彷徨する旅のアーカイブ

旅先や日常で出会った「非日常」の記録

⑩台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【アラハバキ大神の巨石を祀る神社編】

一関市から今朝出発した盛岡へと戻ります・・・!行ったり来たりと忙しい〜(ってわたしは運転せずに優雅に運ばれているだけでありますが)

 

CONTENTS

アルテイ・モレの碑

盛岡に戻る途中、どこかに寄る時間があるとのことだったので「神さびた神社」をリクエスト。東北マスターY氏の脳内データベースの中から選び出された神社へと案内してもらうことに。

そこへ向かっていると、「アルテイ・モレの碑」と書かれた看板をたまたま発見。折角なので寄ってみることにしました。

ところで、アルテイ・モレ・・・?とは???初めて聞く言葉の響き。蝦夷(エミシ)の長アルテイとモレ(アルテイさんとモレさんだったのか!一人の名前かと思ってた)は、8世紀から9世紀にかけて現在の岩手県胆沢地方に実在した人物(蝦夷は知ってるよ!)。大和朝廷と戦って最後には敗れて処刑されてしまったんだって。アルテイ・モレの碑はあちこちに建立されているようで、ここもその中のひとつのようでした。

森に囲まれた荒れた細い道路をぐんぐん進んでいきます・・・

車を走らせていると、ここかな・・・???(不安)という空間にたどり着きました。

コテッと斜めになった小さな看板を発見。どうやら滝などもあるようです

矢印の指す方に行こうとするも地面は草でボーボー。このことからも、あまり人が訪れない場所ということがわかります。だが、ゆくぞ!この先に何があるのか確かめるのだ・・・!!!

熊が出そうな雰囲気

神社を通り過ぎ、さらに奥へと進んでいきます。

その先に、アルテイ・モレの碑と、さらに奥に櫓が建っていました。

碑石がちゃんと撮れてなかったので解説板でご勘弁を

よーく見ると草に埋もれた櫓の下には古墳を示す看板があります。が、草が生い茂っていて降りれるような雰囲気でもなかったような・・・?やはり荒れ果てたままになっているのだろうなぁ。

アルテイ・モレ。今は存在を知ったばかりであまりよくわからなかったけれど、今後またどこかで出会うことがあるかもしれません。その時に興味がわけば、もっとホリホリすることもあるかも?その機会を待ちたいと思います。

さて、再び神さびた神社を目指してレッツゴー!!!

KAWAII

すると今度はキュン!とする建物を発見。それを伝えると車をわざわざUターンして停めてくれるというではありませんか・・・!やはり神か仏なのでしょうか・・・。ありがたく堪能させていただきます!!

た、たまらん!!

たまらんぞ・・・!!!

キリスト看板も・・・(2枚あるぞ)

そして・・・極め付きの・・・

!!!!!

ね、猫の足跡ーーーーー!!!!!

フロントガラスにぴっしりと猫の足跡が

す、すべってる・・・。すべってるよ・・・!!

嗚呼、その瞬間を想像すると可愛すぎて発狂しそうだよーーー!!!(鼻血)

この写真が今回の岩手旅で撮った中で一番可愛い写真に違いない。テンションが爆上がった瞬間でした。

巨岩を祀る丹内山神社

素晴らしい建物と猫の足跡に興奮して再び車に乗り込み、やっと到着した神さびた神社。そこは花巻市東和町にある丹内山神社でした。

入口

自然に囲まれたとても静かでひっそりとした場所(車がないと絶対来れない)。神社の一番上には「アラハバキ大神」という、これまた初めて聞くような響きの神様を祀った巨石が鎮座しているそうです。

実は巨石や磐座信仰というものに興味があって、太宰府にあるお稲荷さんの記事を書いたこともありました(アラハバキ神とは関係ありませんのであしからず)。巨石・・・古代の信仰・・・。なんでこんなに胸が高まるのでしょう・・・。

アラハバキ大神とは

アラハバキ大神は、古事記や日本書紀に登場することのない謎の神さま。蝦夷の神や製鉄の神等、他にもいくつか説があるらしいのですが、本当のところはわかっていないらしい。アラハバキ大神が祀られているところには必ず磐座があると言われいるそうです。た、高まるーーーー!!

以下サイトよりまとめさせていただきました▼▼▼

参拝へ

駐車場で降ろしてもらい、ひとり参拝しに向かいます。敷地案内図の看板をみると結構な規模の神社のようです。

どうやら参拝の順序は一番上のアラハバキ大神の巨石「胎内石」から下へ下へと参拝していくのが正式なルートだったもよう・・・。無礼にも下から上に逆方向に進んでしまいました。情報がたくさんあると・・・瞬時に処理できないんだ・・・・・。

入口には立派なお馬さん

空はどんより曇っているし、境内の雰囲気もなんだかもの悲しくて、急に孤独感が襲ってきました・・・。

「なんでわたしはここにいるんだろう・・・」(深い意味で)

そんな言葉がふっと頭をよぎります。

境内には見事な彫刻が刻まれた建物があったらしいのですがちっとも気付かず。

可愛い生き物の2枚しか撮ってなかった

この建物の側面だったのか、それとも他の建物だったのか。孤独感に支配されていたため、あちこちちゃんと見れていなかったようです・・・。

橋を渡り、本殿へ。

そしてついに・・・!!!

胎内岩

木々の隙間から現れた苔むした巨石。しめ縄がぐるりと巻かれ、神聖な岩であることが一目でわかります。

パワー感じてる人がいた

近づいてみると、岩の上には一本の木が生えていて、より神秘的な雰囲気を醸し出していました。神様として祀る気持ちがわかる気がします。

後ろから見た姿。正面に見める建物が本殿

2枚の重なり合った岩の隙間は潜り抜けれるようになっていて、壁面に触れることなく通り抜けると願いが叶うと言われているそうです。が、壁についても一応願いは叶えられるようです(アバウトだな笑)。

ブレてる解説板

こういうのは率先してやりたいタイプ!もちろん挑戦してみましたが、えーーーっと、これは子供じゃないと無理!!!隙間の中に小さな岩があって、簡単には通り抜けれないようになっていました。

中から見た入口がまるで刀傷のよう

胎内石くぐりをしているタイミングで、なんと空から大粒の雨が・・・!!!傘はもちろん持ってきてないし、神社の一番上からダッシュで戻るには駐車場は遠すぎる・・・。仕方ないのでしばしの間、御神体の中で雨宿りさせてもらうことに・・・。

さっきまでの悲しい気持ちは一体どこへやら。突然の雨と巨石での雨宿りに一気に気分は高揚し、すっかり楽しい気分になっていました。

雨はすぐに止み、満ち足りた気持ちで神社を後します。

アラハバキ大神さま、幸せな時間をありがとうございました!!!

ご当地グルメ。松葉商店のたこ焼き

盛岡へと戻る途中、花巻の松葉商店さんでちょっと腹ごしらえ。

無国籍感あふれる旗

ここのたこ焼きが、ご当地グルメとして有名らしい。

ラーメンもあるんだね!

プレーンとマヨネーズの2パックいただきます。

たこ焼き大好き!

生地がふわふわで美味しかった気がする・・・!!!(つまり食べてからだいぶ時間が経っているのでよく覚えていない・・・でも美味しかったことは覚えてる)

ただし2パックは多すぎましたな・・・。最後は味変できる何かがほしくなりました。

盛岡に帰還

ちょっとしたプチ観光をして、再び盛岡へと戻ってきました。2日続けて鹿踊を案内してくれたY氏さまとはここで解散。ご案内いただき本当に感謝です!移動距離、すさまじかったです・・・。

さて、夕方からは昨日下見をしたお寺さんへ参ります(そこで何があるのかは最後のお楽しみ!)。それまでぽっかりと時間が空いてしまいました。残された時間は約3時間ほど。盛岡散策はある程度してしまったし、遠出するには時間も気力も足りていない・・・。

あ、オススメされたあそこに行ってみよう!再び歩きはじめます。

何度往復したかわからない橋

光原社

盛岡に行くと言ったら数人にオススメされた光原社。きっと好きだよ、と言われたけれど、その通りとても好きでした!

ビー玉の模様のような色ガラスや床のタイルもかわいい

ショップがいくつか連なった集合施設になっていて、民藝が好きなら大好きな空間だと思います。宮沢賢治好きにもオススメです。

 

で、ここで事件勃発。

スマホ紛失!!!

光原社を出てスマホを取り出そうとすると、いつもなら入っているはずのポケットにない・・・・!おや?っと思い、ショルダーバックをごそごそ。ない・・・。リュックの中身を全部ひっくり返しても・・・ど、どこにも!

な!い・・・・!!!

ななななんと!スマホを落としてしまったようです・・・(真っ青)

ホテルからスマホの地図を見ながらここに辿り着いたので、間違いなくそれまではありました。まずは光原社のスタッフに確認するも見つからず。ここにないとすると一体どこに・・・?

ひとつ思い当たることがありました。一度荷物を整理するためにどこかのバス停のベンチに座ったのです。ただ、普段ぼーっとして地図だけを頼りに歩いているから自分がどこから来たのかちんぷんかんぷん!超焦ってるから同じ場所を行ったり来たり・・・。だって、スマホなくなったら新幹線や飛行機も乗れないし、警察に行ったりなんやこんやでこれからの予定も吹っ飛びます!!!

顔面蒼白になりながら、無意識の自分を信じおぼつかない足取りでベンチのある場所を探し歩いていると・・・

あああああったーーーーー!!!(号泣)

いやぁー、ほんと肝を冷やしました・・・。上の写真は、歓喜しながら足早に駆け寄ってスマホを手にとった後にハッと思い直して、再び同じところに置いて撮ったヤラセ写真です。

福田パン本店

大大大ハプニングで、精神的にも体力的にもぐったり・・・。とりあえず昨日食べれなかった福田パンの本店に向かったらお盆休み・・・。ま、軽く想像はしてたので、平気です・・・平気ですよ?(涙目)

どどん!

思い返せば、昨日の朝は中華そば、昼はクエン酸ゼリー、夜はコンビニ冷麺。今朝もちょっとしたコンビニ飯、お昼はたこ焼き。うぅん、どうやらエネルギーが足りてないようだ。だからこんなにも朦朧としてるんだ・・・。

果たしてこれから盛岡らしい食事をすることができるのだろうか!?

どこまでも運に見放される

その後は再び雨が降ってきて・・・不思議な歯医者さんの建物で雨宿りすることに。なんで今日は傘持ってこなかったんでしょう。昨日はちゃんと用意してたのに・・・。

木のために作られたような不思議な建物でグッときたからここを雨宿りの地とする

やっと雨が止んだので、再び移動開始。街中へと向かうことにします。何か・・・心躍るスイーツが食べたい・・・。昨日訪れた神社の近くまできました(もうへとへと)。

昨日参拝できなかった巨石を遠目に拝見

参道にいい感じの喫茶店を見つけたので入ってみると、もう閉店したことを告げられる・・・。

無念

意外にも盛岡のカフェ関係は閉まるの早いのですね・・・。盛岡に戻ってきてから無駄な動きをしすぎて、ゆっくりできる時間があまりないことに気付きます。もうどこにも行かずに早く落ち着きたい。そうだ、あの場所でゆっくりしよう・・・。

コンビニで今回の旅で何度目かのクエン酸ゼリーを購入し向かった先は・・・

青龍水で癒しの時間

昨日訪れて大大大好きだった青龍水ふたたび!ここ、ほんと大好きだ!!

命の水

クエン酸ゼリーをちゅーちゅー飲んで栄養補給&湧き水ごきゅごきゅ。ほっと一息ついて、ちょっと回復。

青龍水からは今日の最終目的地であるお寺さんが見えます。そこにはカラフルな装束に身を包んだ人たちの姿が・・・。

岩手ひとり旅、最後の夜が始まろうとしていました。

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2、film:CONTAX Aria

⑩台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼

⑧台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【都鳥鹿踊 編】

盛岡駅から電車で50分ほどの北上駅へ。珍しくここからはひとりではありません。旅の前に某SNSで東北マスターY氏に鹿踊情報をお尋ねしたところ、なんとアテンドしてくれることに・・・!!世の中には仏のような方がいるものですね。ありがたや・・・。

北上駅

構内には賑やかな郷土芸能レリーフ

CONTENTS

鹿踊(シシオドリ)とは

鹿さまに会いにいく前に、まずは鹿踊についてちょっとお勉強。

*間違ってる部分があったらごめんなさい〜。参考にしたサイトは一番最後にまとめています。

日本の郷土芸能で「シシ」と聞くと、みなさまパッと思いつくのは獅子舞ではないでしょうか?文字通り獅子(ライオン)のことで、こちらは大陸から都(京都や奈良)に伝わってきたものだそうです。

高良山獅子舞(久留米市  高良大社)
2023年1月1日撮影

一方、東北のシシオドリの「シシ」は獅子と発音は同じでもまったく別のもの。狩猟や食糧の対象となる山の獣の肉のことを日本の古語で「シシ」と言い、猪や鹿などの山に住む獣を踊りにしたのが日本発祥の「シシオドリ」とされています。

鹿をモチーフにした鹿踊(シシオドリ)は、岩手県や宮城県で多く踊られていて、岩手だけでもおよそ150もの団体があるといわれています。旧南部領では幕を持って踊る「幕踊系」(今回の旅でも遠野で鹿頭を見せてもらったね!)、旧伊達領では腰に太鼓をつけて歌い踊る「太鼓踊系」が多いそうです。「太鼓踊系」にも春日流・金津流・流行山と3つの流派があるらしい。なんてバリエーション豊かなのでしょう!

そして東北から遠く離れた四国の地にも鹿踊り(しかおどり)が存在しており、1600年代前半に仙台の伊達政宗の長男、秀宗が宇和島藩に移った際に鹿踊が伝わったとされています。伊達領から輸入されたから四国の鹿踊りは「太鼓踊系」なんだね。

四国の鹿踊りも太鼓を打ち鳴らし歌い踊ります
(愛媛県宇和島市吉田町の「鹿の子」2019年11月3日撮影)

2019年に宇和島で初めて見た鹿踊りがきっかけで、そのルーツである東北の鹿踊を求めてついにここまでやってきました。北上駅でYさまと合流して車で出発!これから見学しに行くのは「太鼓踊系」の鹿踊。いよいよ東北の鹿さまと初対面いたします・・・!!(ドキドキドキ)

宝寿寺

青々とした美しい田園が広がる道路を走り抜け、たどり着いたのは岩手県奥州市胆沢南都田地区にある宝寿寺。

お盆のお墓参りにたくさんの人たちが訪れていました

あたりには美しい田園が広がっています

東北の鹿踊はもともとは鎮魂・供養としての意味合いが強く、それに豊作祈念や感謝の意味が加わり、お盆の頃から始まって9月くらいまで神社の秋祭りなどでも踊られているそうです。

今日は8月13日。鹿踊の本質ともいえる盆供養踊りを見学させてもらいます。部外者がうろちょろして写真を撮っても大丈夫なのかしら・・・。と、ちょっと心配だったのですが、確認したらOKとのことでホッ。個人のお墓がガッツリ写ったりしないようにもちろん気をつけます!

