当初の計画では温湯温泉から黒石駅へ直行し、沿線沿いの「盛美園」という洋館に行く予定でした。ジブリ映画「借りぐらしのアリエッティ」のモデルにもなっているらしい(観たことないけど)。
実は前日、温湯温泉へと向かうバスの中からみた景色が忘れられず急遽予定を変更することに!
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黒石観光
その場所に一番近い「黒石市役所前」で下車。グッと胸をつかまれた通りのある方向へと歩き出します。街のいたるところに可愛いこけし〜。
どうやら去年の11月から今年の3月までの間、約30体ほどのこけし灯篭が立ち並び、夜をにぎやかに彩っていたらしい。その時の灯篭なのかな?
古い街並み
こけし提灯×キリスト看板の絶妙なハーモニーを奏でる写真屋さんの建物を左に曲がると、さっそくたまらない建物たちが出迎え。
さらにどんどん進むと、ついに昨日バスを降りたい衝動にかられた通りへと突入〜!!!
中町こみせ通り
江戸時代にタイムスリップしたのかな・・・?
バスを降りたくなった気持ちわかるでしょ?
「小見世(こみせ)」とは雪や雨、夏の日差しを遮るために作られたアーケード状の通路のこと。中町こみせ通りは、藩政時代からほぼそのままの形で残っているというから驚きです。
これは絶対に散策したら楽しいはず・・・!!!そんな予感がビンビンにしてたけど、その前にわたしにはやることがあるのだ。旅はすでに終盤。
そう、お土産を調達せねばなりませぬ・・・!!!
IRODORI(イロドリ)
向かったのは中町こみせ通りの一角にあるIRODORI。
お店の扉を開けた瞬間、目に飛び込んできた色とりどりの光の渦・・・!!!
カメラをぶら下げていたからか、撮影許可をもらう前に「写真たくさん撮ってくださいね」とにこやかに言ってもらえました笑。えぇ、撮りますとも撮りますとも!!こんな素敵な光景を撮らずにおられますか…!!!
黒石ねぷた
青森といえば夏祭りの「ねぷた祭り」。有名な「青森ねぶた」や「弘前ねぷた」以外にも、津軽ではあちこちの地区で祭りがあり、ここ黒石でも「黒石ねぷた」が行われています。
このお店ではなんと実際に「黒石ねぷた」で使われた「ねぷた絵」を使用し、灯篭や団扇を製作・販売しています。
実はこちらを訪れる前までは「ねぷた祭り」に全く興味がありませんでした(すんません・・・)。でも、前日入手していた黒石観光パンフにお土産品として「黒石ねぷた」の絵を使用して作られたポチ袋が紹介されていて、その柄がとってもモダン素敵だったのです!
どうにかして入手できないかと検索してたどり着いたのがこちらのお店でした。ポチ袋は置いてなかったけれど、大好きな団扇が置いてあったので嬉しい!!(扇子より団扇派)
本来なら祭りが終わったら破棄されるはずの「ねぷた絵」をこんな素敵に再利用するなんてナイスアイデア!商品自体もほんとに美しくてモダンでカッコよくて!!興奮して写真をたくさん撮りつつ質問責めしてしまいました。そのわたしの興奮が伝わったのか裏からなにやらごそごそと取り出し、とんでもないお宝を見せてくれたよ・・・!!!
目の前に現れたのは色彩鮮やかで迫力満点の「ねぷた絵」!!!めちゃくちゃかっこいいーーー!!!!!
今回見せていただいた「ねぷた絵」は、コロナ禍で祭りを開催できない間、腕が衰えないよう描いたものとのことでした。この絵はもちろん加工せず、このまま残すそうです。
もともと灯篭にするために描かれている「ねぷた絵」。絵を窓から溢れる光にかざすと・・・
赤や緑や橙の色彩がより鮮やかにドラマチックに浮かび上がり、まるで今にも絵から飛び出してきそうな立体感&躍動感・・・!!!
旅の終盤でこんなに素晴らしいものを見せていただいてほんと感激・・・涙涙涙
青森や弘前の有名どころだと、ねぷた専門絵師としてやっていけるけど、黒石ではそれはできないので、普段は違う仕事をしているそうです。別の仕事をしているのにこんな絵が描けちゃうなんてカッコ良すぎませんか・・・!?能ある鷹は爪を隠す的な・・・。
黒石の絵師は他の地域の「ねぷた絵」よりも、なにもここまでしなくても…というようなところまで繊細に描くのが特徴なんだって。だからこそ団扇など手に取って間近で見る商品としても耐えれるクオリティ。灯篭だったら遠目で見るからそこまで細かく描かなくてもいいんだものね。それなのに細かく書き込むだなんて妥協をしない職人魂にシビれるぅーーー!!!
「絵師にはねぷたを好きなら誰でもなれる。ねぷた好きの中でも、“ねぷた馬鹿”という人たちが絵師になる」という言葉もなんだかとっても素敵だなぁと思いました。愛すべき「ねぷた馬鹿」。祭りに対して自信や誇りのようなものを感じます。どこのお祭りでもそうなんだけど、その場所で小さい頃から生活して、祭りが自分の血と肉となっている感じがとても羨ましくてちょっと嫉妬してしまう。自分にはそんなお祭りはないもんなー。昔、どちらかというといつも寡黙で大人びた佐賀の唐津出身の子が、「唐津くんち」(世界文化遺産にもなっている有名なお祭り)について話す時だけはイキイキとして違う表情を見せていたことを思い出しました。
あ、話が脱線。
コロナ禍で2年間開催できなかったけど、今年はやっと開催できそうとのこと。無事開催されることを願います!!!
