朝はちょっぴり寝坊したので、のんびり出発することに。目指すは伊豆方面。横浜から始まった旅は、どんどん南へ・・・。
向かった先はハトヤホテルな伊東?まぼろし博覧会??それとも熱川バナナワニ園???
いいえ、ちがいます(でも、どれもいきたい)。
一番最初に旅程を組み立てた時にはこれらの候補があがっていたのですが、とある大事な任務を遂行するために到着したのは伊豆急下田駅でした。
CONTENTS
- 伊豆急下田駅
- 邪宗門
- 海を見つめるお狐さま
- 増殖するアロエとペリー
- ペリーロードを歩く
- 青島理容室
- 了仙寺
- 愛くるしいキューピーに会えるお菓子店
- 了仙寺、再び
- ロロ黒船の黒船もなか
- 江戸時代から下田を見つめるお狐さま
- 伊豆、さよならまたね
伊豆急下田駅
ペリーが初めて来航(黒船来航)したのは現在の横須賀市。その後現在の横浜市で日米和親条約が結ばれ、さらに交渉の場を下田に場所を移し下田条約が結ばれたのでございます。もちろん知ったかぶり!義務教育で習ってるかもだけどすべて忘却の彼方。今回調べて初めて知りました。残念な我が脳みそです・・・。
時計を見ると11時半前。お昼をとるのにちょうどいい時間です。下田の町をてくてくしながら、まずは喫茶店へと向かいましょう。
邪宗門
寄り道しながら到着したのは昭和41年に開店した邪宗門(じゃしゅうもん)。なまこ壁が印象的な建物は江戸末期の船大工の手によるもの。船底を逆さにした屋根の中央には竜骨(船底中央に伸びる木材)が貫いているそうです(訪れた時には船大工による建築とまったく知らなかったから確認できなかった・・・!無念)。
「邪宗門」は、一人の魅力的なマジシャンが戦後間もなく吉祥寺にお店を構えたのが始まり。その人柄に心酔した常連たちが次々に同名のお店を構えていったそうです。様々な理由により閉店していき、現在残っているのは5店のみ。この下田の邪宗門もそのうちのひとつです。
以下の記事よりまとめました▼▼▼
東京に邪宗門という喫茶店があることは知っていたけど、こんな魅力的な歴史があったとは・・・。
中に足を踏み入れると、木のぬくもりを感じる落ち着く空間が広がっていました。
店内は様々な古道具で飾られています。
船大工による建物らしく、船にまつわる道具もちらほら。
とりあえず喫茶メニューの中で一番食事っぽいハニーバター・トーストと珈琲を注文。他にも開店当時から変わらない味というクリームゼリー(メロンゼリーとバニラアイス!メロンゼリーというのがたまらないね・・・)や美味しそうなケーキが色々あってとてつもなく悩みました・・・。
そして運ばれてきたトーストには、蜂蜜にシナモン。そして極めつけのアイスクリーム・・・!朝から杏仁豆腐しか食べていない胃袋に染み染み染み込んでいきます・・・。
とても・・・とても居心地がよかったんですよ・・・・・。まだまだこの空間を味わいたくて、追加でチーズケーキも注文してしまいました。
ゆっくり、のんびり・・・しているのには、実は理由があったのです。とある任務のために訪れた下田。それは人と会う約束をしていたからなのである。ご存知の通り人見知りのワタクシ。じわじわ・・・しわじわと緊張が高まっていく。
嗚呼、もうどこにも行きたくない・・・ここにじっとしていたい・・・。そんな強い思いにかられますが、夕方には下田を離れなければなりません。貴重な下田散策の時間を逃してはならない。心を決めて外に飛び出します。
海を見つめるお狐さま
約束の時間まであと数時間。下田といえばペリー!ひとまずペリーに会いに行ってみよう・・・!!Googleマップが示す道とは違ったけれど、遠くに海が見えたので自然とそちらに足が向かってしまいます。そう、海育ちのわたしは海が大好きなのだ。
とっても好きな雰囲気の港。こういうなんてことない風景にキュンとするんだよなぁー。ふと、道路に顔を向けると鮮やかな赤が目の端に飛び込んできました。
もうね、その風景に胸を鷲掴み!海と鳥居。住んでる人たちの生活の中にある小さな神社。・・・もう100点満点だよ!!!キュンキュンしながら中に入ると、てっきり恵比寿さまとか海に関係する神様かと思ったらお稲荷さん。
しかも、大好き!大好きなお狐さんがいらっしゃったの!!!
こういう偶然の出会いにしあわせを感じるの・・・。それを求めているの・・・。さっきまでの緊張が嘘のよう。この子たちをみつけた瞬間、喜びと興奮で満たされてしまいました。そうか、体を動かしていた方が気が紛れるのか。知らない土地を散策するのたのしい・・・!!!
とっても好みのお狐さまに出会えて多幸感に満たされながら、寄り道しつつ再びペリーを目指します。
増殖するアロエとペリー
ついにペリーとご対面だ!
そして、アロエ・・・!!!!!
