彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

③秋の愛媛南予ひとり旅2022【鹿踊り・前編】

何隠そうわたくしは計画立て魔。今回の旅もきっちりルートやバスの時間を調べ上げ、万全の体制でのぞんでおりました。

それなのに・・・それなのに・・・

CONTENTS

若宮神社(久家)

11時半過ぎ、乗り込んだのは小さなコミュニティバス。ある一定の区間では、バス停に限らず好きな場所でおろしてもらえるという田舎のバスシステムにドキドキ!目指すのは愛南町で唯一今年鹿踊が奉納されるという福浦集落の若宮神社。注意しなければならないのは、同じ名前の神社が目的の若宮神社の前にもあるということ・・・!間違って降りてはいけない・・・そう思って、バスのルートや時間を検索できるアプリを起動し、GPSで現在地をチェックしながらバスに乗るという用心っぷり。

それなのに・・・それなのに・・・!!!

まず1つ目の神社を通り過ぎます。その神社前にも秋祭りののぼり旗が掲げられていました。そうこうしているうちに、同じくのぼり旗の2つ目の神社が。

ここだぁーーーー!!!

「すみません!ここで降ります・・・!!!」

人見知りがありったけの勇気を振り絞り、バスの運転手に声をかけます。ちゃんと止まってくれた!やったーーー!!!ちょっとした喜びを味わいます。

降りるとちょうど神社へと向かう神主さんがいたので、鹿踊のことを聞いてみることに。

「え?やるって言ってました??」と、不思議顔。近くにいた地元のおばちゃんらしき人も、ここでは鹿踊をやらないと言っている・・・。

(ん・・・?なんかおかしいぞ・・・???)

嫌な予感しながら、Googleマップで位置情報を確認すると・・・

なななななんと!!!やっちまいました・・・!!!!!

違う神社で降りてしまったよーーー!!!(絶望)

Googleマップよりスクショ

わたしが行きたい若宮神社はMAP下側のハートマーク。間違って降りたのが左上のフラッグマークの久家若宮神社。まだまだ遠い。ぜんぜん遠い。ここらへんには若宮神社がたくさんあるんだってよ・・・?ていうかなんのためにバスアプリまで使って位置情報確認してたんだ・・・??

次のバスは数時間後。もちろん歩いていけるような距離じゃない。歩いたとしても着いた頃には終わってるよ・・・!しかも地元のおばちゃんに福浦の鹿踊を見にきたと言ったら、「福浦も鹿踊やらないはず。福浦じゃなくて深浦では?深浦はやるって言ってたよ」というまさかの情報が・・・!!!

だって事前に問い合わせた時に役所のお兄さんが福浦でやるって教えてくれたよ!え?え?もしかして「福浦」と「深浦」似てるから間違ったとか・・・???

いろんなことが一度におきすぎて超絶パニック・・・!!!

昨晩からフェリーをはじめとする様々な乗り物を乗り継ぎ、15時間以上かけてはるばる福岡からやってきたというのに、まさか鹿さまたちに会えないままエンド?ジ・エンドなの・・・!!????

そういえば!近くにタクシーあったよね!!ひとまず急いで呼び出すことに。ありがたいことにすぐに到着!テンパりまくった状態で、タクシーの運ちゃんに事情を説明。それがおじちゃんがとっっってもいい人で、わたしの話を聞いて愉快そうに笑いつつも「大丈夫!もし福浦じゃなかったとしても、さっき私が降りたバスがすぐ折り返しでくるからそれに乗って深浦に行ったらいいよ」と、なんて冷静なアドバイス!さきほど御荘で御神輿に遭遇して餅をもらったことを伝えたら「きっといいことあるよ〜」とも。ほんとありがたかったよー!!心がすーっと軽くなりました。

ほんとテンパってたから写真がタクシーに乗っている間に窓から数枚撮ったこれくらいしかない・・・文字ばかりでごめん

若宮神社(福浦)

バスで100円で行けるところをタクシーで1600円ほどかけて、ついに目的の若宮神社へと到着!ドキドキの瞬間です・・・。ここでタクシーのおじちゃんからさらにアドバイス!「まずは神社に行く前に公民館(神社の手前にある)で聞いてみたらいいよ」と。おじちゃん、ほんとにありがとう・・・涙

言われるがままに公民館へと向かい、なにやら人の声ががやがやと聞こえる奥の部屋へと「すみませーん、すみませーーーーん」と言いながら足を踏み入れると・・・・

なななななんと!!!