行山流 都鳥鹿踊(ぎょうざんりゅう とどりししおどり)

お寺さんに到着するとすでに変身前の都鳥鹿踊さんたちがすでにスタンばっておりました。寛政5(1793)年に鹿踊が伝わったとされ、現在まで一度も途切れることなく踊られているそうです。

鹿踊の装束がズラリ

つい開口一番に

「たのしみにしてます!!!」

と、場違いな一言を発してしまい(盆供養なんだから・・・楽しみってあなた)、しょっぱなからやらかしてしまうわたくし・・・反省。

リハーサル風景から見学させてもらいます

3つの宗教が交わるお寺

踊りが始まるのを待っていると、鹿踊メンバーのお一人が話しかけてくれました。ここは曹洞宗のお寺だけど「キリシタン」や「隠れ念仏」にも縁があるお寺であることを教えてくれます。

き、キリシタンーーーーーー!!!?

はい、わたしは3度の飯よりキリシタンが大好物。今年の初めに長崎に行ったことをきっかけに上半期はキリシタンにどっぷり浸かり、弾圧された江戸時代の潜伏キリシタンたちに思いを馳せ、涙する日々を送っておりました・・・(安心してください、今は落ち着きました)。

竹田キリシタンを巡る旅に出たことも記憶に新しいですね・・・。

わたしからは何も聞いていないのに、突然そのような話が飛び出したので吃驚&興奮・・・!!福岡から来たということを知り、九州は長崎や熊本など潜伏キリシタンゆかりの地が世界遺産にもなってて有名だからそういう話に繋がったのかな?

隣町がキリシタンの街だったそうです(水沢のことかしら?旅の前に調べたらキリシタン関係の場所や、他にも色々気になる場所があってちょっと観光したかったのだ)。お寺さんから見える山の上を指差して、キリシタンが儀式をしていたという場所を教えてくれました。

山の上の建物があるところって言ってた気がするけど・・・

何てとこなのか聞けばよかったー

墓石?か、何かに逆卍が刻まれていたりもするらしい(相変わらずいい加減な記憶力)。鹿踊が始まるまでまだ時間があるみたいなので、いてもたってもおられずお盆のお客さんたちの邪魔にならないようにちょっとだけ墓地をぐるっと周ってみることにします。しかし残念ながら自力でキリシタンの痕跡のようなものを見つけることはできず・・・。

少しずつ陽が傾いてきました

は!わたしの今回の目的は鹿踊だよ・・・!!

我にかえってお墓から戻ってみると、ちょうどお着替えタイムが始まろうとしていました。雨が降ったら中止になると聞いていて、ちょっと怪しい雲行きにヒヤヒヤしていたのですがなんとか大丈夫そう!?

準備風景

着替えているところを見学させてもらっていると、その装束についても色々と気になってきます。

ササラ

背中から空高くそびえ立っている白い紙が巻かれた竹製の棒は「ササラ」と言って、神様を下ろす役割があるそうです。一人で「よいしょー!」っと背負えるようになっててすごーい!!都鳥鹿踊さんのように、垂直ではなく斜め(V字型)になっているのは珍しいそうです。

よいしょー!!!

鹿角

鹿踊の衣装の中で、一番最初に目についたのが鹿の角でした。

鹿頭の角の断面が真っ赤に塗られていて、それをみた瞬間・・・

「赤!血液!!生命!!!」

と、胸がきゅきゅきゅーーーんと高鳴ってしまいました。

血管や赤い珊瑚を連想

なんで赤く塗られてるのか尋ねてみると、言われて初めて気付いた(意識した)とのこと(つまり特に意味はないらしい)。単なる装飾的なものっぽいけど、わたしにとっては最高の萌ポイントだよ・・・!!ちなみに本物の鹿の角を使用する団体もあるのですが、鹿踊が盛んな奥州市の江刺や胆沢地方などでは、鋳物で作られることが多いそうです。

そしてこの鹿頭をひっくり返すと現れたのはヘルメット・・・!!!どうなって固定してるんだろうと思ってたので、あまりにも現代的でビックリしてしまいました。通常、「エンツコ」(全然馴染みのない言葉の響きだ)という藁等で編んだものでシシ頭を固定するらしい。都鳥鹿踊さんではエンツコが重すぎるのでヘルメットを使ってるのだとか。エンツコも生で見てみたいな〜。

まさかのヘルメット

現在の鹿頭は昭和50年くらいに作られた2代目の鹿頭で、修理しながら使っているそうです。お顔を隠してしまうほどの長い髪の毛は馬の毛。鹿なのにお顔が真っ黒なのは、山伏が伝えた神楽の最高神「権現様(ごんげんさま)」(獅子舞)の影響があるからだとか。頭に載せる前に、手を合わせて拝んでいるのがとても印象的でした。

それだけ神聖なものなんだね。この瞬間を見れてうれしい

どんどん準備が進んでいきます。

流し

背中には「流し」といわれる布が垂れ下がっていて、各団体によって絵であったり文字であったりと描かれるものは様々。

鹿さまたちがお互いの着替えを手伝ってる姿も可愛かった

腰についてる布も「流し」って言うのかな?

雌鹿のものはエロい絵柄と言われて(今回の盆供養踊りではなかった)テンション上がったのですが、もしかしてこれ?これのこと??

めちゃくちゃイイ・・・!!!しかも左下の黒いものは熊だそうです笑。このゆるゆるな感じたまりません・・・。雌鹿の登場する演目は余興的なものになるらしく、どうやら秋祭り等で踊られるようです。いつか見てみたいなー。

隙間から見える鹿さまの眼光が鋭くてドキドキ

ついに変身完了!!!

着替えが終わると、駐車場の隅に集まって太鼓を叩き始めました。

これはどういう意味があるのかな?ならしみたいなもの??

男性だけではなく、小柄な女性の踊り手さんもいます。昔は女人禁制の時代もあったようですが、現在では女性の踊り手も多いようです。なんと装束は全部で約15kgほどもあるとのこと。男性でも女性でもその重さは変わらないというから大変!

紅一点。かっこいいー!!

駐車場での太鼓が終わると、ついに盆供養踊りのはじまりです・・・!!!

盆供養踊り

旗を持ち先導する方に続き、黒装束の鹿さまたちが一列になって行進する姿からしてとてつもなくカッコいい!!!

頭がクイっと上を向いているのがイカす

実際に見るまでは、東北の鹿踊は黒の印象が強かったけど、麻布に大きく染め抜かれた九曜紋と呼ばれる伊達藩の家紋や、袴の裾の鮮やかな朱が際立っていてとっても華やか!!赤、緑、黄、青、紫に染められた小さな家紋も可愛らしくて特にお気に入りでした。コテの刺繍も好き。

目は鋭くキリッ!なかなかのイケメンです

山門をくぐって中へと入っていきます。

ぞろぞろ後に続きます

今回は盆供養踊りということで、どちらかというとしめやかで大人しい踊りだったようなのですが、ところどころ激しく踊る場面もあって興奮!(四国の穏やかな鹿踊りを先に見ている自分にとっては十分激しく見えたのだ)。歌も腹の底から出すような節回しのある力強いものでした。

お盆ということもあってかたくさんの人。浴衣姿の人たちも!

カッコいい後ろ姿

たまに激しく動いて、背中のささらが勢いよくしなります。

こりゃ腰が強くないと踊るの無理だー!

お墓と田園を背景に黒装束の鹿さまたちが踊り狂う姿はとても不思議な感じがしました。

座ったかと思えば・・・

再び踊り出す!

歌や踊りが違うので、いくつかの演目が組み合わさっていることはなんとなくわかるのですが、もちろんわたしにはその中身まではわからず・・・。ひとつひとつ理解できたらより楽しいんだろうなぁ。

お祝い

そうそう、今回「お花(ご祝議)」というものを初めて渡しましたよ・・・!舞台とかで投げ銭みたいのがあるのはうっすら知ってたけれど、郷土芸能の世界でも行われているとは知らなかったのです。

じぶんち 第13号「特集 お祝い」:こちらで勉強させていいただきました。

拝見させてもらってる以上なにかしらお礼したいし、ずっと続けていってほしい。ドキドキしちゃうけど、渡せる機会があれば勇気を出して渡していきたいと思います。

ところで後日、撮った写真を見返してて初めて気づいたんだけど・・・

こ、ここここれは・・・!!!

わたしがお花を包んだとっておきのポチ袋が写ってるよー!!!

中冨記念くすり博物館(鳥栖市)のミュージアムグッズのポチ袋。大好きすぎてこれだけ大切に残していたの!こんなのに入れていいのかなぁと若干迷った笑

つまりこの時「お花ありがとう〜!!!」ってしてくれてたんだね・・・!??まったく気付いてなかったよーーーーー涙涙涙

同時にひとつのことしかできない人間なので、写真撮ってたらなんも入ってこないんだ。やはり自分の分身が3人くらいほしい・・・。

墓前にて

本堂前での踊りが終わったかと思うと、太鼓を打ち鳴らしながらお墓の方へと向かっていきます。

優しい飴色の夕陽が辺りを照らし、なんだか懐かしいような切ないような・・・。

墓前での盆供養踊り。やっぱり朱い角が映える!

踊り終えて再びお寺へと戻っていく鹿さまたちのうしろに、ピッタリとくっついて歩く一人の少年の姿が・・・。

未来の鹿踊ボーイかな?

これにて本日の盆供養踊りは終了!

最後の記念撮影にもちゃっかり便乗させていただきました。決めポーズめちゃかっこいい!!!

山門前にて

美しい田園前でも

都鳥鹿踊のみなさんほんとにいい人たちで、質問にも色々答えてくれるし感激してしまいました。とっても居心地がよかったー!初めての鹿踊体験が都鳥鹿踊さんでよかったです。見学させていただきありがとうございました!!

鹿さまから人に戻ったみなさま(お片付け中)

Tシャツの後ろの文章も気になりました

お疲れ様でございました!

ちなみに都鳥鹿踊さん、人手不足で地区内外問わず会員を募集しているようです。興味のある方は是非!鹿踊してるって言ったらきっとめっちゃモテるよ〜!!(わたしにな)

▼都鳥鹿踊さんのX(旧Twitter)とブログ

すたさん@行山流都鳥鹿踊 (@gyozan_todori) / X

行山流都鳥鹿踊保存会

昭和の残照〜水沢駅周辺を散策

はじめての鹿踊をしっかりタンノーしたあとは、再び盛岡へと戻りましょう。一番近い水沢駅で降ろしてもらいます。すると!なんと!次の電車が来るのが1時間後というではありませんか・・・!!

それなら駅周辺を散策するまでさ・・・!!!

え?え?え??

めっっっっっっっちゃ素敵じゃん・・・!!!!!

ニューオリオン・・・!たまりません

そしてとんでもなく大大大好物の建物を見つけてしまう・・・!!!

鼻血物件

他にもこんなのや・・・

キ、キティ・・・!!!

こんなのまで・・・・・

ゴースト飲み屋街

えぇ、水沢駅周辺。猥雑でどこか寂しくて・・・とてもわたし好みでした・・・・・。少し歩いただけでこんなに素敵な風景に出会ってしまうのだから、まだまだ素敵な建物が眠っていると思われます(現に車で通り過ぎる時に素敵な建物を見たんだー!でも道がわからなくて駅から近いのに辿り着けなかった・・・)。

これは再訪しなければなりませぬ。水沢はキリシタン縁の街だし、水沢競馬場にはホルモンが美味しいお店もあって桜並木も綺麗らしい(実はここで初の競馬体験したかったのだけど、滞在中にレースしてなかったので水沢観光を旅の候補から外したのでした)。再訪する時は桜の時期かな?その時を楽しみにしたいと思います!

水沢駅の窓が可愛かった。ポスト上のアンテナ?も

盛岡ふたたび

盛岡駅に到着したのは20時頃。外に出ると地面が濡れていました。どうやらまた雨が降ってたらしい。もしかしてわたしが着くと同時に止んだっぽい?都鳥鹿踊さんの時も降りそうで降らなかったし、もしかしてわたし晴れ女・・・??なーんて昨日ドシャドシャドシャ降りの遠野&盛岡だったことをすっかり忘れてそんな風に思ったり。

盛岡冷麺

今回の旅では遠野で食べたジンギスカン以来、ほとんどご当地グルメを食べれていません。せっかく盛岡にいるんだから「盛岡冷麺」食べたい!と思って駅近くのお店に向かってみるも・・・。

無・・・理・・・・・

すぐに心折れて、コンビニで盛岡冷麺買ってホテルで食べるという。明日こそは岩手らしいごはん食べたいなぁ・・・。

福岡でも売ってるしなんなら食べたことあるし

さぁて、明日は5時起きだよ(白目)。本日に引き続きY氏の案内で、盛岡から車で約2時間ほど(遠い!)の場所で行われる幕踊系の菅窪鹿踊を見に行きます。東北のデフォルメされた鹿頭ではなく、どちらかというと四国の鹿頭と同じくリアル鹿に近いとのことだったので、気になって訪問をリクエストしていたのでした。

明日も早いしそろそろ眠ろうとしていたところにY氏より連絡が・・・(嫌な予感)。ななななんと!明日の早朝行われる予定だった菅窪鹿踊が雨で中止に・・・!!!さっきまで晴れ女と確信したばかりだったのに・・・やはりわたしは雨女なのか。

悲しみに暮れていると別の鹿踊を案内してくださるとのこと。さすが東北マスター!ありがたい・・・。中止は残念だけど、行き先が変更になったことで1時間多く眠れることになったのでよかったことにす・・・る・・・・・(ぱたり)。

■参考にしたサイト

「鹿踊のある風景から」(第4回「先覚に聴く」レポート) | 伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス - TARO…東日本大震災時の様子がとても印象に残りました。死者供養としての鹿踊についてリアルに知ることができます。とてもよい記事だったから読んでほしい。

東北STANDARD | 鹿踊 - 02.鹿踊の意味と発祥 - 

東京鹿踊/ TOKYO SHISHI-ODORI — シカノツノ力

郷土芸能じぶんち東北の郷土芸能を紹介する情報誌。第9号と第10号で、鹿踊についてわかりやすく特集されています(都鳥鹿踊さんも対談で登場)。第13号は「お花(ご祝儀)」について。他にもいろんな特集が組まれているので、東北の芸能について楽しく分かりやすく知りたい方にオススメです。

行山流都鳥鹿踊

SaSaLa(ササラ) Vol.11

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2、film:CONTAX Aria

⑨台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼

⑦台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【盛岡散策・後編】

盛岡散策後編です。

CONTENTS

盛岡八幡宮

お寺さんばかりではなく神社にも行ってみました。

とても大きな神社

何に心を奪われたかって・・・敷地内のわきにいらっしゃる神馬さま・・・(名脇役に目がいってしまうわたくし。いや、脇役どころかわたしにとっては本命です)。

白と黒のお馬さま〜!!!

