彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

⑤竹田キリシタンを巡る旅【もうひとつの武家屋敷通りとキリシタン墓】

今から向かう場所もドミトリーのご夫婦に教えてもらった場所。午後からの旅程をまるっと変更して、わくわくしながらその場所へと向かいます。

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竹田市街地

街中を歩きながら、ちょっとだけ寄り道して「ゆうれいトンネル」。名前に惹かれて行ってはみたものの、こちらは手彫りではなく何の変哲もない小さなトンネル。でも名前の由来がとっても気になります・・・(やっぱり幽霊が出るとかそんな話・・・!??)

通り抜けはせずにUターン

日露戦争の英雄、広瀬武夫(初めて知った)を祀っているという広瀬神社も通り過ぎます。近くには記念館もあるようです。行きたかったけど、時間がないんだ・・・

左に立ってるのが広瀬さん

鳥居横の食堂も昭和感満載でいい味出してます。遠目で見るとまるでマトリョーシカのような姫だるまがズラリ。

豊後岡藩名物「はら太」も気になる

近くの塀には、与謝野晶子の歌が刻まれたかわいい絵もありました。

竹田市と与謝野晶子はどんな縁があるのかな?

広瀬神社を通り過ぎたあたりからそわそわそわ。左に曲がる道が見えてくるはず。見逃さないよう注意しながら進んでいくと・・・。

あ!きっとここだ!!!

もうひとつの武家屋敷通り

城下町の竹田市街地には武家屋敷通りが残っています。岡藩時代には13軒の武家屋敷が連なっていたそうです。が、実は今回訪れるのはそこではありません。なんと観光パンフレットには載っていないもうひとつの武家屋敷通りがあるというのです・・・!!

ここであってるのかな・・・?少し不安になりながら進んでいきます。

階段を登った先に、左と右に曲がる道がありました。どっちへ向かえば・・・??左を見ると神社が、右は・・・なんだか足を踏み入れてはいけないような不穏な雰囲気・・・。

雨粒をまとった可憐な花が咲いていました

意を決して右へと進むと、鉄の階段が現れ、その先には螺旋階段が見えました。

異界へと繋がる螺旋階段・・・?

そういえば螺旋階段を登ると言っていたわ・・・!

この道で間違いないと確信。雨にぬれた階段を足を滑らさないように恐る恐る登っていきます。

一番上まで到着!

すると目の前に不安しかない鬱蒼とした細道が現れました。

どきどきどき

いよいよ冒険のはじまりです・・・!!!

ここからが一般的な竹田市の「武家屋敷通り」とは異なるもうひとつの「武家屋敷通り」。この通りに住んでいたのは比較的位の高い武士で、下の武家屋敷通りには下級武士が住んでいたそうです(もっと位の高い武士は、岡城内に住んでいた)。岡藩の兵士たちはこの道を通り抜けて岡城へと向かったのですって。そんな道を今から通るのだと思うとなんだかドキドキするーーーーー!!!

竹を模したコンクリート製の手すり!?

地面に敷き詰められた枯葉を踏みしめながら、一歩一歩進んでいきます。道は荒れ果ててはいるものの、竹を模した手すりや階段、コンクリートで舗装されている道もありました。おそらく昭和の頃に遊歩道として整備されたものの、いつの間にか忘れ去られてそのまま放置されたのでしょう。

道の途中では手すりが崩壊していたり、竹が倒れて道をふさいでいる場所もちらほら・・・。

枯れた竹が倒れて通せんぼ

荒れた道を歩いていきます

まだ16時前ではあったものの、そもそもお天気が悪い上に、背の高い竹が空を隠して光を遮り薄暗く、人の気配もありません(むしろ人に会った方が怖い・・・人じゃないものにも・・・)。ただ不思議なのは、下界から生活音が聞こえてくること・・・。自分がどこにいるのかイマイチよく分からないのですが、たぶん小高い山の尾根を歩いていていると思われます。竹藪の隙間から下を覗くとかすかに街が見えました。

倒れた手すりと下界

誰もわたしが今ここを歩いているとは思わないだろうな・・・。こんなに近いのにまるで遠い。別々の世界に存在しているような不思議な感覚です。

どんどん進んでいきます

障害物を避けながら進んでいくと、新たな試練が・・・。下には岩があり、その上に覆い被さるように階段が設けられています。なんだか今にも壊れそうなんですけど・・・!!?

崖下に転がり落ちる自分の姿を考えないようにして一気に突き進みなんとかクリア!!えーっと、こんなアクロバティックな道を通るとはちっとも想像してなかったよ・・・??

ひやっとする道を通り抜けると、今度はアスファルト舗装された道に出ました。

どこまで続いているのかしら・・・・

この辺りになると下から聞こえていた生活音も聞こえなくなり、いつの間にか本当の静寂。耳に入ってくるのは木々の擦れる音と、鳥の鳴き声だけ・・・。

ふと、疑問が頭に浮かびます。

えーっと、この道って通り抜けできるんだっけ・・・???

わたくし話を聞いてもすぐ忘れてしまう残念な脳みその持ち主。もしかしたら説明してくれてたかもだけど、ちっとも思い出せないよ・・・。今まで歩いてきた荒れた道を再び戻るのも怖くて無理!もう覚悟を決めて前に進むしかない・・・!!

