彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

⑨台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【舞川鹿子躍 編】

福岡から旅立ち、東京→遠野→盛岡と渡り歩いて早4日目。ねむけまなこでの起床です。

当初拝見する予定だった鹿踊は、盛岡から右上に位置する三陸海岸沿いの地域でしたが、残念ながら雨で中止に・・・。別の鹿踊に連れて行ってくれるということだけど、果たしてその行き先は??

早朝の7時、Y氏のお迎えとともに出発です・・・!!!

CONTENTS

一関市へ

ぼんやりしながら車で運ばれていると、どうやら南下しているもよう。なんと昨日鹿踊を拝見しに訪れた奥州市よりもさらに下の岩手県最南端に位置する一関市へ・・・!すぐお隣はもう宮城県です。

常川寺

約2時間半ほどかけて(そんなにしてたんだ!?と今さら気付く)到着したのは常川寺。旅する前の下調べでは、一関市はどちらかというと都会の印象を持っていたのですが、今回訪れたのは都市部ではなく田園風景の広がる青々としたのどかな場所でした。

山門

お地蔵様のお供えものにキュン

木鼻チェックも忘れません

本堂から振り返えると、山門越しに眩しいほどの鮮やかな田園と森が広がっているのが見え、その息を呑むような美しさに心を奪われてしまいました。

山門には仁王像の影

お墓参りをする人たちが次々に訪れては去っていき、境内はお盆の独特の空気感で満たされています。

本堂奥に広がる段々畑のようなお墓

行山流舞川鹿子躍(まいかわししおどり)

今回こちらで拝見させていただくのは舞川鹿子躍さんの盆供養踊り。1700(元禄13)年に宮城県から伝わったとされ、昨日の都鳥鹿踊さんと同じく行山流とのこと。

ところでわたくし昨日とは打って変わって盛大に人見知りを発揮(コントロール不可能)。傍観を決め込みひたすら遠くから撮ることに徹してしまいました・・・(無念)。

準備風景

いよいよ準備スタートです!!

やっぱりお外でお着替えタイム。ササラが長いから?

わたしは影フェチである

昨日の都鳥鹿踊さんのササラは斜めだったけど、舞川鹿子躍さんはまっすぐだ・・・!

ピーン!と垂直!!

そしてわたしの萌えポイントである角のカラーも、赤じゃなくて黒・・・!印象がぜんぜんちがーう!!ちなみにこちらでは本物の鹿の角を使用しているそうです。

モダンでカッコイイ印象

他にも鹿頭や「流し」の絵柄などにも色々と違いがあって、装束の違いがとてもおもしろかったです(詳しくはまた後ほど)。

盆供養踊り

準備を終えて、太鼓を打ち鳴らしながらぞろぞろと本堂へと向かってくる8頭の鹿さまたち・・・。

え?なんだか・・・

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こ、怖い・・・!よ!!?

獰猛な獣感、人ならざる者感をビンビンに感じてしまいます。

キタキタキタキタ

なんでこんなに怖いんだろう?人数が多いから・・・??いや、それもあるけど、一番の理由は・・・この吊り上がった雫型の目!!!

でも、鼻の穴はハートでかわいいネ?

もう斜めというよりも限りなく垂直に近いよ・・・!!?なんて激しいお顔立ちなのだ・・・。怒りの形相にも不適に笑っている顔にも見えるから不思議です。例えるなら竹中直人の笑いながら怒っている顔・・・?(古い)

近づいてくる鹿さまたちの姿に息を呑んでいると、本堂前に用意された祭壇とゴザの周りをぐるぐるとまわりだしました。

祭壇の前で手を合わせてお辞儀をする鹿さま

ぐるぐるぐる

このまま歌い踊るのかな?と思いきや、祭壇を囲みゴザの上に膝をついて静かに歌いだしました。

まるで物語の1ページのよう

どんな内容の歌なのかはわかりませんが、その哀切漂うメロディがとても心地よくて・・・。心の奥深くにまで染み渡るような歌声に聞き入ってしまいました。

ぜんぜん聞き取れないから歌詞カードほしい・・・。

その後は一旦休憩タイム。お顔にかかっていた布をめくりあげ、談笑する姿の清々しさといったら・・・!!