ちびっこお馬さんもいたよ。正面からは見えないけれど、布製のお馬さまもいてものすごく気になった・・・。どうにかして全貌を見たいと思ったけどうまいこと隠れてて無理だった・・・・・。

布製の子。気になる・・・

もちろん本殿にもお参り。今回の旅の安全と好きな写真が撮れることをお願いします。

遠くまで見渡せるすがすがしい景色

神社周辺の街歩きもちょっとたのしい。大通りから細い路地に入るといい感じのスナック街がありました。

地元の人たちにとっての日常が旅人にとっては非日常なのです

盛岡の近代建築

土砂降りだった昨日が嘘のような快晴です。少しずつタイムリミットが迫ってきました。そろそろお昼ごはん食べたいなぁ。盛岡に行ったら絶対に食べたいと思っていた福田パンへと向かうことにします。

人魚の写真館

早歩きで福田パンへと向かっていると、いきなり目の前に天上へと駆け昇ろうとする魅惑的な人魚の姿が・・・!!!

フォントが一部取れてしまっています

建物の中から飛び出してきそうな人魚

思わず心の中で絶叫しながら建物周辺を挙動不審にうろちょろしてシャッター切りまくってしまいました。鼻血が出そうな悶絶建築ですね・・・。 「館」の文字は取れていますが、小原写真館という写真館だったようです(壁面フォントが旧漢字の「寫眞」なのもグッとくる)。どうやらその筋の人たちには有名な近代建築だったらしい。人魚の手の先にも文字が入っていたようです。

ちなみに旅の最中忙しすぎてちっともまともにTwitter、もといXでつぶやけてなかったから、スマホでパパッと撮ったばかりのこちらの写真にその時感じた一言添えて何気なくアップして放置してたら・・・なんと人生初バズりしてました・・・。

リプライでこの写真館に関するブログが紹介されていたので、そちらを貼らせていただきます。詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

まだまだ人魚を眺めていたいけれどいかんせん時間がない〜!!!さよならして福田パンへと向かいます。

福田パンは街中に何店舗かあるのですが、今回向かったのは一番近かった中ノ橋店。どうやらバスターミナル内にあるようです。中に入ってみると・・・

う、売り切れ!!!

売り切れというか、お盆休みでそもそも営業してなかったようです・・・。はい、絶望。

朝食べた中華そばとしそ巻きは、散策しているうちにすっかり胃袋から消滅。福田パンを食べれないという絶望により、一気に疲れがやってきました。た、食べ物をください・・・。ふらふらとした足取りで歩いていると目の前に希望の光が差し込みます。

岩手銀行赤レンガ館

目の前に現れたのは、1911(明治44)年竣工の岩手銀行赤レンガ館でした。東京駅と同じ辰野金吾の設計。そんなことはこの時はまったく知らず、ひと目で心を奪われます。みるみるうちにわたしの心に栄養が行き渡り、食べ物のことなんかそっちのけで中へと足を踏み入れていました。

なんという美しい建物なのだ

しかし時間がない!!時間がないのだ!!!

有料部分もあってそちらも見たかったのですがそれは叶わず、無料で見れる範囲のみを駆け足で見てまわります。めっっっっっっっちゃくちゃ素晴らしかった・・・・・・。

悶絶の嵐

もっと滞在したかったけどいよいよ時間が心配。体がこの場にとどまりたくて引きちぎれそうになりがなら無理やり脱出・・・。有料部分も見たかったな!

レンガ館を出てすぐの川からの景色がとても美しかったです

櫻山神社

もうご飯食べるのはあきらめて、ほんの少し残ってた時間で最後に神社へと寄りました。本殿奥に巨石があったらしいのですが、急ぎすぎててまったく気付かず・・・。

星型のおみくじかわいい

手作り感満載のお人形さんたちがあちこちで存在感を放っていました。

鶴と亀の中にはおみくじが

顔はどう見ても鬼滅の炭治郎だけど、なんか古代の格好してる・・・。よくわかんないけど因幡の白兎???

最後はバッタバッタ駆け抜けて、これにて本日の盛岡散策終了です!!!

最後に

今回の目的は鹿踊だったため建築関係はまったく調べていなかったのですが、盛岡は素晴らしい建築があふれる街であることを初めて知りました。気の向くままに歩いていているだけでこんなにも素敵な建物に遭遇してしまうんだもの・・・(昨日出会った公会堂然り)。きっともっとたくさんあるんだろうなぁ。でも、人魚の館とレンガ館を見れただけでも大大大満足なのでした。

さて、素晴らしい近代建築にすっかり夢中になってしまい、ご飯を食べる時間がなくなってしまいました・・・。電車の中でクエン酸ドリンクをチューチュー吸いながら、ついに四国の鹿ちゃんズのルーツである東北の鹿さまたちに会いにいくぞ・・・!!!!!

クエン酸飲んでりゃなんとかなる!

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⑧台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼

⑥台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【盛岡散策・前編】

岩手観光3日目。今日が旅の本番です・・・!そう、岩手に来た最大の目的は鹿踊・・・!!!(忘れてたでしょ?)ですがそれは午後からの話。もうちょっとだけ盛岡観光を楽しむことにします。

CONTENTS

鉈屋町の街並み

この日は5時起き!の予定がどうにも起きれず、30分遅く起きてのろのろと準備開始・・・。眠い目をこすりながら、バスに乗り込み出発です。

目的地近くのバス停で下車。古い建物が残る風情のある街並みが現れます。なんと旅の最終日である明日訪れる予定の鉈屋町ではありませんか・・・!派手さはないけれど、なんだかとっても好きな感じ。

赤煉瓦の建物は何だろう?

望楼をもつ建物は「大慈寺地区コミュニティ消防センター」

はじめて歩く街にワクワクして明日も来るのについ写真をいろいろ撮ってしまい、どんどん時間がすぎていく・・・。

朝市が終わってしまうよーーー!!!

盛岡神子田朝市

そう、早起きしてこんな朝っぱらから出かけてるのは、5時から8時30分まで行われているという盛岡神子田朝市に行くため。ちょっと早歩きで向かっていると、遠目に人がぞろぞろ歩いているのが見えました。

きっとあそこが朝市の会場ね

おばあちゃんがいい感じ

時計をみるとすでに8時前。朝市終了まであと40分ほどしかありません。なんていうこと・・・!!!焦って駆け足で向かいます。

あれ?思っているよりも人が少ない・・・?商品も品薄で、すでに店じまいを始めている人もちらほら・・・・・。

おばあちゃんもう店じまいしてた

あぁ、やはり着くのが遅すぎたようです。寝坊したことが悔やまれます・・・。

噂のひっつみ

時間がないのでとりあえず朝ごはん食べたい!前もって狙いを定めていたお店が2箇所ありました。ひとつは「噂のひっつみ」。岩手県の郷土料理のひとつである「ひっつみ汁」です。でも、かなり並んでる・・・。

「噂のひっつみ」かわいいね

朝市食堂

もうひとつは朝市食堂の中華そば。こちらも当然のように並んでます・・・。

どっちにしよう?

とりあえず中華そば食べてからひっつみろうかなぁ・・・(両方食べる気満々である)。注文して支払いを先にすませて番号の書かれた札をもらいます。

お店の前あたりで待機

待ってる間、真向かいのお店で売られていた「しそ巻みそ」なるものを買ってみました。胡桃や胡麻を混ぜた甘辛い味噌を大葉で包み、油で揚げた宮城県の郷土料理とのこと。わたしは「胡桃」と「胡麻」の2種類を購入。あとで中華そばと一緒に食べようっと。

この時はどんな食べ物なのかはちっともわからず購入

そうこうしている間にどんどんお店が閉まっていきます・・・。ひっつみも・・・終わってたよね・・・。

20分ほど待ってやっとわたしの中華そばのご登場・・・!!!

ワンタンメンに味付け卵トッピングしちゃったもんねっ

食べている間にもどんどん店じまいしてて、片付けする人たちの姿を見ながら中華そばをすするという・・・。しそ巻きもパクリ。美味しいんだけど、そのまま食べるにはどうにも辛すぎて最後は喉がカラッカラに・・・。本来はお茶請けやご飯のおかず、お酒のアテとして食べられるもので、そのまま食べるものではないようです。

すべてを食べ終わる頃にはすっかり人気もなくなりガラーンとしてました。

来た時の賑わいはいずこ

閉店してからどっかに大量のクリームソーダ持っくおいちゃんなんだか可愛かった

閉店してからあちこちのお店で中華そばを食べてるのもなんだかよかった

ちなみに今回中華そばを食べた朝日商店さんは、他のお店よりも少し長い時間やってるようで、朝市が終わる8時30分頃だったら並ばなくてもけっこーすぐに食べれたっぽい。わたしがやっと食べれるという頃に注文した人がすぐありつけてました(涙)

これから朝市に行く人へアドバイスするならば・・・

  • 中華そばは最後でも食べれるから他の店へ行くべし
  • しそ巻みそは1本だけ買うべし(その場で食べ切る場合)
  • 朝市には早い時間に行くべし(これに尽きる)

以上だ!!!

ラストミッションは朝市内にある珈琲屋さんでアイスコーヒーを飲むことだったんだけど、お目当てのお店はやっぱり閉まってたよね・・・。しょんぼり。

別のお店で〆のアイスコーヒー

ちょっぴり消化不良だけれど、岩手の活気ある朝市を垣間見ることができて嬉しかったです。

全国の朝市巡りたいなぁー。そのためには早起きできるようにならないとね・・・。

仏像巨大サークル!十六羅漢像と五智如来像

朝ごはんを食べた後は、ひとまず鉈屋町に向かっててくてくてく。すると、茂みから突如現れる石仏の頭・・・!??

ぴょこっ

なんと公園の広い敷地内に巨大な仏像サークル・・・!!なんだこのスケールのでかさは・・・!!!

木の背後に存在感

突然異空間が現れたので、びっくりしてしまいました。岩手を旅して感じたのは、お寺やこのような石仏群の規模が違うということ(ちょっと言葉では言い表せれない雰囲気。行く先々でそれを感じました)。それはどうやら度重なる飢饉によって多くの人が亡くなっていることに理由があるようです。

解説板

九州に住んでいると飢饉というものを身近に感じるものがなくて、岩手のあちこちで当たり前のようにこのような光景が存在することに少し驚いたし、東北の人たちがとても厳しい環境の中を生き抜いてきたことを強く感じました。

すぐ隣の塀にはキリスト看板もあったよ(キリ板ハンター)

ちょうど今はお盆の時期。お寺さんにお盆の雰囲気を感じに行ったりもしました。ちなみにわたしはGWに実家に帰省した時にお墓参りしてきました。お盆に行けないことをゆるしてご先祖さま〜。

永泉寺

試飲まつり、酒造 あさ開

お寺さんの目の前に酒蔵があったのでふらふらと吸い込まれます。わたしは旅先では日本酒を買って帰りたいのだ〜!!(数年前に南会津を旅した時に開眼した)。

あさ開さん

日本酒はあまり得意ではないのだけれど、おしゃべり上手なおいちゃんに進められるままグビグビと試飲。味おんちのわたしでも味の違いがわかって面白かった〜。そしてとても飲みやすくて美味しかったです。

次々に試飲させてくれるおいちゃん

ほんとはここでしか買えないというその場でボトルにつめてもらえる生原酒がほしかったけど、冷蔵じゃないといけないっぽい(夏場だし・・・無理・・・・・)。

限定に弱い

悩んだ末に「熟麗」という美しい名のお酒を購入。リュックに詰めて今日1日旅します・・・!!!(ほら、護身用の武器にもなるからさ)

ちなみに酒造の真ん前には先ほどのお寺さんがあって、門前には「禁葷酒」と刻まれた石碑が立っていました。

禁葷酒

これは、「酒やネギ、ニンニク類の持ち込みを禁止する」という意味だそうです。

(以下サイトより抜粋)

【お寺の雑学】門前によくあるアノ石碑「禁葷酒」いったい何を禁じてるの? | ライフスタイル - Japaaan

あぶなーい!お酒を買ってからだったら入れないとこだったわ・・・!!酒造の前に建ってるのがちょっと面白かったです。

大慈寺

朝っぱらからお酒を注入してちょっぴりいい気分になりながら、明日も訪れる予定の鉈屋町の大慈寺に事前リサーチしに向かいます(というほど大層なものではない)。

緑が美しい

盛岡舟っこ流し

お寺さんの山門横には舟っこ流しで流される船が展示されていました。

以下、舟っこ流しHPより抜粋▼▼▼

舟っこ流しの始まりは,今からおよそ280年ほど前,盛岡藩四代藩主 南部行信の七女 麻久子姫が川施餓鬼(かわせがき)の大法事を行ったものとされています。 1815年に津志田遊郭の遊女たちが乗った舟が氾濫した北上川で転覆し,溺れ死んだ霊を慰めるため、舟に位牌と供物を乗せて流すようになり、以後盛んに行われるようになりました。 いまでは祖先の霊を送り、無病息災を祈る行事となっています。

各町内会等で作られているらしく、散策中にそのいくつかみることができました。実際に川で燃えているところも見たかったなぁー(その頃には福岡に帰ってた)。

他の地区の舟

階段を登ってお寺さんに向かおうとすると、その途中にキャラ立ちしてるお稲荷さんがいらっしゃいました。

稲穂くわえてる!かわいい!!!

門をくぐってお寺さんへ。

この墓石のピラミッドが九州ではあまり見かけない気がしますが、東北特有のものなのでしょうか?(後日無縁仏ということが判明。教えていただき感謝です!)

湧き水

お寺さんを出てすぐ右の道を歩いていくと、人が集まっている場所がありました。

奥に見える屋根のある場所は何だろう?

青龍水

湧き水だ!!うれしい〜!!!

解説板

ひっきりなしに地元の人が訪れて、大きめのペットボトル何本分も汲んで帰っていきます。湧き水のある生活いいなぁ〜。先日訪れた大分県竹田市も湧き水の町で素敵だなぁと思ったよ。

一番左の屋根がついているのが飲み水、その次が米研ぎ、洗い物、足洗と用途が決められているそうです。なるほど〜!でもみんな飲み水汲みにきてる人ばかりでした

ちょうど水をきらしていたところだから早速わたしも汲もう!と思ったのに、どうやら設置されているコップの紐が切れてどこかに落ちてるみたい・・・。口をつけたペットボトルしかもっていないから水を汲めないないな・・・・・。

なんて残念がりながら写真撮っていると、水を汲みに来たおじいちゃんに「おいでおいで」されて、パイプから水が出ていることを教えてもらいます(中まで覗き込んでいなくて気づかなかった)。

わー!ありがとうおじいちゃんーーー!!!

あやうく飲めずにずこずこ帰るところだったよ〜。

さっそくじゃばじゃば!!!

ごくごくごく。うまーーーーーい!!!

