﨑津からバスで10分ほど揺られて到着したのは大江集落。宿に着くと同時に雨が降り出しました。通り雨だったようで再び外に出る頃には止んではいたものの、翌日は雨予報。まだ降り出さないで…と祈りつつ、まずは近所の大江八幡宮へお参りしにいくことにしました。
出会い
写真をパシャパシャ撮っていると、神社でなにやら準備をしていたおっちゃん二人組が、黒髪オカッパのわたしに「いい髪型してるねー」と話しかけてきました(笑)この神社のことや、大江のことなどいろいろと興味深い話をしてくれたよ。昔は交通手段がなかったから、前日宿泊した本渡町から徒歩で7時間かけて大江に来ていたんたって~(びっくり!) 。旅先で地元の方と触れあうのはたのしいね。時間があればもっとゆっくりおしゃべりしたかったけど、まだまだ行くところがあるのです!
おっちゃんらと別れ歩いて約20分ほどの大江天主堂を目指すも、フィルムカメラを忘れてきたことに気づきます。あわてて宿にカメラを取りに持り、再び出掛けようとすると宿のご主人と遭遇。なんと教会まで車で送ってくれることに!崎津でのレストランのサービスといいラッキーが続く〜。
大江天主堂
大江天主堂は﨑津教会と同じく鉄川与助の設計で、﨑津より1年早い竣工。﨑津はゴシック様式(天まで届け~な尖塔が特徴。大好き!)で、大江はロマネスク様式(よく知らない…)です。
(下段:film)
再会
急いで見学をして、時計を見るとすでに16時過ぎ。最後にどうしても行きたいところがあるんだいっ。と、バスも通っていない歩いて片道50分(!)ほどかかる場所を目指し、大江天主堂横の細道から進んでいきます。
「暗くなるのが早いから車はライトをつけて人ひかないようにね~」といった内容の放送も流れて一気に不安が押し寄せる…。そして人気のない道を歩いて数分たったところで、すっと横に車が停車…
こわい!こわいよ…!!
恐る恐る見てみると…なんと!先ほど神社で会ったちゃんがニコニコしながら見ているではありませんか〜!!自宅がこの道の先にあるらしく、目的地へと車で送ってくれることに。なんという運命…!この通りは猪も出るから危ないらしい。時期的に暗くなるのも早いし、夕方から歩いて行こうだなんて狂気の沙汰だったかも…?(よい子は真似しないでね)ほんとおっちゃんと奇跡的に出会えてよかったー!!!
帰りはこんな道でした…。おっちゃんと出会わなければ、真っ暗の中ひとりここを歩いていたのかと思うと震える!
ラピュタの木(西平椿公園)
この日最後の目的地は西平椿公園内にあるラピュタの木(アコウの木)。ここが本当に素晴らしかったーーー!!!おっちゃんとの出会い含めて、天草で一番の思い出の場所になりました。
岩にどっしりと絡みつく根。生命力あふれまくり!(film)
車で送ってくれただけでなく、園内を案内してくれたよ。椿公園という名の通り約1万本のヤブツバキが自生していて、公園として整備された今では約2万本あるそうです。
向こう側に見える砂浜は、夏になるとプライベートビーチみたくなるそうです。
日本の夕陽百選にも選ばれていて、この日は不安定なお天気で雨も降ったりしてたのに、運よく美しい光の道とまるで線香花火の最後のような濃い夕陽を見ることができました。ロマンチックな夕陽をおっちゃんと2人で眺めるという!最高じゃないか!!
(film)
帰りも宿まで送ってくれて本当にありがたかった。歩きだったら帰る頃には真っ暗で、人気のない森に囲まれた細道を車や獣に怯えながらひとり歩いてたんだろうなぁ。最悪タクシー呼んで帰ろうと思ってたけど、電波も入らなかったよ…(真っ青)。
後日調べてみたところ、なんとおっちゃん椿公園を管理している西平カメリアクラブの会長さんでした!ネットで普通に名前や写真も出てくるし、NHKの番組も出たことあると話していた。まさかそんな方と偶然出会えて案内してもらえるなんて〜!少しでもタイミングがずれていたら会えなかったもんね。素晴らしい出会いに感謝です。
掲載許可もらってないけど勝手にのせてごめん、おっちゃん…。
そんなこんなで楽しいことてんこ盛りな1日で大満足だったのですが、この日はこれで終わりませんでした。最後の最後にまさかあんな特大イベントが待っているとは…。
平野屋旅館
3日目の宿は大江にある平野屋旅館さん。
他にも宿泊客がいたけど建物内で仕切られており、まるで一棟貸しのように広々と利用することができました。客が多い時はおそらく共用のお風呂やトイレも、自分専用として使用することができてよかったです。
お食事は宿近くの辨(べん)さんで提供されます。
では、まずはこちらの写真をご覧ください。
舟盛りドォーーーン!!
