今回の旅に無理矢理横浜をねじ込んだ理由。それは山下公園前の海に浮かぶ氷川丸さまに会うためだったのだ・・・!!!
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華麗なるアール・デコの王様、氷川丸日本郵船
氷川丸は昭和5(1930)年にシアトル航路に就航した日本郵船の貨客船。海上保存されている戦前の豪華客船は、アメリカの西海岸に係留されているクイーンメリー号とこの氷川丸ぐらいなのだそうです。当時の国外旅行といえば船が主流。こういった豪華客船には時代の最先端が詰まっていたそうです。
内装はフランス人工芸家のマルク・シモンのデザインで、1920年~30年代に流行したアール・デコ調で統一されています。アール・デコとは、○や直線などの幾何学模様が特徴の美術様式。その前に流行した優美なアール・ヌーボーデザインも大好きだけれど、シャープで洗練されたアール・デコもかっこ良くて大好き!!!
何を隠そう(隠してないけど)わたしは大正~昭和初期の日本の文化が大好物。わたしの大好きな戦前のアンティーク着物にも当時流行したアールデコ柄があります。
嗚呼、なんてお洒落なのでしょう・・・!!!時代の最先端のデザインを身に纏っていたのですねぇ・・・。
さて、脱線&前置きはこのくらいにして、さっそく中へ入ってみましょう。受付をすませて通路を進んで行きます。
一等児童室
まずは可愛らしい淡いピンク色のお部屋が現れました。
もちろんわたしが釘付けになったのはこの子!
一等食堂
氷川丸は船内料理が美味しいことで有名で、帝国ホテルの「帝国式」に並び、「郵船式」と称されるほど人気だったそうです。あの喜劇王チャップリンも「テンプラ」や日本郵船特性のドライカリー目当てに氷川丸に乗船したんだとか。
天井の照明やドア等、さまざまな箇所にアールデコの意匠が見て取れます。なんと家具も船内装飾の一部としてデザインされたオリジナル。この当時の手仕事って変態的な拘りが細部にちりばめられていて最高だよね(ほめてる)。
この扉も最高にカッコいい!!
そして食堂の部屋を抜けると一目みた瞬間心を奪われる魅惑的な階段・・・!!!何度も何度も昇り降りしたくなっちゃうではないか・・・(迷惑です)。
一等読書室
派手さはないけれど、とても居心地の良い落ち着く空間。読書するのにぴったりのスペースです。
一等社交室
そしてまるで孔雀の羽根が広がっているようなとびきり優美な扉の先に足を踏み入れるとそこには魅惑の世界が広がっていたのでございます・・・。
アールデコデコしてて最高!!!
おそらく氷川丸の船内で一番華やか!ロマンティックで満ちあふれている優雅で優美な空間でした。ちょっと毒も感じるアールデコな絵画もたまりません。
こちらで紳士淑女たちによるダンスパーティーが夜な夜な開かれていたのでしょうか・・・。想像したらお洒落すぎて悶絶。アンティーク着物が一番似合う場所だと思います。わたしが一番大大大好きなお部屋でした。大好きだったのにあんまり写真撮ってないのなんでや・・・。
名残惜しく思いながら一等社交室を抜けて通路を進んで行きます。
氷川丸で鳥よけのフェイクをこんなに熱心に撮ってるのはわたしくらいでしょうね・・・。なんでか好きなんや。
ポストもありました。船の上からお手紙出すのって素敵ね。
一等喫煙室
さっきの優美な社交室とはうってかわってこちらは硬派な感じです。パイプぷかぷか吹かした紳士の姿が目に浮かびます。(モガな女性が男性たちに混じってぷかぷかしててもほしい)
通路の番号プレートには矢羽根のデザインがあしらわれていてキュンとしました。
一等客室と一等特別室
ついに客室のおでましです。
ベッドの上に飾られている特徴的な布は飾り毛布というもの。 おもしろい!「菊水(きくすい)」「かぶと」「日の出」などがあるそうです。こんなんどう?見えるかな??なんていいながら色々生み出したんだろうなー。楽しいね。
以下解説板より。
飾り毛布
当時、客室のベッドには、給仕(サービスを担当するスタッフ)が折った「飾り毛布」が置かれ、長い船旅の乗客に喜ばれました。「飾り毛布」は何十種類もの折り方があり、その技術は代々、給仕から給仕へと受け継がれました。そのうち、花や植物に見立てて折りたたまれたものは「花毛布(はなもうふ)」と呼ばれました。
そしてインコ!インコのステンドグラスぅーーーーーっ(らぶ)
外国の文化が日本の文化と出会い、その化学変化により生み出されるものはなんて自由で華やかなのだろう・・・(ため息)。モボやモガが闊歩する時代に心底憧れたものです・・・(その後すぐに戦争があるので気軽にタイムスリップしたいとは言えないのですが・・・)。
氷川丸も戦争が始まると海軍特設病院船になり、船体は真っ白に塗られ赤十字が描かれ電飾が施されました。「白鳥」という愛称があったそうです。
浅間丸、鎌倉丸、あるぜんちな丸などといった他の日本の豪華客船も航空母艦等に改造され、そのほとんどが雷撃などで沈没・・・にっくき戦争め・・・。
気を取り直して、船内から出て今度は操縦室へと向かいましょう。
操縦室
レトロなメカニックもたまりません。
氷川丸にはその名の由来でもある氷川神社から勧請された神様が祀られています。なんと、食堂を抜けて登ってきた階段の装飾には氷川神社の神紋である「八雲」が使われています。
見どころたっぷり!まだまだ先へと進みます。
船長室は改修中で網で覆われ中に入れなかったのが残念・・・。覗いてみると船長室!って雰囲気(そんままやん)でかっこいい感じでした。
船内へと戻り階段を降りていきます。
機関室
操縦室よりもさらにメカメカした部分も見る事が出来ます。カッコイイーーー!!!写真だけみるとまったく違う場所を見学してるみたいです。
三等客室
船の心臓部を抜けると、お次は三等船室です。わたしはきっとこっち側だなぁ・・・。一等船室とは縁がない人生。そもそも船にすら乗れなかったかも。
この場所に氷川丸が係留されたのは昭和36(1961)年。当時、船体はオリーブ色に塗られ、ユースホテルとして修学旅行などに利用されていたそうです。当時の資料や写真を元に細部まで竣工当時の姿に復元。復元された今の姿で宿泊施設として利用できたら最高なのに・・・!!!三等船室でもいいから・・・。
そんなこんなで始終、鼻の穴をふがふがさせながら見学してた氷川丸。最高に楽しかったです!!!