おじいちゃんとの交流含めて、この湧き水がとっても大好きな場所になっていまいました。

水は無料ではあるのですが、飲んだらみんなも寄付しようね〜!

チャリン!

大慈清水

青龍水から近い車通りの多い道路沿いにもう1箇所湧き水があります。こちらもとても綺麗に整備されている印象でした。

古写真では洗濯する奥様たちが。井戸端会議の場だったんだろうねぇ

先ほどの青龍水もだけど、絵馬が奉納されているのも印象的でした。

白いお馬さま

久昌寺の山門

湧き水で喉が潤ったところで再び街をぷらぷらぷら。立派なお寺さんを見かけたので寄ってみます。

東北では卒塔婆の多さも印象に残りました

素晴らしすぎる山門!!!昭和8年に建立されたもののようです。

繊細な木の彫刻がすごい!!!!!

いいもんみれた・・・。とってもタイプの彫刻を見ることができて嬉しかったです。

さて、盛岡散策編を1本だけでまとめたかったのですが、思ったよりも写真が多すぎてまとめきれない・・・。というわけで、後編へと続きます。

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⑦台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼

⑤台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【雷鳴轟く雨の盛岡編】

豪雨の遠野を脱出し、花巻駅から電車で北上。どうなるかと思ったけれど、なんとか盛岡入りを果たすことがきました!スリル満点で楽しかった!!!(無事脱出できたから言えることである)

盛岡駅

CONTENTS

盛岡

盛岡駅に着いてみてびっくり。と、都会ですね・・・!??今まで遠野にいたので、いきなりニューヨークに来たような気分。ちなみに盛岡は、ニューヨーク・タイムズ(電子版)の「2023年に行くべき52カ所」に選ばれているそうです。行くまでまったく知らなかったよ。うちの母親(情報通)まで知っていた・・・。

まずは駅前のビジネスホテルにチェックイン。今日から3日間ここを拠点にあちこち動きまわります。味気がないけれど仕方がない。さて、荷物を置いて早速出発!と行きたいところですが盛岡の街に轟く雷鳴・・・!!!間違いなく近くに落ちているよ・・・?

雷が落ちた時の瞬間の動画のスクショ。画像に乱れが・・・

どうやら遠野から雨雲を連れてきてしまったようだ・・・。今日は午前中にちょっと観光しただけで後は移動ばかり。このままだと1日の旅のトキメキ摂取量がぜんぜん足りないよ・・・!!

覚悟を決めて豪雨と雷鳴が轟く中、盛岡の街へと飛び出します。とはいってもこの雨。思うように身動きが取れないので、当初の計画ではじゅうぶんに時間が取れなかったお土産購入に時間を充てることにしました。

雨の盛岡をゆく

駅から繁華街へは結構離れています。それでもバスを使わずに歩くのは街を散策したいから。この雨でもその気持ちは変わることはありません。

商店街っぽいとこにきた

ひどい土砂降りであたりはどんより灰色です・・・。

神社の参道。いい感じの飲食店がありました

近くの川。鳥がチュンチュン雨宿りしてて可愛かった(頑張ったけど写真撮れず)

カッコいい建物を発見!!!(鼻息ふがふが)

さらに歩いていくと、かわいらしい水色の建物が見えてきました。1891年に「盛岡消防よ組番屋」として建てられた紺屋町番屋です。現在は交流体験施設として利用されていて、カフェなども入っているようです。

かき氷の文字が〜

ただし、今回の目的地はこちらではなく、その斜め向かいにある南部せんべい屋さん。

老舗白沢せんべい店

昭和11年創業の老舗白沢せんべい店です。ちなみにもうこの時には雨で髪の毛はぐちゃぐちゃだし(癖っ毛に湿気は大敵である)、足元もびしょ濡れでひどいありさまでした・・・。

母親に南部せんべいのお土産をリクエストされたので、せっかくだから昔からあるお店で買いたいなぁと。結果、大正解でした!

なぜなら釜神様に出会えたから・・・!!!

釜神様

店に入って商品を物色しながらふとカウンター上を見上げると・・・

どどぉぉぉーーーーーん!!!

ななななんというインパクト・・・!!!!!
亀裂の入った真っ白な眼が爛々と輝き、「ふははははは」という不敵の笑い声が今にも聞こえてきそうなお顔です!!!

ビックリしてお店のスタッフに尋ねてみると次のように教えてくれました。

  • 「釜神様」と呼ばれている。裏の釜で南部せんべいを焼いている。
  • 店主も「釜神様」がどこからやってきたのか、いつからあるのかわからない。
  • 相当古いものらしい。

それ以外の詳しいことがわからないとのことでした。気になって後日調べてみると、宮城と岩手南部(旧仙台藩領)で信仰されていることがわかりました。

以下、工房釜神 【釜神の伝説】より抜粋

火を取り扱う場所としての竈を大切にし、信仰の対象とする例は古くから全国的にみられることであるが、宮城県から岩手県南部にかけての地域では、特に、土間の竈近くの柱や壁に土や木の面をまつる風習がある。これ等の面は一般にカマガミサマと呼ばれ地域によってカマオトコ・カマズンツァン・カマノカミサマ(宮城県)、カマダイコク・カマベットウ・カマメンコ(岩手県)などと称されている。宮城県では昭和60年度に所在確認調査を行い、県内で約2000面、岩手県で約400面が確認されていが、最近家の新改築によるカマドの激減や、カマ神そのものの破損・移動・消失によって、体系的な研究は困難な状況になっている。

工房釜神 【釜神の伝説】には、上記の他にも釜神様について書かれた様々な文献の内容がまとめられていてとても面白かったです。興味のある方はぜひ。(ちなみにわたしは文章量が多すぎて最初あたりしか読めてない・・・汗)

釜神さまのパキパキに割れた目は、単なる劣化なのかと思ったら、上記サイトを読むともしかしてそうでない・・・?

すごい眼力

土製の釜神様の目や口には、白い瀬戸物やアワビ貝をはめることが多いらしい。こちらの釜神さまは木製だけど、白目の部分は白い貝や陶器のカケラのようにも見えるし、黒目部分は白目部分よりもキラキラしてる(もっとちゃんと見て質問すればよかったなー)。

旧仙台藩領である岩手県南部は盛岡は含まれないので、地域的には外れるけれど創業者の出身がそちら方面なのかな?とか、何か別の縁があってここに釜神様がやってきたのかな・・・?等と色々な妄想が掻き立てられてたのしい!!

単なる失敗だけど、あやしくいい感じに撮れた釜神さま

南部せんべい

もちろん南部せんべいも買ったよ〜!!ひとつひとつ手焼きしているらしい。

色んな種類がありました

店内には昭和な家電やポスター等も貼られていて面白かったです。

盛岡市八幡宮の境内で開催されたという「世界動物大博覧会」のポスターも!いつ開催されたんだろう?

こ、これは何かな・・・?

南部せんべいを買うだけでなく、意外なところで宮城〜岩手に伝わる独自の信仰を見ることができてとても嬉しかったです。

岩手県公会堂

次なるお土産品を求めて歩いていると、とんでもなくグッとくる建物に遭遇・・・!!

装飾も素敵

あれ?なんか南部せんべい屋さんに向かう途中で見かけたカッコイイ建物に似てる・・・?って思ったら、どちらも同じ岩手県公会堂。さっき見たのは正面側で、こちらは側面側だったようです。

1927年(昭和2)年に竣工したネオゴシック建築で、内装にはなんとアール・デコの意匠もあるというではありませんか・・・!!!(大好物)見てみたかったなー。盛岡にはこんな立派で素敵な建築が残っているんですね。雨でなければぐるっと一周して鑑賞したかったなー(根性無し)。

戸塚珈琲店

次に訪れたのは、公会堂からすぐ近くのカフェ&珈琲豆屋さんの戸塚珈琲店。旅先で珈琲豆を買って帰ることを楽しみのひとつにしている今日この頃。調べてみると盛岡にはたくさん喫茶店があって迷ったのですが、通り道でもあったこちらに伺うことにしました。

お店の前で傘をとじていると中から店員さん出てきました。ななななんと!今日は休業しているという・・・!!!(毎度お馴染み店が閉まってる呪い発動)ダメ元で珈琲豆だけでも購入できないかたずねてみるとオッケーとの返事が。ありがとうございます〜!!!

運命の出会い

店内には休業中にも関わらず喫茶店を営業する夫婦と、そのご両親の老夫婦、そして一匹のお犬の姿がありました。

とっても大人しい紅葉ちゃん。可愛いかった〜!

福岡から来たことを伝えるとその場にいたみなさまが何やらびっくりしています。単に遠いからかな・・・?と不思議に思っていると、なんと老夫婦はお盆帰省中で、今は福岡に住んでいるという・・・!!しかもわたしの住んでいるとこから近くてびっくり・・・!!!思わぬ出会いに店内は大盛り上がり。記念にみなさんの家族写真を撮らせてもらいました(思い出の写真)。ほんとみなさん素敵な人たちだった!ほんの数分だったけど、とてもしあわせな時間を過ごすことができました。また盛岡を旅した際には必ず訪れようと思います。ありがとうございました!

旅から帰ってきた週末に、さっそく買ってきた珈琲豆で珈琲を淹れて南部せんべいをいただきました。しあわせのひととき

せんべいの裏に「南部煎餅」の文字が入っているのにも個人的にはグッときた

岩手県産ワイン

自分へのお土産をゲットしたあとは、さらに酒屋さんで岩手産のワインを2本ゲット!!珈琲豆と同じく、わしゃ地元のお酒も買って帰りたいんじゃ〜。ほんとはワイナリーに行きたいけど近場で行けそうなところがなかったので、岩手産のワインを置いているお店を調べてこちらに伺いました(他にも置いてるところあるかも?)。

ワインの他にも色んなお酒が置いてました

リュックにあれやこれやをパンパンに詰め込んで最後に向かったのは・・・

西洋料理専門店ユキノヤ

地元の人たちに愛される昔ながらの洋食屋さんで夕ごはんをいただきます!

かわいいフォント

店内は老若男女問わず、地元の人たちでとても賑わっていました。その中に混ぜてもらえてうれしいな〜。

注文したのはハンバーグとエビフライ。

昭和テイストがたまらない

「わたし今、肉食べてる!」

って感じのハンバーグでとても美味しかったです。

盛岡の夜を歩く

地元に愛される洋食屋さんでお腹を満たし外に出ると、雨は止み、あたりは少しずつ暗くなってきていました。お散歩しながらホテルに戻ることにします。ユキノヤ近くの通りにも古い建物がいくつかあって嬉しくなりました。

素晴らしい建物と手描き看板

大智田中地蔵尊

そして突然現れたのは真っ赤な布で顔が覆い隠された巨大なお地蔵さま・・・!!!

お顔の中はどうなってるの???

その不思議な姿に胸をわしずかみ・・・(ドキドキドキ)。なんで赤い布でお顔が覆われているの?

1694(元禄7)年に建立されたもので、盛岡市指定有形文化財に指定されているらしい。そんなに古いお地蔵さまだったとは。とても綺麗だったので比較的あたらしいものなのかと思っていました。それだけ地元の人たちに大切にされてきたということなのでしょうね。

で、赤い布で顔か隠されている理由は??解説板にも理由が書いていないよ???

地蔵

き、気になる!!!そんなわけで、後日調べてみたらどれをみてもこんな風に顔を赤い布で隠してる写真は見当たらない・・・。

も、もしかして・・・

単に風で煽られて奇跡的に美しく布がかぶさってただけ・・・!??(ずっこけた)

そりゃ解説版に書いてないはずだぁー。あのときの感動を返して・・・。でも、勘違いだったとしても、あの時みた光景はとてもとても幻想的で美しかったです。

実際のお顔をみたい方はこちらからどうぞ。

なかなか見れないレアな姿を見れたと思うことにしよう

夕暮れのお散歩を楽しみながらホテル近くまでたどり着くと、すでにあたりは真っ暗になっていました。

橋を渡るとすぐに駅近のホテル。川沿いにはお店が連なっていました

遠野から盛岡まで雨に振り回された1日でしたが、なかなか楽しい1日だったなぁ。しみじみと思い返します。

ホテルにて

ホテルに戻ってからはコインランドリー戦争の始まりです(他の宿泊客との争奪戦!)。戦いに打ち勝ち、すべての準備を終えたのは23時前。そして明日は5時起き・・・!!!(白目)早々に就寝です。

ところで、東京から遠野、盛岡までの移動中、実はずっと台風情報と睨めっこ。台風の進路に合わせて飛行機や新幹線、宿の変更やキャンセルしたり、1日早く帰る予定まで組んでいました。でもなんだか進路がずれてる・・・??最初の計画のままで大丈夫そう・・・???(日頃のおこない????)

どうやら台風の心配もなくなったことだし

いよいよ明日から旅の本番です!!!(実はメインはこれからなのよ)

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⑥台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼

④台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【赤い願いごとの雨と遠野脱出編】

あんなに土砂降りにだった雨がおさまってきました。このチャンス逃すべからず・・・!!