ペリーよりもこ化け物みたいなアロエ越しの海と山の景色に心を奪われてしまいました・・・。目の前の「寝姿山」(右手)や「下田富士」(左手)は、かつて火山の地下にあった「マグマの通り道」が地上に姿を表した「火山の根」だそうです(解説板より)。
火山、怖いけど、詳しくないけど、興味のある分野です・・・。
ペリーロードを歩く
近くにはペリーロードと呼ばれる通りがあって、川沿いには情緒ある建物が連なっています。この通りをペリーが下田条約締結の場である了仙寺まで、大砲をひく水兵約300人を先頭に軍楽隊の演奏とともに行進したといわれています。
青島理容室
ペリーロードから少し脇道にそれたところにある青島理容室。なんとあの三島由紀夫がここで髪を切ってもらったらしい。店先のガラス窓には三島由紀夫に関する記事やサイン色紙が飾られていました。
ペリーロードの最終地点あたりには、明治時代の橋も残されています。わたしは小さな昔の石橋にときめいてしまうんだ・・・。
了仙寺
橋を渡った先にあるのがペリーが条約を締結しにやってきた了仙寺。そんな歴史あるすごいお寺さんな上に、本堂奥にはなんと古墳まであるという・・・。
ただものではない感で満ちあふれてる了仙寺を後にして、愛しいあの子をお迎えしに参ろうぞ。
愛くるしいキューピーに会えるお菓子店
訪れたのは雑賀屋(さかいや)さん。
入口の貼り紙からしてもうたまりません。
好き!好き好き好き!!
江戸時代の終わり頃からのお店で、安政時代の看板が残っているらしいです。最初は明治時代に砂糖とかの卸業(?)を営んでいたとか。相変わらず記憶力&理解力がなくて聞いた側から忘れていくので間違ってたらごめんね・・・。
キューピーサブレの他にもたくさんの商品が並んでしました。可愛いし美味しそうだし、しかもどれも安い!!
なのに、なんでなんで少ししか買わなかったのーーー!!!毎回いく先々で控えめに買ってしまって後で後悔するのよね。買いすぎくらいがいいのかもしれない。これからはそうする!
そして、ついにその時がやってきた・・・。
了仙寺、再び
向かった先はペリーロードの終着地点、明治時代の橋を抜けた先にある了仙寺。あれ?さっきも行ったじゃん!なんで戻ってきたの・・・??
それは!公開されていない秘仏コレクションの一部を拝見させていただくためなのである・・・!!!
了仙寺のご住職と会う約束を取り付けていたのでした。
『へんな仏像』
ことの始まりは数年前に購入した一冊の本でした。
『へんな仏像 由来も形も不思議な神仏たちの大図鑑!』 | 学研出版サイト
この本に載っていた「性神」にスポットをあてた数ページに釘付けになったのだった。中でも興味深く感じた像たちの所蔵先を確認すると「了仙寺秘仏コレクション」の文字が。いつか、いつか絶対見に行きたい・・・。そのように思って、だいたいの場所だけを記憶に刻みつけていたのです。そして今回、唐突に思いついた神奈川&静岡旅。了仙寺秘仏コレクションのことを思い出したのでした。
ネットであらためて調べてみると、以前は宝物館で展示されていたことは確認できるものの、MoBS黒船ミュージアムとして2016年にリニューアルされてからは情報がとんと出てこない。もしや公開されていないのでは・・・?よし、わからないなら問い合わせてみよう!それで公開されてなかったら諦めよう!そう思ってスッポンパワーで問い合わせたところやはり非公開・・・。だけど!なんと!!見せていただけるというではありませんか・・・!!!!!
今は研究者たちにのみ公開しているという秘仏クレクション。何者でもないわたしに見せても大丈夫なんですか・・・???不安で仕方ありません・・・。そんなこんなで旅立つ前からドキドキ。何か失礼があったらどうしよう。不安になりながら向かったのでした。
そしてついに到着した了仙寺。目の前に現れたのは・・・・
救急車と警察・・・!??
一体なにがあったの・・・???もう約束の時間だけど本堂に近寄れる雰囲気じゃない・・・。とりあえず敷地内の黒船ミュージアムで事情を尋ねることにします。
MoBS黒船ミュージアム
どうやら観光客のひとりが昏倒してドクターヘリで運ばれていったらしい。幸運なことにすぐ近くに病院とヘリポートがあって、しかも倒れたその場にお医者様もいて応急処置もされたとか!そんなラッキーなことってある!?仏様のご加護だね。きっと、助かったはず・・・そうであることを願います。
そんなわけで、約束していたご住職は事情聴取があるとのことで、それが終わるまで待つことに。えーっと、わたしやっぱり何か憑いてるんですかね・・・??