目の前にはぶらさがる水玉模様の衣装と、少年たちが畳に大の字になって寝転がっている姿が・・・!!!!

聞くまでもなく!!!

鹿踊やってますよね・・・!!!!!

目の前に広がる光景に大興奮!!いつもなら人見知りっぷりを発揮するところ、すぐさま写真を撮らせてもらっていいか聞いていました。ありがたいことにOK!中に入り込んで自由に撮らせてもらうことに〜。やったー!!

間違って途中下車してタクシー乗ってなければ、こんな風に図々しくなれなかったかもだし、バスで普通に停車してたらそのまま神社に向かって生着替えシーンに遭遇できなかったかもしれない。タクシー代余計にかかってしまったけれど、これで正解だったのかも・・・としみじみ思うのであった。

そんなわけで・・・

鹿ちゃんドドーン!!!

やっと会えましたね

吉田の秋祭りの鹿さまたちは眉目秀麗なお顔立ちで、衣装も赤とネイビーでモダンで隙のない感じだったけど(かっこよくて大好き!)、福浦の鹿ちゃんズはなんだか脱力系でゆるゆる〜。「鹿」であることは一緒だけど、地域によって衣装やお顔はこんなに違うものなのね。やはりたくさんの鹿さまたちに会いにいきたい・・・。

吉田の鹿踊(2019年撮影)

福浦の鹿ちゃんのお顔は最初布で包むらしい。

手慣れた手つきで包んでいきます

昔からそうしてるので、なぜ顔を包むのかはわからないとのことでした。短い舞いの時は顔を包んだまま舞い、長い舞いの時は布をおろして舞うんだってー(これについてはまた後ほど)。

そうこうしているうちにお着替えタイムが始まるってよ・・・!!!

子供たちがのそのそと起き始めます。どうやら朝からずっと踊っているらしい。だからあんなにぐったりしていたのねー。それなのに突然やってきて騒がしくしてごめんね・・・。明日は平日だけどこの子たちは学校休みもらえるんだって。よかったね!

ちなみにここの集落は全戸300ほどあって、今年周るのはは200程度とのことでした(お葬式をしたところとかは遠慮したりするらしい)。いやぁー、大変だ!

男の人ふたりで着せていきます。大忙し!

衣装を着終わったら、最後に鹿の面を頭に被ります。年長の子供たちはもうひとりで取り付けれるみたい。もう何度か踊ってるんだろうね〜。鹿踊を踊るのは中学生くらいまでとのこと。着付けしている男性たちも小さい頃は鹿踊を踊っていたんだろうな。

かっこいいな!

一番小さい子はまだ取り付けられないようで、大人の人がやってあげていました。

もう!可愛いなぁーーー

この子がおちゃめでめちゃくちゃ可愛かった!実はこの子だけ雌鹿役。他の年長の子供たちは雄鹿とのこと。雌鹿は出来るだけ一番小さい子がするんだって。どおりで頭の飾りが一人だけ違うんだね〜。華やか!ススキや植物で飾られておしゃれしています。そして後ろに回って初めて気づく。

頭のところに・・・

なんと鳥居が〜!!!雌鹿が特別な存在というのがさらによくわかります。さらに色とりどりのヘコ帯でおめかし!角に巻くへこ帯は5本使うんだって。

おめかし完了!

まずは奉納する神社の前で記念撮影!

日差しがまぶしそう

みんなでぞろぞろ若宮神社へ。

なんてカラフル

いよいよ神事スタートです!!!

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2 film:CONTAX Aria

④秋の愛媛南予ひとり旅2022へとつづく▼▼▼