CONTENS

宿を出発

チェックアウトをすませ、宿に荷物を預けたまま出発。傘はささずにパラパラと降る雨を体に受けながら、駅とは反対側へと歩いていきます。

宿を出て一番最初に見た景色。山からは綿菓子のような靄が立ち昇っています

建物の隙間に見える山と靄が美しい

古いバス停の墓場もありました

もう傘はいらないかと思ったら、再びドシャドシャ降り降り・・・。

水たまりの様子で雨の激しさがわかります

そうかと思えば青空が・・・。台風の影響なのか、雨が降ったり止んだりの奇妙なお天気です。

孤高の木。美しいとしか言えない

そして、昨日訪れた場所へと再び戻ってきました。

見覚えのある熊注意の看板

卯子酉様(うねどりさま)

もう一度「五百羅漢」を見に行く・・・わけではもちろんありません(そんな度胸はないんだぜ・・・?)。昨日時間がなくて行きそびれた「卯子酉様」が今回の目的。熊恐ろしロードが始まる前の看板は、左を指し示しています。

一番下の看板

すぐに赤い鳥居が目に入りました。

小さいながらも目立っています

こんなに近くにあったのね。五百羅漢の山深さからもっと遠くにあるのかと思ってちょっとビビってました。鳥居手前にある無人の社務所には、お札や周辺MAPも置いてあります。

熊注意・・・

鳥居の方に進んでいくと、雨に濡れた美しい芙蓉が咲いていて、まずはこの子に夢中になってしまいました。

雨つぶと透けた花びらのなんと美しいことよ

再び本降りの雨が降り出します。撮影は大変だけど植物が生き生きと美しく輝くので、わたしは雨の撮影がとても好きだったります。

芙蓉の撮影もほどほどに本命の卯子酉様の鳥居をくぐると、そこには息を呑む光景が広がっていました。連なった無数の鮮やかな赤い布が水たまりにも映り込んで無限に広がり、より一層幻想的な世界を生み出しています。

水たまりに映る赤

祠側から

解説板には以下のように書かれていました。

「境内の小さな池は淵のあとでここの片葉の葦に恋の願いを書いた紙を結びつけておくと願いがかなう伝えられています。『遠野物語拾遺』第35話にも不思議に男女の縁が結ばれたと書かれています。」(抜粋)

淵がない現在は葦にではなく、境内の木やロープに願い事を書いた赤い布を「左手だけで結ぶ」ことができれば願い事が叶うと言われているそうです。いつからそのようなやり方に変化していったのか気になります。左手で結ぶ意味も。

すぐにでも赤い布に願い事を書きたいところですが、あまりにもこの空間が素晴らしすぎて、まずは興味の赴くまま境内を見てまわることにします。

卯子酉様の小さな祠にもロープに結ばれたたくさんの赤い布が交差しており、まるで何かの結界のようにも見えてドキドキ・・・。

側面には印象的な剣が奉納されていました(ここでの謂れはわかりませんが、剣を奉納する神社は他にもあるようです)。

錆びた剣と赤い布の組み合わせはなかなかのインパクト

虎の絵馬も奉納されていました

胸を高鳴らせながら雨降る幻想的な赤い空間をひとりじめしていると、鳥居の方から人が近づいてくる気配が・・・。3人組の賑やかな観光客の姿がありました。

願い事を書いて結ぶ人たち

こんな街のすみっこにあるのに短い滞在時間に2組の観光客と遭遇。どうやらわたしが知らないだけで人気のパワースポットだったようです。

さっきまでの神秘的な世界は消え去り、再び戻ってくることはありませんでした。あの時の感覚はいろんなタイミングによって生み出されたものなんだろうなぁー。ほんの少しでも味わうことができてよかったです。

赤い布に願い事を書く

いよいよわたしも願い事を書いちゃうよ!新品の赤い布は祠の前に吊るされていて、100円をお賽銭に入れて自由に書くシステム。ペンも常備されていました。書く内容を真剣に考えて書き書き書き・・・。

えーっと、どこに結ぼうかな。一番ご利益ありそうなのは、やっぱり祠の真ん前・・・???左手でうまく結べるかしら・・・

よいせ、よいせ

む、難しいよーーーーー!!!

よし!できた!!!

どうにか左手だけで結ぶことができました。きっと叶うよね!!!

毎度おなじみセルフタイマーで自撮り

雨で悩んだけれど、行ってほんとによかった!今思い返しても雨の卯子酉様での時間はまるで夢のようで、遠野で訪れた数少ない場所の中で、一番思い出深い場所になりました。雨が降らなければきっとこんなにも感動していなかったかもしれません。降りすぎなのは困るけど、雨が降ったことに感謝です(この時は本当にそう思っていたんだ・・・それがまさかあんなことになるとは・・・・・)。

さて、時間があればすぐ隣の愛宕神社にも行きたかったけど、たっぷり卯子酉様と共に過ごしてあっという間にタイムリミット。荷物をピックアップしに宿へと戻ります。

猫ちゃんともお別れ。写ってないけど右下ではおばあちゃんが眠ってます笑

お世話になりました!!!

キリスト看板パラダイス

実は遠野、キリスト看板の宝庫でした。卯子酉様から遠野駅へと向かう道の壁という壁に、黒ベタにイエロー文字のあの看板がペタペタペタと。

同じような構図だけどみんな言葉は違うよ

このキリスト看板を作っているのは宮城県のボランティア団体らしいので(現在でも作られている)、近い県ではどこもこんなに多かったりするのかしら。あと、今まで見てきたのは結構古いものが多かったけど、こちらのキリスト看板はとっても綺麗!なんとQRコードまで貼られていました(初めて見た)。土地が違えばこんな違いもあるのね〜。新しい発見でした。

ピカピカだしQRコードも

こんな楽しみ方もできる遠野。街中のキリスト看板をコンプするのも面白いかもしれません。

たぬきケーキ

そういえば・・・!!

街中にたぬきケーキを販売しているケーキ屋さんがあることを思い出します。駅に向かう途中にあるので寄ってみることに。あるといいなぁ〜。

おたぬ!いた!!!

なんと双子のたぬきケーキ。ちょっと不気味可愛いファニーなお姿がたまりません。店主のおばあちゃんもなんだか可愛かったなぁ。この方が作っているのかと思うと、たぬきケーキへの愛しさがさらに増し増しになるのでした。

遠野駅でまさかのハプニング

おさまっていた雨がまたまたひどくなってきます。急いで駅に向かいましょ!

・・・え???

!!!!!!

な、ななななんと!大雨の影響で電車ストップしてました・・・涙涙涙

ホームには止まってるけど動かない電車

もちろん乗る予定だった電車は運休。さらに言うなら元々乗る予定にしてた早朝の電車も運休してたようです。予定通り宿を早く出発してたら、駅でボーゼンと立ち尽くしてたとこでしたねぇ・・・。駅とは正反対にある卯子酉様にも行ってなかっただろうし。朝食の時間を遅らせてくれたおばあちゃん!本当にありがとうだよ!!!

どうやら次の電車が出るのは13時頃。あわあわしながら窓口でチケットを購入する旨を伝えると、何やらその便も走るか怪しくなってきとのこと・・・(マジデスカ)。ほんとに今日乗らないといけない?なんて確認されたりもしましたがそれは最終手段です。あきらめないんだから・・・っ!!

とりあえずチケットを購入

たぬきケーキを食す

次の電車までの待ち時間は1時間半ほど。駅舎内にはわたしのために用意されたかのような(思い込み)テーブルと椅子が置かれていました。ショップではアイスコーヒーも販売されています。

駅構内のショップ

わーい!たぬきケーキをゆっくり食べる時間ができたよーーー!!

たぬきケーキとアイスコーヒーで、完璧なお昼ごはん(?)の完成です。

おめめデロリンな「たぬきケーキ」

そう、わたしは転んでもただでは起きない人間なのだ。この待ち時間を目一杯たのしみます。

豪雨の遠野脱出劇

たぬきケーキとの楽しいひとときを過ごしていたら、あっという間に電車の時間!駅には電車を待つ人々が次々に集まっていました。

「ほんとに走るの・・・?どうなの・・・・・??」

そんなざわざわとした空気が漂ってます。すると駅員さんから案内が。なんと!電車が走らないので代わりにバスが走るというではありませんか・・・!!初めての展開にワクワクです(おい)。

駅員さんに案内されて、駅の外へぞろぞろと大移動。

これに乗るのね・・・!

バスに乗り込み、いざ出発。遠野脱出劇のはじまりはじまり〜!!

遠野よ、さらば。また会う日まで〜

わたしが目指すのは盛岡。まずは在来線のJR花巻駅へと向かいます。

まさか電車の切符がバスの切符になるとは

まず驚いたのが車窓から見えた泥色の川・・・。

川に落ちたらイチコロだよ

泥色の川は怖かったけれど、移動中の車窓からの風景がとても美しくて息を呑みます・・・。

他の乗客たちもその美しい光景にうっとりしてました

ただしそんな穏やかなバス移動も最初だけ。途中からドシャドシャドシャ降りの雨ふたたび・・・!!!あまりもの激しい降りように事故らないかと不安になるほど。ちょっと命の危険を感じてしまいました・・・。怖かったのでシートベルトもしっかり締めた。

水たまりの上を走ってブシャー!の図

そんなわたしの不安をよそに1時間ほどで花巻駅へと到着。まずは無事遠野を脱出できたことに、ほっと胸を撫で下ろすのでした。

みんなよかったね!

そのまま花巻駅のホームへ。雨で少し遅れてはいたけれど、盛岡駅行きの電車に乗り込むことに成功します。待っててね、盛岡・・・!!

花巻も鹿踊が有名なんだね

盛岡へ出発!

最後に

そんなこんなで慌ただしく去ることになった遠野。飛行機の便を1日早めていなければ、ほぼ観光できていなかったと思うと、前乗りは英断だったなぁとしみじみ。

ただし、今回は近場の有名な観光地ばかりしか巡れなかったので、遠野の魅力をほぼ体験できていないと感じています。行くことができなかった場所の数々、街中の散策、遠野の鹿踊、泊まってみたい旅館もある。また再訪して今度はゆっくり遠野を味わってみたいです。

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2

⑤台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼

 

②台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023【熊への恐怖と運命の出会い編】

自転車の返却まであと1時間半。目的の場所には30分ほどかかります。急いでGO!!!

CONTENTS

レンタサイクルで郊外へ

マップアプリに案内されて自転車を走らせていると街からどんどん離れ、山が近づいてきます。

なんだかドキドキしてきます

自転車の横を車が次々に走り抜ける道路を外れて線路を渡ると、郷愁を感じる田園風景が広がっていました。

こんな風景が大好きなのだ

田んぼに囲まれた一本道の突き当たりを曲がり橋を渡ります。ついに目指している場所の入口に到着です。

ゴールはもう少し先

目指すは五百羅漢

自転車を止めて近づくと、入口には4つの場所を案内する看板が立っていました。

案内板

「程洞コンセイサマ」「五百羅漢」「愛宕神社」「卯子酉様」。

時間があれば全部周りたいところなのですが、時計を見るとすでに16時20分を回っています。レンタサイクルを借りた観光協会まで約10分ほどかかるとすると、わたしに残された時間はあと30分ほどしかない・・・。ひとまず「五百羅漢」に目的を定め、いざ出発!矢印が指し示す細道へと足を踏み入れます。

細道の入口付近には石碑がずらりと並んでいました。その中のひとつに大きく書かれた「山神」の文字が。

それぞれどんな意味のものなのだろう?

昼間に博物館で見た展示には、この「山神碑」について以下のように書かれていました。

「山神碑は山の神に遭遇した場所、山の神の祟を受けた場所に建立されるという。」

・・・・・一体何がここであったのぉーーーーー!??

ぶるぶると震えながら進むとさらにこんな看板が・・・

目をゴシゴシゴシ

く、熊ぁぁぁーーーーー!!!!!

わたしはね・・・山の神よりも何よりも熊が、熊が怖いんですよ・・・・・。

こんなこともあろうかと去年の秋田青森旅の時に入手した熊鈴も持ってくるつもりだったのに、急いで荷造りしたものだからスッカリ忘れてしまっていたんだ・・・。

しかしここまで来てズコズコと帰るわけにはゆきませぬ。スマホで音楽を大音量でかけながら薄暗い森の中に足を踏み入れ、恐る恐るギョロギョロと周囲に目を配らせながら前へ前へと進みます・・・。

熊よ・・・お願いだから出ないで・・・

するとすぐに森を抜けて開けた場所に出ました(ちょっと拍子抜け)。フェンスに囲まれた舗装された道の下を覗くと道路が走っています。この先にどうやら五百羅漢があるらしい。

道を渡り切ると再びあの危険を知らせる黄色い看板が・・・

熊出没注意

どうか!熊が出ませんように・・・!!!

ゴツゴツした苔むした岩の間をぬって少し傾斜した山道を登っていきます。(道という道はない)

一体どこまで続いているのか

何かが刻まれている岩がぽつりぽつりと点在していることに気が付きます。

何が刻まれているのかはよくわからず

これらは江戸時代の大飢饉により大勢の人たちが亡くなったことを悼み、お寺の和尚さんが岩に刻んだのだそうです。調べてみたら380体もの像があったもよう。わたしが見たものはほんの一部だったのですね。

もっとはっきり刻まれているのもあったのだろうけど、熊が怖すぎてゆっくり見ることができず。ほんの数分の滞在で退散!!!もうね、悲しいくらいぶれっぶれの写真しか撮れてませんでしたよね・・・。嗚呼、わたしに熊と戦える強い精神力と拳があれば・・・。

コンセイサマ(金精様)も拝みたかったけど、熊が怖いし時間もギリギリ。

右の絵はなんだろう・・・

逃げるように森を飛び出し自転車でダッシュ!なんとか営業時間内に自転車を返却。観光協会のショップで買った冷たくて酸っぱい山ぶどうのジュースを飲んでほっと一息つくのでした。

疲れた体が元気になる味でした

熊に怯えながら暗い森の中を歩くのはもちろん怖いんだけど、実はどこかワクワクしている自分がいるから不思議。やっぱりわたしはほんの少しのスリルがほしいのだなぁ。命を落とさないくらいのささやかな刺激。

観光客がわらわらいるカッパ淵と伝承館だけでは物足りず、欲求不満のまま1日が終わろうとしていることに焦燥感を覚えていたので、このちょっとしたスリルでほんの少し心が潤ったのでした。

運命の出会い

宿での夕食の時間が近づいていたので、そろそろ帰ろうかと宿に向かって歩いていると、途中で水がないことに気付きます。コンビニやスーパーを検索しても通り道にはないみたい・・・。うーむ、自動販売機はあっただろうか?観光協会のショップで買っておけばよかったなーなんて少し後悔しながら、街中へとUターンして水を求めてふらふらと彷徨うことに・・・。

すると一軒のお店が目に止まります。

少しだけ開いている扉

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扉には『本当にはじめての遠野物語』のポスターが貼られていました。わたしが遠野に行こうと漠然と思い始めた頃にタイムリーに発売され、ネットショップで購入した一冊の本。少し開いている扉から中を覗いてみると、棚にはその本をはじめ、いくつかの冊子や手拭いなどの商品が並べられています。

ふらふらと吸い込まれていくと、中には一人の男性の姿が・・・。

も、ももももももしや・・・

尋ねてみると、やっぱりこの本を作ったご本人さま!まさかこんなところでお会いできるとはーーー!!運命の出会いに静かに興奮するのでした。

『本当にはじめての遠野物語』

昔の言葉で書かれていて実は読むのが難しいらしいオリジナルの『遠野物語』。旅立つ前に福岡の大好きな古本屋さんLOMO BOOKSで『遠野物語』の復刻版を見させてもらったのですが、ちらっと中を見たら確かに難しくてわたしには読めそうにありませんでした。

撮影協力:LOMO BOOKS(福岡市)

その『遠野物語』の世界をわかりやすい文章と可愛いビジュアルで紹介した本が『本当にはじめての遠野物語』。この本を読んで『遠野物語』について少しだけ触れてから今回の旅にのぞんだのでした。

ネットショップで購入した本と、今回訪れた事務所兼ショップで購入した手拭い

著者である富川さんは2016年に遠野に移住してきた方で、まったく民俗学や踊りにも縁がなかったのに現在では民俗学についての本を書き、幕踊り系の鹿踊である「張山しし踊り」の舞手としても活動しているというのだからすごい。人生ってわからないものですねぇ。

さて、今回の岩手旅の目的は鹿踊。そんなわたくしでありますからもちろん興味津々に鹿踊についても話を伺います。昼間に博物館で鹿踊の装束を見てきたことを伝えると、なにやら部屋の奥に置かれていた家紋入りの布の包みをごそごそしだすではありませんか・・・。

はらりと布が落ちて目の前に現れたのは、ななななーんと!鹿頭さまぁぁぁーーーーー!!!