後戻りはできませぬ・・・!!!

たとえ足を踏み外し崖から転げ落ちて身動き取れなくなったとしても、きっとドミトリーのご夫婦がここにいると気付いて救出してくれるに違いない・・・!そう信じて突き進みます。まるで登山する前に誰かに自分の行き先を伝えておく人の心境(いや、ほんと人に行き先伝えておくことって大事)。

キリシタン墓

そしてついに目の前に現れたのは、お・は・か・・・!

お墓です・・・!!!

実は、ここにきたのはキリシタンのお墓を見るためでした(最近お墓ばかり行ってる気が・・・)。この辺りにあるお墓はすべてキリシタンのお墓だそうです。

そしてなんと!このお墓のどれかに十字が刻まれているというのです・・・!!

「お騒がせしてすみません・・・」お墓の主たちに心の中でお詫びしながらその十字を探します。こわい・・・。みつからない・・・。こわい・・・。みつからない・・・。

こっちのお墓は倒れてる

このテトリスみたいな石は何・・・?って近づいたら墓石でした(泣いちゃう)

なぜこんな状態に・・・

どーやっても見つからない・・・。しかしいつ雨が再び降り出すともしれない薄暗い夕暮れ前の時間によくここに行こうと思ったな自分・・・。

三日月岩を見に行った時に川沿いの屋根の上にもあった月と太陽の灯籠もありました。こちらはものすごく古そうです・・・。

太陽と月

実は旅の前にリサーチした時に「月と太陽と十字(!)が刻まれている灯籠が旧武家屋敷通りにある」という情報を入手していました(写真も見た)。旧武家屋敷通りというのはおそらくこの道のことだよね・・・?最初この灯籠を見た時それかと思ったんだけど十字がない・・・。

あ〝ーーーーー!!一体どこにあるのー!!!(心の中の絶叫)

いつここから出られるかもわからず、雨や暗くなるのも心配で、ヘタレな自分はもう諦めて先へ先へと進むことにしました・・・。

無念である

足早に進みながらふと道の左側に視線を移すと、遠くに墓石のようなものがあるのが見えました。

「あそこにもお墓があるけど、ちょっと遠いしなんだか怖いな・・・」

諦めモードだったわたしはすぐにそんな風に思い、そちらには向かわず先を急ぐことにします。荒れ果てた道を突き進んでいくと、今度は今までとはまた違った雰囲気の苔むした階段が現れました。

雰囲気満点

水に濡れ青々とした葉や苔のなんと美しいこと!テンション上がってわたしのカメラが火を吹きます。

なにかと大変だけど、雨の日でよかったと思う瞬間です

そして勘のいい方ならすでにお気づきでしょう・・・。

そう、ここにもカマボコ石ーーー!!!

今まで見てきたものとは規模が違う数のカマボコ石

最初の頃に歩いてきた遊歩道として舗装された道とは違い、きっとこの階段は江戸時代からさほど変わっていないのだろうなぁー。何百年も前に自分と同じように兵士たちがこの階段を歩いたのだと思うとなんだかドキドキしてきます。

おや?なんだか先が明るいような・・・???

ひとすじのひかり

出口だーーーーー!!!!!

出口のすぐ隣にも何か建物?門?がありました

殿町芝原線遊歩道

生きて帰ってこれたよーーーー(大袈裟)。

めちゃくちゃ安心しました。

出口には味わいのある手書きの地図が掲示されています。どうやらわたしが通ってきた道は真ん中の赤いラインの「殿町芝原線遊歩道」だったもよう。

右下が現在地で、広瀬神社隣の道が出口。正規ルートを逆走していたようです

いつの間にか相当高い場所まで登ってきていたようで、道路からは街を見下ろすことができました。

後日譚

なんとなんと、後でドミトリーのご夫婦にもらっていた地図を確認してみると、ちゃーんと十字の刻まれている墓石の場所をマッピングしてくれているではありませんか・・・!!!

ドミトリーでいただいたお手製の地図(一部)

衝撃の事実。わたしが行くのを諦めた左側遠くに見えた墓石がそれだったようです・・・。今朝説明されたことをほんときれいさっぱり忘れていたことがこの地図で証明されましたね。歩く前にちゃんとみておけばよかったね。このばかちん。

しかも、地図左上の丸で囲っている場所も見逃してる!兵士たちが休憩した見晴らしのいい場所があると教えてもらっていたのにーーー。緑に彩られたカマボコ石の階段に夢中になってすっかり忘れてしまったよ・・・。

もうこれはリベンジ決定です。岡城にいく時間も取れなかったし、今度は岡城→兵士が休憩した場所→キリシタン墓地の順番で巡りたい。でも、雨の夕方前じゃなくて、爽やかに晴れた日の早朝が・・・いいな・・・。

兵士たちが岡城まで通り抜けた道は、インドア人間にはなかなかハードな道筋でした。でも、歩いている時は怖がりながらもスリルを喜んでいる自分もいて、わたしってこんな人間だったんだなぁーと新しい発見もあって楽しかった。ま、命はかけたくありませんけどね!みなさまもここを訪れる際には、歩きやすい服装と靴、誰かに行き先を告げておくことをお勧めします・・・。

兵士たちが歩いた道に落ちていた山茶花

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2

⑥竹田キリシタンを巡る旅へとつづく▶︎▶︎▶︎