The 青春

わたし自身は今まで汗水流して大人数で何かを作り上げるということをしたことがないので、その眩しい光景にちょっと羨望の眼差し・・・。学生の頃は美術部、書道部、帰宅部だったからなぁ(文化系の申し子)

実はこの時、晴れてはいるのに雨がパラパラと降り出しまして・・・(上の写真もよくみると雨粒が写ってる)。雨だと中止と聞いていたのでハラハラ!不安がっていると「この勢いでいっちょ踊りきってしまおう!」というような雰囲気で踊り再開。よかった〜!!

こんな間近で拝見できる幸せ

祭壇とゴザは退けられ、狭いながらも敷地をいっぱいに使ったよりダイナミックな踊りが繰り広げられていきます。先ほどのしめやかな雰囲気とのギャップ・・・!萌え・・・!!!

みんなで踊り出したと思ったら・・・ソロパートに突入!?

くわ・・・ッ!!!

周りが見守る中、3頭の鹿さまたちがジャンプしたり、背中のササラをバッサバッサとぶつけあったり、地面に叩きつける姿にテンションあげあげ・・・!!ササラを地面に叩きつけるのは、地の悪霊を祓い清めるためなんだとか。

見応えたっぷり!

舞川鹿子躍さんはその名に「踊」ではなく「躍」の文字があてられていることからも分かるように、勢いのある跳躍が特徴のひとつらしい。それなのにジャンプしてるところちゃんと撮れてなかったよ・・・涙

その後も怒涛の踊りが繰り広げられ・・・

テンションMAX状態のまま、最後は一列になってクライマックスへと雪崩れ込みぃぃぃーーーーー!!!

迫力すごすぎて息できないよ・・・!!!

めちゃくちゃかっこよかったです・・・!!!!!

お疲れさまでございました!

装束について

今回ブログを書くにあたって写真を見返していたら、その場にいた時には気付かなかった衣装のあれこれが目に入ってきて、己の注意力のなさにガッカリしてしまいました・・・。事前に下調べをしないからというのもあるんだけどね(何度も言うけど、初めて見た時の感動が薄れるから)。

では、せっかくなので鹿さまたちのお姿をじっくり見ていくことにいたしましょう。

※あくまでわたしが思ったことなので、間違ってる可能性アリ。その際には訂正お願いします。

鹿さまズ

まず頭にのっかってる飾り物の色。紫と赤があるじゃないですかぁぁぁ!!!どうやら8頭のうちリーダーである雄鹿の中立(なかだち)と、雌鹿の衣装だけ特別仕様になってるもよう。頭の装飾は「華鬘(けまん)」といって、太鼓踊系の装束では身につけていることがお多いそうです。そういえば都鳥鹿踊さんの鹿頭にはなかったね。斜めのササラもだけど、同じ行山流でもその装束に違いがあって興味深い。

紫(中立と雌鹿)と赤(その他の雄鹿)の華鬘

「流し」の絵柄や袴の裾模様、顔を覆っている布の一列模様もそれぞれ違ってる・・・!あと、雌鹿ちゃんには角がなくて可愛らしい耳がぴょいっと生えてるよ〜!!か、かわいい・・・。嗚呼、その場で気付いていれば、その視点で撮れたんだけどな・・・写真が足りぬぬぬ・・・。

(左)中立、(中)雌鹿、(右)雄鹿

紫は高貴な色であると聞いたことがあるけれど(冠位十二階では紫が一番位が高い)、中立の袴の裾には伊勢海老も描かれていて特別感が満載!「流し」の絵柄も特徴的で、中立と雄鹿は絵柄は違うけどどちらも荒々しい龍。雌鹿はつがいの鹿と紅葉で、なんとも優美でかぐわしい・・・。

三者三様の華やかな後ろ姿
(左)中立、(中)雌鹿、(右)雄鹿

龍の指の本数も違っているような?数が多い方が位が高かった気がするので、それも考えて描かれているのかな?剣に巻きついた中立の龍(倶利伽羅竜王?)の方がめちゃくちゃ強そうだし・・・!

中立が4本、その他の雄鹿は3本?違う??

踊っている時にチラッと見える腰に下げた布(大口というらしい)の絵柄もそれぞれ異なってるし、ほんとひとつの団体の装束だけで見応えたっぷり!!!

チラリズム
(左)中立、(中)雌鹿、(右)雄鹿

ゆらゆら揺れるカラフルな布の束も気になった!もしかして陰陽五行説由来の五色が使われているの・・・???

「青・赤・黄・白・黒」・・・ビンゴ!