ジャジャーン!

部屋の奥に布にくるまれたものがあるなーって思ってたけど、まさか鹿頭さまが包まれていたとは・・・。ビックリです。

数年前に作ったmy 鹿頭で、それまではレンタル鹿頭だったらしいです。「そろそろ作るか?」と言われて作ることになったんだって。仲間に認めてもらったみたいで嬉しいではないかー!と、なんだかわたしまで勝手に嬉しくなりました笑

キリッとしてはる

重いんだろうなぁーと思っていたら、なんと持たせてくれることにー!!!う、うれしい・・・(昇天)。そしてやっぱりなかなかの重さ。これを頭に乗せて踊るんだもんねー。ほんとすごい。

鹿踊と現代の音楽を組み合わせた新しい試みもされているようで、今週末の8月26日には「遠野巡灯篭木」というイベントも行われるようです。わたしもそもそも数年前にインスタでコムアイとイベントをしている写真や映像を見て富川さんのことを知ったのだよね。

まだ色々と話していたいのに・・・18時30分から宿ごはんだよーーーーー!!

急いでお暇することに。その場に居合わせた東京から来たというご夫婦も一緒に会話して楽しい時間を過ごすことができました。いつか遠野の鹿踊も見にいきたいな!

夕暮れの街並み

最後にスペシャルなご褒美もらった気分!ルンルンで宿へと向かいます・・・が!!

「水ー!水を買いに来たんだったー!!!」

思わぬ出会いに興奮してすっかり忘れていたよ。またUターンするのは辛すぎるので、あきらめて宿へ向かうことに・・・。

ちょうど日が暮れ出した頃で、宿へと向かう途中にある風情ある建物が、夕陽を浴びてより一層美しく輝いていました。

この建物が遠野で出会った建物の中で一番好きでした

宿への帰り道で自動販売機を発見!心配していた水問題もこれで解決。これで干からびなくてすむー!安心して宿に向かうことができたのでした。

さぁて、宿に着いたらおたのしみの夕ご飯タイムですぞ!!!

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③台風危機一髪!岩手お盆ひとり旅2023 へとつづく▼▼▼

【後編】真夏の田園ラプソディ!市来の七夕踊

2022年8月7日。いちき串木野市の大里地区で、市来の七夕踊の最後の奉納が行われました。本来なら2020年に行われるはずでしたが、コロナ・パンデミックにより延期を重ね、前回の奉納から3年後の2022年にやっと開催されることに。そのラスト奉納を、しかとこの目に焼き付けてきました。

CONTENTS

8月6日(土)

七夕踊は朝の8時から始まります。つまり当日ちんたら福岡を出発してたら間に合わない・・・。というわけで、七夕踊最後の奉納を見届ける旅は、その前日からスタートしました。博多駅から新幹線に乗り、川内駅で在来線に乗り換え、串木野駅に降り立ちます。いちき串木野市に来たからには必ず行かねばならない場所があるのです・・・。

その場所に向かって歩いていると、鹿児島や宮崎の田園地帯でよく見られるという田の神さぁがお出迎え。

第一村人発見

田の神さぁに挨拶をすませ、さらにてくてく歩いていくとついにそれが現れます。

パラゴン(喫茶店)

そう・・・、みんな大好きパラゴンです!!!

蔦に彩られた憩いの場

知らないよ!という方のために簡単に説明しますと、蒼井優もかき氷を食べに来たことがあるあのパラゴンです・・・!!(雑すぎる説明。かき氷本に載ってるらしい)

いつか食べたかき氷

地元に人にも愛されていて、夏はかき氷で大繁盛・・・!いつも多くの人で賑わっています。

店内にある「パラゴン」(スピーカー)

わたしも何度も何度も訪れたことがある大好きな喫茶店。2019年の七夕踊の際にも、もちろんここでお昼ご飯のピザを食べました。

サクッ!ペロッ!と食べれちゃうミニピザ

以前は車移動だったので、七夕踊当日にそんなこともできたのですが、今回は公共交通機関&徒歩移動。少し離れたところにあるので明日行くのはちょっと厳しい・・・。というわけで、今日訪問することにあいなりました。いちき串木野に来てパラゴンに行かないなんてそんな無礼は許されないのだ・・・!!

かき氷と迷いつつ、今回はパフェを注文。上に乗っている昔ながらの緑色のアンゼリカ(フキの砂糖漬け)にもなんだかホッとします。

嗚呼、写真見てたらまた行きたくなってきた・・・

自宅を出たのが遅い時間だったため、すでに時間は夕方。束の間のパラゴンを満喫した後は、徒歩で1時間ほどのお宿にのんびり散策しながら向かうことにします。

可愛い遊具の公園

貝殻が均一に並べられた見事なブロック塀

目と口の部分に穴を開けてお面にしたい大きな葉っぱ

植田正治的影と熊

真夏の強い日差しが濃い影を作り出します。

どうやら明日も暑くなりそうだ

民宿パレス

ふらふらと写真を撮りながら到着した本日のお宿。

レトロな丸窓

眉毛のキリリッとしたなんだか愉快なおじさまが出迎えてくれました。話が面白くてとっても印象に残っています。

80歳近くだけどすごい元気!外国の船長?してて、少し前までイタリアかスペインに行ってたとか、4ヶ国語くらいペラペラとか(ほ、ほんとに???)、ちょいちょい自慢挟んできて面白かったです(好き)。

わたしの部屋は「青木」でした

寝泊まりするだけならじゅーぶんなお宿。素泊まりだったのでご飯を調達。すぐ近くの肉々しい炭火焼き工房半バーク・ステーキ黒平さんでテイクアウトします。

勝負の日の前日には必ず肉を喰らうという大事な儀式

う、うううううまーーーい!!!

いやぁー、やっぱりThe 肉!!というような美味しいお肉を食べるとテンションあがりますね。明日のために体力もつけねばなりません。胃袋を幸せで満たし、今日は早々に就寝です。

8月7日(日)

市来駅

翌朝、電車に乗って一駅の市来駅へ。七夕踊最後の奉納にふさわしいスッキリとした青空が広がっています。

あ!虎発見!!!

七夕踊のモチーフがあちこに。電車で訪れるのは初めてだったから知らなかったよー!

駅舎のステンドグラス

駅舎前には立派な虎と虎捕りのモニュメントもありました。黒っぽい金属で出来ててめちゃくちゃかっこいい!!調べてみたらその筋で有名な会社が製作していて納得・・・。

モニュメント

虎も髪を逆立ててなんだかとてもパンキッシュ!!!

こんな最高にイケてるモニュメントもあるのに、今日その長い歴史に終止符が打たれるのかと思うと悲しくなってきます・・・。

七夕踊が最初に奉納される堀内之庭までは駅から歩いて約20分ほどの距離。もうあまり時間がないので急いで向かうことにします。

余談ですが、今回のブログで突然現れるモノクロ写真は生まれて初めて自家現像したフィルム写真です。そんな意味でも特別な最後の七夕踊になりました。

田の神さぁ!

堀之内庭

堀之内庭が見えてきました。すでにたくさんの人が集まっているようです。

まずは保存会の方から、七夕踊休止について話がありました。今回は感染症対策として、規模を縮小しての開催。虎や牛等の張り子のツクイモンは展示のみで、一部の行列も今回は出さないとのことでした。残念・・・。

前回はなかった集合写真の撮影も行われます。最後の奉納の思い出のための写真。悲しい・・・悲しすぎるよ・・・・・。

そして花笠を頭に乗せ、太鼓踊りの準備が始まります。

いい顔してる男の子

最後の奉納をカメラに収めようといろんなところで人がスタンバってます

いよいよ最後の七夕踊奉納がスタートです!!!

七夕踊についての由来や流れ等については、前回のブログに書いているのでここでは省略。知りたい方は前編を読んでね。

がんばれ男の子!

最初の太鼓踊りが奉納されると、お酒が振る舞われました。一番ドンが先に飲み、次にヤッサ(役者)、庭割(にわわい)・・・と、どうやら飲む順番があるらしい。昔は「到住免」という田んぼからとれた米で白酒を造っていたけれど、昭和15年酒税法に触れるとのことで、それ以後酒造りは禁止になったそうです。

中身は田崎酒造の「七夕」だろうか

ちなみに庭割というのは、踊に詳しい人が選ばれて七夕踊の全てを取り仕切る役目。踊りが行われている最中も、踊り手たちに色々と指示をしていました。頭に陣笠を被って、腰に毛皮を巻いているのも印象的!

かわいい・・・狸?

七夕踊大移動

掘之内庭での奉納が終わり、各々は次の踊り場へと大移動。

キラキラと光輝く田んぼの海の上をトラックで運ばれる虎

おそらく堀之内庭の端っこに置かれていたツクイモンたちは、トラックに乗せられ三番目の踊り場である門前河原へと向かうのでしょう。

あれ?今年の牛、なんだかいつもよりお顔が可愛い気がする・・・!!!(超好み)

このあとお牛もドナドナ運ばれていきました

ちなみに子のが2019年の時の牛。

牛は各部落が年によって交代で作るみたいだから、地区によって作り方が違ったりもするのだろうか?

ツクイモン以外の人たちは、みんなてくてく歩いて近くの神社へと向かいます。

あ!よくみたら左に田の神さぁが見切れてるよ・・・!!

通りには道標のような七夕飾り

一日中強い陽射しの中で踊り続ける人たちのために、とある民家の前には自由に飲めるように水とグラスが用意されていました。

なんて優しい世界。昔ではこれが普通だったのだろうけど、今ではとても珍しいもののように思えてしまいます。

鶴ヶ岡八幡宮(金鐘寺)

2番目の踊り場へと到着。

手水に映る夏

夏休み中の子供たち

境内をうろうろしてたら、なぜか地元のおっちゃんに呼ばれて、好きな飲み物とっていいといわれます。え?他の人たちはもらってなさそうなんだけど・・・いいの???

トラックの上のバケツでキンキンに冷やされているペットボトルたちの中から麦茶をチョイス。たま〜に旅先でおっちゃんに可愛がられる才能があるわたくし・・・。実はまた後で再びその才能が爆裂するのである。

ありがたくいただきます!

そして、奉納が始まります。

花笠がとても重そう

庭割のおいちゃんたち。かっこいい!

中心で踊るのは七夕踊の主役「太鼓踊り」

大名行列

美しい影

花笠や行列の飾りの影と木漏れ日が地面でゆれる姿がとても美しい。わたしはここでの奉納が本当に大好きです。

奉納を終え、再び次の踊り場へと大移動!休む暇もりません。

トンガリ帽の琉球行列

わたしを残してみんな車でひとっとび???あっという間にいなくなってしまいます。

ま、待ってよぉーーーーー!!!

人々を見送る田の神さぁの背中

門前河原

次の踊り場の門前河原ってどこだっけ!?

2度来たことあるのにちっとも場所を覚えられません。こっちかな?ちょっと焦りながら歩いていると、関係者っぽいおっちゃんを発見!早速捕まえて場所を聞くと、自分も行くところだからと案内してくれることになりました。ありがたや〜。

門前河原

門前河原ではいつもなら今頃暴れまくっているツクイモン(作り物)たちが、大人しく横一列に並んでじっとしていました。そう、今回は残念ながら展示だけなのだ・・・。

ミニ虎もかわいい〜

牛の前でにこやかな牛使
18歳の頃からずっと虎捕りしてるおいちゃん。めっちゃいい顔してる・・・

ここでもしっかり集合写真。

展示だけって思ってたら・・・

え!!虎の寸劇始まったよ・・・!!!!?

トラ!トラ!!トラ!!!

まさか見れるとは思ってなかったのでめちゃくちゃ嬉しかったーーー!!!!!!

虎に夢中になって他の写真あんま撮ってない・・・

午前中の奉納はここで終わり。ツクイモンが次々と運ばれていきます。

なんだか悲しい後ろ姿の鹿

お牛を積むのも一苦労

束の間の休憩

次の奉納まで4時間ほど。なかなかの空き時間です。ちょうどお昼ご飯の時間。きっとみんなも束の間の休息をとっていることでしょう。

近くのラーメン屋さんに向かって歩いていると、さっきまで門前河原にいたと思われる鹿ちゃんを発見〜。うれしい!

鹿も休憩中

「ラーメン 潮騒」で腹ごしらえ。歩いて行けるお店がここくらいしかなかったのだー。でも美味しかった!はず(一年前だから覚えてないんだ・・・ごめんよ)

ラーメンと半チャーハン。ほんとは餃子も食べたい欲張り人間です

その後はもちろんコンビニでクエン酸!

そう、わたしはクエン酸信者

実はこの日は殺人的な日差しで、先ほどの門前河原では人が倒れて救急車で運ばれるほどの猛暑でした・・・。わたしもぶっ倒れないために、クエン酸で体力回復を狙います。

奉納まであと3時間ほど。まだまだたっぷり時間があります。近くの田の神さぁ巡りもしたいけど歩き回るには暑すぎる。さぁて今から何をしよう・・・?

ひとまず先ほど奉納が行われた神社で涼むことにします。

夏の神社、なんて絵になるんだ・・・

近くにはポンポンポンとリズミカルに百合が咲いていました

蝉の鳴き声を全身に浴びながら、境内へと続く階段を登っていきます。

青空へと向かう階段

さっきまで多くの人でひしめき合っていた境内にはポツンと提灯だけが残っています。

ひっそりとした今の方がきっといつもの姿

提灯下の水の入った桶には、大きな葉っぱが被さっていました。

とても気になる

なんの葉っぱ?なんで葉っぱを乗せてるんだろう???そんな疑問が次々に浮かびます。すると片づけにきたと思われる地元の人が現れました。聞いてみると、里芋の葉とのこと。そういえば昨日同じ形をした葉っぱを見たことを思い出します。そうか、あれは里芋の葉っぱだったのか。

昨日見た里芋の葉っぱ

汚れが入らないように乗せていると言っていたと思うんだけど・・・一年前のことで自信がない。というか会話した気がするだけかも・・・もしかしたら人が来たこと自体暑さが見せた幻だったかもしれない・・・・・。

金鐘寺

地図や幟旗には「鶴岡八幡宮」と書いているのに、七夕踊の日程表には「金鐘寺」と書かれているのは一体なんでだろう?と疑問に思っていたら、神社の拝殿横に仏像が安置された小さな祠がありました。

解説板

金鐘寺自体は、明治2年の廃仏棄釈によって廃寺になったそうです(寺跡が近くにあるらしい)。鹿児島は廃仏毀釈が激しかったと聞くもんね・・・。つまり、太鼓踊はこの金鐘寺の和尚に向かって奉納されるもののようでした。なるほど〜。

一通り境内をぐるりと見たあとは椅子に座ってのんびり。時間はたっぷりあるのです。

嗚呼、なんてここは居心地がいいんだろう・・・。ここで奉納される七夕踊だけでなく、この神社自体がどうやら自分に合っていたようです。気付けばあっ・・・・という間に数時間が過ぎていました。何してたのかまったく覚えてないけれど、とても気持ちよかったことだけは覚えています。

少し早めに4番目の踊り場である「払い山」へと向かうことにします。すると今度はとある店先で可愛いミニ虎を発見!

