彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

④キリシタンを巡る旅2023・鹿児島【番外編】

舞台は鹿児島から福岡へと移ります。2023年の5月、鹿児島県内のザビエルゆかりの地を巡ってから早いもので約6ヶ月。鹿児島カテドラル・ザビエル記念聖堂の展示で、2代目の教会が福岡県宗像市に移設されていると知り、先日ついに訪問してきました・・・!

CONTENTS

JR赤間駅

福岡市内から公共の交通機関を使って教会のある場所に行くには、JRからバスに乗り換えなければなりません。まずは最寄駅の赤間駅で下車。改札を出ると美味しそうなうどん屋さんの暖簾が目に入りました。

「かしわめし東筑軒」。うどんやさんかと思ったら、元々大正時代の駅弁から始まった弁当屋さんのようです。暖簾に書かれているように折尾名物の「かしわめし」が有名で、その駅弁はわたしも聞いたことありました!

教会に行った帰りに時間があったらここで食べよう。そう心に決めてバス停に向かおうとしたら、東筑軒の真向かいの壁面に今から行こうとしている教会についての展示があるではありませんか・・・!!

教会が建設されてから解体、移築、現在にいたるまでの流れが紹介されていています

ザビエル渡航400年を記念して、終戦のわずか4年後の1949(昭和24)年に建てられた2代目の木造教会。献堂式(新しく教会を建てた時に行う儀式)には「ザビエルの聖腕」と共に欧米から100人を越える巡礼団が参列したそうです。

鹿児島大空襲で壁面のみ残された石造り初代教会と、2代目の木造教会が一緒に並んで建っている興味深い写真もありました。

赤間駅の展示より

2代目は現在のコンクリートの聖堂に建て替えられるにあたり、1998(平成10)年に解体。福岡県宗像市の「福岡黙想の家」の敷地内に移築されることになり、2013(平成25)年に竣工します。その後、所有者である御受難修道会・宗像修道院は撤退。2022(令和4)年からはNPO法人宗像の歴史と文化を守る会が引き継ぎ、今後は宗教施設ではなく市民のための「ザビエル記念ホール」として運用されていくようです。

教会の歴史を学んだところで、早速バスに乗ってザビエル記念ホールへと向かいましょう。

JR赤間駅

2代目・ザビエル教会(ザビエル記念ホール)

最寄りのバス停で下車し1、2分ほど歩くと、葉の落ちた枝の隙間から赤い屋根と十字架のついた尖塔が顔を出しました。

御受難修道会が撤退した現在でも、看板はそのまま残されています。というか、実は宗教施設ではなくなっているということを訪れて初めて知りました・・・。

そのまま残された看板

こんな施設があったんだね

中に足を踏み入れると、ルルドの泉等の宗教施設と思われる道には、どうやら立ち入りできなそうな雰囲気・・・。滞在中にトラックが入っていったり、作業をしている音が遠くから聞こえてきたので、何かしら整備を進めているところなのでしょうか?

外観

そーんなわけで、教会に一点集中!!!まずは外観から見学スタートです。

季節はずれのたんぽぽが咲いていた

こちらの教会は、正面のお顔がとても美しいと感じました。

尖塔と窓、柱の装飾が美しく、花のような模様もかわいらしい

内部

玄関正面の上部に取り付けられた十字架には、モザイクの細かい装飾がほどこされていてとても気になりました。

いつどこで作られた十字架なのだろう?もっと近くで見たい

早速聖堂内に入ってみます。

尖塔アーチの天井

柱や梁の装飾も印象的。蝋燭立ての上部には十字架のマークも

艶やかな飴色の木造の椅子も鹿児島時代のものなのでしょうか

向かって左の奥には大きなザビエルの絵、右奥には小さなマリア像が置かれていました。

背後に浮かぶのは噴火した桜島?手には十字架と世界地図を持ち、情熱的な眼差しで遠くを見つめています

マリア像

そして正面の祭壇上部にもザビエルさんのお姿が。

ザビエルさん

正面の絵には見覚えがありますね。前回のブログで登場した絵と同じ構図です。横長の大きな2枚の絵は、天井のアーチにカパッとハマるように展示されていたんだろうなぁ。今更だけど、移築ってすごよな。建築ってすごいな。鹿児島にあった建物が福岡に建ってるんだもんな・・・などと、唐突に実感。

2代目教会の正面上部に飾られていた絵と、おそらく右側に飾られていたであろうマリア様の絵(鹿児島市内のザビエル教会の展示にて)

同じく左側に飾られていたであろうザビエルの絵(鹿児島市内のザビエル教会の展示にて)

後ろを振り返ると、美しい窓から柔らかな光が聖堂内を優しく照らしています。

美しい光

花の形にくり抜かれた曇りガラスを覗き込むと、門の周辺に刻まれた美しい模様が目の前に現れました。

石造りの初代教会を彷彿とさせます

残念ながら、2階には登ることができませんでした。

上から眺めてみたかったなぁ

十字架の道行き

こちらの教会の壁面にも、もちろん十字架の道行きがずらっと飾られています

これらの絵が額縁含めてとっっっても素敵だった!当時こちらの教会で使われていたものなのでしょうか。現在の鹿児島の教会に飾られているのは新しい絵と額縁でしたが、やはり時代を感じさせるものに心惹かれてしまいます。

磔のキリスト

聖堂内を出ると、入った時には目を向けていなかった玄関隣の空間に気付きました。奥へと足を踏み入れると磔のキリスト像とマリア様のお姿が・・・。

移築に関する展示もありました

生々しすぎて、痛い・・・痛いよ

机の上に置かれていた木彫りの熊にほっこり・・・癒されます。

さて、教会を出ようとすると・・・

教会に似つかわしくないこの靴べらは一体・・・!(ほしい)

最後まで楽しませてくれる教会でした。

折尾名物かしわ飯

おたのしみにしていたJR赤間駅内の東筑軒のおうどん。時間がなくて、食べることができず・・・。

立ち食いしたかった・・・

悔しいので博多駅でも購入できる駅弁を買ってやったぞ・・・!!!

自宅で美味しくいただきました

最後に

鹿児島の伊集院から始まった鹿児島のキリシタンを巡る旅は、キリスト教を初めて日本に伝えたザビエルの痕跡を巡る旅でもありました。昔から教科書などで触れていて当たり前すぎたザビエルの存在を、初めて生身の人間として認識したような気がします。

12月3日の今日はザビエルの命日。この日にキリシタンに関するブログを書き終えることができて本当によかったです。鹿児島編はこれで一旦終わりですが、キリシタンを巡る旅はまだまだ続きます。さて、来年はどこに行こうかな?

【参考文献・サイト】

鹿児島カトリック・ザビエル教会旧聖堂 - 建築ノスタルジア

ザビエル教会・聖堂について | 鹿児島カテドラル・ザビエル教会

【使用カメラ】digital:SONY α7III lens:NOKTON classic 35mm F1.4、SIGMA 24mm F1.4 、iPhone SE2