とりあえず展示を見ながら待たせてもらえることになりました。これが小規模ながらめちゃくちゃ面白くて、地図の形が人で表されていたり、 ユーモアのある絵がたくさん!すべて黒船の絵に関するもので、約3000を超える収蔵品があるというからすごい。
そしてついにお呼びがかかります。どうやら事情聴取が終わったようです。ドキドキドキ。ご住職とご対面です。
了仙寺秘仏コレクション
メールでやり取りしてはいましたが、かくかくじかじかと事情を説明し、全部で6体の像を拝見させてもらえました。 製作された年代は不明で、ざっくりとした時代くらいしかわからないらしい。それぞれの像が収められている箱も面白い形をしててとても興味深かった。撮影させてもらったものの掲載許可はとってないのでここに載せることはできません・・・。すべて先に載せた本に載っているものなので、興味のある方はぜひ。現在は絶版ですが中古で安く購入できるようです。
が、せっかくなので、へっぽこ絵師さろめり(わたし)に描いてもらいました!
収蔵品を見せてもらいながらお話を聞かせてもらったのですが、研究者から問い合わせが来たのは10年に2回ほどらしい(何者でもないわたしがそこに追加ということですね・・・)。大学等でぜんぶまとめて引き受けてくれるならありがたいとも。どなたか、ぜひお願いします!そしてどこかに展示、もしくはデータ化して公開するとか、本を出すとかしてほしい・・・。
ちなみに伊藤晴雨の地獄絵図も10枚収蔵しているらしいぞ。うぅ、見たすぎる・・・。先代が親交があったらしい。すごいなぁー。さすが歴史あるお寺だ。
そんなわけで、秘仏コレクションは現在はミュージアムでは非公開。実物を拝んでみたいという方は、ぜひ問い合わせてみてください。写真を使用する際には企画書を提出し、掲載許可が必要になります。誤解されることの多い対象なので、慎重になっておられるようです。祀っている人は真剣なのだから、秘宝館的なイロモロとして扱われることを危惧しているのでしょう。これらは役目を終えた信仰の対象。ここに保管されてる以上、そうでなければならない (確かに、信仰の対象であるなら今も人々のそばにあるべきだもんね)。だから資料として提供する。仏に仕えている身であるからこそ出てくる言葉だなと感じました。
わたしもいつかテーマにそった本を出す機会ができた時にはまた連絡させてもらおうと思います。その日まで写真は温存。いつか、いつか・・・。了仙寺さま、貴重な時間を割いていただき本当にありがとうございました!!!
重大な任務を無事終え、心は晴れやか・・・!心でスキップ踏みながら了仙寺を後にします。
ロロ黒船の黒船もなか
下田を去る前に、ロロ黒船へ。
この地ならではな黒船もなかをゲットだぜ!!!
最近旅先で可愛い最中をゲットすることに燃えているワタクシです。そのおかげで生まれた時からの餡子ぎらいを克服できそうな予感・・・。苦手な餡子と大丈夫な餡子があることも判明しました。でも、今回は小豆ではなくてキャラメル味の最中!一か八かの挑戦しなくても美味しい最中にありつけることができて幸せです(お土産にオススメ)。
江戸時代から下田を見つめるお狐さま
あとは駅に向かうだけ。のんびり散策してたらちょうどいい時間になってそう。余裕しゃくしゃくで駅へと向かいます。
すると・・・
またもや可愛いお稲荷さんを発見!!!
この子たちは昭和15年生まれのお狐さまでした。さらに奥に進むと・・・
だ、だだだだだだだ大好きじゃん・・・!!!
特に蝉の抜け殻の耳飾りをつけたこの子が愛しすぎて・・・。首元にはダンゴムシもいるよ。ギュッと抱きしめたくなるくらい大好き。大好きよ・・・。
住吉稲荷神社の慶應元年(1865年)生まれの狛狐さまたち。なんでもこの神社は1854年の安政の大津波で一度流されているようで・・・。お狐さまたちは再建時からこの場所にいらっしゃるなかなかの古株のようでした。
最初に出会ったお狐さまに引き続き、こちらのお狐さまたちもとっても愛くるしくて、わたしの中で下田はお稲荷さんの街であると強烈に印象づけられたのでした(あとアロエも)。
Googleマップで検索してみると下田ではこの他にも狭い範囲にたくさんのお稲荷さんがあるみたい。お稲荷さんは商売繁盛の神さまというイメージがあるのだけれど、漁師町であったこのあたりでは豊漁祈願、海上安全のご利益で信仰を集めているそうです。九州では体感的に恵比寿さまが多い気がするので、恵比寿さまじゃなくてお稲荷さんなのがほんと不思議。地域によって流行った神様が違うのでしょうか。面白いです。
伊豆、さよならまたね
「いいね、いいね、可愛いよぉ〜」なんてなりながら夢中でお狐さまたちを撮ってたらいつの間にか電車の時間ギリギリに!!大急ぎで下田駅へダッシュ・・・!!!
ロロ黒船で買った爽やかゼリーで初夏を感じながら、今朝来た道をUターン!!! とっても短い伊豆滞在となったのでした。
わたし、絶対に伊豆大好きだ。今回の訪問で強くそう感じたので、必ずや再び訪れよう。そう決意したのでした。
⑤初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024へとつづく▼▼▼