ホテルニューグランド
余韻さめやらぬ中、お次に向かったのはホテルニューグランド。
あのマッカーサー(!)やチャップリン、ベーブルースなどの著名人も泊ったことがある昭和2(1927)年開業の歴史あるクラシックホテルです。
よくSNSで見かける本館のシンボル的存在である大階段。
2階のロビー部分?が何かの理由で見学できなかったのが残念・・・(理由は忘れた。忘れ過ぎですね)。
そしてついに横浜建築めぐりのラスト。
インペリアルビル
前編に登場したジャパンエキスプレスビルと同じ川崎鉄三の手によるインペリアルビルです。
外観はジャパンエキスプレスビルと同じくシャープであまり私好みではないんだけれど、入口付近はもちろんのこと中に入ってみるととんでもなく可愛らしい建物でキュンとしました。
昔のヨーロッパ映画に出てくるアパートみたいな雰囲気の建物だなぁと思ったら、元々は外国人商社員が長期滞在できるような事務所兼アパートとして昭和4(1930)年に建てられたもので、現在では店舗や事務所等として利用されているようです。
今でも日常で使用されているレトロビル。まるで濱マイクとかの探偵事務所として出てきそう!時代も建物の規模も見た目もちょっと違うけど、北九州は若松の上野海運ビルの雰囲気を感じました。
インペリアルビル。好きだったのに・・・なんでかカメラの設定間違っててぶれぶれでまともに撮れてる写真がほとんどなかったんだな・・・涙
気になったのが上階に備え付けられていたコレ。
調べても詳しく使用方法が書かれているページを見つける事ができなかったんだけど、どうやら1階の受付と対応した呼び鈴のようなものらしい。
どちらにせよ、見た目可愛い!!!とだけ言っておこう。
横浜中華街で腹を満たす
横浜建築めぐりも終わりを迎え、あとは腹をパンパンに満たすのみである。横浜といえば中華街!
というわけで人気のお店という「中華家庭料理 山東」さんで水水水ギョーザ祭りでございます・・・!!!
餃子ももちもちでもちろん美味しかったのですが、めっっっっっっっちゃくちゃ好きだったのが、この湯葉とパクチーのなんちゃら・・・。
永遠に食べたかった・・・もう一度これを食べにここに行きたいくらい。どうやって味付けしてるの・・・お家でも食べたいよ・・・。横浜の中華街に行ったらぜひ注文してみてください。
最後の最後に学校から出てくる中華な獅子舞に遭遇するというプチプレゼントまで・・・!!!実際に舞ってるところは見れなかったけど、遭遇できて嬉しかったです。
横浜の代表的な建物から、一人だったら知らないまま通り過ぎていたであろう愛くるしい建物たちと幅広くご案内いただき、美味しいお昼までご一緒させていただいたビブラスキさまには大大大感謝です。横浜の魅力をほんのちょっとかじった程度だと思うので、今度はもっと時間をかけてじっくり横浜ぶらりしたいと思います。ありがとうございました!!!
実はお別れした後にちょっと地図の見方間違ってたようで遠回りしながらホテルへと到着。預けていた荷物を無事回収し、次なる目的地に向けて電車に飛び乗るのでありました。
さぁて、お次はどこへ・・・?
【参考文献】
『マダムGの館』グレゴリ青山、小学館
通訳ガイドの建築探訪 ホテルニューグランド本館 – The Hotel New Grand | A's Tours & ITs
【使用カメラ】digital:SONY α7III + NOKTON classic 35mm F1.4、SIGMA 24mm F1.4、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE3、film:OLYMPUS PEN FT
③初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024へとつづく▼▼▼