彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

⑦初夏の神奈川・静岡ひとり旅2024【宮城野・湯立獅子舞編】

バスに乗り込み、数分ほど揺られてすぐに下車。遠くからわたしを歓迎しているのはトーテムポール・・・!?

ん?ちょっと待って・・・???

下!下を見て下ぁぁぁ・・・!!!

歯を食いしばり睨みつけるまなこ・・・!

ま、まさか獅子舞トーテムポール・・・???

そう、わたしは箱根町のほぼ中心に位置する宮城野で行われる湯立獅子舞を見にきたのでございます・・・!!!

CONTENTS

湯立獅子舞(ゆたてししまい)とは

湯立獅子舞は、獅子が湯立神楽を舞うという全国でも箱根と御殿場市の沼田しか残っていない伝承芸能。毎年7月15日の天王祭で、諏訪神社内の津島神社に公開奉納されています。安永5(1776)年に現在の山梨県の萓沼義兵衛によって宮城野と仙石原に伝えられ、主に天災や病気を防ぐ悪疫退散、五穀豊穣を祈る大切な行事として、今日まで舞い継がれてきました。(公式サイトより)

箱根町 [湯立獅子舞 ゆたてししまい] 国指定重要無形民俗文化財 箱根宮城野獅子舞保存会 公式ページ

宮城野諏訪神社

開始時刻も迫っていたので急いで獅子舞が奉納される諏訪神社へと向かいます。

あ!ここにも獅子舞!!!

雰囲気のある苔むした石垣沿いの道をてくてく歩いていくと・・・

獅子舞の文字が書かれた幟が

ながぁーーーーい階段が待ち構える神社へと到着!

異世界に繋がるような長い階段好きよ

階段の両側にはファニーフェイスな狛犬ズ。

お邪魔します!

長い長い階段を登り切ると、境内はすでにたくさんの人で賑わっていました。敷地の端っこに受付が設けられています。う、受付・・・。はっ!もしやこれは「ご祝儀」を渡すタイミング!?すっかり忘れてたーーーーー。

民俗芸能おっかけ初心者で周りにも詳しい人がいなかったため、その存在を知ったのはつい2、3年前のSNS。実際に渡せたのは去年のお盆旅での鹿踊が初めてでした。それ以降、渡すチャンスがなかなか巡ってこないまま早数ヶ月。今の今まですっかり忘れておったのでございます・・・。

「ご祝儀」ってなんぞ?って方はこちらをどうぞ▼▼▼

芸能居酒屋 じぶんち  第13号 「特集:お祝い」

実は昨日、下田のお寺さんで未公開の仏様たちを拝ませていただいたお礼として渡すつもりでいたポチ袋を(お寺さんでは受け取ってもらえず)、少しでも荷物を減らしたくて宿で処分してたのであった・・・。裸銭を渡すのってよくないよね・・・???そんなわけで、今回もご祝儀を渡しそびれしまいました。うぅ、スマートに渡せる日が来るのはいつになるのやら・・・。今度から旅する時は必ずポチ袋をバッグにしのばせておこう。七道具の中の一つにするのじゃ(決意)。

(後日、獅子舞を演じていた子から写真提供のお願いがあり、喜んで送らせていただきました。それがご祝儀がわりということで・・・ゆるして!)

さて、気を取り直して、湯立獅子舞が始まるまでの間、準備中の境内を見学させてもらうことにします。

さっそく社殿の床には獅子頭が並んでいてトキメキ・・・!!!

その横の小さなお社の前には祭壇が設けられ、御幣と竹で作られた「青竹幣」と熊笹(くまざさ)を束ねた「湯笹」が置かれています。これらは湯立獅子舞にかかせないもの。どのように使われるかは後ほど明らかに・・・。

 「青竹幣」と「湯笹」

「にかぁぁぁっ」と祠の両側にもファニーフェイスな狛犬さま。愛くるしい・・・

その横にいらっしゃる苔むした石の祠にみっしりお狐さまや、今日つきたてっぽい美味しそうなお餅、さらに隣にはお猫さま・・・!たまらんたまらぁぁぁーーーん!!!

猫は養蚕に関係するんだっけ?

紙垂で飾られたの四角形の縄の結界に囲まれた一角の中心には大きな釜。中にはお湯がぐっつぐっつ!!!時折勢いよく吹きこぼれます。

ぐっつぐっつ

湯立獅子舞スタート

そしてついに・・・!狼煙があがった・・・!!!

始まりの合図

小さなお社の祭壇前にみんなずらりと並んで頭を下げ、神主さまの祝詞が始まりました。

祝詞をあげる神主

それが終わるとみんなでお神酒ごきゅり!

まずは社殿で獅子舞が始まります。とてもかっこいい!!

