気づけば予定をすでに30分オーバー!
3、40分ほど余裕をもって予定を組んでいたけれど、えーっとつまり、もうギリギリ・・・?ってこと???
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爆走自転車、竹田をゆく
移動中に目移りして、あれもこれもと写真に収めたくなるからいけません・・・。
わたしには次向かう場所に遅れてはいけない理由がありました。なぜなら予約していたから!!ここから自転車で約1時間ほどの距離。なかなか遠いけど、時間ぴったりに到着する感じだからセーフかな??焦りながらもこの時はまだまだ余裕がありました。
もう立ち止まらず写真も撮らず!よそ見しないで向かうんだからね・・・っっっ。
と、言ってるそばから相変わらずの豆腐の意志。
何やら素敵な石橋が・・・!これは立ち止まらずにはいられないやつ。寄り道はきっとこれで最後だから・・・ね・・・?
石橋と並行に架けられた新しい方の橋の上から撮影します。このまま進めばいいのだけれど、あの橋の上を通ってみたい・・・。そんな欲求に駆られ、どうせ進行方向が一緒なら・・・と、ちょっと遠回りして石橋へと向かいます。
1922(大正11)年竣工の住吉橋の下では、岩の間を水が勢いよく流れていて、思わずその様子をずっと眺めていたくなります。
今はきっと渡る人も少ないであろう石橋を渡って大満足。再びペダルをこぎ始めるも・・・
再び豆腐(立ち止まって写真を撮るの意)。
だってだって、こんな景色に出会ったら立ち止まらずにはいられないでしょ・・・?
背後の丘の上には神社のお社と思しき建物の影が見えました。さらに進むとやはり神社が。
実は神社よりもわたしの目に飛び込んできたのは・・・
ここここここれはーーーーー!!!
この不思議な形をした石。実は、今回の旅でとっても重要なものひとつだったりします。が、いかんせん今は時間がない!泣く泣くこの場を去ることに・・・。
去る、というのは嘘で、この神社の目の前にも最高に趣のある建物が建っており、懲りずに写真を撮りまくるのであった・・・。
おまえたち、わたしを前に進ませない気かい・・・??
血が流れそうなくらい後ろ髪を強く引っ張られながら、前へ、前へと進むのであります・・・
数々の誘惑に何度も負け続けながら走り続けます・・・
え!もう自転車のバッテリーのランプが「空」になってるよ!!!
ここで電動自転車がストップしたらもう街中に戻れる自信はありません。泣きながら自転車を押して坂を登る絶望的な姿が脳裏に浮かびました。嗚呼、まだまだ先は長いというのに・・・。
とりあえず猫に癒しを求めよう・・・(現実逃避)
まずは何が何でも予約してる場所へと辿り着かねばならぬ・・・!!!
現実に戻って再び自転車を走らせます。焦るあまり地図アプリを2度も見誤り同じ道を行ったり来たり・・・。
時計を見ると絶望的な「11時25分」の文字。予約した時間はその5分後でした・・・。
もう、もうだめだ・・・・・。
覚悟を決めて2〜30分ほど遅れることを電話で伝えます(人間失格)。もっと早く連絡すればよかったのに直前になってしまったのは、頑張れば間に合うと思ったからなんだ・・・(人間失格)。
連絡したことで多少は落ち着きを取り戻し、今度は地図を見間違えないように慎重に慎重に・・・。が、地図アプリに今は誰も通っていないような旧道を案内されるのであった。
もう前に進むしかない・・・!!!
するとここでまさかの史上最高のトラップ出現!!!
ま、まさかこんな素敵な光景が現れるなんて・・・(感動のあまり咽び泣き)
自然の穴なのか、それとも人の手によって掘られた穴なのだろうか。中には水が溜まっています。
水が湧いているような感じはしなかったけど、昔の人が水汲み場として利用していたとか?そして枯れてしまって使われなくなったとか??疑問がどんどん浮かんできます。
でも、ゆっくり思いを馳せる時間はわたしには残されていないんだ・・・。おそらくこの道を通るのは最初で最後。急いでたからどこをどう通ったのかぜんぜんわからない。記憶と数枚の写真に焼き付け、この場を去るのでありました。
思わぬものを見れた感動に打ち震えながら、荒れ果てた旧道を通り抜けます。
それからは脇目をふらず目的地に向かって一直線!なぜならぽつぽつと降り始めていた雨が、だんだん本降りになってきたから・・・!!天気予報ではもっと遅い時間から降り出す予定だったのに・・・
もうすぐ、もうすぐ着くからがんばって・・・!!!
