彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

④秋の愛媛南予ひとり旅2022【鹿踊り・後編】

若宮神社へと続く階段を一気にかけのぼり、振り向くと海・・・!!!

右に見える建物が公民館

いよいよ神事が始まろうとしています。

CONTENTS

若宮神社

境内にはすでに地元の人たちが集まっていました。

神事待ちの少年たち

今か今かと待っていると、拝殿の中に入るように案内されます。

ぞろぞろと中へ

部外者のわたしも入っていいの・・・?

と、ドキドキするも大丈夫とのことだったので、地元の人たちにまざって見学させてもらうことに。

中央には御神輿が置かれ、右側に鹿踊の少年たち、左側に地域の人たち(わたしも)が座ります。神様に一番近い前の部屋には、関係者?(なんていったらよいのかしら?役員?)のおじさまたちが座ってました。

向かいに座る少年たち

旅立つ前、祭りに関して問い合わせた役場の方もきていて(その時対応してくださった方ではなく別の人だったけど、わたしのことが伝わっていたもよう)、神事の際の禁止事項を伝えられます。

「御神輿の中に神様を移す時は撮影禁止」とのこと。それがいつなのかわたしにわかるかしら・・・???と、ちょっとドキドキ。

神事

そうこうしているうちにいよいよ神事がスタート。神主による祝詞が静かに読み上げられていきます。神様が祀られていると思われる場所へと行き、何やらごそごそ・・・(暗がりでよく見えず)。

おーーーーーーー おーーーーーーー

さっきまでの穏やかな祝詞から一転、洞窟の中でお腹の底から出しているような振動した大声に変わります。まるでこの世ではない世界に呼びかけているかのよう・・・。どこかぞくっとするようなお畏ろしさを感じました。あまりにも異質だったので、ここが撮影してはいけない瞬間なのだと瞬時に理解。ほんの数分のことだったけれど、一番の衝撃でした。

お祓い

それが終わると神主さんが榊を手に、おじさまたちの頭の上をふりふり。次に鹿踊りの少年たち、次に外で待つ地元の人たち・・・と、次々にお祓いしていきます。

ふりふり〜

ぐるっとまわってついにわたしたちの番…!!!ワクワクしながら頭を垂れて、お祓いのふりふりを受け止めます。とっても清らかな気持ちに。払ってもらえてうれしいよーーー!!!

御神輿

再び役所の方が声をかけてきます。これから御神輿の中に神様を移す儀式があるとのこと(さっきのじゃなかったんだ!)。先ほどのように「おーーーおーーー」と声を出している時は神様が出てきている時だから、頭を下げて見ないように・・・とのことでした。

そっか、さっきも見てはいけない瞬間だったのか・・・。確かに頭を下げてる瞬間が多々あったような。知らなかったよすんません・・・。

おーーーーーー おーーーーーーー

再びその瞬間がやってきました。頭を下げてみないようにしていると、神主さんが目の前の御神輿へと勢いよく駆け寄り(想像)ゴソゴソガチャガチャ何かしている・・・!

こわい!!こわいよ・・・!!!(見えない時の音ってこんなに怖いものなのね。音だけのホラーもあるもんね)

だけどだけど!何をしてるのかみてみたい・・・・!!!

「おーーーー」の声を出している間だけ見ちゃいけないってことかな・・・?と勝手に自分のいいように解釈し、こっそり頭をあげてみます(おい)。

でもやっぱりこちら側からはよく見えなくて、ただガタガタゴソゴソと御神輿の中に手を入れて何かしていることだけがわかりました。

(ちなみに周りには、がっつり見ている人もいれば頭を垂れている人もいて、ちょうど半々くらいだった。そこまで厳密ではなかったらしい〜。ほっ)

結局何をしていたのかよくわからないまま、御神輿に神様を移し終えたようでした。

お供え

次は神主が地元の人たちに榊を手渡し、神様へ次々にお供えをしていきます。(観光客であるわたしは参加できない)

以上で神事は終了。(注:写真もたくさん撮れなかったし記憶もあやふやなので、内容は前後しているかも知れません)

神事というものをこんなにがっつり間近で見たのは生まれて初めてかも・・・。鹿踊り目当てで来たけれど、とっっっても興味深かった。「おーーー」の声を初め、動作や祝詞の内容等(コロナとも言っていた)、そのひとつひとつの意味をじっくり聞いてみたいよーーー。

神事から参加したことで、様々な祭りを最初から最後までみたい気持ちがより一層湧いてきました。なんならその準備から見たいのだー。今後そのチャンスがあれば、獰猛に食らいつきたいです・・・!!