グリーン×オレンジの配色は大好物

湯立獅子舞に参加する会員たちは1週間ほど前から一切の不浄を経って、前日は全員が社殿に籠もって何度も水垢離(みずごり)を取って身を清め行事に臨むそうです。すごい・・・。そして獅子舞を舞うのはまだ若い男女であることにも吃驚。古くから地元で受け継がれている伝統芸能を若い人たちが担っていることをとても頼もしく思いました。

社殿での舞が終わると今度は外で始まります。

まるでマタドールにも見える

特等席で見られてしあわせ

こちらの獅子舞を見て面白いなぁと思ったのが、2人で布の中に入って舞うバージョンと、頭が獅子で体は人の半人半獣バージョンの2パターンあるということ。

布の後ろ側に入っていた人が出て、布をねじねじ。

ねじねじねじ

それをくるっと首に巻きつけ、半人半獣の獅子の完成!!後ろの人はまるで黒子(隠れてないけど )のように獅子にくっついて一緒に移動します。

メジャーリーガーにも見えてきた

実はわたくしこの頭が獅子で体が人のお姿が大好きでしてね・・・。この獅子舞に限らず、なぜか昔から半人半獣の姿にときめいてしまうのです。

手元をよーく見ると・・・印を結んでる!!!

ポーズの一つ一つに意味があるのでしょうね。気になる・・・。

すると今度はシャンシャン音の鳴る道具と刀が登場。 この舞がね・・・めちゃくちゃかっこよかったんですよ・・・・・。

任侠映画にすら見えてきた

右手と左手を別々の方向に動かしながら(わたしなら混乱して一緒の方向に突き出しちゃう自信ある)、社殿をぐるーっと一周するのを繰り返します。

よーく見ると、カラフルなお団子してるみたいで可愛いね

次はふたたび体も獅子の姿に戻り、次の舞がスタート。

躍動

宮舞、平舞、剣の舞、行の舞という4つの舞が行われた後は、入れ替わりで獅子を演じていた男女総動員で舞いながら煮え立つ湯釜へと向かいます。

ついにこの時が・・・!

獅子様の背後に回ってもっと間近で見たかったけど、なかなかいけるタイミングがなくてほぼ同じ場所からの鑑賞になったことがちと悔しい

ここまではおそらくさっき見た舞と同じ(たぶん)。お次は祭壇に置かれていた「青竹幣」を手に取って釜の前へ。

写真を撮っていると、「空間に“風”の字を書いている・・・」とかなんとか面白そうな話が後ろの方から聞こえてきて、え!なにそれ!って思ったけどよく聞こえずその理由とか聞き漏らしましたよね・・・。

最後は湯の中にぐるーりぐるり。ゆっくりと回し入れます。

そしてお次はわっさわっさ束ねられた「湯笹」を手に取り湯の中へ・・・。湯笹を手にしたまま本殿や境内の各祠へと駆け足で向かう獅子。

大忙し!

そしてみんなのお待ちかね・・・

「湯花」大盤振る舞いタイムだよぉぉぉーーー!!!

 この「湯花」を浴びると一年無病息災になるんだって (熱いのかと思ったらちっともそんなことなくてほっ)。最近ちっとも病気にならないのは全国各地の祭祀祭礼を巡ってご利益を得まくってるからなのでは・・・???

ところで肝心の・・・お獅子さまが湯を放っているところを撮り逃したポンコツのわたくしです・・・。つらい・・・。

そして再び舞が行われ・・・

後ろ姿もよき

最後の最後、社殿で締めの舞。

かわいいお顔。やっぱりお団子してるように見える

獅子舞の最中、時折小雨が降ることはあったけれど、なんとか持ち堪えていたお天気。最後の獅子舞が終わるや否や、とんでもないごごご豪雨!!!雷鳴もーーーーー!!!!!

もう激しく吃驚。こんなことってあるのね・・・!??舞の音とか、大気を震わせた関係で雨が降るとか??科学的に検証したら何かあったりするのかしら・・・。

土砂降りの雨でも燃え続ける炎

その場にいた関係者の方に興奮しながら尋ねると、「実はよくあるんですよ。神さまごとだから・・・」と。人智を超えた存在というものが本当にあるのかもしれない・・・そう感じた瞬間でした。

水に濡れて青々としている「湯笹」

土砂降り中だけど、バスの時間が近づいていたので、濡れることを覚悟して神社を後にします。階段転げ落ちそうで怖かったね・・・。

狛犬たちもびしょ濡れ。でもニンヤリ顔は変わらず・・・

するとバス停に着く頃には雨も控えめに・・・。うん、そういう運命だよね。もっと待ってればよかったな・・・・。

行きは情緒あるロマンスカー。帰りはバスで小田原駅にひとっとび!箱根では渋滞に巻き込まれてひやひやしたけど、それを抜けてしまえばスムーズでとっても楽でした。でも、急ぎでなければロマンスカーで訪れることをオススメします。めちゃ楽しかったから!!

バスの中から

駆け足の箱根滞在ながら、ご利益のありそうな金精温泉にレトロ可愛いレモンパイ、湯立獅子舞とバリエーションに富んだ愉快なひとときを過ごすことができました。今度はまるでジョンレノンとオノヨーコのようなカップル(死語)でのんびりゆっくり訪れたいものですねぇ・・・(遠い目)。

■参考文献・サイト

箱根町宮城野木賀観光協会 イベント【宮城野 湯立獅子舞】国指定重要無形民俗文化財

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