かわいいよぉーーー

七夕から1週間後のお盆に、かつて大里一帯から周辺部落では、子どもたちが小さな牛や虎の張り子を作って引き回す習俗があったそうです。それを「盆トラ」や「盆のウシ」と呼んでいたとか。(昭和54年9月14日の新聞記事より)昭和54年の記事の時点で、「今では数部落でしか行われていない」と書かれていたので、果たして今も行われているのかどうか・・・。気になります(盆トラほしい。むしろ作ってみたい。盆トラ作りワークショップやりませんか??)。

払い山

払い山に到着。

払い山にずらりと並ぶのぼり旗も好き

払い山へと続く美しい田園に囲まれたここから再び行列が始まります。

直視できないほど眩しい緑

こんなとこまで感染対策のアルコール。いる???笑

この道から一番最初に現れるのは、本来なら鹿から始まるツクイモンたちなのですが、今回はひと足先に踊り場の払い山でくつろいでいました。

トラックで運ばれ登場する虎

払い山に到着。右にいるミニ虎はさっきの子なのかな?

鶴の餌撒きも見れました。

鶴も今回で見納め・・・

不思議な格好の琉球王行列も好きだったなぁ。

面白い踊り

プオーーーーー

とぼけた笛が特に好きでした

薙刀行列が太鼓踊りを先導します。

薙刀行列

女性ものの浴衣を着て、「粟踏み」と言ってトコトコ小刻みに進むのがとても印象的。太鼓踊りの前だけでなく後にもついて、後払いの役をします。

美しい動作で薙刀を振ります
住吉社中

写真で薙刀を振っているのは、いちき串木野市を中心に活躍する町芸者「住吉社中」の小糸さん。わたしは数年前にたまたま鹿児島市の天文館でその芸を見る機会があったのですが、それがとっても可笑しくて楽しすぎて・・・!!!

2019年の9月のことでした

2019年の9月に天文館で初めて住吉社中さんを知った時には、まさか七夕踊に出ている方とはまったく知りませんでした。でも、見返してみるとなんと約1ヶ月前に訪れた七夕踊の写真にしっかりと写っていたという・・・笑。そんな偶然もあるんだねぇ・・・。

小糸さんのインスタでは、その愉快なお人柄と共に、住吉社中の活動や、知らなかった日本文化や習俗などを垣間見ることができてとても興味深いです。

https://www.instagram.com/koito_sumiyoshi/

 

さて、話は薙刀行列に戻ります。

七夕の日には、薙刀行列が神社の前で薙刀のさやを払うと、必ず雨が降ったという伝えがあるそうです。戦後は薙刀を没収されて偽物を使っているので、いくらさやを払って天をにらんでも雨は降らないとか・・・。(「かごしま探検」昭和54年9月26日の新聞記事より)今年も降ることはありませんでした。

薙刀行列の後には、太鼓踊りが鮮やかな花笠を揺らしながら続きます。

なんてカラフルな世界

ここで写真をパシャパシャ撮っていると、門前河原に案内してくれたおっちゃんが再び現れました。なんと!七夕踊に関する資料をたんまり印刷して持ってきてくれたのです・・・!!(おっちゃんになぜかよくしてもらえる才能を発揮)

特に昔の新聞記事の切り抜きの内容が面白くて(歴史を感じて泣けてきた…)、それらの資料に助けられながら今回のブログをしたためております。ありがとうおっちゃん!!!!!

荒々しくホッチキスで止められてて可笑しかった

夜の堀内之庭での最後の奉納まで見届けたかったけれど、残念ながら翌日は仕事。帰りの電車の時間が迫っています。払い山で太鼓踊りが奉納されている途中で、泣く泣くこの場を去ることに・・・。

輪の中心で踊る太鼓踊りを見守る少年たち。これが最後に撮った七夕踊の写真になりました。

こうしてわたしの最後の七夕踊を見届ける旅は終わりを迎えたのでした。

帰りに撮った写真たち

映像で生き続ける七夕踊

なんと!わたしが払い山を去った後に、予定のなかった虎の寸劇が行われたそうです!!みたかったよーーー!!!

ありがたいことに、MBC鹿児島放送で特集された映像がアップされていました。18歳からずっと虎捕りをやり続けてきたおっちゃんのインタビューまで!ほんと泣いちゃうよ・・・!!!もうわたしの中で永久保存版の映像です。

奉納当日の映像だけでなく、準備映像の特集もありました。実際に見てみたかったツクイモンの作り方も・・・!!!なんとミニチュアの虎も出てました。「盆トラ」はこのくらいの大きさだったのかなぁ・・・。1960年の白黒の七夕踊の映像も流れてめちゃくちゃ貴重。昔は橋も河原も観客でびっしり!!こんな時代があったんだね・・・。

動画作っちゃいました!

プロが編集した映像の後になんですが・・・愛が溢れすぎて気付いたら動画作ってました!!(処女作にして最後の作品!??)

ほぼ初めての動画編集。ピンはあってないし手ブレも酷いのですが、3年間撮りためた映像や写真を元に、七夕踊の由来や流れについて簡単に紹介しています(約6分)。めちゃくちゃ頑張って作ったので!(アピール)よかったら優しい眼差しで見てもらえると嬉しいです。

※映像内に誤字あり(×堀内之庭→◯堀之内庭)

これからも受け継がれていく太鼓踊り

2022年で一旦休止となった七夕踊。なんと、一番の要である太鼓踊りは、今年も引き続き奉納されます!七夕踊保存会にかわり、新たに七夕踊伝承会が発足。2023年8月6日(日)10:00〜11:00に堀内之庭で奉納が予定されているようです。

太鼓踊りもほんと素晴らしいんだよー!!!

わたしもまた必ず見に行きたいと思っています。みなさまも是非。

まずは七夕踊休止後の一発目が無事奉納できるよう願っております。今世間を翻弄しているのろのろ台風よ、邪魔するんじゃないよ・・・???  七夕踊休止後初めての太鼓踊りは無事奉納されたようです!よかったーーー!!!(2023年8月7日追記)

最後に

七夕踊に出会えていなかったら、今のような旅する人生を送っていなかったかもしれません。本当に楽しくて大好きなお祭りでした。これまで400年以上守り続けてくれたことに感謝します。ありがとう&お疲れ様でした!!!

そしてまたいつか、完全な七夕踊が復活することを願っています(4年に1度とかでもいいから・・・ずっと待つから・・・・・)。

払い山での集合写真

集合写真を撮った後の、素が出るこの瞬間が密かに好きだったりする

終。

■参考文献・サイト

・『市来町郷土史』(市来町郷土史編集委員会 編)

・『速報七夕踊』(七夕踊保存会 発行)

・七夕踊で偶然出会ったおじさまにもらった資料(新聞記事の切り抜き等)

【使用カメラ】digital: SIGMA dp3 quattro、iPhone、film:CONTAX Aria、CONTAX T2

【前編】真夏の田園ラプソディ!市来の七夕踊

鹿児島県いちき串木野市の大里地区で400年以上も続く「市来の七夕踊」。巨大な張り子の動物たちが暴れ回り、美しい装飾の花笠を揺らしながら踊る太鼓踊り、琉球王行列や大名行列等、総勢数百人規模でおこなわれる賑やかな真夏のお祭りです。

張り子の虎

CONTENTS

はじめに

わたしと七夕踊の最初の出会いは、お祭りを写した白黒写真からでした。巨大な張り子の虎が暴れ回る様子が写されていて「なんだこのお祭りは・・・!!」と、衝撃を受けたのが始まり。実際にその虎に会ってみたい・・・そんな思いが募り、初めて訪れたのが今から10年前(!)の2013年夏でした。

場所もよく分からず、車を止める場所にも手間取りながら、ようやく近くと思われる場所に到着すると、田園の隅にはカメラを構えポジションを確保しているおじおばさまがいました。

未来のわたし

もしかして何かがこっちにやってくる・・・???

・・・!!!

!!!!!

目の前に現れたのは巨大な鹿・・・!!

夏の日差しを浴びて青々と輝く田園に囲まれた一本道を張り子の鹿が練り歩くそのシュールで牧歌的な光景に一瞬で心を奪われます。この後にもさまざまな素晴らしい光景がわたしの前に現れ、夏の猛烈な暑さと共に鮮烈にわたしの心に刻まれたのでした。

この体験がとんでもなく楽しすぎて「毎年ぜったい行くぞ!!」そう強く思ったはずなのに・・・1年、2年とあっという間に時は過ぎ、次に訪れたのはなんと6年後の2019年でした。

そしてこの年に重大な事実を知ることになります。

「来年の2020年で市来の七夕踊りは休止」

高齢化や過疎化により今までの規模で行うことが難しくなったことが理由。もちろんわたしは大ショック!!!大大大好きな七夕踊が見れなくなる日がくるなんて・・・。これまで何度もチャンスがあったのに行かなかったことを激しく後悔しました。「休止」という言葉にわずかながら希望を持たずにはおられません・・・。

「ラスト奉納の来年は必ず行くぞ!!!」(今度は本気だ!)そう心に誓ったのに、ご存知の通りコロナ・パンデミック襲来・・・。もちろん七夕踊の最後の奉納も延期を余儀なくされ(このままフェードアウトしないかヒヤヒヤしてた)、実際に開催されたのは疫病との共存を模索し始めた2022年のことでした。

前編では2013年と2019年に訪れたコロナ禍前の完全版「市来の七夕踊」の写真をもとに、お祭りの由来や構成等を紹介。後編は去年奉納された最後の七夕踊を旅行記として綴りたいと思います。

今年からは完全な形で見ることができないお祭りではありますが、ブログを読んでまるで七夕踊を実際に体験したかのように感じてもらえると嬉しいです。

市来の七夕踊の由来

市来の七夕踊の歴史は、豊富秀吉の時代まで遡ります。秀吉の朝鮮出兵の際に大活躍した島津兵たち。当時島津藩の直轄地であった市来ではその活躍をことのほか喜び、当時の人々は思い思いに趣向を凝らした郷土色豊かな踊りを創案。祝賀会場で踊ったのがその始まりと言われています。

青空を泳ぐのぼり旗ときらきら煌めく七夕飾りが眩しい

その様子が島津藩主の耳に入り大変喜ばれ、以来この踊りに島津家の家紋である丸十の使用が許されます。現在でも七夕踊で使用される道具や衣装等に丸十を見ることができます(上の写真ののぼり旗にもあるね!)。

その後、金鐘寺の住職と地頭の床濤到住(とこなみとうじゅう)の2人が協力して田んぼの開拓を行い、1684(天和4)年に完成。その祝賀会の余興として大々的に踊られ、以来豊作祈願や神への感謝を込めて毎年踊り続けられ現在に至っています。

堀之内庭(朝)

お盆前の一番暑い時期に朝から晩まで集落のあちこちで奉納される七夕踊。一番最初に奉納されるのは「堀之内庭」と呼ばれる場所で、敷地内には開田者のひとりである地頭の床濤到住の碑があります。

床濤到住の碑

碑を囲む煉瓦にも島津家紋の丸十

七夕踊の日は毎年旧暦の7月7日でしたが、時代の移り変わりと共に1972(昭和47)年からは8月7日に近い日曜日に開催。七夕の日の踊りとはいえ、到住の霊を慰めるために行なわれるとの伝承や、張り子たちも動物の精霊を示すものと考えられ、亡き霊を供養する盆行事の前祭りの性格もうかがわれるそうです。

堀之内庭の片隅で出番を待つ張り子の動物たち

8時30分頃。堀之内庭で最初の太鼓踊りが奉納されます。

踊り手さんたちを団扇で仰ぐのも昔から変わらない光景

見た目も動きも派手な虎の張り子をはじめとする賑やかな動物たちに目を奪われがちですが(わたしのことですね・・・)、七夕踊の主役はこの太鼓踊り。その姿を実際に目にして大好きになりました。

ここでの奉納を終えると皆様ぞろぞろと移動し始めます。

とんがり帽は琉球王行列

窓が切り取る田園が美しい

ある民家では日の丸旗が掲げられていました

なぜか泣きたくなる風景

鶴岡八幡宮(金鐘寺)

後をついていくと、堀之内庭から歩いて数分の場所にある鶴岡八幡宮(金鐘寺)へと辿り着きます。

ぞろぞろぞろ

ごつごつした味のある階段の先には小さな空間が広がっていました。

中央には七夕踊の提灯。このようなこじんまりとした地元の神社が大好きです

神社の片隅では、太鼓踊りの人たちが被る美しい花笠がまるで風鈴のようにゆらゆら揺れています。

美しい

金の丸十や、籠目(魔除けの意味だろうか?)、ぐるっと周りを囲う日の丸旗、太陽や山等の様々なシンボルも気になります。わたしはこの花笠がとっても美しくて大好き・・・!!!

色とりどりの色紙で華やかに彩られた花笠

いつもは人気がなくひっそりとしているであろう神社に続々と人が集まってきました。

子供たちはカメラマンたちにとって最高の被写体

そうこうしていると琉球王行列をはじめとする行列物が円を描きながらぐるぐる踊り始めます。これには中心で踊る太鼓踊りを守り、見物人などをあまり近寄せないように整備する意味があるそうです。

琉球王行列。ラッパの音がなんだかおまぬけで可愛くて大好きなんだよー

太鼓踊り

みんなが見守る中、輪の中心で太鼓踊りが始まりました。

鹿児島は太鼓踊りの宝庫と言われていて、中には戦での武士を鼓舞するかのような躍動感のある踊りも多く見られますが、七夕踊の太鼓踊りは哀調ただよう踊り。それは念仏踊りの流れを組んでいるからだそうです。

木漏れ日が地面に模様をつくる

大里地区に生まれた男性は必ず生涯に一度はヤッサ(役者)と呼ばれる太鼓踊りを務めないといけない決まりがあるらしい。ヤッサの中でも一番踊りと歌のうまい人が「一番ドン」(踊り全体のリーダー)で、その補佐的な役割をするのが「二番ドン」。これらに選ばれるのが最も名誉なことなのだとか。

改めてよーく花笠を見てみると、一番上の丸十部分の片側に「頭」と書かれているものがありました。おそらくこれを被っている人が「一番ドン」。

見れば見るほど美しい花笠

他の花笠も丸十の色が金や銀だったり、中が赤に塗られていたりと微妙にデザインが異なっていることに気付きます。それぞれ意味があるのだろうか?気になる・・・。

ちょっと待って。右の花笠、通常では松や山、鳥居等が描かれてる絵の部分がアニメのイラストなんですけど・・・!(伝統的な絵じゃなくてもいいんだ!?)