その「五色」について知ったのも実はつい最近のこと。先日行われた福岡の秋の有名なお祭り筥崎宮放生会(はこざきぐうほうじょうや)で奉納された豊前神楽で、保存会の方が説明していたからでした。

五色が使われた棒を持って戦うちびっこ神楽(画像イマイチでごめんよ・・・)

この五色はこれらの装束や道具以外にも寺社仏閣の幕など様々なところで使われているそうで、七夕の短冊の色もそのひとつ。七夕はもともと旧暦の7月7日に行われていて(つまりちょうどお盆前にあたる)、一説ではお盆に関係した行事だったとも言われているそうです。

一つのことがどんどん色んなことに繋がっておもしろーーーい!

装束を見ているだけで色んな発見があって、とっっっっっても面白かったです。すべての意味は分かりませんが、その柄や色、ひとつひとつに様々な意味が込められているのだなぁ。一見恐ろしくも思える鹿踊のお姿には、人々の祈りや願いが凝縮されているのだと感じました。

もっとたくさんの団体を見ることで、さらに色々なことがわかっていくのかな?これからとても楽しみです!!

最後に

今回の岩手旅一番の目的であった東北の「鹿踊」。四国の鹿踊りとの共通点を実際にこの目で見て感じたい・・・!そんな思いを抱いて臨みましたが、雌鹿と雄鹿の構成や、太鼓を打ちながらい踊るということ以外共通点を見つけられず・・・。

都鳥鹿踊(岩手県奥州市)

その姿と歌と踊りに関しては、まったく真逆の印象を持ちました。東北の鹿さまはお顔も真っ黒で鋭く厳しいデフォルメされたお顔立ち(まるで鹿とは思えない!)。鎮魂供養としての意味合いが強く、歌も踊りも土着的な荒々しい力強さを感じました。

鹿の子(愛媛県宇和島市)

一方、四国の鹿ちゃんは可愛らしいとぼけたリアル鹿頭で、歌と踊りも優雅で涼やかな心地よさ。東北の鹿踊の鎮魂供養としての一面は失われ、秋祭りにおける除災招福の役割を担っているようです。

ルーツは同じでも風土が違えばこんなにも変わるのね・・・!!!

舞川鹿子躍(岩手県一関市)

福浦の五鹿踊り(愛媛県南宇和郡愛南町)

ただ、仙台から四国に伝わったのは、雄鹿たちが雌鹿を尋ね探しついに発見して喜ぶ「めじしかくし」という踊り。つまり今回やらなかった演目なのです・・・。メロディーやストーリー、踊りにどんな共通点があるのかないのか・・・。それを実際に見ないことには死んでも死にきれないよ・・・!!!動画に転がってるけどもちろん見ないぞっ

そんなわけで、東北の鹿踊を巡る旅はまだまだ続きそうな予感です。次はどこの鹿さまに会いに行こうかなぁ。今回拝見させていただいた2つの鹿踊だけでも、同じ太鼓踊りの行山流なのにそれぞれ特徴があって、鹿踊の奥深さの一端を垣間見たような気がします。他の流派や幕踊系を見たら一体どうなってしまうのやら・・・。

もちろん四国の鹿ちゃんにも会いに行くからね!願わくば、東北と四国の鹿踊りの合同奉納とかあったらめちゃくちゃ行きたいのですが・・・。そんな交流はしてないんですかねぇ?そんな夢も見たりしつつ、これからも鹿さま&鹿ちゃんたちを追いかけていこう思います!!

本日の役目を終えた舞川鹿子躍の鹿頭

岩手旅もそろそろ終盤。もう少しお付き合いくださいませ。

■参考にしたサイト

東京鹿踊/ TOKYO SHISHI-ODORI — セヲウモノ

行山流舞川鹿子躍保存会「未来に伝える使命とは」。 | THE SNOW PEAK WAY

舞川鹿子躍 | いわての文化情報大事典

郷土芸能じぶんち

地方創生と伝統行事―土地の記憶を行動で共有する―⑥「宇和島の八ツ鹿踊り」(前編)

「五色」の色の意味とは?5色は何色?読み方・日本文化との深い関係 [暮らしの歳時記] All About

「七夕祭り」はいつ開催されますか?七夕とお盆と、夏休みのお話。:達人に訊け!:中日新聞Web

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2、film:CONTAX Aria

⑩台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