わたしもいつか生で見てみたいなぁ。
製作体験
こちらでは灯籠や団扇の製作体験もすることができます。
なんと木枠などのパーツも全て手作りとのこと!手がかかってるー!!!
「ねぷた絵」自体はとても古風なのに、こうしてパーツにして繋ぎ合わせるとモダンになるのだから不思議。店主のセンスもいいんだろうなぁー。店内もとてもオシャレでした。
時間があればやりたかった!ていうかせめて小さい灯籠買えばよかった!!団扇を選ぶのに夢中になりすぎたんや・・・。
団扇
いろいろな楽しいお話を楽しみつつ、ずーーーーっと悩んでいたのがお土産。団扇を買うことは決めていたのですが、たくさんありすぎて迷っちゃう・・・!!!
さんざん迷って、次の3つを選びました。
左下は自分用、2つはお土産用。右下の「目」の団扇にはいろんな技法が使われているらしく、目のキワには蝋を塗って滲まないようにしてたりするそうです。さすが俺様、いい団扇選んだぜ!購入した目の団扇は「人」の目ですが、下の写真の目は「馬」とのこと。
旅から帰ってきてからじわじわと好きになって、買っておけばよかったと心底後悔してるやつ・・・。ちゃんと自分用にピンクと水玉の乙女チックな団扇を買ったけどね!!
この団扇の柄は、灯籠の斜め部分に描かれるという牡丹柄。津軽家の家紋が牡丹であることに由来しているらしい。一番人気の柄とのことでした。だって可愛いもんね!!
青森のイラストレーター豊川茅さんのグッズ
ショップには黒石ねぷた以外にも、青森を中心に活躍するイラストレーター豊川茅さんのグッズ販売もありました。これがめちゃくちゃ可愛くて・・・!!!
いやいや、全国区で人気出ちゃうでしょこりゃ。青森駅の何メートルもする壁画を担当していて、それがとっても可愛いのですって!女性スタッフさんが力説されていました。青森駅そんなことになってたんだ!いきたかったーーー。今度は青森駅の方まで足を伸ばした東北旅したい。
わたしが興味津々にしていたら、豊川茅さんが描いたという青森のパンフレットをわざわざ取りに行ってくれました。ほんとなんていいひとたち!!
パンフの表紙に描かれているこれが超気になった。
お店の方に聞いてみたところ、歴史のある人形芝居で、白塗りでだいぶゆるゆる。一人で人形を操っていて、動きがカクカク。と、想像があまりできないけど気になるワード連発笑。
調べてみると、1907年(明治40年)創作された津軽伝統人形芝居 金多豆蔵らしい。いつか観にいってみたいなぁー!
そんなこんなで気づけは1時間近く滞在していたよ。素敵な団扇も買えたし、お店の方たちとの交流も楽しくて、大大大好きなお店でした!!ぜひ黒石を訪れた際には立ち寄ってほしいなぁー。貴重な「ねぷた絵」も見れたし、このお店に来れただけでわたしの黒石観光欲はだいぶ満たされてしまったのでした。
松の湯交流館
お店を後にして最後に向かったのは松の湯交流館。昔の銭湯を利用した施設で、無料で見学できます。この建物が建てられた江戸時代の当時は、銭湯ではなく旅籠(旅館)だったそうです。
ここでタイムリミット!
ほとんど街中を散策できず満足に写真も撮れなかったけど、心は満たされたので後悔はありません。路上観察しながら黒石駅へと歩いて向かいます。
消防団第三分団第三消防部屯所
大正13年に建てられた洋風の消防屯所。とっても素敵!!!中は残念ながら見学できませんした。
明るい時間の夜の街を通り過ぎます。
路傍のお地蔵様
祠があるとつい覗いてしまうくせがあるのですが、黒石で出会ったお地蔵様たちのかわいいことよ・・・!!!レトロなお供え物がとっても可愛くてキュン!地元のひとたちにとっても愛されているお地蔵さまたちでした。
津軽には、お顔にお化粧をほどこされ、可愛いおべべを纏ったお地蔵さまが各地で祀られており、「化粧地蔵」と呼ばれているらしい。明治期から昭和の初期にかけてつくられた比較的新しいものが多く、子供を供養するために祀っているのが特徴とのこと。
下記サイトより参照
亡くなった子供たちの供養のためだから、こんなに可愛いお供え物だったんだね。胸がキュッと締め付けられます。
こけし灯篭のいる黒石駅へと到着。短い滞在でしたが、黒石とはここでお別れです。
弘前行きの切符を購入!!!
したけど、まだ弘前には戻らず途中で降りるのに間違って買っちゃったよね・・・。降りる前に気づいたので差額は返金してもらえず・・・涙。ここでもうっかりぷりを発揮するのであった。
【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2 film:KONICA AUTOREX
秋田青森ひとり旅2022⑰につづく▶︎▶︎▶︎