古びた石橋を通り抜け、ついに目的の地へと到着・・・!
Café Johane(慈世庵)
この先に素敵な場所が存在することを予感させる石垣と階段が待っていました。
階段を登った先に現れたのはCafé Johane(カフェ ジョアン)さん。
周囲をゆっくり観察する余裕もなく駆け足で玄関へ。約20分遅れて到着です。
まずは出迎えてくれたおじさまに平謝り!うぅ、ほんとすみません・・・。今回のことで、次からは1時間余裕を持って工程を組もうと心に誓うのであった。人に迷惑かけない人間になれるよう頑張ります・・・(もうだいぶ大人ですが)。
さて、気を取り直しまして・・・。こちらが本日のランチ会場です。
そう、わたしは懐石ランチ(2,000円!)を予約していたのだ・・・!!
貧乏旅とはいいつつも、旅の中で1度くらいはは贅沢したい・・・。キリシタンを巡る旅だというのに、当の本人は本日も欲にまみれながら生きております。
では、さっそく七つの大罪のひとつである「暴食」を極めることといたしましょう・・・。全然関係ないけど大昔に1度だけ観たブラピの映画「セブン」が忘れられない。
贅沢!懐石ランチ
席に座ると次々にお皿が運ばれてきます。まずはこちらの三品から。きっとタイミングよく運ぶ段取りで作ってくれてたよね、ごめんなさい・・・。
がしかし、いつもならもうお腹が空いているはずなのに、自転車猛ダッシュ&焦りのせいかなんだかちょっと気持ち悪いような・・・??せっかくの贅沢懐石ランチを心ゆくまで楽しみたいのに・・・。無理せずゆっくり食べることにしよう・・・。
まずはお寿司をぱくり。
自家製甘酒もとっても美味しい。このやさしい甘酒で気持ちが落ち着いたのか、気持ち悪さが少しずつ消えていきます。
蓋を開けると・・・茶碗蒸し!大好物なのよーーーー!!!
使われている食器もどれもとてもよかった。得に甘酒が入っているカップとソーサーは装飾も美しく、相当古いもののように感じました。なんでもお祖父様が集めたものとのこと。よい趣味してらっしゃる〜。
お次はこちらの三品。
ほんとどれも美味しかった!どちらかというと今までは苦手だった白和えもフキとセリがいい香りでとても好きだったし、筍の煮物もやさしい味付けで体が喜んでいます。
そして一番感動したのは、春を感じるこちらの品々。
吃驚したのが天ぷらの盛り合わせ。上にのっているのはツツジ・・・!!!
ツツジの天ぷらなんて初めて見たし初めて食べた。味は正直よくわからなかったけど(たぶん衣にしっかりと味がついていた?味音痴の分析)、その雅で可愛らしい食べ物に胸がキュンキュンしてしまいます。もちろん山菜と川魚、卵焼き(めずらしい)の天ぷらも美味。
ツクシとワラビの炊き込みご飯も大変美味しゅうございました。
実はつくし初めて食べたし、ネバネバして塩味のあるワラビも好きだった。付け合わせの甘い赤紫蘇のお漬物(もちろん自家製)も美味しかったよー。ボキャブラリーが貧困すぎて美味しいしか言えない・・・
これらの食材はほとんどこの辺りで採れたものとのこと。どの料理も手間をかけて丁寧に作っていることが感じられて、お腹だけではなく心も満たされるようでした。
実はもうお腹いっぱい!美味しいのに胃袋がついていかない悲しみ・・・。胃袋が悲鳴をあげている中、一番最後に出てきたのが・・・
豆乳のおしるこ!!!!!
何を隠そう小さい頃からわたしは根っからの小豆ぎらい・・・。小学校の給食でおしるこが出てきた時には食べることができず最後まで居残ってた記憶。
まさか最高のお食事の最後に、このような試練が待っていようとは。嗚呼、神様。これは遅刻したわたしへの罰ですか・・・?
もちろんせっかくのお料理を残すことなどできません。
飲み込むしかない・・・
意を決してまずはひとすくいおそるおそる口の中に運びます。あれ?あれあれ・・・??わたし・・・小豆食べれるようになってる!??思ったよりもぜんぜん平気で、満腹になりながらも完食してしまいました。よかったー!
