カンデッコあげを堪能した後に待っていたのは約40分ほどの徒歩移動。なぜなら電車がぜんぜん走ってないから!待ち時間がもったいないので、一駅分歩くことにしました。
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ついに熊に出会う・・・!?
つい先ほど電車で通り過ぎたばかりの松葉駅方面へと戻ります。わたしが熊に怯えていたことは前々回のブログを読んだ方ならご存知でしょう。今回が一番熊に遭遇する率が高いとふんでいたので、ついに熊よけのベルを装着・・・!!熊よけスプレーもすぐ取り出せるバックパックのサイドポケットに入っているよ・・・!!!
いつでもかかってこいやっ!!!
そんな気持ちで歩き始めたものの、思ったよりも広めの舗装された道路。車の交通量も比較的多くて拍子抜け・・・。どうやら熊よりも車に轢かれる心配をした方がよかったようです笑(でも油断は禁物よ!)。
でも今回、本州に生息しているのはツキノワグマで北海道にいるのがヒグマであることや、熊に出会った時の対処方法など、まったく知らなかった熊の生態について色々と知ることができてよかったです(すぐに忘れるけどな!)。
道中では、美しい川を撮ったり、タイミングよく現れた電車を撮ったり。
歩いていくうちにいつのまにか大きな道路を外れ、民家のある集落へと足を踏み入れていました。
線路下を通り抜けるためのトンネル(スノーシェルターっていうのかな?)があって、なんだかとってもかっこよかった!
もう見頃は少し過ぎてしまったけれど、美しい桜も咲いていました。
吉田のワラニンギョウ
期待していた(!?)熊に出会うこともなく、無事正午前に到着したのは吉田集落にある磯崎神社。
鳥居をくぐるとその先に見えてきたのは・・・
まるでオズの魔法使いのカカシのような、のほほんとした雰囲気の人形道祖神さま!とっても可愛らしい雰囲気です。地元の人はそのまんま「ワラニンギョウ」と呼んでいるらしい(小松和彦著『村を守る不思議な神様』より)。
なんだかとっても可愛らしくて好き!!!
強風が吹き続ける中、ひたすら動画で撮影をしていると、突然ガコンと頭に衝撃が・・・っ
く、くくくくく熊・・・!??
(最初混乱してほんとに熊かと思った)
下を見てみると、想像よりもはるかに太い棒が落ちている・・・。もしかしてこれが空から降ってきたの・・・!??棒の写真を撮るのをうっかり忘れてしまったので、きっとみなさまは大袈裟に言ってるのだろうと思うでしょう?でも「枝」とかそんな可愛いものではなく本気の「棒」だったんだよ・・・
実は、その時の動画が奇跡的に残っておりますので、わたしのリアルなリアクションをどうぞご覧ください・・・(最後はちょっとぶりっこしてます)
え〜っと・・・
こ、これって間違いなく怒ってますよね・・・???
「いい加減にしなさいー!」って言われたような気がして、ちょっとしょんぼりしてしまったよ・・・涙。単なるかわいいイタズラで、面白がってちょっかい出しただけだと思いたい・・・。
そんなこんなで怒られちゃうし、風は強いし、薄暗くて奥に進むのもなにやら怖いし。本来なら神社にお参りをするべきなのですが、人形道祖神さまを拝んでこの場をあとにすることにしました・・・。
昼食を求めて三千里
すでに正午を過ぎていたので、しょんぼりしつつもお昼ごはんを求め、松葉駅近くのラーメン屋さんへ向かうことにします。気になる看板を撮りつつ・・・
やっと着いた!と思ったら・・・・・
はい!おやすみーーー!!!
GWだということを忘れていました・・・。他に歩いて行ける範囲で飲食できる店はなさそうだったので、お昼ごはんはあきらめることに・・・涙。歩きっぱなしでふらふらだけど、休むとこもないので再び歩き始めます。
畑中のニオウサマ
歩いて10分ほどで着いたのは畑中集落にある稲荷神社。
こちらには「仁王様(ニオウサマ)」と呼ばれる人形道祖神さまがいらっしゃいます。
鳥居をくぐり階段を登ると、まるで蛇のようにうねうねした道が丘のてっぺんへと続いています。
まるで道標のように可愛らしい水仙が点々と咲いていました。
まるでちょっとした登山気分。どんどん息が上がっていきます。
やっとのことで登り切ると広い空間に出ました。その先に見えたのが・・・
え?・・・え???
仁王様!仁王様はいずこぉぉぉーーーーーー!!!!?
絶叫しながら(心の中で)登ってきた道を急いで降りて、住民の姿を血眼になって捜します。まさかお昼ごはん食いっぱぐれた上に仁王様にも会うことが叶わないなんて・・・そんなことがあってはなりません!!!
数分もしないうちに第一村人発見し、仁王様を見にきたことを伝えます。するとなんと!一昨年から高齢化を理由に作るのをやめてしまったとのこと・・・涙
わ、わたしは一体何のためにここまで・・・?
と、絶望しかけたその時、一筋の光明が!!!
鳥居横にある「畑中部落会館」に仁王様の面が保管されているという!ばんざーーーーい!!!自由に入れるとのことだったので案内していただきました。
解説板に書かれている情報から、おそらく左が大正12年に作られた初代、右が平成8年に作られた2代目の面と思われます。
2代目はキリッとつり上がった目と大きな鼻、大きく開いた口には牙のような歯も生え、どこかユーモラスで力強いお顔をしています。
初代は雨風にさらされ、時代を経てその表情すら判別できないくらいに朽ちているけれど、それが逆に凄みを感じさせて、今でもその力は衰えておらず・・・といった感じ!どちらの面もとってもよいお顔です。
もうすでにお気づきかと思いますが・・・仁王様の面のお隣には赤々としてこれまた立派な男○さまが・・・・・(もうこれまでに何度男○って言った?)。
仁王様を作らなくなった理由や、解体作業の様子を載せた資料も置かれてました。
完璧なお姿の仁王様には会えなかったけど、ふたつの「面」と「男○」だけでも拝むことができてほんとよかったです。諦めてずこずこと帰らなくてよかったー!!教えてくれた村人さんありがとうございました!!!
最後に
ちなみにこちらの畑中集落のすぐ近くの高屋集落にも以前は仁王様がいらっしゃったそうなのですが、数年前に作るのをやめてしまったとのこと。つまり、このあたりに残るのは磯崎神社のワラニンギョウのみ・・・。
高齢化、少子化によって作り手がいなくなるのはとても悲しい。人形道祖神に限らず、それは伝統芸能やお祭り、民芸品や、古い建築など、様々なことに通じる話だよね。一度失われてしまうと復活させるのはきっと難しい。地元住民でもない自分が軽々しく「残してほしい」と言うことは簡単だけど、実際に守り続けていくことはとても大変なことなんだろうな。願わくば、全国のさまざまな素晴らしい文化やモノが失われる前に、目に、心に、写真に焼き付けていきたいと思います。
今回の旅での人形道祖神巡りはついに終了。だけど旅自体はまだ折り返し地点にもきておりません・・・!
松葉駅から電車に乗り、再び「カンデッコ上げの駅」を通ります。車窓からは、今も風にゆらゆらと揺れているであろう「男○」がたわわに実る桂の木が見えました。またいつか、いや、ぜったいあの場所に行くぞ。そう固く誓いながら、流れていく車窓からの風景を眺めるのでありました。
【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2 film:KONICA AUTOREX
秋田青森ひとり旅2022⑦につづく▶︎▶︎▶︎