彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

01.冬の山形ひとり旅2024【嗚呼、麗しの喜至楼・前編】

冬の東北に行きたい!雪にまみれたい・・・!!!

そんな気持ちで何ヶ月も前から計画していた冬の東北旅。しかし今年は暖冬というではありませんか・・・。果たして夢の雪旅を体験することができるのか・・・。

生まれも育ちも生粋の九州の民は雪への憧れを胸に、2月のはじめに山形県へと旅立ったのであった。

CONTENTS

福岡から宮城へ

今回は宮城県から山形入り。まずは福岡空港から仙台空港へ。午前9時のフライトなので、いつものハードな旅とは違いのんびりな朝です。ほんとはもっと早く向かいたいけど福岡からだと便数が少なくてもどかしい・・・。

7:30の空

空港でプチトラブルがあって(すべてはわたしのうっかりのせい)、もしかして飛行機乗れないのでは・・・!?と、めちゃ焦ったけどなんとか飛行機に乗れて無事出発!!!

心はいつまでたっても子供だから、ずーーーっと外を眺めてしまう

機内で可愛い手拭い売ってて、まだ東北に着いてないのにうっかりお土産(自分への)買いそうになったよ・・・

雪!もしかして、雪旅できちゃう???

雪山を飛び越えて仙台空港へと到着。

やっぱり雪、積もってないね・・・

宮城から山形へ

ここからは時間との戦いです・・・!まずは電車に乗って仙台駅へ向かいます。

乗り継ぎがうまくいかなかったら仙台駅でお昼ごはんを食べてこうと思ってたけど・・・うん、賭けてみよう!

電車移動しながらスマホで新幹線のチケットを購入してICカードを紐付けます。発券する時間を短縮して、改札を素早く作戦です(便利な時代じゃのう)。

あっという間に仙台駅に到着。初めて訪れる場所での乗り継ぎはドキドキ!乗り換えの時間は約12分。駆け足で新幹線乗り場へ・・・!ちょっと迷ってパニクったけどなんとか間に合った!!

初めまして仙台。でも、すぐにさようなら。今度はあなたメインで訪れるから待っててね・・・!

新幹線に乗ったのも束の間、たった13分で降りちゃうよ!(なんて贅沢な新幹線の使い方なのだ)だって、1秒でも早く目的地に着きたかったんだもの・・・。下車したのは古川駅。実はまだまだ宮城県。再び乗り換えるために在来線乗り場へと向かいましょう。

鳴子温泉郷って書いてる!もしかしてここから近い・・・??

少し待ち時間があったので、お昼ごはんを調達しようと土産物を物色。うーん、ご飯ぽいものがないなぁ・・・。仕方ないのでおやつを買ってホームへ。

やっぱり鳴子温泉が近いんだ!

正午過ぎの電車で出発。おやつごはんを食べながら車窓からの景色を楽しみます。

どちらも美味しかったよ

山形へと向かうにつれて少しずつ増えていく雪・・・(ときめき!)。暖冬で雪には会えないと思っていたからとても嬉しい。テンション急上昇です。

鳴子温泉も通過・・・っ。いつか行ってみたいな。

こけしこけしこけし

雪景色を走る、走る。

そしてついに目的地に到着!時計を見ると14時前。11時前に仙台空港を出発してから約3時間、福岡からカウントすると約5時間・・・!!遠かったーーーーー。乗り継ぎに失敗してたら夕方に着いてたとこだったよ・・・。

 

瀬見温泉

旅の最初に訪れたのは、山形県の北東部に位置する最上町の瀬見(せみ)温泉。

雪だ!雪だ!雪だーーーーー!!!

きっと本来ならもっと積もっているのだろうけど、普段1mmも積もらない福岡の都市部に住んでいる身としてはこれでもじゅーぶんテンション上がるのだ。ほんとは吹雪くくらいの雪を欲していたけどね!

もっと、もっと雪ください!

無人駅を出て瀬見温泉へ向かっていると、歩道に「義経通り」と書かれた石柱がありました。

義経通り

そう、ここは源義経にまつわる伝説が残る温泉地。

源頼朝の追手を逃れて亀割山中で一夜を過ごしていたところ、義経の奥さまが産気づいて赤子を出産。弁慶が産湯を求めたどりついた川辺で大岩を薙刀で突き破ると温泉が吹き出したそうで、これが瀬見温泉のはじまりと伝えられています。義経と弁慶の伝説に彩られた瀬見温泉は、江戸時代には領内随一の温泉場として賑わい、歴代藩主の入湯場にもなっていたとか。

義経と弁慶モチーフがあちこちに

喜至楼(きしろう)に泊まる

橋を渡ってほどなくすると、さまざまな様式の建物をテトリスみたいにくっつけたかのような印象的な建物群が現れました。本日宿泊する喜至楼です。明治・大正・昭和の建物が混在した山形県内に残る最古の旅館といわれています。

駅から歩いていると、一番最初に見えてくるのがこちらの木造建築。

木造なのにモダンな雰囲気にキュン!