さて、1度に2度も3度も美味しいものを求めがちな貪欲なわたくし。こちらを訪れたのは贅沢ランチをいただくためだけではなく、実はもうひとつ大事な理由がありました。
大庄屋(おおじょうや) 大津家
カフェを営むのは、大庄屋(昔の町長、市長の役割)であった大津家十六代目のご当主。現在のお屋敷は、1653年に岡藩3代目中川久清が建てた約370年もの長い歴史をもつ建物です。
今回の旅の目的は「キリシタン」。そう、なんとこちらのご主人の祖先はキリシタンだったというのです。その信仰心は、大津家の立派なキリシタン墓や、十字があしらわれた家紋にも表されています。十字家紋はお屋敷の屋根瓦にもあるのですが、確認するのを忘れてしまいましたよね・・・。
ご主人にキリシタンに興味があって訪れたことを伝えると、いくつか資料や古写真を取り出して見せてくださいました。ありがたや・・・。
以下の資料は禁教下の1620年度の日本年報(布教のため来日したイエズス会士によって毎年作成された報告書)。そこには禁教下で宣教師を宿泊させた庄屋、ジョアン・ディエゴ(洗礼名)について書かれています。
「Café Johane(カフェ ジョアン)」は、その庄屋というのが大津家であったのではないか・・・という思いからつけられたそうです。
いろいろな興味深いお話を伺いながら、ふと外を見るといつの間にか雨は止んでいました。市街地へ戻るチャンスは今しかありません。ゆっくりとお話を伺いたいところですが、そろそろお暇することに・・・。
四国八十八箇所巡りもできる
ちなみにジョアンさんでは、四国八十八箇所を一度に巡ることができます。
壁にはたくさんの掛け軸が掛けられています。そしてその部屋の一角にあるのが一枚の木の板。下には各寺院の石が敷き詰められているそうです。つまりこの上を歩けば八十八ヶ所のお寺さんを巡ったことになるという!なんともお手軽な仕組み!!
しかしわたくし、なんと歩きそびれてしまいました・・・。また再訪しなさいということなのでしょうね・・・。
お見送りしてくれるご夫婦に別れを告げて外にでます。
カマボコ石
敷地内の階段を少し登り、庄屋屋敷を眺めてから何気なく下に目を向けると・・・
カマボコ石・・・!!!
カマボコ石とは竹田市内にある岡城跡の入口にもみられる、その名の通りカマボコ型の石。岡城はまるでヨーロッパの古城のようといわれることも多く、このカマボコ石はヨーロッパのクリスチャンの墓石と酷似していることからキリシタンに関係しているのではないかとも言われています。
ジョアンさんに向かう途中の神社にもありましたね・・・。
どうやら岡城だけでなく、竹田市内のあちこちに存在しているのかも・・・。こちらの神社にもぜひ再訪してお参りしたいです。
大津家のキリシタン洞窟
カマボコ石だけではなく、なんと敷地内にはキリシタン(外国人宣教師であったのではないかとも)を匿っていたといわれる洞窟も残されています。
江戸時代初期に作られたという三つの洞窟のうち、一番右のほぼ五角形の洞窟内には祭壇のようなものがあります。
向かって一番左端の洞窟は汲み取り色のトイレとのこと。ほんとにここに人が住んでいたんだね・・・!?
庄屋といえば藩主の宿泊所でもあり、当時キリシタンの踏み絵も行われた場所。そのような危険な場所にキリシタン洞窟があることも、藩ぐるみでキリシタンを匿ったのではないかといわれる理由のひとつになっているようです。
ここからそう遠くない場所(歩いて20分くらいとおっしゃていた)にも、五角形に彫られたキリシタン礼拝堂が残されています。キリシタンへの弾圧が強くなるにつれ、もっと奥へと移動することになったとのこと。そこにも行きたかったけど、今回は雨の心配もあったので深追いせず・・・。
ジョアンさん、とてもよかった!色々と取りこぼしたものがあるので再訪を心に誓うのでありました。また美味しい懐石料理も食べたいな。
■Café Johane(慈世庵)
〒878-0001 大分県竹田市植木728 食事処おおつ (竹田ICから2分)
TEL:0974-62-3914 営業時間:10:00 ~ 15:30 休業日:月、火
【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2
④竹田キリシタンを巡る旅へとつづく▶︎▶︎▶︎