一番ドンにはソロパートもあります。カッコいい!!!こりゃ憧れちゃうね〜。

2013年の一番ドン

2019年の一番ドン

太鼓踊りに花を添えるカネウチの子供たちの花笠も魅力的。大人たちにはない色とりどりの紙の飾りがひらひらとたなびき、その愛らしさに磨きをかけています。

暑い中がんばってる!

張り子の動物たちにを目的に訪れた七夕踊でしたが、実際に太鼓踊りを目にして大好きになってしまいました。特に神社の境内で見る太鼓踊りが好き。

風にゆれる花笠の飾りと色とりどりな境内の七夕飾り

門前河原

神社での奉納が終わります。地元の人でなければここで路頭に迷うこと必至!車でなければちょっとした距離を歩くことになります。

早くあの場所に飛んでいきたい!!!

次の踊り場である門前河原に到着した頃には、すでに虎や牛たちの張り子は大暴れ!琉球王行列や大名行列等も勢揃いして大賑わいです。午前中、ここで最初のクライマックスを迎えます。

飛んでいきたいぃぃぃ!!!

行列の構成

ツクイモン(作り物)

七夕踊を一層賑やかなものにしているのが「ツクイモン(作り物)」と呼ばれる巨大な動物の張り子たち。鹿、虎、牛、鶴の4種類あり、それぞれ作る部落が決まっています。

・鹿

まず行列の先頭を切るのはシャープなお顔立ちの鹿。わたしがファースト七夕踊にコンタクトした時に一番最初に見た動物ですね!張り子の中に入って操る人たちの他に鹿捕りの狩人が数人いて、暴れる動物たちと愉快な寸劇が繰り広げられます。

鹿捕りピンチ・・・!!!

・虎

次に続くのが、わたしが七夕踊に行きたいと思うきっかけとなった虎。

「虎がくっどーーーーー!!!」

この叫び声と共に繰り広げられる七夕踊の目玉のひとつともいえる野外劇。秀吉の朝鮮の役での虎狩りがモチーフになっています。虎の姿もとっても凶暴で愛くるしいのですが、この虎と虎捕りおっちゃんとのやりとりが最高に楽しいのです・・・!!!

虎と槍一本で戦います

もう・・・っっっ最高に大好きです!!!

桶に入った焼酎をぐびぐび飲みながら演じるのがこれまたいいんだよね。

左で焼酎飲んでる虎撮りのおっちゃん

なんとこのおっちゃん、驚くことに18歳の時から約60年もの間ずっと虎捕りをしてたんだって・・・!!

若者の誰よりも動きまわる虎捕りのおっちゃん

おっちゃんの生き甲斐ともいえる虎捕りをもう演じることができないだなんて・・・。代わりにわたしが泣いちゃうよ・・・。

・牛

虎の後には目がくりくり可愛らしいお牛が続きます。

動きもとってもユーモラス!牛使(うしつけ)の合図で、巨大な牛はお尻をぐいっと空高く跳ね上げます(すごい!!)。これを「牛が飛ぶ」という言うそうです。素敵!!!

持ち上げているところを後ろから

先ほどの堀之内庭にはちびっこ牛使いもいました!かわいい〜。

2019年撮影

・鶴

ツクイモンの最後は鶴。こちらは暴れん坊の虎や牛などとは違い(鹿もちょっとおとなしい印象)、喧騒などどこ吹く風とっいったようにのんびりゆるやかに動きます。他の張り子は数人で動かしていましたが、こちらはひとり。鶴の前には餌撒きがいて、稲の籾殻をこんもり盛った桶を肩で天秤のように支え、周囲に巻きながら鶴を誘導します。

餌の籾殻

足の動きが面白い

こちらにも可愛いちびっこ鶴がいました!!

2013年撮影

4体の動物の張り子たちがじゃらじゃら体にまとっている茶色の植物は、山から採ってきて天日干ししたガラメ(山ブドウ)。例えようのない香ばしい薫りがするそうですが、わたしは嗅ぎそびれてしまいました・・・。

こちらはお尻ふりふり鶴のガラメ

これら愉快なツクイモンの後に、琉球王行列(琉球王が島津義弘の戦勝を祝って貢物を持って薩摩を訪れたことに由来)や、大名行列、薙刀行列が続きます。薙刀行列は太鼓打ちのヤッサ(役者)の前と後ろにつき、その露払い、後払いの役をするそうです。

払い山

午前中に1度目のフィナーレを迎え昼食を挟んだ後、16時頃から「払い山」と呼ばれる踊り場で奉納が行われます。

払い山

ぽんかんの看板の下にも色褪せた虎いた!

開始時刻前、払い山へと向かう田園に囲まれた道を歩いていると、おじさまたちが大きな牛の体の影に身を隠し休んでいました。

わたしもお牛の体に守られたい…

時間が近づくにつれ、人々や動物たちが集まってきます。

胸が苦しくなるほど美しい日本の原風景を垣間見る

この田園風景から再びお祭りがスタート!

鹿と鹿捕り

めちゃ愛くるしい密生した鼻毛

虎の写真が他より多くてすんません・・・好きがあふれてシャッターが止まらなかったんだ

牛が飛んだ!!!

稲穂をくわえた優雅な鶴

行列も続きます

田園にかこまれた道を抜け、舞台は払い山の踊り場へ。

大名行列の馬簾振り(バリンフリ)。おいちゃんが持つ傘の骨みたいな道具(見えにくい・・・)をピョーンと飛ばしてもうひとりが受けとるのですが、操るのが最も難しいらしい。

だんだん夏の夕方のやわらかくて少しせつない飴色の光に・・・

ツクイモンや行列がすべて揃うのはこの踊り場が最後。まるで大団円といったような雰囲気に包まれます。

円の中心には太鼓踊り

払い山での奉納が終わり、ツクイモンの動物たちも次々にトラックに積まれ運ばれていきます。役目を終えた子たちはどうなるのかしら・・・。

まさしくドナドナ

堀之内庭(夜)

2013年時は払い山での奉納後に帰宅したのですが、2019年のわたしは最初から最後までみっちり七夕踊を満喫するつもりで臨んでいたのだ・・・!!!

そして、夜

日も沈み、真っ暗になった19時頃に再び堀之内庭へ。

長い1日が終わろうとしています

2019年の七夕踊、最後の奉納が始まりました。

夜になるとよりお盆の前祭りの雰囲気をより感じます

朝から晩まで駆け抜けた市来の七夕踊はこれで終わり。田んぼを開田した床濤到住の碑があるこの場所で始まり、再び同じ場所で終わるのですね。いかにここが大切な場所で、太鼓踊りがこのお祭りの要であることがわかります。

ぼっちゃん、遅くまでご苦労さまでした!

最後に

コロナ禍前のなんの縛りのない賑やかで最高に楽しい七夕踊。2019年に訪れた時点では、これが最後の七夕踊(完全版)になるとは思ってもみませんでした。2020年、世界的なコロナ蔓延により休止前の最後の七夕踊は延期に。2019年の奉納から3年後の2022年、規模を縮小し最後の七夕踊が行われました。

わたしが民俗芸能巡りに目覚めるきっかけとなった思い入れのある特別なお祭り。次回はその最後の七夕踊の様子を旅行記として綴りたいと思います。最後まで読んでいただけると嬉しいです。

■参考文献・サイト

・『市来町郷土史』(市来町郷土史編集委員会 編)

・『速報七夕踊』(七夕踊保存会 発行)

・七夕踊で偶然出会ったおじさまにもらった資料(新聞記事の切り抜き等)

市来の七夕踊 文化遺産オンライン

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T10、オールドレンズ、iPhone、film:LOMO LC-A

真夏の田園ラプソディ!市来の七夕踊【後編】につづく▼▼▼

⑨竹田キリシタンを巡る旅【天国?地獄?籠目権現】

バスに乗ってゆらゆらゆら。たまに小さな集落を通り抜けますが、ほとんど自然に囲まれた田舎道。

小さなコミュニティバス

車窓からの風景

川沿いを走っていたと思えばぐるぐる螺旋を描きながら山を登りだします。

実は最初にこの旅を思いついた時は、城下町からレンタサイクルで行く計画でした(おそらく自転車で約2時間ほど)。雨予報で早々に断念したのですが、いざ通ってみるとどう考えてもわたしのヘタレ精神力ではこの道を自転車で往復するのは無理・・・。雨が降ってくれてほんとよかった!晴れていたら山の峠で途方に暮れながら自分を呪っていたとこだったよ・・・。

CONTENTS

猫と岩薬師

目的の場所に一番近いバス停に到着したのは10時前。日頃の行いがいいので(しつこいよ!)やっぱり雨は止んでいます。

すぐお隣は熊本県。ここからさらに30分ほど歩いて目的地へと向かうよ!

霧が立ち込めるのどかで美しい風景がひろがっています。

蛙の鳴き声が心地よい

わーい!猫と遭遇!!

すぐにいなくなってしまいました

撮らせてくれてありがとねーーー!!!かわいい野良猫に出会えたことを喜びながらクルッと前を向くと、なんと車に轢かれた猫の死骸が・・・(こんな話ごめんね)。

高速で視線を逸らし動揺する心を落ち着かせます。心なしかさっきの猫の模様と似ていたような?もしかしたら親子か兄弟だったのかも・・・。どんよりとした気持ちでその場を足早に通り過ぎました。

さっきまでの高揚した気持ちはシュンとしぼみ、脳裏には先ほどの猫の姿が焼き付いています。すると崖に嵌め込まれたお堂が目に入りました。「岩薬師」と書かれています。

五角形洞窟

あの猫を天国へお導きください・・・。猫のためというよりも、自分の心を落ち着かせるために願います。

真ん中にいらっしゃるのが薬師如来さま?周りをぐるっと囲っている小さな子たちも素朴で可愛らしかった。廃仏毀釈なのかお顔が削られている子も

気持ちを入れ替えて再び歩き出すと、今度は大きな橋が現れました。橋の上からは大自然・・・!!!

ずいぶん山深いとこにきたものだ

いつの間にか陽がさし、青空が見えてきました。

また午後から雨予報だけど、今はどうかこのままで・・・

天国と地獄の入口

ガードレールが一部だけ空いている場所に辿り着きます。

どうやらここから入るようです。昨日遊歩道の入口でも見かけた愛らしい白い花が群生しています。まるで天国への入口のよう・・・。

「シャガ」という植物。たぶん

と思ったら、今度はまるで地獄への案内人のような得体の知れない花が、道標のごとく行く先々に咲いています・・・。

「マムシグサ」。名前からしておどろおどろしい・・・。その名の通り毒を持っているそうです

この先に待ってるのは天国?それとも地獄・・・??

木々に囲まれた道

マムシグサに案内されるまま進んでいくと、鬼の洗濯岩のような濡れたギザギザ坂道が現れます。いい加減な靴だと滑ってしまいそう・・・。

なかなかの傾斜

横から見ると地面に一枚のギザギザの岩(コンクリート?)が乗っかっている感じ。

土砂降りとかだったら降りるの無理だったかも

無事降りることができてホッと一安心。顔を上げると目の前には土砂崩れ後のような荒れた風景が広がっています。

くるりと振り返るとひらけた空間に野晒し状態のお堂が。こんな状態ではありますが、どうやらちゃんと管理している人がいるもよう。長方形に崖をくり抜かれた穴には掃除道具が入っています。

崩壊しているのか屋根にはシートが被されています

中には仏像様がいらっしゃいました。建物や仏像も比較的新しいもののように見えます。

お邪魔します

でも、目指している場所はここではないみたい・・・。どこにあるのだろう?さっきから建物の背後から水が流れ落ちる音が聞こえてきて気になっていました。

おや?

この隙間、あやしいぞ・・・???

籠目権現

建物と崖の隙間を進んでいくと・・・

隙間の崖にも小さな石仏

通り抜けた先に現れた小さな滝・・・!まさかこんな空間が広がっていたなんてーーーーー!!!

綺麗な水

見上げると崖上に石仏がいくつか置かれているのが見えました。

細い木の枝に取り付けられた心許ないロープ・・・。まさかのプチ鎖場の登場です。

土砂降りだったらマジEND

足の踏み場を確認しながらよじ登っていきます(体重預けるの不安すぎたよ・・・涙)。登った先に現れたのは素朴な石仏たち。

わたしがわかるのは炎をしょった不動明王くらいです

これらの石仏の中で一風変わった様相のお方がいらっしゃいます。

中央の崖の隙間に嵌め込まれた祠

左下にいらっしゃるお方!

このお方にはるばる会いにきたのよーーー!!!

凛としたまなざし

剣を持ち、甲冑を着たまるで西洋の兵士のようなお姿。その背後の祠には十字架を表しているかのような細工が見て取れます。

石像の凛々しいお姿は、翼こそはありませんがまるで大天使ミカエルのよう・・・(天草のウマンテラさまの例もあります)。

実際にこの場所が潜伏キリシタンの信仰の場であったかは資料がないため不明。まるでその存在を隠すかのように建っているお堂も、いつから建っているのかもわたしは知りません。ただ、この周辺でもキリシタンが捕まったという事実はあるそうです。

新たな訪問者

やっと会えたことに喜び、夢中でシャッターを切っていると下の方からガサゴソと物音が。

ビクッとして振り向くとなんと!この場に似つかわしくない都会的な格好をしたひとりの男性の姿が・・!!!

手にはビデオカメラ

まさかのまさか!

秋田の某田舎で鬼コを見にきた青年とバッタリ遭遇した時同様、自分と同じ目的でやってきた殿方との偶然のご対面です・・・!!

▼▼▼その時の記事はこちら

いやぁー、吃驚ですね。こんな山奥に同じタイミングで遭遇するとは。しかし・・

やばい・・・また思う存分写真撮れない・・・。

好きに撮ってくださいとは言ってくれたものの、そういうわけにもいかず・・・。写真を撮り始めてほんの数分でしたが、バタバタと撮り終え再び鎖をつたって下界へ。キリシタンへの想いを馳せる余裕もなかったな・・・。

行きはよいよい帰りはこわい

なんでも仕事兼、趣味で東京から来ているとのこと(映像関係の仕事なのかな?)。もうこれは譲るしかありません。わたしは九州に住んでるからね!またくればいいんだし!!でもバスではもう無理かも。だれかわたしを車で運んで・・・

登ってるところを撮らせてもらう

せっかくだからわたしが登っている写真撮ってもらえばよかったな。惜しいことをしたぜ!

あわよくば帰りに車で城下町まで連れてってくれないかな・・・なーんて邪な考えがチラッと過りましたが、わたしにはまだ行きたい場所があるのです。

入口にまた戻ってきました

もう!足が!!痛い!!!

けれど帰りのバスの時間までまだたっぷりある。バス停からどんどん離れちゃうけれど・・・

がんばって!歩くぞ・・・!!!

■参考文献 『ミステリアス!竹田キリシタン』(発行:竹田市)

【使用カメラ】digital:FUJIFILM X-T3、SIGMA dp3 quattro、iPhone SE2

⑩竹田キリシタンを巡る旅へとつづく▶︎▶︎▶︎