そしてそのお隣が喜至楼別館。宿泊する人はこちらから入るようです。

「別館」ということは、もちろん「本館」があります。

その素晴らしきお姿がこちら・・・!!!

魅惑の木造4階建

喜至楼の創業はなんと江戸安政年間で、立ち寄り湯の入口にもなっている本館玄関の建物は明治元年に建てられたものだそうです。

本館玄関上には「㐂至楼」の文字(「㐂」は「喜」の異字体)

別館でチェックイン

外観の見学はこのくらいにして、まずはチェックインをしに別館へと向かいます。

左奥に見えるのが別館

たぬきがこんにちは

フロントには喜至楼のすべてを知り尽くしているかのようなおばあさま。

市松模様の床が印象的

夕食は18時から。あ、朝食の時間も決めなきゃね。明日は早い電車に乗りたいから6時30分くらいに食事できないかなぁ・・・って聞こうとする前に「朝食開始は7時30分から」と言われ撃沈!早速予定が狂うことに・・・。

明日どうするかはまた後で考えよう!夕食の時間まで約3時間半ほど。部屋に荷物を置いて館内の散策と温泉街をお散歩をするぞーーー!!

温泉まんじゅうや、去年の岩手旅で生まれて初めて食べた「しそ巻き」のお土産も!

部屋に案内される通路にも興味深いものたちが置かれていて目移りしちゃう。展示室のような空間もありました。

イタチの剥製?

部屋の名前も味わい深い・・・。

「横笛」が義経っぽい!わたしは鈴虫か乙女の部屋に泊まりたいな・・・(永遠の乙女より)

廊下の隅には年季の入った将棋の台も。たくさんの人がこの台で将棋を指したんだろうなぁー(ちなみにわたしは「と」だけで遊ぶやつか、将棋崩しの遊びしかできません)

別館・部屋

わたしのお部屋は別館の「須磨」。本館に泊まりたかったな・・・。数ヶ月前に予約したにも関わらず別館のお部屋しか空いていなかったのだ。

浮かび上がる須磨

広縁(ひろえん)のあるお部屋っていいよね

荷物を置いてほっと一息・・・つく暇もなく、まずは館内探検へと出発!!

永遠に彷徨いたい喜至楼本館

ローマ式千人風呂

まずは一番楽しみにしていた本館の温泉へ。本館と別館は中で繋がっていて、増築に増築を重ねてこのような姿になったのだろうなぁーというような構造をしています。

別館と本館を繋いでいる階段

喜至楼にはいくつもの浴室があって館内で湯巡りすることができるのですが、一番の花形はなんといっても「ローマ式千人風呂」。もう名前を聞くだけでワクワクしちゃうでしょ!?

階段を降りると左には本館玄関、右に向かうと「ローマ式千人風呂」と「あたたまり湯」のふたつの温泉が待っています。

なんだか玄関もすごそうだけど・・・まずはお風呂お風呂お風呂ですっ。

洗面所も素敵

この先にあるのがお目当ての「ローマ式千人風呂」。

実はこちらのお風呂、女性は15時〜19時、男性は19時〜22時と時間帯が決まっていて、その他の時間は混浴タイムになるのです。つまりちょうど今が入るチャンス!

だけど館内を探検したいしお散歩にも行きたい!そんなわけで、ダッシュでもろもろ終わらせて、5時半頃に戻って温泉に入る計画です。もちろんこの時点ですでに中には入っていて興奮しながら写真を撮りまくってはいるのですが(めちゃくちゃ素敵で大好きだった!!!)、それは温泉に入ってからのお楽しみ・・・というわけで、お次は明治に建てられたという一番歴史のある本館玄関へと向かいましょう。

本館・玄関

めでたや、めでたや〜。な、さまざまなモチーフが装飾された玄関。

スリッパにも「キシロウ」

なんと言っても旅館の名前が「喜至楼」だもの。気持ちが明るくなるねぇ。

そして玄関を入って左側には「いらっしゃいませ」とお客さまを迎え入れる着物姿の女性の姿が。

天井が放射状になっていて遠近法!?なのもおもしろーーーい!

そして右側には「ありがとうございました」と見送る女性。なーんて愉快な装飾なのかしら!

