バスに乗ってゆらゆらゆら。たまに小さな集落を通り抜けますが、ほとんど自然に囲まれた田舎道。
川沿いを走っていたと思えばぐるぐる螺旋を描きながら山を登りだします。
実は最初にこの旅を思いついた時は、城下町からレンタサイクルで行く計画でした(おそらく自転車で約2時間ほど)。雨予報で早々に断念したのですが、いざ通ってみるとどう考えてもわたしのヘタレ精神力ではこの道を自転車で往復するのは無理・・・。雨が降ってくれてほんとよかった!晴れていたら山の峠で途方に暮れながら自分を呪っていたとこだったよ・・・。
CONTENTS
猫と岩薬師
目的の場所に一番近いバス停に到着したのは10時前。日頃の行いがいいので(しつこいよ!)やっぱり雨は止んでいます。
すぐお隣は熊本県。ここからさらに30分ほど歩いて目的地へと向かうよ!
霧が立ち込めるのどかで美しい風景がひろがっています。
わーい!猫と遭遇!!
撮らせてくれてありがとねーーー!!!かわいい野良猫に出会えたことを喜びながらクルッと前を向くと、なんと車に轢かれた猫の死骸が・・・(こんな話ごめんね)。
高速で視線を逸らし動揺する心を落ち着かせます。心なしかさっきの猫の模様と似ていたような?もしかしたら親子か兄弟だったのかも・・・。どんよりとした気持ちでその場を足早に通り過ぎました。
さっきまでの高揚した気持ちはシュンとしぼみ、脳裏には先ほどの猫の姿が焼き付いています。すると崖に嵌め込まれたお堂が目に入りました。「岩薬師」と書かれています。
あの猫を天国へお導きください・・・。猫のためというよりも、自分の心を落ち着かせるために願います。
気持ちを入れ替えて再び歩き出すと、今度は大きな橋が現れました。橋の上からは大自然・・・!!!
いつの間にか陽がさし、青空が見えてきました。
天国と地獄の入口
ガードレールが一部だけ空いている場所に辿り着きます。
どうやらここから入るようです。昨日遊歩道の入口でも見かけた愛らしい白い花が群生しています。まるで天国への入口のよう・・・。
と思ったら、今度はまるで地獄への案内人のような得体の知れない花が、道標のごとく行く先々に咲いています・・・。
マムシグサに案内されるまま進んでいくと、鬼の洗濯岩のような濡れたギザギザ坂道が現れます。いい加減な靴だと滑ってしまいそう・・・。


横から見ると地面に一枚のギザギザの岩(コンクリート?)が乗っかっている感じ。
無事降りることができてホッと一安心。顔を上げると目の前には土砂崩れ後のような荒れた風景が広がっています。
くるりと振り返るとひらけた空間に野晒し状態のお堂が。こんな状態ではありますが、どうやらちゃんと管理している人がいるもよう。長方形に崖をくり抜かれた穴には掃除道具が入っています。
中には仏像様がいらっしゃいました。建物や仏像も比較的新しいもののように見えます。
でも、目指している場所はここではないみたい・・・。どこにあるのだろう?さっきから建物の背後から水が流れ落ちる音が聞こえてきて気になっていました。
この隙間、あやしいぞ・・・???
籠目権現
建物と崖の隙間を進んでいくと・・・
通り抜けた先に現れた小さな滝・・・!まさかこんな空間が広がっていたなんてーーーーー!!!
見上げると崖上に石仏がいくつか置かれているのが見えました。
細い木の枝に取り付けられた心許ないロープ・・・。まさかのプチ鎖場の登場です。
足の踏み場を確認しながらよじ登っていきます(体重預けるの不安すぎたよ・・・涙)。登った先に現れたのは素朴な石仏たち。
これらの石仏の中で一風変わった様相のお方がいらっしゃいます。
このお方にはるばる会いにきたのよーーー!!!
剣を持ち、甲冑を着たまるで西洋の兵士のようなお姿。その背後の祠には十字架を表しているかのような細工が見て取れます。
石像の凛々しいお姿は、翼こそはありませんがまるで大天使ミカエルのよう・・・(天草のウマンテラさまの例もあります)。
実際にこの場所が潜伏キリシタンの信仰の場であったかは資料がないため不明。まるでその存在を隠すかのように建っているお堂も、いつから建っているのかもわたしは知りません。ただ、この周辺でもキリシタンが捕まったという事実はあるそうです。
新たな訪問者
やっと会えたことに喜び、夢中でシャッターを切っていると下の方からガサゴソと物音が。
ビクッとして振り向くとなんと!この場に似つかわしくない都会的な格好をしたひとりの男性の姿が・・!!!
まさかのまさか!
秋田の某田舎で鬼コを見にきた青年とバッタリ遭遇した時同様、自分と同じ目的でやってきた殿方との偶然のご対面です・・・!!
▼▼▼その時の記事はこちら
いやぁー、吃驚ですね。こんな山奥に同じタイミングで遭遇するとは。しかし・・
やばい・・・また思う存分写真撮れない・・・。
好きに撮ってくださいとは言ってくれたものの、そういうわけにもいかず・・・。写真を撮り始めてほんの数分でしたが、バタバタと撮り終え再び鎖をつたって下界へ。キリシタンへの想いを馳せる余裕もなかったな・・・。
なんでも仕事兼、趣味で東京から来ているとのこと(映像関係の仕事なのかな?)。もうこれは譲るしかありません。わたしは九州に住んでるからね!またくればいいんだし!!でもバスではもう無理かも。だれかわたしを車で運んで・・・
せっかくだからわたしが登っている写真撮ってもらえばよかったな。惜しいことをしたぜ!
あわよくば帰りに車で城下町まで連れてってくれないかな・・・なーんて邪な考えがチラッと過りましたが、わたしにはまだ行きたい場所があるのです。
もう!足が!!痛い!!!
けれど帰りのバスの時間までまだたっぷりある。バス停からどんどん離れちゃうけれど・・・
がんばって!歩くぞ・・・!!!
■参考文献 『ミステリアス!竹田キリシタン』(発行:竹田市)
【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2
⑩竹田キリシタンを巡る旅へとつづく▶︎▶︎▶︎