鹿踊りとは

さぁて、お待ちかねの鹿踊りがはじまるよ〜!!!と、その前に簡単に「鹿踊り」についておさらい。

鹿の面を頭につけ、その面から垂れた布で上半身を覆い、太鼓を前に抱えて打ちながら歌い踊る。この「太鼓踊り」系の鹿踊りは、宮城県各地に普及、さらに東北・新潟・関東まで分布し、踊り手の数・踊り方・歌詞は多様である。その中で、雄鹿たちが雌鹿を尋ね探して遂に発見して喜ぶ「めじしかくし」という踊りが、旧宇和島藩領となる南予一円には定着、分布している。これらの鹿踊りは、宇和津彦神社から各地に伝播したとされるが、南予においても地域により鹿の頭数や踊り・歌詞に差異が認められる。

市指定 八ツ鹿踊り - 宇和島市ホームページ | 四国・愛媛 伊達十万石の城下町より拝借。

以前、吉田の秋祭りで見たのは七ツ鹿(昔は五ツ鹿だったもよう)だったけど、今回は五ツ鹿。地域によってその数は様々のようです(藩の権威や神社の社格が象徴されているとも)。雄鹿たちが1匹の雌鹿を探し求めて見つけて喜ぶストーリーなのね。子孫繁栄や五穀豊穣を感じさせるなんとも馨しい&福々しい踊り。美しいわ!

福浦の五鹿踊り

真紅の布が解かれ、鹿のお顔があらわになります。ついに鹿踊り奉納のはじまりです・・・!!!

準備完了!

はじまりはとっても静かな舞い。すり足ステップが印象的でした。

踊っているうちに、だんだん躍動感とリズムのある歌と舞いへと変化していきます。吉田の鹿踊りで聞いた歌詞やメロディーも!話では理解していたけれど、ルーツが同じであることを初めて実感した瞬間でした。

鮮やかなヘコ帯が眩しいね

炎天下の中、約15〜20分ほど踊り続けて終了!よくがんばったよーーー!!!

しかしこれで終わりではありません。少年たちはこれから集落内の家をすべて周り終えるまで、延々と踊り続けるのです・・・。

踊り終わるとまた頭をくるくる包みます

疲れたね!ひとまずお疲れさま

境内での神事はこれで終わりと思ったら、さっきまで鹿踊りを大人しく見ていた人々がなにやらビニール袋をゴソゴソと取り出して怪しげな動きを始めます・・・。

・・・!!!

餅まきの開始だよーーーー!!!!!

みんなこれを待っていたのか笑

餅をゲットするのが一番の目的なんじゃ???と思えるほどの白熱っぷり!撒かれる餅に群がる人、人、人。おもしろかったです。

わたしも記念に餅を1個だけゲットし、急いで階段を降ります。なぜなら鹿ちゃんズを追っかけたいから!!!

鹿ちゃんもトラックの上で休憩中

公民館前でちょっとだけ休憩したと思ったら、すぐにトラックに乗ってドナドナ・・・。

瑞々しい少年たち。眩しすぎて目がつぶれそうだ・・・

行き先はもちろんわからない!

それでもわたくし!!駆け足で追っかけます・・・っっっ

はい!あっという間に見失ったよ!!!

車が曲がった道はあのあたりだったような・・・?と、違う道に迷い込む始末・・・。

海、きれいね・・・

Uターンすると、鹿踊りの音が聞こえてきます。急いでその方向へダッシュ!!!

民家の前で、神社で舞っていた踊りよりも何倍速??な、ショートバージョンの舞いが奉納されていました(民家のため写真掲載は控えます)。鹿のお顔も布で包まれたまま。これがお着替えタイムの時に話してもらったやつかー。

踊り終わってニッコリ顔で民家から出てくる雌鹿役の男の子

このようにショートバージョンがあることを考えると、顔を包むのも宗教的な意味合いよりも、その方が舞いやすいからとかの利便性での理由なのではないかなぁー。短縮しないと全戸周ることなんてできないものね!(勝手な推測なので検討違いだったら申し訳ない〜)

そしてまた旅立ってしまう〜。嗚呼、なんていけずなの??

わたしものせてってーーーー

その後も行き先もわからぬままトラックでピュンといなくなる鹿踊BOYSをしぶとく追っかけるわたくしアーンド、踊り続ける少年たち。

影の濃さがこの日の暑さを物語ります

途中までいた愛南市のカメラ撮影の人も(少し話したところ、なんと御荘の御神輿の時にもいた人だった!)、役所の人も退散して、関係者以外残るのはいつの間にかわたしだけになっていました。

裏路地には黒猫

帰りのバスの時間までずっと追っかけようと思っていたんだけど、諸事情あり、わたしも早めに切り上げることに。ちょっとしょんぼり・・・。

公民館に寄ると、神事でお供えしていた榊がありました

若宮神社の境内の片隅にいた朽ちた狛犬

若宮神社には、秋なのに桜みたいのが咲いていた。不思議

最後に

今年愛南町内で唯一鹿踊りが奉納された福浦集落。違うバス停で降りるという致命的なミスを犯しつつも、鹿踊りの衣装を着替えるところも見学できて、最高に幸せでした。今後も色々な集落の鹿踊りをたくさん見て、衣装や踊り、歌等についてもっとわかるようになりたいなぁ。まだ2箇所しか見ていないので、自分の中で何かを語れるだけのデータが足りないのだ・・・。年に1度しかチャンスないけど、毎年のお楽しみにしたいと思います!(来年も行けますように!!)

さて、約3時間半ほどの滞在を終え、バスに揺られて再び御荘へと向かいます。車窓からは切なくなるほど美しい青い海と青い空。

さよなら、福浦

空にはいつの間にか白い月が登っていました。

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2 film:CONTAX Aria

⑤秋の愛媛南予ひとり旅2022へとつづく▼▼▼