度肝抜かれたよ!次々に料理が運ばれてくるし、焼酎も1杯目飲み終わってないのにおかわり来るし(ちなみに焼酎呑めない…)、過剰なおもてなしてんこ盛りでお腹いっぱい胸いっぱい!いろいろとおもしろすぎました…笑(注:写真の量で1人分)
隣の部屋で食べてた男性ひとり客も、料理がくるたびにその量に「すごいな!」と言いながら笑ってて、最後は「ギブアップです…」といいながら出て行った(笑) わたしも2時間近くねばったけどどうにも食べきれずー。今回、一泊二食付き約12,000円(go toなし)の舟盛り付き贅沢コースにしたのですが、胃袋に自信のない方は普通のお食事にした方がいいかと…。
﨑津から始まり、アコウの木で最高のクライマックスを迎えたと思っていたら、最後の最後にこんな爪痕を残されるとは…。最高に濃厚な一日でした。
天草最後の日
翌日は天気予報通り本降りの雨。
朝ごはんも予想した通りボリューミーでした。
ぜんぜん食べ終わってないのに、朝っぱらからランチの時のようなもりもりスイーツが運ばれてきたのは想!定!外!最後まで笑かしてくれました。
チェックアウトをすませ、雨が降る中向かったのは、昨日訪れた大江天主堂のすぐ近くにある天草ロザリオ館。潜伏キリシタンについての歴史を勉強します。
大黒様(俵の十字を十字架に見立てる)や、土人形の山姥や貝殻の裏側の模様をマリアさまに見立てて信仰していたんだって。お葬式は仏式で行わないといけなかったので、別の部屋ではお経に合わせてかくれ言葉を唱え壺にお経を閉じ込めたとか。大変興味深かったです。
椿油
ここを訪れた一番の目的。それは天草ロザリオ館前の売店で売られている椿油を買うことでした。もちろん西平椿公園の椿から採れたもの。西平カメリアクラブが作っていて、ヘアケアだけでなく食用としても使用できるそうです。
おっちゃんと出会った後にその存在を知り、どうしても買って帰りたかったので、近くで販売しているところを調べたのでした。無事購入できてうれしい!販売してる場所がまとめられてるページがあったので、天草旅行する際はぜひお土産に。パッケージも可愛いよ!ちなみに通販もされてるようです(おっちゃんが愛しいあまり回し者と化す)。
売店ではフレッシュジュースの販売もしていたよ。なかなかのお値段だったけど記念に〜。入れ物がなんともいえず良い。季節によって柑橘が違うとのことで、今回はみかんでした。ジュースを飲みながらバス待ち。ついに天草とお別れです。
おまけ【久留米編】
帰りは一気に熊本市内までUターン!大江(天草)→本渡(天草)→熊本市と、バスを乗り継いで約4時間。その後は大好きな街のひとつである久留米に宿泊し、翌朝はいつもの喫茶店でモーニング。久留米をそぞろ歩き、早めに自宅へ帰ってゆっくりしたのでした(なんというやっつけなラスト)。以下、フィルムによる久留米ダイジェスト。
しのはら珈琲店
(film)
最後に
三角から始まり、天草〜久留米へと流れた4泊5日の旅は以上でおわり。最初はハプニング続きでどうなることかと思ったけれど(非常口のお宿が懐かしい…)、それも含めて最高に楽しかった!そしてタイミング的に人生の岐路まっただ中な時期でもあったので、心の中に強烈に刻まれた旅になりました。中でも一番心に残っているのが、やっぱり椿公園でのおっちゃんとの出会い。夕陽を見ながら、また誰か家族を連れていらっしゃいと言ってくれた。今と何にも変わらずまた一人で来るかも…と言ったら、ニコニコしながらもちろんそれでもいいと言ってくれました。また再会できるといいな。その時ひとりなのか、それとも誰かと一緒なのかはわかりませんが、たのしい人生を謳歌してるといいなぁー。ゆるゆると。そんな風に思うのでした。
(film)