見送る女性の左上には鶴、迎え入れる女性の左上には亀がいました。彼女たちを鶴子さんと亀子さんとお呼びしましょうね

下駄箱である戸には竹の立体的な彫刻が彫られています。

にょきっと筍

向かいの襖には立派な松

正面の大きな時計も明治時代のもの。古い金庫の上では福々しい大黒様が見守っています。

ストーブの上にヤカンが置いてあるのも好き

昔の金庫の美しさよ
本館2階・3階

玄関から階段を登り、今度は客室のある本館2階へと向かいます。ひそかに方向音痴であるわたくし。外ならGPS付きMAPでどうにかなるのですが、室内だとそういうわけにもいきません。

まず目の前に現れたのはとてもいい雰囲気の炊事場。

昔から貼られたままであろう案内をみるのもたのしい。

旧漢字にグッとくる性癖

階段を降ったり登ったりくねくね通路を曲がったりしているうちにどこをどう歩いているのかちっとも分からなくなり、まるで迷宮を彷徨っている気分に・・・。

自分がどの建物にいるのかよくわからないまま、客室の連なる通路へと到着。

ひょうたん!

後ろを振り向くと一目みたら目が離せなくなる魅惑的な福助の姿が・・・!!

いらっしゃいませ〜

福助に誘われるようにふらふらと3階へ・・・。

階段の脇には時代を感じさせる火鉢も

目の前に飛び出してきたふたつの生き物がわたしの心を奪い去ります。

うさぎとかめぇぇぇーーーーー!!!

壁にぼんやりと浮かびあがる兎と亀。もはや動悸が止まりません・・・。この不思議な一角には電話機が置かれていたのでしょうか。

横には客室が続いています

嗚呼、本館に泊まりたかった・・・。

そう強く思わせる素晴らしい装飾の数々にうっとり・・・。

本館・部屋

名残惜しく思いつつ2階へと降りると、お仕事中の旅館の青年と出くわします。するとなんと!部屋を見せてくれるというではありませんか・・・!!

襖に雪の結晶〜!!!

泊まれなくても、実際に部屋の中を見ることができてよかった。ありがとう、青年!君に幸あれ・・・!!

別館・大宴会場

素晴らしい意匠がてんこ盛りで目が離せず、どんどん時間が押していくよ!そろそろ外に出ないとローマ式千人風呂に入れなくなる・・・!!慌てて別館玄関へと向かいます。

するとまた2階の部屋を見せてくれた青年と遭遇。大宴会場も見せてくれるって・・・。うぅ、君は仏さまなのかい??ありがとうだよ・・・・・!!!

歓迎の暖簾に導かれ足を踏み入れるとステージのあるお座敷が広がっていました。

昔は芸者さんも呼んだりしてたのかしら

ここにも義経と弁慶の絵が飾られています。

マッサージ椅子。たまらーん

瀬見温泉をあるく

建築欲(浴)はだいぶ満たされたので、いよいよ瀬見温泉散策へと繰り出します!時計の針はすでに16時半。1時間で帰って来れるかしら・・・?

いってきまーす!

湯前神社

別館と本館の間には湯前神社があります。

神社の前には飲む温泉が!もちろん飲みたいっ。でもめちゃくちゃあっつい!大袈裟じゃなくあっつい!!手ですくってもふーふーして冷めるのを待てないくらいの熱湯っぷり・・・。頑張ってちょっぴり飲んで味を確かめたけど、普通に飲みやすいお味でした。大大大昔の大学生の頃にチェコのカルロヴィ・ヴァリで飲んだ温泉はもっと不味かった・・・気がする・・・(遠い記憶)

温泉街をすたすたと進みます。

酒屋さんや和菓子屋さんもあって寄り道したいけど・・・わたしには行きたいところがあるのだ!

いい看板

橋を渡り・・・

川をのぞむ

10分ほど歩くと・・・

かわいいほっかむりおばあちゃま

亀割子安観音

たどり着いたのは亀割子安観音(かめわりこやすかんのん)。

いらっしゃった・・・!!!

しめじかな?

うむ、予は満足である・・・!!!

大事なミッションを終えたので、ぷらっとしつつ早々に旅館へと戻りましょう。

行きの時も渡った橋を歩いていると、さっきは気づかなかった真っ赤な鳥居が目に入りました。

橋の先には真っ赤な鳥居と素敵な蔵も

どうやら鳥居の先には、自然林に近い「三吉山自然植物園」が広がっていたようですが、この雪の状態ではどう登ってよいのやらちっともわからず・・・。

すぐそばに誰にも汚されていないまっさらな雪が積もっていたので、ずぼずぼと踏みしめる遊びを存分に楽しんでからUターン!!

もっと!雪をたのしみたいんだ!!

再び喜至楼が見えてきました。温泉が・・・わたしを呼んでいる・・・・・。

ただいま、喜至楼

ついにその時が来たようです。

【使用カメラ】digital:SONY α7III + NOKTON classic 35mm F1.4、SIGMA 24mm F1.4、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE3、film:Konica AUTOREX + HEXANON AR57mm F1.4

02.冬の山形ひとり旅2024へとつづく▼▼▼