のサインも発見!よくぞこんなとこまで(失礼な)いらっしゃった・・・。

今年に入ってからなぜか星野源を聞くようになったのはこのせいか・・・?
サブリミナル効果こわい・・・

夢の牡蠣小屋

お食事処を出ると、お隣では生きた竹崎カニが売られていました。

2500円・・・3500円・・・(もちろん買えない・・・・・)。

な、ななせんごひゃくえん・・・!????

(王様の食べ物ですね・・・)

竹崎カニちゃん、いつか必ずや君を丸々食べてやるからな・・・!!!

カニの他にもこちらにはカキや、サザエなどたくさんの食材が売られています。

みてるだけでたのしい

どうやらここで購入して隣の牡蠣小屋で焼いて食べれるらしい。いいなー!!!

実はカキ苦手なんだけど牡蠣小屋には行きたい

竹崎島へ

カニ欲も満たされたことだし、今回の旅の一番の目的地である竹崎島へと歩いて向かうことにいたしましょう。

てくてくてく・・・。あちこちにカニが潜んでいます。

各地のコミュニティバスが愛しい

本日泊まる宿の看板を発見。かに料理・・・食べたかった・・・

錆び錆びの竹崎カニと街頭

小さな祠があったのでご挨拶することに。

日時計のよう。六地蔵と書かれています。右側の小さい子たちのことなのかな?

祠の中に入ってみると、木板の隙間とぽこぽこ空いた穴から柔らかに光が差して、胸がいっぱいになる空間が広がっていました。

こういう瞬間に出会えるととても嬉しくなる

再び竹崎島へ向かって歩く歩く歩く・・・。

ここでは事故が多かったのかな?交通安全の文字が刻まれたお地蔵さまが

歩いていると、竹崎島へと向かうバスが一台通り過ぎていったそうな・・・
(写真には写っていません)

坂を登ったところに素敵な恵比寿様(?)をお見かけしました。お顔がわからないような、自然石のような、素朴な石像に胸がときめくお年頃。

海を眺めてた

もしかして海の向こうに見えるのは竹崎島・・・!?目的地まであともう少しです!!!

坂を下って行くと、海の前にひっそりとした神社がありました。

唐子のグラスかわいいほしい

そして神社のすぐ目の前には一本の橋。ここを渡ればいよいよ竹崎島です。

【使用カメラ】digital:SONY α7III +NOKTON classic 40mm F1.4、SIGMA 24mm F1.4 、SIGMA dp3 quattro、film:CONTAX Aria + Planar 50mm f1.4

②竹崎島正月ひとり旅2024へとつづく▼▼▼