帰省にかこつけて訪れたのは、前回ブログに書いたこのはな館だけではありませんでした。実家から我が家に帰る日、車で駅へ送ってもらうついでについにあの場所へ行ってきたぞ!
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キリシタンを巡る旅2023のおさらい
振り返ってみると、2023年2月に長崎を訪れてから、キリシタンの痕跡を求めて竹田市に旅したりと、今年の前半はキリシタンにどっぷりでした。
詳しくは以下ブログにて▼▼▼
わたしの故郷の鹿児島にもキリシタンゆかりの地はないものか・・・。そう思って調べてみると、なんと!いつも帰省の際に近くを通っている伊集院町にいくつかあるというではありませんか・・・!!これは行かないわけにはゆきません・・・。
ヤジロウの墓(伝)
最初に訪れたのは、ヤジロウ(アンジロー)の墓。案内板では「ヤジロウ」となっていますが、同時代の史料では「アンジロー」と表記されることが多いようなので、ここでも「アンジロー」と呼びたいと思います。
あのフランシスコ・ザビエルが日本にキリスト教を布教するきっかけを作った重要な人物だったりします。
ザビエルとアンジローの出会い
2人の出会いは、1547(天文16)年12月のマラッカ。マレーシアにある世界遺産の都市としても有名ですね。実は、わたくしそのマラッカに行ったことがあるのです・・・!!!ただ、その時はプラナカン建築に夢中で、カクレキリシタン(潜伏キリシタン)については興味はあったものの、ザビエルに関しては興味をまったく持っておらず・・・。
でも、探したらありました!フランシスコ・ザビエル教会の写真です・・・!!
1849年にザビエルの功績をたたえて建てられた教会。ザビエル像の横に、なんとアンジローの像も立っていたようなのですが、見た覚えはあるものの写真はまったく撮っていませんでしたよね・・・(その時の自分を殴りたい)。
このマラッカで、ザビエルとアンジローは出会います。日本人であるアンジローがなぜこの地にいたのか。実は、鹿児島で殺人を犯し、救いを求めマラッカに逃れてきたのでした・・・。
その殺人の理由や彼の詳しい素性はよくわかっていませんが、この出会いがきっかけとなり、ザビエルは日本へのキリスト教布教を決意。アンジロー案内の元、鹿児島へ向かうことになるのです。
そのアンジローの墓と伝わる場所に行ってみると、小さな墓石と寄り添うような陶器の小さなマリア像が木のたもとにひっそりと存在していました。
鹿児島での布教の後、ザビエルはアンジローを置いて平戸へと向かいますが、その後の彼がどのような人生を歩んだのかは歴史には残されていません(いくつか伝承はあるそうです)。
当初、アンジローは通訳としての役割も担っていたようですが、キリスト教の神である「デウス」を「大日(大日如来)」と訳して、人々からは仏教のひとつと誤解されたりもしたらしい。ザビエルが彼を連れて行かなかったのは、その必要がないと感じだからなのか、それともアンジローが残りたいと言ったからのか・・・。
日本のキリスト教にとってアンジローは重要人物といえると思うのですが、哀しいかなこの場所からは少しもそれを感じることはできませんでした。なんだかちょっともの悲しさを感じてしまいますね・・・。
日本のキリスト教はじまりの地、一宇治城
1549(天文18)年、アンジローの案内でザビエルが鹿児島に上陸した際、最初に訪れたのが伊集院町の一宇治城でした。当時お城に住んでいたのは島津氏15代当主の島津貴久。この場所で貴久にキリスト教布教の許可をもらって、日本で最初のキリスト教布教が行われたのです。
JR伊集院駅に近い場所にその城跡はあります。
さらに階段を登った先にザビエル会見の碑が建っています。
敷地内には展望所があって、上からは伊集院町内を一望することができました。
電車の時間が迫っていたので一宇治城を後にします。
千秋山雪窓院
伊集院駅へ車で送ってもらっていると、突然道路沿いに現れる地面に埋もれた仁王像・・・!!!
なんでもこの場所にはザビエルに布教を許した島津貴久の奥様である雪窓院妙安大姉の菩提寺があったとのこと。廃仏毀釈でこのような姿になった哀しき仁王さまたちが置かれているようです・・・(鹿児島は廃仏毀釈が激しかったらしい)。以下ブログに詳しく書かれていたので気になる方はどうぞ。
最後に
何度も訪れている伊集院でしたが、いつも寄り道せずに実家を往復するだけで、観光したのは今回が初めてでした。こんな身近に日本キリシタンのはじまりの地があったとは・・・。マラッカもそうですが、そうとは知らずにキリシタンにとって重要な場所に訪れる機会を得ていることに不思議な縁を感じてしまいます。
さて、鹿児島キリシタンを巡る旅はまだまだ終わりませんよ。お次は鹿児島市内に存在するキリシタンの痕跡を求めて!行って参ります・・・!!
【参考文献】『概説 キリシタン史』浅見雅一(慶応義塾大学出版会)、『日本キリシタン殉教史 片岡与吉全集』片岡与吉(智書房)
【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2
②キリシタンを巡る旅2023・鹿児島へつづく▼▼▼